国土交通省
 国土交通省平成16年度税制改正要望事項
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平成15年8月31日

 

国土交通省平成16年度税制改正要望主要事項の要点

1.住宅・土地対策の推進

  1. 住宅対策の推進
    1住宅ローン減税制度の延長・要件の改善

     無理のない負担での住宅取得を支援するとともに、良質な住宅ストックの形成及び経済効果の大きい住宅投資の促進による景気の下支えを図る観点から、  
       
    • 住宅ローン減税制度の適用期限を延長  
    • 増改築等工事に係る要件の改善(*)          (所得税)

       (*)借入金の償還期間要件(10年以上)を緩和、対象工事に窓等の開口部改修工事を追加

    住宅ローン減税制度、住宅ローン減税の経済効果イメージ図

    2住宅投資の促進を図るための特例措置の創設

     良質な住宅ストックの形成を図るとともに、経済効果の大きい住宅投資の促進により経済の活性化を図る観点から、個人が一定以上の質・要件を満たす住宅投資(リフォーム投資を含む。)を行う場合に、当該投資額を対象として一定率の減税を行う特例措置を創設(所得税)

    3特定の居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除制度の延長

     資産デフレが継続する中、ライフステージに応じた適切な住宅の買換えを促進する観点から、特定の居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除制度について、その適用期限を延長 (所得税、住民税)

    4中古住宅に係る税制上の特例措置の築後経過年数要件の緩和

     中古住宅の流通を促進し、国民のニーズに応じた住宅取得を可能とするため、中古住宅の取得に係る税制上の特例措置について、その築後経過年数要件(耐火建築物以外:20年、耐火建築物:25年)を緩和(所得税、贈与税、登録免許税、不動産取得税)

    中古住宅築年帯別構成比率(成約ベース)

    5新築住宅等に対する固定資産税の減額措置の延長

     住宅取得者の初期負担の軽減を通じて良質な住宅の建設を促進するため、新築住宅・新築中高層耐火建築物である住宅に対する固定資産税の減額措置の適用期限を延長 (固定資産税)

  2. 土地需要の喚起を通じた土地の流動化・有効利用の促進

    土地需要の喚起を通じた土地の流動化・有効利用の促進イメージ図

    1大都市の商業地等を中心とする土地に係る固定資産税等の負担軽減

     実需中心の土地市場において、適切な土地保有コストに改善することにより土地への投資意欲を喚起するため、全国的にみて負担水準の高い大都市の商業地等を中心として過度な負担を排し、適正な負担水準まで引き下げるなど現行制度を見直す

    グラフ

    2個人の土地長期譲渡所得に係る税率の引下げなど土地譲渡益課税制度の再構築

     上場株式等他の資産と均衡のとれた市場中立的な税体系を構築することにより土地への投資意欲を喚起するため、他の資産と比べて重く課税する現行の土地譲渡益課税制度を見直す

    • 個人の土地長期譲渡所得に係る税率を恒久措置として20%に引下げ(現行26%)
    • 法人等に対する重課措置の廃止

    3不動産証券化を促進するための特例措置の延長・拡充

    • Jリート及びSPC等に係る登録免許税の特例措置(税率:6/1000)の延長(登録免許税)
    • JリートのSPC証券保有規制(50%未満に制限)の撤廃(法人税、法人住民税)

 

2.環境にやさしい社会の実現

1自動車グリーン税制の延長

地球温暖化対策大気汚染対策を引き続き推進するために、低公害車等の普及が一層必要
  • 自動車税のグリーン化の延長
    • 軽課:電気、CNG車等及び低燃費かつ低排出ガス(☆☆☆)車 概ね50%軽減
    • 重課:車齢11年超のディーゼル車、車齢13年超のガソリン車  概ね10%増加
  • 自動車取得税の特例措置の延長等
    (1)低燃費車に係る特例措置(課税標準 低燃費かつ低排出ガス(☆☆☆)車 取得価額から30万円控除)
    • 所要の見直しをした上で延長する。
    (2)最新排出ガス規制適合車に係る特例措置
    • 「平成17年規制適合車」(ディーゼル全車種/平成16年4月1日〜平成17年9月30日:2.5%軽減)を追加

自動車税のグリーン化及び自動車取得税の特例措置の延長等

2市街地内の緑地、都市近郊の里山の保全等のための特例措置の拡充

 都市地域における良好な緑を確保するため、緑地の保全・緑化の推進及び都市公園の整備を一体的に推進する法制度の拡充に併せ、市街地内の緑地、都市近郊の里山の保全等のための特例措置を拡充

  • 地区計画等により保全される緑地に関する特例措置の創設(相続税、地価税)
  • 市民緑地の対象及び管理協定を締結できる地域の拡大に係る特例措置の拡充(相続税)
  • 立体公園の用地として貸し付けられた土地に関する特例措置の拡充(相続税、固定資産税)

3建設廃棄物の再資源化施設等に係る特例措置の延長・拡充

 建設廃棄物のリサイクルの促進を図るため、特例措置の適用期限を延長するとともに、特例措置の対象施設を拡大

  • 所得税、法人税:14/100の特別償却
  • 固定資産税:課税標準の3年間軽減(2/3(一部3/4))

 

3.安心で魅力あるまちづくり・地域づくり

  1. 都市の再生と防災機能の向上

    1密集市街地の整備促進のための特例措置の創設

     防災街区整備事業の施行者、地区内残留者、地区外転出者及び地区内転入者について、市街地再開発事業等と同様の税制上の措置を講ずるなど密集市街地の整備・改善のための税制上の特例措置を創設する。(所得税、法人税、登録免許税、印紙税、住民税、事業税、不動産取得税、固定資産税、事業所税)

    2特定の事業用資産の買換え特例制度の延長

     長期保有土地等から土地等への買換えに係る譲渡益についての課税繰延べを認める特例措置の適用期限の延長

    3都市再生促進税制の拡充

     民間都市再生事業の促進のため、株式会社、有限会社及び特定目的会社が認定事業者から認定建築物等を取得し、その管理及び処分を行う場合においても、現行の都市再生促進税制(割増償却(5年間5割増)ほか)を適用する。
    (所得税、法人税、登録免許税、不動産取得税、固定資産税、都市計画税)

    4都市河川浸水被害対策推進のための税制上の措置

     特定都市河川浸水水害対策法に基づく特定都市河川流域における浸水被害防止対策を推進するための税制上の措置を講ずる。

    都市河川浸水被害対策推進のための税制上の措置

    5土砂災害の発生のおそれがある区域からの移転促進のための税制の創設

     土砂災害防止法の特別警戒区域等内にある建築物の移転を促進するため、区域外に新たに建築物を取得する場合の税負担を軽減する特例措置を創設(登録免許税、不動産取得税、固定資産税、都市計画税)

  2. 都市機能を支える交通体系の整備

    1特定都市鉄道整備準備金制度の延長

     大都市圏における通勤・通学輸送の混雑緩和や所要時間の短縮など鉄道利用者の利便性の向上を図る輸送力増強工事等を推進するため、特定都市鉄道整備準備金制度の適用期限を延長(法人税)

    特定都市鉄道整備準備金制度の概要

    2地下駅の火災対策施設に係る特例措置の創設

     韓国の地下鉄火災事故の教訓を踏まえ、火災発生時の旅客の安全を確保するため、緊急に整備する火災対策施設に係る特例措置(課税標準5年間2/3)を創設(固定資産税、都市計画税)

    地下駅の火災対策施設に係る特例措置の創設イメージ図

    3交通バリアフリー設備の特別償却制度等の延長

     鉄道駅、バス車両等のバリアフリー化を推進し、高齢者、身体障害者等の移動の円滑化を図るため、交通バリアフリー設備の特別償却制度等を延長
    (所得税、法人税、不動産取得税、固定資産税、都市計画税)

    交通バリアフリー設備の特別償却制度等の延長

  3. 魅力ある地域の形成

    1美しい景観の形成のための特例措置の創設

     「良好な景観の形成の総合的な推進に関する法律案」(仮称)に基づく「景観重点地域」(仮称)内において、良好な景観の形成に資する建築物等に係る特例措置を講ずる。(所得税、法人税、相続税、固定資産税、都市計画税)

    2電線類地中化設備に係る特例措置の延長・拡充

     安全で快適な通行空間の確保、歴史的街並みの保全、都市景観の向上等のため、電線類地中化設備に係る特例措置の適用期限を延長するとともに、交通バリアフリー法の重点整備地区、伝統的建造物群保存地区、「景観重点地域」(仮称)等について特例措置を拡充する。(所得税、法人税、固定資産税)

    3奄美群島及び小笠原諸島の振興に係る特例措置の延長・拡充

     立ち遅れの著しい奄美群島及び小笠原諸島の自立的発展、自主的な地域振興を図るため、両地域に係る現行の特例措置を延長するとともに、奄美群島における特別償却制度の対象施設の拡大などの所要の措置を講ずる。(所得税、法人税等)

    4地方鉄道の近代化設備に係る特例措置の拡充

     厳しい経営状況にある地方鉄道について、安全性の確保・向上のための投資を促進することにより、地域住民が安心して利用できる良好な鉄道輸送サービスを実現するため、鉄道軌道近代化設備整備費補助により取得した資産に係る課税標準の特例措置の対象を拡充(固定資産税)

    <拡充要望内容>
     緊急に整備する設備(特例率1/4)の対象に「安全性緊急評価の結果を受け緊急に整備を行う車両、線路設備等の設備」を追加
     [現 行: 課税標準 5年間1/2(緊急に整備するATS(列車自動停止装置)に係る設備1/4)]

 

4.国際競争力の強化と物流効率化

1航空機に係る特例措置の延長・拡充

 アジア・太平洋市場での厳しいコスト競争に対応しながら、安定的な航空輸送サービスの確保と地方航空ネットワークの維持を図る。(法人税、固定資産税)
  • 航空機の特別償却制度(8%等)を効率性の高い機材への更新に限って延長
  • 国内線就航機に係る固定資産税の特例措置を延長及び拡充

固定資産税の拡充要望内容

2国際船舶に係る特例措置の延長

 世界単一市場の中で欧米やアジアの船社と熾烈な国際競争を展開している我が国外航海運の国際競争力強化及び日本籍船の安定的な確保を図るため、国際船舶に係る特例措置(所有権保存登記、抵当権設定登記:1.5/1000)の適用期限を延長(登録免許税)

3倉庫用建物等に係る特例措置の延長

 倉庫用建物等に係る課税の特例措置を所要の見直し・重点化を行った上で延長(所得税、法人税、固定資産税、都市計画税)

倉庫用建物等に係る特例措置の延長

4外貿コンテナ埠頭に係る特例措置の延長

 物流コストの軽減を図り、我が国産業経済の国際競争力を確保するため、外貿埠頭公社が所有又は取得するコンテナ埠頭に係る特例措置の適用期限を延長
(固定資産税、都市計画税)

  • 公社が公団から取得した一定規模以上の埠頭 課税標準:3/5
  • 公社がH10.3.31までに所有した一定規模以上の埠頭 課税標準:1/2
  • 公社がH10.4.1〜H18.3.31までに取得する大規模埠頭 課税標準:当初10年間1/5 その後1/2

アジア主要港のコンテナ取扱量

5中小企業投資促進税制の延長

 中小企業者の設備投資を促進するため、経済対策として措置されている中小企業者が機械等を取得した場合の特別償却(30%)又は税額控除(7%)の適用期限を延長(所得税、法人税)

 対象設備:トラック(車両総重量3.5トン以上)、内航貨物船(取得価額の75%)、機械装置(160万円以上)、器具備品(合計額100万円以上)

 

5.その他

1法人事業税への外形標準課税の導入に係る特例措置の創設

 平成16年4月から導入される法人事業税に係る外形標準課税に関し、所管法人等(JR三島会社(JR北海道、JR四国及びJR九州)、関西国際空港株式会社、苫小牧東部開発及びむつ小川原開発の関係会社、東京湾横断道路株式会社等)に係る特例措置を創設する。

2道路関係四公団改革に伴う所要の税制上の措置

 平成17年度中に予定している道路関係四公団の民営化に向けて、所要の税制上の措置を講ずる。

3羽田空港再拡張事業に係る国有資産交付金の特例措置の創設

 羽田空港再拡張事業を推進するため、羽田空港に係る国有資産等所在市町村交付金について一定期間の減免措置を創設

※国有資産等所在市町村交付金制度:国又は地方公共団体がある特定の用途に供する固定資産を所有している場合に、その資産の所在する市町村に対し交付金を交付する制度。

羽田空港再拡張事業の整備概要

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