一般経済の動き 一般経済の動き (平成11年4月)


 我が国経済の最近の動向をみると、個人消費は、春先の弱さからはやや持ち直しているものの、収入が低迷しているため、低調に推移している。住宅建設は、持ち直してきている。設備投資は、大幅な減少が続いている。中小企業の減少が著しく、大企業も製造業を中心に減少傾向にある。公共投資は、補正予算などの効果が本格化し、堅調な動きとなっている。輸出は、おおむね横ばい状態となっている。
 在庫は、調整が進み、在庫率は前年を下回る水準にまで低下してきた。こうした中、生産は、最終需要の動きを反映して、低い水準にあるものの、おおむね横ばいで推移している。
 雇用情勢は、厳しさを増している。雇用者数が減少し、勤め先や事業の都合による失業者が増加して、完全失業率はこれまでの最高水準で推移している。
 民間金融機関の貸出は依然低調であるが、企業金融のひっ迫感はやや緩和している。また、信用保証制度の拡充の効果などから、企業倒産は前年の水準を大幅に下回っている。
 以上のように、景気は、民間需要の回復力が弱く依然として極めて厳しい状況にあるが、各種の政策効果に下支えされて下げ止まり、おおむね横ばいで推移している。
 このような厳しい経済状況の下、政府は、緊急経済対策を始めとする諸施策を強力に推進する。

 個人消費は、春先の弱さからはやや持ち直しているものの、収入が低迷しているため、低調に推移している。
 実質消費支出(全世帯)は前年同月比で3月1.9%減の後、4月は0.7%減(前月比0.7%減)となった。

 住宅建設は、持ち直してきている。
 新設住宅着工をみると、総戸数(季節調整値)は、前月比で3月8.8%増(前年同月比0.0%増)となった後、4月は3.5%減(前年同月比1.1%増)の10万4千戸(年率125万戸)となった。

設備投資は、大幅な減少が続いている。中小企業の減少が著しく、大企業も製造業を中心に減少傾向にある。
 機械受注(船舶・電力を除く民需)は、前月比で2月は4.5%増(前年同月比8.9%減)の後、3月は2.4%増(同13.6%減)となり、基調は減少傾向となっている。民間からの建設工事受注額(50社、非住宅)をみると、このところやや増加していたが、4月は前月比41.3%減(前年同月比29.0%減)となった。

 鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、在庫は、調整が進み、在庫率は前年を下回る水準にまで低下してきた。こうした中、生産・出荷は、最終需要の動きを反映して、低い水準にあるものの、おおむね横ばいで推移している。
 鉱工業生産は、前月比で3月2.7%増の後、4月(速報)は、化学、石油・石炭製品が増加したものの、輸送機械、電気機械が減少したことから、2.7%減となった。
 鉱工業出荷は、前月比で3月3.6%増の後、4月(速報)は、資本財、生産財等が減少したことから、4.3%減となった。鉱工業生産者製品在庫は、前月比で3月1.0%減の後、4月(速報)は、電気機械、一般機械等が増加したものの、輸送機械、化学等が減少したことから、0.4%減となった。


 雇用情勢は、厳しさを増している。雇用者数が減少し、勤め先や事業の都合による失業者が増加して、完全失業率はこれまでの最高水準で推移している。
 有効求人倍率(季節調整値)は3月0.49倍の後、4月0.48倍となった。完全失業率(季節調整値)は、3月4.8%の後、4月4.8%となった。

 輸出は、おおむね横ばい状態となっている。
 通関輸出(数量ベ−ス、季節調整値)は、前月比で3月5.4%増の後、4月は0.4 %増(前年同月比2.3%減)となった。

 輸入は、緩やかな増加の動きが見られる。
 通関輸入(数量ベ−ス、季節調整値)は、前月比で3月4.7%減の後、4月2.4%増(前年同月比10.5%増)となった。

 国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、おおむね横ばいとなっている。
3月(速報)の貿易・サービス収支(季節調整値)は、前月に比べ、貿易収支の黒字幅が拡大し、サービス収支の赤字幅が縮小したため、その黒字幅は拡大し、8,452億円となった。

 消費者物価は、安定している。
 全国指数(総合)をみると、前年同月比で3月0.4%の下落の後、4月は0.1%の下落(前月比0.5%の上昇)となった。

〔本文中、前期(月)比は季節調整値による。〕
〔経済企画庁「月例経済報告(平成11年5月14日)」による。〕