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航空局航空ネットワーク部国際航空課 大島航空交渉官


※所属・役職等は、取材時(2025年3月)のものです。
 
プロフィール・近況等
(主な略歴)
 2001(H13).4 国土交通省入省Ⅰ種技術(電気・電子)/航空局管制保安部無線課
 2018(H30).3 国際民間航空機関日本政府代表部一等書記官
 2021(R3).3  国際民間航空機関日本政府代表部次席(参事官)
 2023(R5).3  現職

 航空交渉官としての主な業務は、国家間の航空交渉を行い、どこの空にどれだけ航空機を飛ばしてよいかを決めることなのですが、現在は、国際民間航空機関(ICAO:イカオ)の理事会議長選挙に国土交通省出身の大沼俊之・ICAO日本政府代表部大使(元航空局次長)が立候補しているため、その選挙活動のバックアップも担当しています。具体的には、各地域で開催される主要な会議への参加や、日本の航空関係施設の紹介などを通して、大沼大使や日本の航空行政について知ってもらえるような取組みをしています。今日も、中南米の航空委員会(各国航空当局の団体)の議長他を日本に招いて打ち合わせをしており、午後は羽田、明日からは関西の空港施設を一緒に視察する予定です。また、昨年は大沼大使と140日ぐらい海外へ出張していました。私自身、ICAO日本政府代表部に5年間に赴任していたということもあり、選挙活動業務にはメインで対応することが多いです。また、それ以前に航空局航空戦略課に在籍していた際に、航空関係の気候変動対策を担当したことも大きいと思います。その際に、ICAOの下に設置された100名程度のグループの議長を務めました。そうした経歴もあり、必然的に海外の案件は自分が対応することが多くなりました。大変ですが、やりがいのある仕事だと思っています。
 

1. 2001年に発足した「国土交通省」に抱いたイメージについて

 学生時代は電気工学を専攻していたため、鉄道関係は授業で取り扱っていましたが、国土交通省全体については、そこまで強い印象はもっていませんでした。ただ、その後に合併により大きな省庁になることを知り、自身も大きなプロジェクトに関われるのではないかと期待感を持ったことを覚えています。
 

2. 印象に残っている国土交通省における出来事について

 よく一緒にサッカーをやっていた同期から、海外留学へ出発する前に、ビデオメッセージと寄せ書きしたボールをもらったことを覚えています。同期の職員は、各職種合わせて100人を超えますが、とても良い同期がいる職場に入れたと今でも思います。
 

3.印象に残っている自身が関わった業務について

 入省4年目からの長期在外留学によって、自分のキャリアの流れが大きく変わったと思います。入省当時は海外に行くとは想像しておらず、旅行で海外へ行ったこともありませんでしたが、留学を機に国際関係の仕事に就くことが多くなりました。 業務で言えば、先述したICAOの下のグループで議長を務めたことが印象に残っています。国際航空はCO2の排出に各国がどの程度責任があるか決めるのが難しいため、2013年頃、ICAOが中心となり、国際航空からの排出をオフセット(相殺)するグローバルな仕組みを構築することとなりました。私は、その仕組みの中核となる各航空会社のCO2排出量を把握し検証するMRV(Monitoring(監視)、Reporting(報告)、Verification(検証))というシステムを構築するチームの議長を務めました。注目度も高く大変な仕事でしたが、当時のチームメンバーに、後のアメリカ運輸次官補となるアニー・ペトソンク氏など国際的に活躍されている方が数多くいて、国際的な仕事のやり方も勉強になりましたし、自身のネットワークが広がり、このときの人脈が現在の業務に生きていると感じることも多々あります。また、現在進行形ですが、ICAO理事会議長選挙はなかなか経験できるものではないので印象的です。これがうまくいけば、日本の航空業界・航空行政にとっても大きな意義があるため、日々やりがいを感じて仕事ができています。
 

4.国土交通省がこの25年で変わったこと/変わらないこと

(変わったこと)
 まず、ハード的にもソフト的にも社会が大きく変わったと思います。社会の変化によって、職場でも超過勤務縮減、紙決裁やファックスの廃止など業務の形が変わってきました。また、社会のあり方が変わったことで、取り組む施策も変わり、組織の名前や形も変わりました。今回のインタビューで25年のキャリアを振り返りましたが、所属していた組織の名称がかなりの割合で変わっていたと気がつきました。時代に合わせて変わるのは、とても健全なことです。私が入省した時より非効率なことや理不尽なことが減り、誰もが働きやすい職場になってきていると思います。
(変わらないこと)
 官庁訪問の際、他省庁にも行きましたが、国土交通省が一番落ち着きました。周りに同業種(技術)の人がいることもありますが、事務系の人とも和気合いあいとしていると感じます。そういったよい雰囲気は変わっていないのではないでしょうか。また、「安全が第一」という文化が変わらず根付いていると思います。
 

5. これからの25 年への抱負について

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 技術の発展により、あらゆる分野がこの25年で大きく変化してきました。航空分野では、今後、無人機や空飛ぶクルマが当たり前に空を飛び交い、全ての航空機がデジタルで繋がるような世の中が来て、個別の要素で言えば、例えばサイバーセキュリティーなど、これまでは大きく取り扱ってこなかったものが重要度を増していくでしょう。そういった変化は今後も続くため、その流れにアジャストしていきたいです。 昨年ICAOでは2026年から2050年の長期戦略を理事会で承認し、次の25年の変化を組み込んだ長期計画を立てました。今後、大沼大使が議長になれば、長期計画の最初の期間を務めることになります。そこで日本がいかにリーダーシップを取っていけるかが、この先数十年の国際航空における日本の印象に関わってきます。 一方で、議長選挙の対応を通じて、日本の航空分野は国際的なプレゼンスの面では遅れていると感じました。選挙の関係で、中南米、アフリカ、ヨーロッパ、中東で実施される各地域の航空委員会に参加した際、日本は初出席でしたが、韓国、シンガポール、マレーシアなどのアジアの他の国はかなり前から定期的に参加していたことが分かりました。今後、大沼大使の議長選挙を契機に、大沼議長の下で良い効果を発揮し、主導的に国際社会を引っ張っていきたいと思います。 なお、個人的には、25年後に自身は退職していると思いますが、健康には気をつけていたいです。

 

6.これからの国土交通行政を担う世代へのメッセージ

 ポジティブに柔軟でいることが大切だと思います。自分のキャリアを振り返ると、25年前に想像していたものとは大きく異なっていて、アフリカに行くなんて想像していませんでした。そして、今後の想像もできていません。将来を想像することは大切ですが、予期しないことも起きるでしょう。何事も決めつけすぎず、予期しない変化も楽しんでいきましょう。また、プライベートを楽しむことも忘れてはいけません。
 

7.その他、HP をご覧の方へのメッセージ

 国土交通省は航空以外にも道路、鉄道、自動車など一般の国民に近い業務を対応しています。これからも、よりよい公共交通サービスを提供していきますので、ご期待ください。 また、これは特に国土交通省への入省を検討している方へのメッセージになりますが、私自身はこれまでのキャリアを振り返った時、国土交通省に入って良かったと思っています。ずっと同じ職場で働いているので、他の企業と比較は出来ませんが、とても充実した25年を送ったという自信があります。迷っている方は是非、官庁訪問にお越しください。

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