MLITRoad25

道路局企画課 依田道路事業調整官


※所属・役職等は、取材時(2025年3月)のものです。
 
プロフィール・近況等
(主な略歴)
 2001(H13).4 国土交通省入省Ⅰ種技術(土木)/九州地方整備局熊本工事事務所調査第一課
 2017(H29).4 中部地方整備局岐阜国道事務所長
 2019(H31).4 道路局高速道路課企画専門官
 2022(R4).6  道路局高速道路課高速道路事業調整官
 2023(R5).7  現職

 体を動かすことが好きなので、事務所でのクラブ活動が盛んな九州地方整備局で勤務していた時は、先輩とサッカーやバトミントン、野球をやっていました。東北地方整備局ではスノーボードに通っていました。岐阜から東京に戻ってきてからはテニススクールに通っています。また、最近では料理とコーヒーにはまっています。土日は基本的に自炊し、平日も弁当を持参するようになりました。私は学生時代から技術系ですが、料理は実験に通じるモノがあり楽しいです。よく読んでいる本にも「料理は科学!」と書いてあり、指示通り温度管理や調味すると、おいしく仕上がります。コーヒーも、バリスタが入れるように、お湯の量や注ぐ時間をこだわり出してから、ますます楽しいし、おいしいです。以前は多く飲みたいから多めにお湯を入れていましたが、適切な量を入れると味が全然違いますので、是非研究してみて下さい。
 

1. 2001年に発足した「国土交通省」に抱いたイメージについて

 採用活動中は建設省しか知りませんでしたが、後になって省庁が合併したと知ったときは、守備範囲が広く大きな省庁ができたなと感じていました。特に、国土交通省の新規採用職員研修には100人以上が集まっていて同期の多さに驚いた記憶があり、組織の大きさを再認識しました。
 

2. 印象に残っている国土交通省における出来事について

 係長として、道路公団民営化に2年間携わった時のことが印象に残っています。国会での法案審議が連日行われ、その対応をしていました。多いときは一日200問ぐらいの答弁を作成していたと記憶しています。今、振り返ると、当時から社会情勢が変わっており、民営化は自分の中でまだ終わっていないと感じる瞬間があります。建設から時間が経ち、メンテナンスの重要性が増していることや、電気自動車や再生エネルギーなど新しいものが世に出てきたので、当時作った枠組みをゴールとするのではなく、時代にあった良いモノにしていきたいと思います。
   

3. 印象に残っている自身が関わった業務について

画像

 東北地方整備局にいた際に、震災の対応をしたことが印象に残っています。私が着任した2008年に仙台で岩手宮城内陸地震が発生し、天然ダムが問題になり、その後、2010年にチリ中部沿岸を震源とする地震で、初めて大津波警報が出されました。この経験から、地震関係は一通り経験したと思っていましたが、2011年に東日本大震災が発生しました。企画課でリエゾンを結成し、色々な機関との調整を行いました。発災後2ヶ月ぐらい、休みもなくと言いますか、休んでも家に電気・水・ガスが来てない状況だったので、ひたすら地震の対応をしていました。当時の経験で、被災地では何が起こっているのかイメージできるようになり、その後の業務に活かせています。

 

4.国土交通省がこの25年で変わったこと/変わらないこと

(変わったこと)
 災害対応に必要なノウハウが積み上がってきていると思います。情報機器が整ってきたこともありますが、災害時に何をすべきか反射的にイメージができる職員が増えてきています。実際に、熊本地震より能登半島地震の時の方が、情報が上がってくるスピードが上がったように感じました。能登半島地震では1月2日には各役場まで乗用車による通行が可能となり、以降、県道等に目が向けられるようになりました。また、災害対応以外においては、上司と部下で情報量が平準化されてきて、議論しやすくなったと感じています。
(変わらないこと)
 現場が中心であることは、ずっと変わってないと思います。インフラ整備、公共交通など、色々な分野の政策立案ができることが組織の魅力です。市町村からの道路整備に関する要望は相変わらず多いです。道路の整備は年々着実に進んでいますが、どういった点が足りないのか、常に考える必要があります。実際に要望を見ると、「小学生が通る道にトラックがたくさん走っていて危ない」や、「街の主要道路が止まると、にっちもさっちも行かない」など、貴重な意見が多々あります。
 

5.これからの25年への抱負について

 他分野との連携が重要だと思います。一例ですが、カーボンニュートラルを道路局だけで進めようとしても限界があります。国土交通省がEV充電器の設置をしても、電気自動車が普及しないと意味がないので、物流・自動車局などの他部署や、経済産業省などの他省庁と協力して、一つ一つの取組みを進めていきたいです。また、若干最近のトレンドに逆行しているかもしれませんが、メンテナンスだけでなく、未来の投資となるような事業を展開していきたいです。高速道路などインフラのメンテナンスの重要性は重々承知していますが、メンテナンスだけでは活力は生まれません。インフラを維持しつつ、国家の発展につながるような事業を進めるための見極めが大切であり、その力を付けていきたいです。これは個人の抱負ですが、25年後も働いていたいと思っています。今の仕事の関係に限らず、最近はまっている料理などの仕事ができれば幸せです。
 

6.これからの国土交通行政を担う世代へのメッセージ

 現場に影響力を持っているからこそ、現地を見て知ってほしいです。道路の現場といえば工事現場ですが、それだけでなく地域・社会・経済という観点から現地に出向いて観察し、そこに住む人の話を聞いてみてほしいです。私が岐阜国道事務所に務めていた際の話ですが、県内200万人程の人口からは想像できないくらい、岐阜市周辺の幹線道路が毎日混み合っていました。背景としては、一家に3台以上車がある家が多く、仕事で県外に出る方も多いためでした。岐阜に赴任するまで知りもしませんでした。そういった発見をする意味で、現場へ足を運ぶことを意識して業務に当たってほしいです。また、スピード感を持って業務に取り組んでもらいたいと思います。従来と比較すると、情報機器の進歩により、職場でもチャット等が当たり前に使用されるようになりました。かつては幹部しか持っていなかった情報が、全体に共有されるようになったため、幹部と同じ意識で仕事が出来るようになりました。これにより、もっとスピードを出して、あらゆるモノが処理出来るようになったので、アジャイル的な発想で業務に取り組んでもらいたいです。
 

7. その他、HP をご覧の方へのメッセージ

画像

 国土交通省は色々なことに携わることのできる役所であり、最も現場に近い官庁だと思います。地方を含め、今の社会をいい方向に変えたいというご意志があれば、是非我々に働きかけてほしいし、就職先としても考えてほしいと思います。また、しっかりと仕事をして生活を楽しむには、健康が一番だと思います。ここ最近読んだ本によると、肩甲骨周りと骨盤周りの筋肉が固くなると体全体が動きにくくなるそうです。私自身、健康に良いと思ってマラソンを長らく続けていましたが、ある時から左足の付け根が痺れるようになりました。著者曰く、マラソンで使う筋肉以外が弱り、体の不調が出ていたようなので、他の筋肉を動かすマッサージやトレーニングをしたところ、随分調子が良くなりました。是非皆様も調べて自身の体を整えてみてください。
(参考図書)
「COCOCORO大西哲也のドヤ飯~誰がつくってもプロの味!!」 大西哲也/大和書房
「珈琲完全バイブル」 丸山健太郎/ナツメ社
「災害初動期指揮心得」 国土交通省東北地方整備局
「すごい股関節―柔らかさ・なめらかさ・動かしやすさをつくる」 中野ジェームズ修一/日経BP

ページの先頭に戻る