一般経済の動き 一般経済の動き (平成11年11月)


 我が国経済の最近の動向をみると、個人消費は、収入が低迷していることから、足踏み状態となっている。住宅建設は、年度前半に比べやや水準を下げているものの、マンションが好調であることや持家の動きを反映して、直近は増加している。設備投資は、一部に持ち直しの動きがみられるものの、減少基調が続いている。公共投資は、着工は低調に推移しており、事業の実施も前年を下回っている。輸出は、アジア向けを中心に、増加している。
 在庫は、在庫率が前年水準を大幅に下回るなど、調整はおおむね終了しつつある。こうした中、生産は、持ち直しの動きが続いている。
 雇用情勢は、残業時間や求人の増加といった動きがあるものの、完全失業率が高水準で推移するなど、依然として厳しい。
 企業収益は、持ち直しの動きが続いている。また、企業の業況判断は、なお厳しいが改善が進んでいる。
 以上のように、景気は、民間需要の回復力が弱く、厳しい状況をなお脱していないが、各種の政策効果やアジア経済の回復などの影響で、緩やかな改善が続いている。
 政府は、公需から民需へのバトンタッチを円滑に行い、景気を本格的な回復軌道に乗せていくとともに、21世紀の新たな発展基盤を築くため、経済新生対策をはじめとする諸施策を推進する。
 なお、12月19日に平成12年度の実質経済成長率を1.0%程度と見込んだ「平成12年度の経済見通しと経済運営の基本的態度」を閣議了解し、また、12月24日には84兆9,900億円(前年度当初比3.8%増)の平成12年度一般会計予算(概算)を閣議決定した。

 個人消費は、収入が低迷していることから、足踏み状態となっている。
 実質消費支出(全世帯)は前年同月比で10月2.3%減の後、11月(速報値)は2.9%減(季節調整済前月比0.0%)となった。

 住宅建設は、年度前半に比べやや水準を下げているものの、マンションが好調であることや持家の動きを反映して、直近は増加している。
 新設住宅着工をみると、総戸数(季節調整値)は、前月比で10月9.6%減(前年同月比0.6%減)となった後、11月は3.4%増(前年同月比8.1%増)の9万8千戸(年率118万戸)となった。

 設備投資は、一部に持ち直しの動きがみられるものの、減少基調が続いている。
 機械受注(船舶・電力を除く民需)は、季節調整済前月比で10月は1.9%増(前年同月比5.5%増)の後、11月は2.2%減(同1.8%減)となり、基調としては、おおむね下げ止まりの動きが見られる。
 民間からの建設工事受注額(50社、非住宅)をみると、前年を下回る水準が続いていたが、11月は季節調整済前月比27.1%増(前年同月比2.6%増)となった。

 鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、在庫は、在庫率が前年水準を大幅に下回るなど、調整はおおむね終了しつつある。こうした中、生産・出荷は、持ち直しの動きが続いている。
 鉱工業生産(季節調整値)は、前月比で10月2.7%減の後、11月(速報)は、電気機械、金属製品等が増加したことから、3.8%増となった。鉱工業出荷(季節調整値)は、前月比で10月2.1%減の後、11月(速報)は、生産財、資本財等が増加したことから、3.3%増となった。鉱工業生産者製品在庫(季節調整値)は、前月比で10月1.6%減の後、11月(速報)は、金属製品、鉄鋼等が減少したものの、電気機械、輸送機械等が増加したことから0.6%増となった。


 雇用情勢は、残業時間や求人の増加といった動きがあるものの、完全失業率が高水準で推移するなど、依然として厳しい。
 有効求人倍率(季節調整値)は10月0.48倍の後、11月0.49倍となった。完全失業率(季節調整値)は、10月4.6%の後、11月4.5%となった。

 輸出は、アジア向けを中心に、増加している。
 通関輸出(数量ベ−ス、季節調整値)は、前月比で10月0.9%減の後、11月は0.2%減(前年同月比11.0%増)となった。

 輸入は、アジアからの輸入が増加基調にあり、緩やかに増加している。
 通関輸入(数量ベ−ス、季節調整値)は、前月比で10月4.5%減の後、鉱物性燃料輸入等の一時的な増加もあって、11月15.0%増(前年同月比19.8%増)となった。

 国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、おおむね横ばいとなっている。
 11月(速報)の貿易・サービス収支(季節調整値)は、前月に比べ、サービス収支の赤字幅が縮小したものの、一時的な要因もあって輸入が大幅に増加したことから貿易収支の黒字幅が縮小したため、その黒字幅は縮小し、5,128億円となった。

 消費者物価は、安定している。
 全国指数(総合)をみると、前年同月比で10月0.1%の下落の後、11月は一般生鮮商品の下落幅の拡大等により0.2%の下落(前月比0.1%の下落、季節調整済前月比保合い)となった。

〔本文中、前期(月)比は季節調整値による。〕
〔経済企画庁「月例経済報告(平成12年1月21日)」による。〕



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