1. 2001年に発足した「国土交通省」に抱いたイメージについて
学生時代は電気工学を専攻していたため、鉄道関係は授業で取り扱っていましたが、国土交通省全体については、そこまで強い印象はもっていませんでした。ただ、その後に合併により大きな省庁になることを知り、自身も大きなプロジェクトに関われるのではないかと期待感を持ったことを覚えています。2. 印象に残っている国土交通省における出来事について
よく一緒にサッカーをやっていた同期から、海外留学へ出発する前に、ビデオメッセージと寄せ書きしたボールをもらったことを覚えています。同期の職員は、各職種合わせて100人を超えますが、とても良い同期がいる職場に入れたと今でも思います。3.印象に残っている自身が関わった業務について
入省4年目からの長期在外留学によって、自分のキャリアの流れが大きく変わったと思います。入省当時は海外に行くとは想像しておらず、旅行で海外へ行ったこともありませんでしたが、留学を機に国際関係の仕事に就くことが多くなりました。 業務で言えば、先述したICAOの下のグループで議長を務めたことが印象に残っています。国際航空はCO2の排出に各国がどの程度責任があるか決めるのが難しいため、2013年頃、ICAOが中心となり、国際航空からの排出をオフセット(相殺)するグローバルな仕組みを構築することとなりました。私は、その仕組みの中核となる各航空会社のCO2排出量を把握し検証するMRV(Monitoring(監視)、Reporting(報告)、Verification(検証))というシステムを構築するチームの議長を務めました。注目度も高く大変な仕事でしたが、当時のチームメンバーに、後のアメリカ運輸次官補となるアニー・ペトソンク氏など国際的に活躍されている方が数多くいて、国際的な仕事のやり方も勉強になりましたし、自身のネットワークが広がり、このときの人脈が現在の業務に生きていると感じることも多々あります。また、現在進行形ですが、ICAO理事会議長選挙はなかなか経験できるものではないので印象的です。これがうまくいけば、日本の航空業界・航空行政にとっても大きな意義があるため、日々やりがいを感じて仕事ができています。4.国土交通省がこの25年で変わったこと/変わらないこと
(変わったこと)5. これからの25 年への抱負について
技術の発展により、あらゆる分野がこの25年で大きく変化してきました。航空分野では、今後、無人機や空飛ぶクルマが当たり前に空を飛び交い、全ての航空機がデジタルで繋がるような世の中が来て、個別の要素で言えば、例えばサイバーセキュリティーなど、これまでは大きく取り扱ってこなかったものが重要度を増していくでしょう。そういった変化は今後も続くため、その流れにアジャストしていきたいです。 昨年ICAOでは2026年から2050年の長期戦略を理事会で承認し、次の25年の変化を組み込んだ長期計画を立てました。今後、大沼大使が議長になれば、長期計画の最初の期間を務めることになります。そこで日本がいかにリーダーシップを取っていけるかが、この先数十年の国際航空における日本の印象に関わってきます。 一方で、議長選挙の対応を通じて、日本の航空分野は国際的なプレゼンスの面では遅れていると感じました。選挙の関係で、中南米、アフリカ、ヨーロッパ、中東で実施される各地域の航空委員会に参加した際、日本は初出席でしたが、韓国、シンガポール、マレーシアなどのアジアの他の国はかなり前から定期的に参加していたことが分かりました。今後、大沼大使の議長選挙を契機に、大沼議長の下で良い効果を発揮し、主導的に国際社会を引っ張っていきたいと思います。 なお、個人的には、25年後に自身は退職していると思いますが、健康には気をつけていたいです。
6.これからの国土交通行政を担う世代へのメッセージ
ポジティブに柔軟でいることが大切だと思います。自分のキャリアを振り返ると、25年前に想像していたものとは大きく異なっていて、アフリカに行くなんて想像していませんでした。そして、今後の想像もできていません。将来を想像することは大切ですが、予期しないことも起きるでしょう。何事も決めつけすぎず、予期しない変化も楽しんでいきましょう。また、プライベートを楽しむことも忘れてはいけません。7.その他、HP をご覧の方へのメッセージ
国土交通省は航空以外にも道路、鉄道、自動車など一般の国民に近い業務を対応しています。これからも、よりよい公共交通サービスを提供していきますので、ご期待ください。 また、これは特に国土交通省への入省を検討している方へのメッセージになりますが、私自身はこれまでのキャリアを振り返った時、国土交通省に入って良かったと思っています。ずっと同じ職場で働いているので、他の企業と比較は出来ませんが、とても充実した25年を送ったという自信があります。迷っている方は是非、官庁訪問にお越しください。