一般経済の動き 一般経済の動き (平成11年3月)


 我が国経済の最近の動向をみると、個人消費は、収入が低迷しているため、低調に推移している。住宅建設は、持ち直してきている。設備投資は、大幅な減少が続いている。中小企業の減少が著しく、大企業も製造業を中心に減少傾向にある。公共投資は、補正予算などの効果が本格化し、堅調な動きとなっている。輸出は、おおむね横ばい状態となっている。
 生産は、最終需要が低調なため低い水準にあるものの、下げ止まりつつある。一方、在庫の調整が進み、在庫率は前年を下回る水準にまで低下してきた。
 雇用情勢は、厳しさを増している。雇用者数が減少し、勤め先や事業の都合による失業者が増加して、完全失業率はこれまでにない高さに上昇した。
 民間金融機関の貸出が低調なことから、企業は貸出態度に対する懸念を持っているが、信用保証制度の拡充の効果などから、企業倒産は前年の水準を大幅に下回ってきた。一方、金融システム安定化策や金融緩和政策の効果が浸透し、一頃に比べて株価が持ち直すなど金融・資本市場も安定感を取り戻してきた。
 以上のように、景気は、民間需要が低調なため依然として極めて厳しい状況にあるが、各種の政策効果に下支えされて、下げ止まりつつある。
 このような厳しい経済状況の下、政府は、緊急経済対策の実施状況と今後の予定を取りまとめたところであり、今後とも、緊急経済対策を始めとする諸施策を強力に推進する。

 個人消費は、収入が低迷しているため、低調に推移している。
 実質消費支出(全世帯)をみると、前年同月比で2月は3.8%減の後、3月は1.9%減(前月比 4.4%増)となった。

 住宅建設は、持ち直してきている。
 新設住宅着工〔総戸数(季節調整値)〕をみると、前月比で2月 3.2%増(前年同月比9.4%減)となった後、3月は 8.8%増(同0.0%増)となった。

設備投資は、大幅な減少が続いている。中小企業の減少が著しく、大企業も製造業を中心に減少傾向にある。
 機械受注(船舶・電力を除く民需)は、前月比で1月は 1.7%減(前年同期比22.9%減)の後、2月は5.0%増(同8.9%減)となり、基調は減少傾向となっている。民間からの建設工事受注額(50社、非住宅)をみると、弱い動きが続いていたが、3月は前月比9.6%増(前年同月比1.2%増)となった。

 鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、生産・出荷は、最終需要が低調なため低い水準にあるものの、このところ下げ止まりつつある。一方、在庫の調整が進み、在庫率は前年を下回る水準にまで低下してきた。
 鉱工業生産は、前月比で2月1.3%増の後、3月(速報)は、2.2%増となった。鉱工業出荷は、前月比で2月2.1%減の後、3月(速報)は、2.9%増となった。鉱工業生産者製品在庫は、前月比で2月0.3%増の後、3月(速報)は、0.8%減となった。


 雇用情勢は、厳しさを増している。雇用者数が減少し、勤め先や事業の都合による失業者が増加して、完全失業率はこれまでにない高さに上昇した。
 有効求人倍率(季節調整値)は2月 0.49倍の後、3月 0.49倍となった。完全失業率(季節調整値)は、2月 4.6%の後、3月 4.8%となった。

 輸出は、おおむね横ばい状態となっている。
 通関輸出(数量ベ−ス、季節調整値)は、前月比で2月 8.6%減の後、3月は5.4%増(前年同月比 1.0%減)となった。

 輸入は、足踏み状態を続けてきたが、緩やかな増加の動きが見られる。
 通関輸入(数量ベ−ス、季節調整値)は、前月比で2月 8.2%増の後、3月 4.7%減(前年同月比 4.1%増)となった。

 国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、おおむね横ばいとなっている。
2月(速報)の貿易・サービス収支(季節調整値)は、前月に比べ、サービス収支の赤字幅が縮小したものの、貿易収支の黒字幅が縮小したため、その黒字幅は縮小し、6,130億円となった。

 消費者物価は、安定している。
 全国指数(総合)をみると、前年同月比で2月 0.1%の下落の後、3月は 0.4%の下落(前月比 0.1%の上昇)となった。

〔本文中、前期(月)比は季節調整値による。〕
〔経済企画庁「月例経済報告(平成11年5月14日)」による。〕