第5回 JAPANコンストラクション国際賞

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特別賞(先駆的事業活動部門)

サブサハラアフリカでの道普請の啓発による草の根インフラ整備と貧困削減

事業活動の概要

  • 生活道路や農道等の整備が不十分なサブサハラアフリカにおいて、地域住民に現地調達可能な材料と人力による道路整備技術を移転。
  • 人々の学校、病院、市場へのアクセスの向上や、整備を通じた建設業の担い手育成により、貧困削減に貢献。
  • 国際労働機関(ILO)との連携やケニア政府への働きかけにより、これまでに約810名の若者を対象に国立建設技能研修所での土のう工法の研修を実施。
  • データ

    活動期間:2008年1月~継続中
    応募者:認定特定非営利活動法人 道普請人
    活動国:ケニア(主たる拠点)、ウガンダ、ルワンダ、ブルキナファソ

    評価のポイント

    • サブサハラアフリカにおいて13,377名の地域住民に、現地材料と人力による土のう工法などの道路整備技能を移転し、76,874mの道路が整備されました。この工法は現地で「Do-nou technology」と呼ばれ、日本発の工法として認知されています。
    • 資産や技能がなく雇用機会に恵まれない若者が、本事業での道路整備を通して基礎的な技能を身に付け、建設会社を設立して草の根インフラ整備に貢献する仕組みを構築。これまでにケニアでは約40の会社が設立。ルワンダでは24のグループが研修後に、郡政府と日常的な道路維持管理の年間契約を結んでいます。
    • 現地行政が土のう工法や若者への研修効果を認知、評価しました。さらに現地行政と協力し、工法のマニュアル化や職業訓練校でのカリキュラム化を推進しています。

東南アジアでの鉄道リハビリ事業等を通じた現地技術者・企業の戦略的な育成

事業活動の概要

  • 東南アジアにおけるODA案件を中心に、持続可能な成長や開発に貢献する鉄道等のインフラリハビリ事業を通じて、日本流の鉄道技術やノウハウを積極的に移転。海外経験豊富な日本人技術者を常駐させ、日本の施工機械導入やオペレーションの直接指導、技能実習生の日本派遣等の技術支援の他、工科大学生の現地雇用から日本国内での研修までの一貫した育成システム構築など、他に類を見ない独自の取り組みを戦略的に進めました。
  • インドネシアのジャワ北線複線化工事では、当時、人力施工が主力であった鉄道工事に日本式の機械化施工を導入し、現地技術者を指導・育成。工期短縮や作業の安全性・効率性向上を実現 し、同国の鉄道工事近代化と技術移転に大きく貢献しました。
  • ベトナムの南北鉄道橋梁安全性向上工事では、難易度の高い橋梁架替工事を日本式の緻密な計画・管理により現地協力会社とともに完遂。その後、同社の優秀な技術者を技能実習生として日 本に招聘し、レール溶接や軌道整備等の技術習得支援を積極的に行いました。
  • カンボジアの国道5号線改良工事では、不足する現地技術者確保のため独自の育成システムを構築。工科大学生を対象にインターンシップから社員雇用、日本語習得支援、約2年間の日本国内での研修までの一貫したプログラムにより、優秀な若手技術者を輩出しています。
  • データ

    活動期間:1999年8月~ 継続中
    応募者:鉄建建設株式会社
    活動国:ベトナム、ミャンマー、カンボジア、バングラデシュ、インドネシア

    関係者
    仙建工業株式会社
    THANH PHAT CONSTRUCTION WORK JOINT STOCK COMPANY
    PT.THAMRIN CITRA MULIA
    PT.MODERN SURYA JAYA

    評価のポイント

    • 継続的な海外展開推進のため、ODA事業を通じて現地の技術者を戦略的に育成。事業完了後、協力会社を東南アジアにおける重要なパートナーとして位置づけ、出資と技術習得支援を実施。育成した現地技術者や協力会社との協働により、周辺国での鉄道プロジェクト受注に成功しています。
    • インドネシアで導入した機械化施工では、指導した技術者が後に起業、インドネシア国鉄の軌道メンテナンスを受注するまでに成長し、自国産業化に貢献しています。また、ミャンマーの線路改修事業でも、軌道保守用車両を日本より調達、現地技術者に運転技術やノウハウを直接指導し、ミャンマー国鉄より高く評価されています。
    • ベトナムにおいて、難易度の高い橋梁架替工事の完遂、および本工事を通じた技術移転や技術者育成などの成果が同国の鉄道関係者より高く評価され、ベトナム国運輸大臣より感謝状を受領しています。
    • 現地学生を対象に、インターンシップから採用、日本国内で2年間の研修を通じて育成し、その後も母国や周辺国で現地技術者の指導にあたらせるなど、日本の高度な建設技術を移転・承継させる仕組みを構築しています。

米国シリコンバレーにおける建設テック創出のためのオープンイノベーション活動

事業活動の概要

  • 他産業に比べ遅れていた建設産業のデジタル化に着目し、シリコンバレーでオープンイノベーションを実践すべく、現地研究機関やスタートアップ企業と協業・実験を行うための拠点を開設。
  • 大林組の40年以上に渡って継続してきた米国事業によって得られたリソースを活用し、建設産業全体の生産性や安全・品質の向上を目指した製品・サービスを開発。
  • シリコンバレーにおいて建設テックイベント「Obayashi Challenge」を毎年開催し、①技術者(スタートアップ、研究機関)、②投資家(ベンチャーキャピタル)、③利用者(建設会社)の 三者コミュニティの発端を創り、「半歩先の未来」を実現するための建設テック・エコシステムの中心的な役割を担っています。
  • 現在十数社との間でサービスを共同開発中。スタートアップへの直接投資は10社、ベンチャーキャピタルへの投資は5ファンド。
  • データ

    活動期間:2017年10月~ 継続中
    応募者:Obayashi SVVL, Inc.(株式会社大林組)
    活動国:米国

    評価のポイント

    • 社内に研究開発部門を有する日本の大手ゼネコンの強みと、40数年間の米国事業によって培った知名度を掛け合わせ、スタートアップ企業や研究機関からパートナーとして選定。日米オープンイノベーションプロジェクトの橋渡し役として貢献しています。
    • 米国専門誌から日本の建設企業としては唯一、建設テックベンチャーインベスター50社(コーポレートベンチャーキャピタル部門20社)に選出されました。
    • シリコンバレー流のデザイン思考、アジャイル型開発を実践するためR&Dガレージを開設。試作品を初期段階から何度もテストできるリアルな疑似環境を提供することで、デジタルエンジニアの建設現場実務への理解促進と開発速度向上を両立しました。
    • 現場労働者の疲労軽減を目的とするPowered Clothing®の開発やAIを利用した建設現場の不安全状況の予測分析サービスなど、質の高いインフラへの貢献が期待される製品・サービスを開発。360度画像を利用する遠隔現場管理ツールは海外事業での活用も期待されます。

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