運輸経済月例報告 今月のトピックス 運輸経済月例報告 平成10年5月のトピックス



  沖縄における航空旅客の最近の動向  
  景気低迷下にあっても大幅な増加  
  官民一体となった各種施策が奏功  

 国内航空旅客数は、他の交通機関が景気低迷の影響等により輸送量の減少傾向にある中で、対前年比での増加基調を維持している。
 中でも、沖縄線の輸送人員は、7年度以降全国の航空旅客数の伸びを上回る大幅増となっており、9年度は対前年度比9.2%増と高い伸びとなっている。
 その増加要因としては、次のような点が考えられる。
(1) 9年7月より本土−沖縄路線に関する空港使用料等が引き下げられ たことに伴い、航空運賃が引き下げられたこと(例えば、東京−那覇間で往復で8,000円の引き下げ)。
(2) 離島直行便の新設等の航空ネットワークの充実、早朝・深夜便の運 行等により、新たな需要喚起が図られたこと。
(3) 旅行業者によりリーズナブルな価格のパッケージツアーの提供が行 われ、また、最近の円安傾向もあり、海外旅行に比べて割高といわれた沖縄旅行に相対的な割安感が生じたこと。
(4) 8年10月に「沖縄観光立県推進地方会議(TAP沖縄)」が開催さ れ、これを契機に、官民一体となった観光キャンペーンが展開されるとともに、「大琉球・まつり王国」をはじめとした各種イベントが開催され、集客効果を挙げたこと。

[航空輸送の動向]
 平成5年度からの本土−沖縄間の輸送人員の対前年比伸び率をみると、6年度は、全国の航空輸送人員の伸び率を下回ったが、7年度以降はこれを上回っており、9年度には、全国の伸び率が鈍化しているのに対して、大幅な増加となっている。これを、那覇空港と幹線空港(札幌、東京、大阪、関西、福岡)、ローカル空港の路線別にみると、7年度までは、ローカル空港との路線が幹線空港との路線を上回って伸びていたが、8年度以降は逆転しており、9年度については、幹線空港路線が10.2%と大幅に増加しているのに対し、ローカル空港路線は、5.0%増にとどまっている。

 最近(平成8年度〜9年度)の輸送人員の変化を四半期別にみると、9年1〜3月期以降全国の伸び率を上回って増加しており、同10〜12月期に13.8%(全国では4.9%増)の大幅増となった後10年1〜3月期には、5.5%増(全国では1.4%増)と伸びが鈍化した。この間の運航回数をみると、一貫して全国での伸び率を上回って増加し、伸び率も高くなってきている。特に、幹線路線は、9年7〜9月期から急激に増加している。
 また、離島空港直行路線の輸送人員は、10年1〜3月期には0.6%減とわずかに減少となったものの、それ以前は各四半期とも25%を超える大幅増となっており、沖縄の航空旅客の増加に寄与している。
 幹線路線における輸送人員と運航回数の関係をみると、輸送人員は9年1〜3月期から伸び率が拡大してきているのに対し、運航回数は同7〜9月期から急激に伸びており、需要増が先行し、これを供給が追いかけた状況にあるといえる。