一般経済の動き 一般経済の動き (平成11年6月)


 我が国経済の最近の動向をみると、個人消費は、収入が低迷しているため力強さはみられないものの、緩やかに回復してきている。住宅建設は、持ち直してきている。設備投資は、基調として大幅な減少傾向が続いている。公共投資は、総じて堅調に推移している。輸出は、アジア向けが回復傾向にあるが、全体としては横ばい状態にある。
 在庫は、調整が進み、在庫率は前年を下回る水準で推移している。こうした中、生産は、最終需要の動きを反映して低水準でおおむね横ばいで推移しているが、持ち直しの兆しもみられる。
 雇用情勢は、厳しさを増している。雇用者数が減少し、勤め先や事業の都合による失業者が増加して、完全失業率はこれまでにない高さに上昇した。
 民間金融機関の貸出は依然低調であるが、企業金融のひっ迫感はやや緩和している。また、企業の景況感は、厳しい状態にあるが改善傾向にある。
 以上のように、景気は、民間需要の回復力が弱く厳しい状況にあるが、各種の政策効果の浸透などで、このところやや改善している。
 このような厳しい経済状況の下、政府は、緊急経済対策、緊急雇用対策及び産業競争力強化対策等の諸施策を強力に推進する。また、当面の財政運営に当たっては、今後の我が国経済の動向等を十分踏まえ、必要があれば、公共事業等予備費の活用、15か月予算という考え方に立った平成11年度第2次補正予算の編成も含め、機動的・弾力的な対応を行う。

 個人消費は、収入が低迷しているため力強さはみられないものの、緩やかに回復してきている。
 実質消費支出(全世帯)は前年同月比で5月2.4%増の後、6月は0.1%減(前月比2.3%減)となった。

 住宅建設は、持ち直してきている。
 新設住宅着工をみると、総戸数(季節調整値)は、前月比で5月2.2%減(前年同月比0.9%減)となった後、6月は6.5%増(前年同月比7.3%増)の10万9千戸(年率131万戸)となった。

 設備投資は、基調として大幅な減少傾向が続いている。
 機械受注(船舶・電力を除く民需)は、前月比で4月は13.8%減(前年同月比14.5%減)の後、5月は3.8%増(同7.5%減)となり、基調は減少傾向となっている。民間からの建設工事受注額(50社、非住宅)をみると、6月は前月比4.6%増(前年同月比23.8%減)となったが、低水準での推移となっている。

 鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、在庫は、調整が進み、在庫率は前年を下回る水準で推移している。こうした中、生産・出荷は、最終需要の動きを反映して、低水準でおおむね横ばいで推移しているが、持ち直しの兆しもみられる。
 鉱工業生産は、前月比で5月1.0%減の後、6月(速報)は、プラスチック製品が減少したものの、一般機械、輸送機械等が増加したことから、3.0%増となった。
 鉱工業出荷は、前月比で5月0.6%増の後、6月(速報)は、生産財、非耐久消費財等が増加したことから、3.1%増となった。鉱工業生産者製品在庫は、前月比で5月0.5%減の後、6月(速報)は、輸送機械、石油・石炭製品等が増加したものの、電気機械、鉄鋼等が減少したことから、0.3%減となった。


 雇用情勢は、雇用情勢は、厳しさを増している。雇用者数が減少し、勤め先や事業の都合による失業者が増加して、完全失業率はこれまでにない高さに上昇した。
 有効求人倍率(季節調整値)は5月0.46倍の後、6月0.46倍となった。完全失業率(季節調整値)は、5月4.6%の後、6月4.9%となった。

 輸出は、アジア向けが回復傾向にあるが、全体としては横ばい状態にある。
 通関輸出(数量ベ−ス、季節調整値)は、前月比で5月4.0%減の後、6月は7.4 %増(前年同月比2.7%増)となった。

 輸入は、緩やかな増加の動きが見られる。
 通関輸入(数量ベ−ス、季節調整値)は、前月比で5月7.1%減の後、6月5.7%増(前年同月比6.6%増)となった。

 国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、おおむね横ばいとなっている。
5月(速報)の貿易・サービス収支(季節調整値)は、前月に比べ、貿易収支の黒字幅が拡大するとともに、サービス収支の赤字幅が縮小したため、その黒字幅は拡大し、7,509億円となった。

 消費者物価は、安定している。
 全国指数(総合)をみると、前年同月比で5月0.4%の下落の後、6月は0.3%の下落(前月比0.3%の下落)となった。

〔本文中、前期(月)比は季節調整値による。〕
〔経済企画庁「月例経済報告(平成11年8月10日)」による。〕