運輸経済月例報告 今月のトピックス 運輸経済月例報告 平成10年4月のトピックス



  平成9年度輸送動向(月例報告ベース)  
  景気後退を反映して、国内旅客・貨物輸送は低調  
国際輸送は、円安とアジア経済危機の影響を受ける

 経済企画庁の景気判定によれば、景気は平成9年3月を山に後退局面となったとされた。9年度の国内総支出(GDP)は、対前年比0.7%減となり、オイルショックの影響を受けた昭和49年度以来のマイナスで減少幅は戦後最大を記録した。
 各経済指標をみても、平成9年度においては、旅客輸送に影響を及ぼす実質賃金及び実質消費支出は減少し、貨物輸送に関連する鉱工業生産指数は好調な輸出に支えられて増加を維持したが、住宅着工戸数及び公共工事着工額は減少した。また、いずれの指標も年度の後半の悪化が目立っている。国際的には、対ドル為替レートの円安傾向、アジア諸国経済の急激な悪化等の運輸に影響を与える諸要因が生じた。
 このような状況の中で、9年度の輸送動向は、国内輸送は旅客・貨物ともに低調に推移、国際輸送は貨物では輸入が低調、輸出が好調、旅客では出国が低調、入国が好調であった。

 [国内貨物輸送]
 9年度の国内貨物輸送動向をみると、消費低迷及びこれを受けた生産の縮小の影響を受け、航空を除いては9年7〜9月期以降減少が続いており、かつ減少幅が拡大している。
 輸送機関別にみるとJR貨物は年度を通じて低調であり、増加を続けていたコンテナも10年1〜3月期に減少に転じた。トラックは、消費の冷え込みや住宅建設の大幅減少等の影響で、一般は年度を通じて、特積は9年7〜9月期から減少となった。内航海運も、7〜9月期から減少に転じた。航空は、好調を維持していたが、10年1〜3月期には減少に転じた。

[国際旅客輸送]
 9年度は、国内景気の冷え込み、為替レートの円安傾向、アジア諸国の経済の悪化等、国際旅客の動向に影響を与える要因が数多く発生した。
 この状況の中で、これまで増加を続けていた出国日本人数は、景気低迷及び円安等の事情により、9年10〜12月期からは減少に転じた。一方、入国外客数は円安が好影響となり、9年中は大幅な増加を続けていたが、景気低迷の影響を受けた韓国からの訪日客数の減少等により、10年1〜3月期には減少に転じた。

[国際貨物輸送]
 9年度の貿易も、国際旅客動向と同様に円安、内需の冷え込み、アジア諸国の経済の悪化の影響を受けた。
 5大港の外貿コンテナ貨物の取扱量をみると、輸出は、円安、内需の冷え込みをカバーするための輸出圧力等により増加を続けていたが、タイ、インドネシア等アジア諸国の経済状況により10年1〜3月期には減少に転じた。一方、輸入は、円安、内需の冷え込み等により低水準であり、9年10〜12月期からは減少となった。また、成田空港及び関西国際空港の航空貨物取扱量をみると、輸出は年度を通じて増加を維持したが、10年1〜3月期には、それまでの2桁台の大幅増に比べ伸びが鈍化した。輸入は、生鮮食品等が減少し、年度を通じて低調に推移した。