1. 2001年に発足した「国土交通省」に抱いたイメージについて
国民生活に一番身近な行政を担当するマンモス官庁といったイメージです。実は、就職活動の際は、当時庁舎の5階に人事課があった運輸省と迷っていて、最初に官庁訪問したのが3階の建設省人事課で、順当に最終面接まで通過したため、そのまま入省することになりました。2. 印象に残っている国土交通省における出来事について
東日本大震災の対応が印象に残っています。地方を含むオール国土交通省で対応したというイメージがあり、地方機関等の各部署でも当時の対応を振り返ることもあります。また、災害対応がきっかけで変わったと感じることもあります。当時住宅局で復旧復興予算を対応していましたが、震災前は、公共事業=悪という風潮がありましたが、地方整備局やUR都市機構の職員が現地に派遣され、震災復旧・復興に携わったことにより、世論が大きく変わったと感じました。。3. 印象に残っている自身が関わった業務について
北陸地方整備局人事課長時代に、コロナワクチンの職域接種を実施したことです。当時は新潟、富山、石川県に住んでいる職員がワクチンを接種する場合、埼玉か名古屋へ行く必要がありました。一方、移動を控えるように指示が出されており、なかなかワクチン接種が進んでいない状況だったところを関係省庁と調整し、地方整備局が独自運営するという条件で許可を得て職域接種を実施しました。医療従事者や海上保安庁、北陸信越運輸局等、多くの人に協力いただき実施できました。その過程で、全くノウハウがない状態からでも、ロジの整理や関係機関等の調整を担当する現地の職員を見て、地方機関の底力を見た気がしました。
4. 国土交通省がこの25年で変わったこと/変わらないこと
(変わったこと)
多様な働き方が認められるようになったと感じます。テレワーク等が導入され、国会の待機時間が減少するなど、全体を通して良い傾向にあると思います。
国土交通省発足当時と比べ、旧省庁の縦割りなく業務が進められるようになってきたと思います。例えば、障害者雇用を進める際、当時人事課で予算要求を担当しましたが、旧省庁の垣根なく作業に当たることができました。
(変わらないこと)
人と人のつながりを大切にする文化が根付いているところですね。「難しいけどこの人ならお願いできる」、逆に「この人のお願いだから頑張れる」という良いモチベーションになります。
5.これからの25年への抱負について
時代の流れに取り残されないように新しいモノを取り入れていく意識を持つ一方で、守るべき重要なモノは次世代につなげていきたいです。現在勤務している国土技術政策総合研究所は、本省と比較すると、仕事の進め方が異なると感じることもありました。しかし、いたずらに新しくするのではなく、各組織の事業を鑑みて取捨選択することの方が良い組織を維持するために必要であり、そういった力を身につけていきたいと思います。6.これからの国土交通行政を担う世代へのメッセージ
新しいことを始める際は大なり小なり反発が生じるものです。コロナワクチンの職域接種を開始する際も、協力的な者がいる一方で「副反応の責任は?」など消極的な意見もありました。その時は、ワクチン接種をしないとTEC-FORCE(緊急災害対策派遣隊)が派遣できないなどの状況を踏まえ実施することができましたが、多くの職員や関係機関の協力を受けて実現できたと強く感じています。何かを始める際、円滑に事が進められるように周囲の人や機関の賛同を得ることが大切であり、日頃から良い関係を築くことが大切だと思います。7.その他、HP をご覧の方へのメッセージ
このインタビューの依頼を受けて、自身のこれまでを振り返る良い機会になったと思います。皆さんも、いろいろな節目の時期に、これまでの歩みを振り返ってみてはいかがでしょうか。