第3 平成11年度建設省関係予算主要事項
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5.安全で安心できる国土づくり・地域づくりの推進
事業費1兆5,655億円
国 費  8,407億円

(1)河川災害復旧等関連緊急事業の創設等

 洪水が堤防の高さを超えたこと(越水)により堤防等の施設に被害が生じた場合、越水を防ぐための堤防の嵩上げ等が行い得るよう災害復旧制度を拡充するとともに、上流部における災害復旧等に伴う流量増に対応するため、下流部において集中的かつ機動的に治水対策を実施する事業(河川災害復旧等関連緊急事業)を創設する。

【河川災害復旧等関連緊急事業のイメージ】


 

(2)河川激甚災害対策特別緊急事業の拡充

 高度に発展した社会における浸水被害程度をより適切に評価し、速やかな対策を講ずるため、浸水戸数等のみならず、重要な交通施設や水道等のライフライン施設等の被災状況を踏まえて事業を実施できるよう拡充する。

浸水家屋が2000戸未満であっても、
・防災上重要な施設(官庁、避難場所等)
・重要交通網
・ライフライン施設
の機能停止は、社会生活への影響大
     ↓
激特事業によって早期に安全確保

(3)床上浸水対策特別緊急事業の拡充など慢性的な床上浸水地域の解消

 床上浸水の頻発地域における治水対策について、浸水戸数等のみならず、高齢世帯の浸水や地下鉄、地下街等の被災状況等を踏まえて事業を実施できるようにし、人命にまで及ぶ著しい被害が起こるおそれのある地域の対策を5年間で完成させるよう事業を拡充する。

 河川の整備 :川内川(鹿児島県)、北上川(岩手県)等
 下水道の整備:横浜市公共下水道、大阪市公共下水道等約25箇所

【S63〜H9の10年間の床上浸水の発生回数別河川数】
■五ケ瀬川水系北川(宮崎県延岡市東海)

(4)緊急に対策が必要な地域や重要交通網集中地域における土砂災害対策

 緊急土砂災害防止対策
   :大山谷川(高知県)、多々良町地区(熊本県)等約860箇所
 重要交通網保全対策
   :清滝川(福岡県)、西倉沢地区(静岡県)等約210箇所
 災害弱者関連土砂災害対策
   :倭谷川(鳥取県)、勝尾岳地区(長崎県)等約690箇所

【緊急点検箇所】


■福島県西郷村「からまつ荘」の土砂災害被災状況
(平成10年8月27日)



 

(5)破堤等による大規模災害に対する危機管理対策

 スーパー堤防・防災拠点等の整備
   :淀川(大阪府;スーパー堤防)等約20箇所、肱川(愛媛県;防災拠点)
    等約130箇所
 ゼロメートル地帯等における河川・海岸の耐震・津波危険対策
   :太田川(広島県)、有明海岸(佐賀県)等約70箇所

【利根川でカスリン台風規模の台風が発生し、利根川堤防(右岸134.4km地点)が破堤した場合の想定被害】
 
昭和22年
氾濫実績
想定氾濫
(現況)
氾濫面積
被害額



被害人口
約440km2
約0.1兆円
直接被害額


約60万人
約550km2
約15兆円
直接被害額
約12兆円
間接被害額
約210万人
直接被害額: 浸水により直接的に家屋、農作物等に生じる被害額
  間接被害額: 機械が水に浸かり生産停止した事業所及びその影響を受ける事業所の生産減少額


 
(6)防災公園・市街地一体整備事業の創設

 市街地内の低・未利用地の有効活用により、防災公園の整備と、建築物の不燃化や市街地の防災機能を強化する施設の整備等を含む市街地の防災拠点整備を一体的に実施する事業を創設する。

 港南中央駅周辺地区(横浜市)等

【防災公園と市街地の防災拠点との一体的整備のイメージ】




【阪神・淡路大震災において都市公園は避難地等として極めて重要】

防災機能
公園種別
公園数
(a)
災害時に利用
のある公園  シェア
 (b)    (b/a)
一次避難地
(1ha以上)
近隣公園
地区公園
31
[8%]
27
[15%]
87%
広域避難地
(10ha以上)
総合公園
運動公園(周辺も含め10ha以上)
7
[2%]
6
[3%]
86%
その他
街区公園
都市緑地等
329
[90%]
143
[82%]
43%
合    計
367
[100%]
176
[100%]
48%


 
(7)密集住宅市街地の整備

 市街地再開発事業
   :亀戸・大島・小松川地区(江東区、江戸川区)等約100地区
 密集住宅市街地整備促進事業
   :平和の森公園周辺地区(中野区)等約170地区
 住宅地区改良事業:生野東第1地区(大阪市)等約20地区

【密集住宅市街地整備促進事業のイメージ】




 

(8)道路の防災・震災対策の推進

 直轄道路施設の災害復旧に際し、原形復旧のみならずトンネル、橋梁等の被災箇所と一体的な範囲まで、直轄道路災害復旧事業を実施することにより再度災害防止を図る。

 防災対策:一般国道33号柳谷防災(愛媛県)等約10,000箇所
 震災対策:一般国道246号玉川高架橋(世田谷区)等約9,000箇所

(9)防災対策のための公営住宅等の建替・改修の推進

 耐震性の低い老朽公営住宅の建替:約2,000戸

【イメージ図】

(建替前)

・壁量の不足や細い柱による低い耐震性能
・緑地の不足

(建替後)

・耐震性の高い壁量や柱の太い建物
・周辺からの避難可能な緑地の確保



 
(10)直轄海岸維持管理の創設(沖ノ鳥島)

 国土の保全上極めて重要で、都道府県知事が管理することが困難かつ不適当な沖ノ鳥島について、全額国費によって行う直轄海岸管理の制度を創設する。

 沖ノ鳥島により、我が国の国土面積(約38万ku)を上回る約40万kuの排他的経済水域(国連海洋法条約において、天然資源の開発、管理などのための主権的権利等を有する水域)が確保される。


(参考)阪神・淡路大震災の復興対策の実施状況(平成11年1月)

(1)被災者向け住宅確保対策
ひょうご住宅復興3ヶ年計画《平成11年1月現在》
・公的住宅整備計画数     77,000戸
  うち用地確保戸数     69,700戸(91%)
    工事着工戸数     66,800戸(87%)
    完成戸数       49,200戸(64%)
平成9年度補正で予算全額確保済

仮設入居者約6千戸
(H11.1)

(2)被災地域の再生等のための面的整備事業の推進
  土地区画整理事業
  市街地再開発事業
  住宅市街地整備総合支援事業  
  密集住宅市街地整備促進事業
  住宅地区改良事業
35地区
28地区
15地区
15地区
15地区  等の推進

(3)幹線道路等の整備の推進

(4)防災性向上のための根幹的公共施設の整備
広域防災拠点、地域防災拠点となる都市公園について、災害応急対策施設の整備等の推進(126箇所)
土砂災害対策の推進及び六甲山麓部においてグリーンベルトの整備の推進
緊急時の水へのアクセスを確保する河川整備及び防災拠点、広域防災帯として機能する道路・河川・海岸の整備の推進

(5)公共施設の耐震性の向上
緊急度の高い橋梁について、橋脚及び落橋防止装置等の所要の補強対策の推進
新耐震基準に基づく下水道施設の改築・更新等及び下水道施設のネットワーク化の推進
ゼロメートル地帯等における海岸堤防及び砂防設備の補強

(6)災害に強いライフライン共同収容施設の整備

(7)緊急時の消火・生活用水等の確保対策

(8)情報通信基盤の整備

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