国土交通省の「総合力」紹介

国土交通省の「総合力」紹介

国土交通省の「総合力」紹介

国土交通省の発足を契機として実現した施策や、国土交通省の有する「総合力」をご紹介します。

バリアフリー
共生社会新たなバリアフリー法

バリアフリー

施策の詳細

バリアフリー施策を実施する背景・目的

我が国は、世界のどの国もこれまで経験したことのない本格的な高齢社会を迎え、今後も更なる高齢化が進展すると見込まれています。 こうした中で、高齢者の自立と社会参加による健全で活力ある社会の実現が求められています。 また、今日、障害者が障害のない者と同等に生活し活動する社会を目指す「ノーマライゼーション」の理念の社会への浸透が進み、自立と共生の理念の下、障害の有無にかかわらず国民誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合う「共生社会」の実現が求められています。 こうした社会を実現するためには、高齢者、障害者等が自立した日常生活、社会生活を営むことができる社会を構築することが重要であり、国土交通省では、バリアフリー施策の推進に取り組んでいます。

バリアフリー施策の推進に向けた施策の概要

後述のバリアフリー法(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)に基づき、旅客施設、車両等、道路、路外駐車場、建築物、都市公園等について、新設する際にはバリアフリー基準を満たすことを義務化しています。また、既設の施設等については、バリアフリー基準を満たすことを努力義務化しています。 また、各施設のバリアフリー化を進める際の財政負担を軽減するため、各種補助制度を設けています。

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「総合力」の発揮

国土交通省の発足以前は、
旧建設省において、建築物のバリアフリー化を進めるための ハートビル法 (高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律:平成6年)を、
旧運輸省において、旅客施設や車両等のバリアフリー化を進めるための 交通バリアフリー法 (高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律:平成12年)を、
それぞれ制定し、必要な政策を進めてきました。
従来は、公共交通と建築物のバリアフリー化が別々の法体系で措置されていたため、
例えば、
特定の建築物までの経路のバリアフリー化や建築物内のバリアフリー化が図られても、その境界線部分に段差が残る
両バリアフリー経路の接続点(出入口等)が異なることで、利用者の連続的な移動の観点から不便が生じる
など、一体的・連続的なバリアフリー化の促進に支障が生じていました。
このため、国土交通省の発足に伴い、旅客施設、車両等、道路、路外駐車場、建築物、都市公園等の様々な施設の一体的・連続的なバリアフリー化の促進に向けて、既存の法律を統合し、新たなバリアフリー法(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律:平成18年制定)の下、施策を総合的に推進する体制を整備しました。 その後、平成30年の改正では、市町村がバリアフリー化の方針を定めるマスタープラン制度の創設、当事者の評価を施策に反映する協議会等を設置することで、バリアフリーのまちづくりに向けた地域における取組を強化しました。 また、令和2年の改正では、東京パラリンピックを契機として心のバリアフリーの取組が強化されました。文部科学大臣も主務大臣として本法律の枠組みに加わり、市町村が作成する基本構想に学校と連携して実施する教育活動を位置付けるとともに、新たに公立小中学校がバリアフリー基準適合義務の対象に追加され学校施設の整備の促進が図られました。

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施策の具体的成果

旅客施設、車両等(鉄軌道車両・ノンステップバス・旅客船・航空機)、道路、路外駐車場、建築物、都市公園等のバリアフリー化については、バリアフリー法の制定以降、着実に進展してきました(詳細は、「数字」で見る国土交通分野の動き25年史1をご参照下さい。) また、令和6年度末時点で、全国334市区町村において、バリアフリー法に基づく基本構想が策定され、バリアフリー化の推進に向けた具体的な取組が進められています。 こうした中で、例えば、京都市では、「歩くまち・京都」をテーマとしたバリアフリーのまちづくりを進め、高齢者、障害者等の外出と社会参加の促進に努めています。 具体的には、四条通について、歩道の拡幅とバス停の一体的な整備等により、快適でバリアフリーな歩行空間の創出と公共交通の利便性向上を両立させたほか、京都駅八条口駅前広場整備事業により、快適な歩行空間の創出や公共交通の乗継利便性の向上など、誰もが安全で快適に歩きやすい歩行者空間の創出を実現しました。


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四条通整備前
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四条通整備後
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京都駅八条口整備前
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京都駅八条口整備後

今後の政策目標

公共交通施設や建築物等のバリアフリー化については、バリアフリー法に基づく「移動等円滑化の促進に関する基本方針」において具体的に整備目標を定めて推進しています。現在は、令和7年度を期限とする第3次目標期間であり、先般、令和8年度を開始年度とする第4次バリアフリー整備目標を新たに策定しました。引き続き、こうした目標の実現に向け、バリアフリー化施策の推進に努めてまいります。

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参考
バリアフリー・ユニバーサルデザイン
https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/barrierfree/index.html

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羽田空港再拡張事業
D滑走路埋立・桟橋工法のハイブリット構造

羽田空港再拡張事業

施策の詳細

羽田空港再拡張事業を実施した背景・目的

羽田空港は、沖合展開事業によって、順次、輸送力を拡大してきましたが、1990年代の航空需要の増大により、需要に対して発着能力が逼迫する状況が続いていました。 こうした状況を踏まえ、国土交通省では、2000年9月に設置した、学識経験者、関係地方公共団体等から構成される「首都圏第3空港調査検討会」で対応策を検討したところ、2001年7月、既存ストックの有効活用、アクセス等の旅客利便等の観点から、羽田空港の再拡張を首都圏第3空港の整備に優先して推進するとの方針が確認されました。こうした方針を踏まえ、羽田空港再拡張事業に着手することとしました。

羽田空港再拡張事業の概要

羽田空港再拡張事業は、新設滑走路等の整備を行う「滑走路整備事業」と、国際線地区旅客ターミナルビル、貨物ターミナル、エプロン等の整備を行う「国際線地区整備等事業」から構成されます。 「滑走路整備事業」は、従来の空港の沖に滑走路(D滑走路)、連絡誘導路等の新設、並びに東京港第一航路移設に係わる設計、施工を行うものです。新設滑走路の基本施設として、2,500mの滑走路と誘導路進入灯橋梁保安・付帯施設等を整備しました。また、現空港と新設滑走路を結ぶ連絡誘導路を整備しました。

羽田空港全景(令和6年11月撮影)
羽田空港全景(令和6年11月撮影)

「総合力」の発揮

本事業における最大の技術的課題の一つは、新設する滑走路を多摩川河口部に近接して整備せざるを得ない、という立地条件にありました。 従来、我が国の海上空港の建設にあたっては、関西国際空港や中部国際空港等で実績のある「埋立構造」が一般的に採用されてきました。しかし、羽田空港の場合、航空機の進入経路や東京港の航路機能を考慮すると、新設する滑走路を多摩川河口部に配置せざるを得ない状況であり、河川流に影響を与えるおそれがありました。特に、「埋立構造」を採用した場合、洪水時の流下能力の確保や、干潟等の河川環境への影響が懸念されていました。 一方で、航空需要の増大に対応するためには、新たな滑走路整備は不可欠であり、航空需要への対応と、河川の治水機能・環境の両立という課題に直面していました。 こうした中、国土交通省内では、河川部局と航空部局が中心となり、旧省庁の枠を超えた取組を推進しました。具体的には、新設する滑走路の一部に、多摩川の河川流の通水性を確保するために桟橋構造を組み合わせるという、世界初となる「埋立・桟橋工法のハイブリット構造」を採用することとしました。

D滑走路の概要
D滑走路の概要
D滑走路桟橋部の様子
D滑走路桟橋部の様子

施策の具体的成果

羽田空港再拡張整備事業の推進により、発着容量の制約解消、多様な航空ネットワーク網の形成等が実現しました。 具体的には、2010年10月に、4本目の滑走路であるD滑走路及び新国際線ターミナルの供用を開始し、同時に国際定期便が就航しました。その後も更なる拡張整備や飛行経路の見直し等を経て、年間の発着容量が48.6万回へ増加し、国際線の就航地点も25ヶ国・地域の48都市まで拡大する等、日本と世界をつなぐ世界有数の空港となりました。 また、国、研究機関、民間事業者、市民等が連携して、D滑走路の供用開始後も継続して実施した周辺水域環境調査を通じて、多摩川河口域が東京湾における生物多様性のホットスポットであることが科学的に確認されたとともに、新滑走路建設後においても、河口域を中心とした生態系が、概ね維持・回復していることが確認されました。

羽田空港における旅客数・年間発着枠の推移
羽田空港における旅客数・年間発着枠の推移

今後の政策目標

引き続き、成田空港におけるB滑走路新設・C滑走路延伸等の更なる機能強化を推進し、年間発着容量を約100万回とすること等を通じて、訪日外国人旅行者の受入拡大や国際航空物流ネットワークの充実を図り、我が国の国際競争力の強化等を目指します。 そして、これら施策の推進にあたっては、航空需要への対応と治水・環境保全の両立を実現するために導入した桟橋構造をはじめとする、羽田空港再拡張事業で得られた知見や経験を最大限に活かすことで、引き続き、国土交通省としての「総合力」を発揮していきます。
参考
羽田空港再拡張事業及び首都圏第3空港
https://www.mlit.go.jp/koku/15_bf_000309.html

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コンパクト・プラス・ネットワーク
まちづくり+公共交通サービスの改善

コンパクト・プラス・ネットワーク

施策の詳細

コンパクト・プラス・ネットワークを推進する背景・目的

日本では、これまで、人口の増加とともに市街地は郊外へと急速に拡大してきました。地方圏の県庁所在地では、2020年までの50年間で、人口は約2割増加した一方、市街地は2倍以上に拡大しています。 今後、全国的に高齢者が大幅に増加する見込みの中で、拡大した市街地に高齢者などが疎に居住することとなれば、居住者の生活を支える各種サービス(医療、福祉、買い物など)の提供が困難となるおそれがあります。 こうした課題に対応し、生活利便性の維持・向上行政コストの削減居住地の安全性強化などを実現するため、コンパクト・プラス・ネットワークを推進しています。

都市をとりまく環境変化(現状と今後)
都市をとりまく環境変化(現状と今後)

コンパクト・プラス・ネットワークの概要

コンパクト・プラス・ネットワークは、人口減少や高齢化が進む中、地域の活力を維持しつつ、高齢者や子育て世代が安心して暮らせることを考慮したコンパクトなまちづくりを目指す取組です。 具体的には、都市全体の構造を見渡しながら、住まいや医療・福祉・商業などの都市機能をまちなかなどのいくつかの拠点に誘導するとともに、それぞれの拠点間を公共交通ネットワークで結ぶことで、持続可能なまちづくりを目指しています。

コンパクト・プラス・ネットワークのねらい
コンパクト・プラス・ネットワークのねらい

「総合力」の発揮

コンパクト・プラス・ネットワークを進めるに際しては、まちづくりの視点のみならず、拠点間を結ぶ交通サービスの充実、乗換拠点の整備など公共交通サービスの改善の視点が必要不可欠です。 このため、国土交通省内では、まちづくり(都市計画)部局公共交通部局が中心となり、旧省庁の枠を超えた取組を推進しています。また、医療・福祉、学校・教育、防災など他分野との施策の連携も重要であることから、「コンパクト・プラス・ネットワーク形成支援チーム」を設置するなど、省庁横断的に取組を進めています。

コンパクト・プラス・ネットワークの実現に向けた政策ツール

都市再生特別措置法(立地適正化計画)地域公共交通活性化再生法(地域公共交通計画)に基づき、都市全体の構造を見渡しながら、住まいや医療・福祉・商業等の都市機能の誘導と、それと連携して、利便性・持続可能性・生産性の高い地域公共交通ネットワークの構築を推進しています。 また、必要な機能の誘導に向けた市町村の取組を推進するため、計画の作成・実施を予算措置等で支援しています。

コンパクト・プラス・ネットワークのための計画制度
コンパクト・プラス・ネットワークのための計画制度

これまでの取組成果

立地適正化計画は令和7年7月末時点で643都市において作成・公表済み、地域公共交通計画は1,201件を作成済みであり、各地域において、コンパクト・プラス・ネットワークに向けた具体的な取組が進められています。 また、立地適正化計画と地域公共交通計画をあわせて策定した数は、令和7年7月末時点で594市町村であり、その数は毎年順調に増加しています。立地適正化計画と地域公共交通計画の両面からコンパクト・プラス・ネットワークの取組を推進しています。 こうした中で、例えば、新潟県見附市では、「スマートウェルネスみつけ」=「住んでいるだけで健やかに幸せに暮らせるまち」を実現するため、都市機能を拠点エリアへ集約し、その周辺へ居住を誘導するとともに、公共交通等により拠点へのアクセスを確保する「コンパクト・プラス・ネットワーク」の実現を目指しています。拠点間を循環するコミュニティバスについて、その運行間隔が25分短縮(45分(H26)→31分(H28)→20分(R2)したほか、令和4年度には約17万人が利用するに至っています。
参考見附市HP
https://www.city.mitsuke.niigata.jp/soshiki/2/3160.html

立地適正化計画と地域公共交通計画との連携
立地適正化計画と地域公共交通計画との連携
新潟県見附市の取組概要
新潟県見附市の取組概要
コンパクト・プラス・ネットワークの効果(健康の増進)
コンパクト・プラス・ネットワークの効果(健康の増進)

今後の政策目標

コンパクト・プラス・ネットワークの施策効果を高めるためには、立地適正化計画の実行性を向上させることが必要であることから、令和7年度から実施している「まちづくりの健康診断」により、国が収集・分析したデータや参考情報として今後取り組むべき施策などを地方公共団体へ提供する等、立地適正化計画作成の裾野拡大や計画の適切な評価・見直しを促進しています。今後も引き続き、国土交通省の総合力を生かしてコンパクト・プラス・ネットワークを推進して参ります。
参考
立地適正化計画とコンパクト・プラス・ネットワーク
https://www.mlit.go.jp/en/toshi/city_plan/compactcity_network.html

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自動運転
国土交通省自動運転社会実現本部レベル4自動運転実現

自動運転

施策の詳細

自動運転を導入する背景・目的

人口減少や高齢化、運転士・担い手の圧倒的不足、中小企業が大宗を占めることによる投資余力の少なさや後継者の不在等を背景として、各地の自治体や事業者をはじめ関係者の懸命な努力にも関わらず、地域鉄道やバス路線の減便・廃止が進み、全国各地で「交通空白」が生じています。 加えて、交通事故死者数は、ピーク時(昭和45年:16,765人)と比較し、直近(令和6年:2,663人)では約1/6にまで減少していますが、事故要因の大部分は「運転者の違反」が占めており、これを是正するための取組みが急務となっています。 これらの社会課題を解決するとともに、渋滞の緩和・解消国際競争力の強化を実現するため、自動運転の推進に取り組んでいます。

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自動運転の概要

自動運転システムは、これまでドライバーが行っていた認知予測判断及び操作に係る能力の全部を代替するものです。 具体的には、センサーにより車両の走行状態や周囲の交通状況等を「認知」した上で、得られた情報をもとに、コンピューターにより、その後の出来事を「予測」し、最適な走行経路・速度は何かを「判断」し、当該判断に基づき自動車の運行に必要な各装置を適切に「操作」するものです。 縦または横の一方向だけ運転支援する「レベル1」から、条件のない完全自動運転を実現する「レベル5」までレベル分けがされています。

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「総合力」の発揮

デジタル庁の総合調整のもと、政府一丸となって自動運転の推進に取り組んでいますが、国土交通省では、主に、自動運転の核となる自動運転車の技術基準等の制度や道路に関する施策を担当しています。具体的には、自動車部局は、自動運行装置の安全基準の整備、道路部局は自動運転車の走行の安全性・円滑性の向上に資する環境の整備(交差点センサや合流支援・先読み情報等の路車協調システム、走行空間等の基準の策定等)などに取り組んでいます。 このため、国土交通省内では、令和8年1月に新たに立ち上げた金子国土交通大臣を本部長とする「国土交通省自動運転社会実現本部」において、自動車部局と道路部局が共同事務局となるなど、旧省庁の枠を超えた取組を推進しています。

自動運転の実現・社会実装に向けた政策ツール

自動運転技術の進展にあわせ、2020年には、レベル3自動運転を可能とするための道路運送車両法の改正(自動運行装置※を保安基準の対象に追加等)を、2023年には、レベル4自動運転に対応する保安基準の策定を、それぞれ実施しました。 また、現在、地方公共団体によるレベル4自動運転移動サービスの実装に向けた初期費用を軽減するための補助(令和7年度自動運転社会実装推進事業等)を実施しています。

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施策の具体的成果

今年度は、「令和7年度自動運転社会実装推進事業」を活用し、重点支援事業(先駆的・優良事例として横展開できる事業)として12自治体13事業を、一般支援事業(早期にレベル4達成が見込まれる事業)として52自治体54事業を、それぞれ採択し、自動運転の社会実装に向けた取組を推進しています。 この補助事業において、例えば、長野県塩尻市では、令和7年1月にJR塩尻駅から市役所までの区間において、運転席無人による「レベル4」自動運転を実現しました。さらに、この取組をより持続可能な自動運転移動サービスとするため、同年5月からは、運行ルートの拡大を目指し、通年での実証運行を実施しています。

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自動運転バス車両「Minibus」 出典:塩尻市役所HP

今後の目標

令和8年1月に閣議決定された第3次交通政策基本計画において、新たな数値目標として、「2030年度における自動運転サービス車両数1万台」を目指すこととしたほか、「国土交通省自動運転社会実現本部」における議論も踏まえ、自動運転社会の早期実現に向けた取組を強力に推進するとともに、自動運転の普及に伴う社会変容に的確に対応していきます。
参考
自動運転について
https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk7_000042.html

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防災対応のための予報・警報の高度化
わかりやすい防災気象情報共同記者会見

防災気象情報の伝え方の改善

施策の詳細

防災気象情報の伝え方の改善

平成30年7月豪雨1では、気象庁において、防災気象情報の段階的な発表、市町村への支援、さらには記者会見を通じて早い段階から厳重な警戒の呼びかけを行いました。 しかし、これらの情報発表や警戒の呼びかけ、市町村による避難勧告等の呼びかけが必ずしも住民の避難行動につながらず、結果として、平成以降で最大の人的被害をもたらす豪雨災害となりました。 これを踏まえ、水管理・国土保全局及び気象庁は、平成30年11月、学識者、報道、自治体等関係者から構成される「防災気象情報の伝え方に関する検討会2を立ち上げ、令和3年4月まで計10回にわたり、確実な避難行動等を促すための防災気象情報の伝え方に係る改善方策を検討しました。 その結果、短期的に取り組むべき事項として、例えば、気象関係者と河川関係者による共同記者会見を実施し、最大限の警戒を呼び掛けるなど広報の改善に取り組みました。共同記者会見は、令和2年7月4日に熊本県の大雨特別警報を警報に切り替える際に実施して以降、令和8年2月現在、累計38回実施しています。 一方で、同検討会では、住民の避難行動と密接に結びついた、警戒レベルを軸としたシンプルでわかりやすい防災気象情報体系へ整理・統合を図ることが、中長期的な検討事項として示されました。

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国土交通省と気象庁による共同の記者会見の様子


警戒レベルを軸としたシンプルでわかりやすい防災気象情報体系への見直し

1を踏まえ、水管理・国土保全局及び気象庁は、令和4年1月、「防災気象情報に関する検討会3を立ち上げ、受け手の立場に立ったシンプルでわかりやすい防災気象情報のあり方について検討を進めました。
洪水については、氾濫による社会的な影響が大きい河川の外水氾濫を対象とし、河川ごとの情報とするとともに、これ以外の河川の外水氾濫については、内水氾濫と併せて市町村ごとに発表する大雨浸水に関する情報とすること
土砂災害については、発表基準の考え方を統一し、災害発生の確度に応じて段階的に発表する情報とすること
高潮については、潮位に加えて沿岸に打ち寄せる波の影響を考慮し、災害発生又は切迫までの猶予時間に応じ段階的に発表する情報とすること
などを柱とする最終取りまとめを公表しました。


新たな防災気象情報の運用

2の検討結果を踏まえ、防災関係機関や地域住民の皆様が、より効果的に避難等の行動をとるための新たな防災気象情報の運用開始に向け、水管理・国土保全局及び気象庁は、気象業務法及び水防法の改正など所要の準備を進めてきました。 令和7年12月に成立した「気象業務法及び水防法の一部を改正する法律」では、観測や予測等に関する技術の進展を踏まえ、洪水や高潮の危険性を住民や水防関係者によりきめ細かく周知することで、水災による被害の軽減を図るため、洪水に係る特別警報の創設高潮の共同予報・警報の創設等の措置を講じています(詳細は参考2参照)。 これを受け、令和8年5月下旬より、新たな防災気象情報の名称を用いた運用を開始します。これは、5段階の警戒レベルにあわせて、わかりやすく災害のおそれを伝えるもので、国民の皆様の避難等の行動につながることを意識して見直しを行ったものです。 具体的には、河川氾濫や大雨などの災害の種別ごとに、避難行動が必要な段階は「レベル4危険警報」既に災害が発生又は切迫している段階は「レベル5特別警報」というように、警戒レベルの数字を併せて伝えていくことで、どのレベルに想定している状況なのかをわかりやすく伝えることとしています。
参考1
新たな防災気象情報について
~令和8年の大雨時期から防災気象情報が生まれ変わります~
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001973185.pdf
特設サイト
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/keiho-update2026/index.html

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警戒レベル相当情報の新たな情報体系

「総合力」の発揮~わかりやすい防災気象情報の提供~

国土交通省の発足以前は、指定河川洪水予報4について、気象庁(運輸省)と建設省が連携のうえ実施していましたが、それ以外の場面では、気象庁が気象関係の情報を、建設省が河川・土砂災害関係の情報を、それぞれ独自に発表していました。 豪雨等の自然災害が激甚化・頻発化する中、防災気象情報に対するニーズは年々高まっています。このため、国土交通省の発足後は、水管理・国土保全局と気象庁が相互に連携し、「総合力」を発揮しつつ、随時、防災気象情報の提供の充実化に取り組み、その改善を図ってきました。 具体的には、気象庁と都道府県が連携した土砂災害警戒情報の運用(平成17年以降順次)「洪水警報の危険度分布」(洪水キキクル)「国管理河川の洪水の危険度分布」(水害リスクライン)の統合表示(令和5年)などを進めてきました。

  1. 河川の増水や氾濫などに対する水防活動の判断や住民の避難行動の参考となるよう、あらかじめ指定した河川について、区間を決めて行う水位または流量を示した洪水の予報

今後の政策目標

豪雨等の自然災害が激甚化・頻発化する中、国土交通省では、治水計画の見直しや河川、ダム、砂防、下水道の整備等の防災・減災、国土強靭化対策を推進しています。 被害の最小化を図るためには、ハード・ソフト一体となった施策の推進が重要であることから、引き続き、気象関係者と河川関係者が連携し、国土交通省の「総合力」を活かして、わかりやすい防災気象情報の提供に取り組んでまいります。
参考2
気象業務法及び水防法の一部改正(令和7年12月成立)の詳細

(改正事項①:洪水の特別警報)
今回新たに創設した洪水に係る特別警報制度により、洪水による危険を迅速かつ確実に住民等に伝達できるようになり、特にレベル5相当の状況下では、適確な防災対応や避難行動につながるものと期待されます。 こうした施策の実効性を確保するため、
河川管理施設や水位の変動の状況などを気象庁が的確に把握するための気象庁と水防に関する事務を行う国土交通省、都道府県との連携
氾濫による著しい危険の切迫がある場合における河川管理者等による関係者への通報
を、気象業務法、水防法にそれぞれ位置付けました。

(改正事項②:高潮の予報・警報)
また、従来、海面の水位(潮位)の上昇を予想することで高潮の予報・警報を行ってきましたが、実際には、高潮による浸水は、潮位の上昇に加えて、押し寄せた波が海岸の地形や堤防などの施設に打ち上がる効果も合わせて発生するため、より精緻で、実態に即した高潮を予測するには、こうした「波の打上げ」の要素を加味する必要がありました。 こうした中、水管理・国土保全局では、波の打上げ高を予測するシステムを開発し、令和8年度から正式に運用を開始することとなりました。今後は、
「潮位や波浪の予想」を行う気象庁
「波の打上げ高の予想」を行う国土交通省
「水位の観測結果や沿岸の地形・施設等の情報」を有する都道府県
が連携することで、より精緻な高潮の予報・警報を行うことが可能となったことから、高潮に係る共同予報・警報の制度を創設しました。これにより、高潮に対する警戒避難体制の強化につながるものと期待されます。
まずは、これら改正法の趣旨について関係者に周知・徹底を図り、施策の実効性確保に努めていきます。

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※そのほか、外国法人等による予報業務に関する規制の強化が盛り込まれています。

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社会資本整備重点計画と交通政策基本計画の一体的策定
社会資本整備重点計画+交通政策基本計画

社会資本整備重点計画と交通政策基本計画の一体的策定

施策の詳細

経緯

(社会資本整備重点計画) 社会資本整備重点計画は、社会資本整備重点計画法(平成15年法律第20号)に基づき、社会資本整備事業を重点的、効果的かつ効率的に推進するために策定する計画です。 計画の対象は、道路、交通安全施設、鉄道、空港、港湾、航路標識、公園・緑地、水道、下水道、河川、砂防、地すべり、急傾斜地及び海岸等とされています。主な計画事項は、社会資本整備事業の実施に関する重点目標、重点目標の達成のため効果的かつ効率的に実施すべき社会資本整備事業の概要、社会資本整備事業を重点的・効果的かつ効率的に実施するための措置等とされています。 平成15年に第1次計画を策定して以降、順次、計画の改定を重ねてきました。直近では、令和3年度から令和7年度までの5年間を計画期間とする「第5次計画」に基づき、社会資本整備事業を推進してきました。 (交通政策基本計画) また、交通政策基本計画は、交通政策基本法(平成25年法律第92号)に基づき、交通に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、交通に関する施策に関する基本的な計画を定めるものです。 主な計画事項は、交通に関する施策についての基本的な方針、交通に関する施策についての目標、交通に関し、政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策等とされています。 平成26年に第1次交通政策基本計画を策定して以降、順次、計画の改定を重ねてきました。直近では、令和3年度から令和7年度までの5年間を計画期間とする「第2次計画」に基づき、交通に関する施策を推進してきました。

両計画の一体的策定

直近の計画に係る計画期間は、いずれも令和7年度までとされていたことから、令和6年4月より、次期計画の策定に向けた具体的な検討を開始しました。 その際、社会資本整備と交通は、共に国民の生活を支える基盤であること、共に「人」によって支えられていること、共にDXや自動化等イノベーションの力を最大限活用することが重要であることを踏まえ、それぞれが直面する課題を総合的に解決するため、社会資本整備政策と交通政策の連携を強化し、社会資本整備重点計画と交通政策基本計画を「車の両輪」として、一体的に策定することとしました。 具体的には、両計画が、社会資本整備分野と交通分野で関連する施策を双方に盛り込み、社会資本整備分野と交通分野の関係を明らかにしました。 例えば、持続的な地域社会の形成に向けて、立地適正化計画に基づく都市機能の誘導・集積と、地域内外を結ぶ公共交通サービスの確保を一体で取り組むこととしています。 また、強靱な物流ネットワークの構築による生産性向上を図るため、道路・港湾等のインフラ整備と、モーダルシフトの推進の施策を一体で取り組むこととしています。 その上で、両計画が目指すゴールを、共通のメッセージとして掲げました。具体的には、「人口減少という危機を好機に変え、一人ひとりが豊かさと安心を実感できる持続可能な活力ある経済・社会の実現」を目指すこととしました。

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社会資本整備重点計画と交通政策基本計画の一体的な策定
(令和7年11月28日 社会資本整備審議会・交通政策審議会計画部会資料)

第6次社会資本整備重点計画のポイント

持続的な地域社会の形成
人口減少の危機に真正面から取り組むため、インフラ整備と交通政策の連携のもと、生活サービスの維持に必要な集積と移動の足が確保された地域づくりを目指した新たな施策体系を示し、重点目標1)に位置づけました。

インフラ老朽化対策
埼玉県八潮市の道路陥没事故を踏まえ、老朽インフラ対策の充実・強化(点検・調査のメリハリ)を図ります。地域の将来像に即したインフラ老朽化対策等を推進します(まちづくりとの連携、全市町村等の取組の「見える化」)。

社会資本整備を支える基盤の強化
インフラを支える主体(地方自治体、建設業)の確保・育成について、重点目標4)に位置づけ、インフラ整備と一体をなすものとして推進します。

第3次交通政策基本計画のポイント

地域社会を支える、地域課題に適応した交通の実現
全国各地で発生している「交通空白」の解消に向けて、地域の輸送資源のフル活用等を加速するための新たな制度的枠組みの構築等、国の総合的支援の下、地域交通のリ・デザインを全面展開します。

成長型経済を支える、交通ネットワーク・システムの実現
成田空港の3本目の滑走路の整備等、基幹的な交通の整備や、造船業の再生や港湾整備等、国際競争力の向上や経済安全保障の観点での施策に取り組みます。

デジタル・新技術の力を活かした交通サービスの進化
長期的に持続可能な交通サービスの実現に向けたデジタル・新技術の活用、中でも本格的な自動運転社会の早期実現に向けた取組を推進します。

今後の取組

両計画を国土交通省の今後の礎として、施策を着実に推進することにより、地域の生活・なりわいを支えるとともに、力強い経済成長の実現に努めてまいります。
参考
社会資本整備重点計画について
https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/point/sosei_point_tk_000003.html
交通政策基本計画について
https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/transport/sosei_transport_fr_000106.html

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社会資本整備審議会長および交通政策審議会長から金子大臣に対し計画案を手交(令和8年1月8日)
左から社会資本整備審議会 安永会長、金子大臣、交通政策審議会 橋本会長
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(左から、金子大臣、安永会長、橋本会長)

写真ギャラリー(3枚横並び)

(金子大臣)
(金子大臣)
(安永会長)
(安永会長)
(橋本会長)
(橋本会長)

手交式での歓談の様子(令和8年1月8日)

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