第4 公共事業の効率的・効果的実施に向けての取組み
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3.透明化に向けた取組み

(1)事業の新規採択時評価について
 平成10年3月に策定した新規事業採択時評価実施要領に基づき、費用対効果分析を含む総合的な評価を実施し、評価結果を公表するとともに、評価の実績等を踏まえつつ、実施要領や評価指標・費用対効果分析等について、必要に応じ改善を行う。そのうち、費用対効果分析については、平成10年6月に策定された統一的な運用方針に基づき、原則として全ての事業へ適用する。

<事業評価の手法に関する取組みの例>
事   業 これまでの取組み 平成11年度予算における取組み
土地区画整理事業 客観的評価指標、費用便益分析手法について検討を行い、平成10年度新規採択時評価に当たって、試行的に適用し、結果を公表。 客観的評価指標(案)やヘドニック手法を活用した費用便益分析マニュアル(案)を策定するとともに、平成11年度新規採択時評価に当たって適用し、結果を公表。さらに、その結果を踏まえて評価手法を改善。
市街地再開発事業 客観的評価指標、費用便益分析手法について検討を行い、平成10年度新規採択時評価に当たって、試行的に適用し、結果を公表。 客観的評価指標(案)やヘドニック手法を活用した費用便益分析マニュアル(案)を策定するとともに、平成11年度新規採択時評価に当たって適用し、結果を公表。さらに、その結果を踏まえて評価手法を改善。
下水道事業 下水道事業における費用対効果分析手法の検討を行い、「下水道事業における費用効果分析マニュアル(案)」を策定するとともに、流域下水道の平成10年度新規採択箇所及び公共下水道の平成10年度新規採択箇所のうち大規模な事業について適用し、結果を公表。 平成10年度に策定した「下水道事業における費用効果分析マニュアル(案)」に基づき、下水道事業における平成11年度新規採択時評価に当たって費用対効果分析手法を適用し、その結果を公表。
都市公園事業 大規模公園の費用対効果分析手法について検討を行い、大規模公園の費用対効果分析(試行案)を策定するとともに、平成10年度新規採択時評価に当たって適用し、結果を公表。また、防災公園の整備効果評価手法について検討を行い、防災公園の整備効果評価基準(案)を策定するとともに、平成10年度新規採択時評価に当たって適用し、結果を公表。 平成10年度に策定した大規模公園の費用対効果分析手法(試行案)について改善し、また、同手法のマニュアルの策定に向けて検討するとともに、平成11年度新規採択時評価に当たって適用し、結果を公表。
河川及びダム事業 従来より計測してきた浸水被害軽減効果に加え、環境整備事業の効果等の評価を試行し、結果の公表。(新規採択箇所から実施、平成10年度については全ての新規採択箇所で評価を実施) 「河川及びダム事業新規事業採択時評価実施要領細目」に基づき、平成11年度新規採択時評価に当たって、費用便益分析を含む総合的な評価を実施し、結果を公表。さらに、学識経験者等からなる研究会を開催し、被害の算定方法の検討等を実施し、新たな費用対効果分析のマニュアル(案)を作成するとともに、環境整備の経済的評価手法等について整理。
砂防等事業 平成9年度新規採択箇所から評価を試行、結果の公表。(平成10年度については全ての新規採択箇所で評価を実施) 「砂防等事業新規事業採択時評価実施要領細目」に基づき、平成11年度新規採択時評価に当たって、費用便益分析を含む総合的な評価を実施し、結果を公表。さらに、学識経験者等からなる委員会を開催し、砂防事業・地すべり対策事業・急傾斜地崩壊対策事業の費用対効果分析のマニュアルを作成。
海岸事業 平成9年度から新規採択箇所について、費用便益分析を試行し、結果を公表。海岸4省庁共同で学識経験者からなる研究会を開催し、浸水・侵食防護効果及び環境整備効果の算定方法の検討等を実施し、費用便益分析のマニュアルを作成。 「海岸事業新規事業採択時評価実施要領細目」及び学識経験者等からなる研究会によりとりまとめた客観的な評価指標による総合的な評価手法に基づき、平成11年度新規採択時評価に当たって、費用便益分析を含む総合的な評価を実施し、結果を公表。
道路・街路事業 客観的評価指標(案)及び費用便益分析マニュアル(案)を作成するとともに、平成9年度より、新規採択時評価に当たって試行的に適用し、結果を公表。 新規採択箇所における試行等を通じて平成10年6月に客観的評価指標(案)及び費用便益分析マニュアル(案)を改定するとともに、平成11年度新規採択時評価に当たって適用し、結果を公表。
公営住宅整備事業 新規採択における評価指標(案)を策定するとともに、平成9年度より新規採択時評価に当たって試行。 新規採択時評価手法を策定するとともに、平成11年度新規採択時評価に当たって適用し、結果を公表。
住宅市街地
整備総合支援事業
評点方式による客観的な評価手法を策定するとともに、平成10年度新規採択時評価に当たって適用。 費用対効果分析を含む新規採択時評価手法を策定するとともに、平成11年度新規採択時評価に当たって適用し、結果を公表。


【平成11年度新規箇所と費用便益比】

注1: 費用便益比は、事業採択の際に考慮する1つの項目であり、それを含めて事業の必要性、効果、熟度等を総合的に判断して採択を行っている。
注2: 各事業における費用便益比については、それぞれの目的、内容に応じて具体的な算出方法を異にしていることから、各事業における費用便益比をそのまま異なる事業との比較に用いることはできない。
注3: 「着工準備箇所」とは、大規模事業を効果的・効率的に進めるため、住民との合意形成、都市計画決定、環境影響評価手続、事業手法の確定等を行う箇所。


○ 高規格幹線道路(新規事業化箇所)
箇  所  名 費用便益比
本州四国連絡道路(国道317号生口島道路)     2.2
本州四国連絡道路(国道317号大島道路) 3.4

○ 高規格幹線道路(新規着工準備箇所)
箇  所  名 費用便益比
三陸縦貫自動車道(国道45号宮古道路) 2.2
首都圏中央連絡自動車道(国道468号横浜湘南道路) 3.5
高知東部自動車道(国道55号南国安芸道路) 2.5
北海道縦貫自動車道(国道40号幌富バイパス) 2.0
山陰自動車道(国道9号仁摩温泉津道路) 2.1

○ 地域高規格道路(新規事業化箇所)
箇  所  名 費用便益比
名古屋瀬戸道路(一般県道 日進瀬戸線) 3.0
東播磨南北道路(主要地方道 加古川小野線) 2.5
福山環状道路(一般県道 津之郷山守線) 3.8
高松環状道路(主要地方道 円座香南線) 3.3
熊本環状道路(一般県道 砂原四方寄線) 2.7
弘前黒石IC連絡道路(国道102号尾上黒石道路)  3.3

○ 地域高規格道路(新規着工準備箇所)
箇  所  名 費用便益比
旭川十勝道路(国道38号富良野道路) 2.2
上越魚沼地域振興快速道路(国道253号上越三和道路) 3.6
高山下呂連絡道路(国道41号石浦バイパス) 3.5
五條新宮道路(国道168号辻堂バイパス) 2.7
五條新宮道路(国道168号本宮道路) 1.9
中津日田道路(国道212号中津道路) 2.6
都城志布志道路(国道10号都城道路) 4.4
鹿児島東西幹線道路(国道3号鹿児島東西道路) 3.5
新若戸道路(北九州市) 3.1
道央圏連絡道路(国道337号美原道路) 3.8
倉敷福山道路(国道2号玉島笠岡道路) 2.8
岩国大竹道路(国道2号岩国大竹道路) 2.2
小郡萩道路(国道490号美東大田道路) 4.0
   
箇  所  名 費用便益比
有明海沿岸道路(国道208号大川バイパス(延伸)) 4.4
島原道路(国道251号島原中央道路) 3.9
長崎南北幹線道路(都市計画道路 浦上川線(延伸)) 2.8

○ 有料道路事業(新規事業化箇所)
箇  所  名 費用便益比
京都高速道路(油小路線) 3.3
福岡前原道路V期(4車線化)           4.2
広島高速2号線 2.8

○ 連続立体交差事業(新規着工準備箇所)
箇  所  名 費用便益比
名古屋鉄道名古屋本線(岐阜県岐阜市) 2.8
西日本鉄道大牟田線(福岡県春日市、大野城市)   3.0
JR鹿児島本線・豊肥本線(熊本県熊本市) 2.1

○ モノレール道等整備事業(新規着工準備箇所)
箇  所  名 費用便益比
東部丘陵線(愛知県長久手町等、名古屋市)     2.1

○ 流域下水道事業(新規事業箇所)
箇  所  名 費用便益比
旧吉野川流域下水道(徳島県徳島市等) 1.6
遠賀川中流流域下水道(福岡県直方市等)      1.6

○ 市街地再開発事業(住宅・都市整備公団、新規事業箇所)
箇  所  名 費用便益比
勝どき駅前地区(中央区) 2.1
芦花公園駅南口地区(世田谷区)          2.7

○ 特定再開発事業(住宅・都市整備公団、新規事業箇所)
箇  所  名 費用便益比
北品川五丁目第一地区(品川区) 2.7
あまがさき緑遊新都心地区(兵庫県尼崎市)     1.9

○ 地方都市開発整備事業(地域振興整備公団、新規事業箇所)
箇  所  名 費用便益比
本庄新都心地区(埼玉県本庄市)          1.7


(2)事業の再評価について
 平成10年3月に策定した再評価実施要領に基づき、平成11年度においても、事業途中段階の再評価を実施し、評価結果の公表を行うとともに、評価手法の改善を図る。

【再評価について】
再評価の実施に当たっての視点
 
@事業の進捗状況
 
A事業を巡る社会経済情勢等の変化
 
B事業採択時の費用対効果分析の要因の変化
 
Cコスト縮減や代替案立案等の可能性

【標準的なフロー図】
対象事業の選定
 
@事業採択後5年間を経過した時点で未着工の事業
 
A事業採択後10年間を経過した時点で継続中の事業
 
B事業採択前の準備・計画段階で5年間が経過している事業
 ↓
再評価に係る資料の作成
再評価実施要領に基づき対応方針(事務局案)を作成する

 ↓ 意見

事業評価監視委員会の審議
(対象抽出)

  • 学識経験者等から構成される事業評価監視委員会を地方建設局、都道府県、政令市、公団ごとに原則として1つ設置
  • 委員は、地域の実情に精通した、公平な立場にある有識者のうちから選定
  • 意見を聴き、尊重

  対応方針等  

【評価体制の整備状況】

  • 事業評価実施主体による事業評価監視委員会設置状況は以下の通り。
     直轄事業  8地方建設局等全てにおいて設置済み。
     補助事業 都道府県及び政令指定都市計57地方公共団体中、45都道府県と10政令指定都市で設置済み。(1月14日現在)
     公団事業 設置に向け、現在準備中。
  • 原則として平成10年度内に評価が完了できるよう体制整備を進めていく予定。
    (地方公共団体については進めるよう要請。)

【評価作業実施状況】

  • 評価作業については、平成10年度内に原則として全ての対象事業の評価を完了させる予定。
  • うち、直轄ダム事業、官庁営繕事業については評価がほぼ終了。

平成11年度予算に向けた再評価等実施状況の概要について
事業種別の再評価等実施概要(平成10年12月25日現在)
事業種名 評価対象予定数 再評価実施状況
道路・街路事業
直轄・公団事業
補助事業
約400事業
約500事業
年度内に評価完了予定
年度内に評価完了予定
河川事業
直轄事業
補助事業
約200事業
約1400事業
年度内に評価完了予定
年度内に評価完了予定
ダム事業
直轄事業
補助事業
 
約80事業
約180事業
 
2事業について休止を決定
7事業について中止を決定
3事業について休止を決定
砂防等事業
直轄事業
補助事業
約90事業
約500事業
年度内に評価完了予定
年度内に評価完了予定
海岸事業
直轄事業
補助事業
約10事業
約100事業
年度内に評価完了予定
年度内に評価完了予定
市街地再開発事業 約20地区 年度内に評価完了予定
土地区画整理事業 約200地区 年度内に評価完了予定
都市公園事業 約400事業 年度内に評価完了予定
下水道事業
公共下水道事業
流域下水道事業
都市下水路
約1000市町村
約90箇所
約20箇所
年度内に評価完了予定
年度内に評価完了予定
年度内に評価完了予定
公営住宅整備事業 約5件 年度内に評価完了予定
住宅地区改良事業 約20件 年度内に評価完了予定
住宅宅地関連公共
施設整備促進事業
 
約60件
 
年度内に評価完了予定
住宅市街地整備総
合支援事業
 
約10件
 
年度内に評価完了予定
密集住宅市街地整
備促進事業
 
約40件
 
年度内に評価完了予定
官庁営繕事業 1件 事業継続を決定
補助事業の対象事業数は建設省調べによる

中止事業
白老ダム(北海道)、丸森ダム(宮城県)、河内ダム(石川県)、所司原ダム(石川県)、トマム生活貯水池(北海道)、梅津生活貯水池(長崎県)、七ツ割生活貯水池(熊本県)

休止事業
江戸川総合開発(建設省)、矢作川河口堰(建設省)、北本内ダム(岩手県)、片貝川ダム(富山県)、竹尾生活貯水池(山口県)



(3)事後評価システム等の検討
 新規事業採択時評価や再評価の実施及び評価指標や費用対効果分析手法等の改善を行うほか、事後評価手法の検討、施策の評価手法の検討と試行などを実施する。


(4)情報提供の徹底と国民からの情報・意見反映体制の確立
 ○  双方向のコミュニケーションを重視し、アカウンタビリティを確保するための体系的な取組みの推進
 行政の透明性の向上と国民との対話を重視し、社会資本整備を国民との協働、共創作業として展開していくコミュニケーション型国土行政を体系的かつ積極的に推進する。

【コミュニケーション型行政参考図】




[取組みの具体例]


○ 地域的な整備プログラムの策定・公表
   道路・街路、下水道、都市公園、治水、急傾斜地崩壊対策等、海岸の各事業について、事業箇所やスケジュール等を明らかにした地域的な整備プログラムの策定・公表を行う。


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