国土交通省の「現場力」紹介(現場職員インタビュー)
「現場力」紹介(現場職員インタビュー)
北海道運輸局 自動車交通部 旅客第一課
現場職員インタビュー
自然災害時における観光旅客等の足の確保
主な略歴
- 1998(H10).4 運輸省北海道運輸局札幌陸運支局輸送課 採用
- 2018(H30).4 国土交通省北海道運輸局自動車交通部旅客第一課 課長補佐
- 2019(H31).4 国土交通省北海道運輸局函館運輸支局 首席運輸企画専門官(輸送・監査担当)
- 2022(R4).4 国土交通省北海道運輸局札幌運輸支局 首席運輸企画専門官(輸送・監査担当)
- 2025(R7).4 現職
01 現在の業務概要
「平時から非常時まで交通を止めない」を目指して
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經亀さんの現在の業務内容を教えて下さい。
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私の業務は、端的に申し上げれば、自動車交通を活用して地域の皆様の「足」を確保する仕事です。具体的には、輸送の安全確保等を図るための乗合バス・貸切バスに対する許認可業務、厳しい経営状況にある交通事業者に対する財政支援業務、退職予定自衛官の再就職支援を通じたバス業界の人材確保対策などを担当しています。併せて、外国人利用者が増加するレンタカーの事故防止対策にも取り組んでいます。
さらに、大雪などの非常時には、新千歳空港等の旅客施設において旅客の滞留が発生しないよう、関係機関や事業者と連携して代替輸送の確保や情報共有の調整を行うなど、いわば「平時から非常時まで交通を止めない」ための調整役を担っています。
03 北海道運輸局の対応①
利用者向け情報提供の実施
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そうした状況下で、北海道運輸局ではどのような対策を講じましたか。
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鉄道、バスともに大幅な運休・遅延等が発生している状況下でしたので、まずは、利用者に対し、正確な運行情報を丁寧に届けることが何より重要であると考えました。
もちろん、各運行事業者においても、利用者に対する個別の情報提供はなされていましたが、国において、これらの情報を総合的、かつ、モード横断的に提供することも重要です。
北海道運輸局では、令和4年度より「北海道旅の安全情報サイト 」を運用してきました。このサイトは、交通情報のプラットフォームとして、交通に関する情報を、総合的に、かつ、いつでも入手できることをコンセプトとして運用しています。
災害時には、各交通事業者が、直接、「北海道旅の安全情報サイト」の掲示板(トピックス)へ運休情報等を掲載できる機能も設けており、掲示板に掲載された内容は、日本語のほか、英語、中国語(繁体字・簡体字)、韓国語の多言語表記(自動翻訳)により情報発信することができます。
また、震度5強以上の地震など大規模な災害が発生した場合に、訪日外国人旅行者向けに交通機関・避難所等の情報を伝達する「災害情報伝達システム」 の機能も備えており、今回の大雪では、システムを構築して以降、初めてこの機能を活用し、外国人旅行者を含む観光旅客等に対する丁寧な情報提供に努めました。
特に、1月28日(水)、29日(木)の各21時以降の「快速エアポート」の計画運休に当たっては、①旅客に対する事前の情報提供、②航空旅客に対する、より早い便への振替要請等を重点的に行いました。
このほか、タクシーによる個別輸送の強化を図るべく、北海道ハイヤータクシー協会及び新千歳空港を管理・運営する北海道エアポート㈱と連携のうえ、営業区域外旅客運送を認めることとしました。
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今お話しのあった営業区域外旅客運送とは、具体的にどのようなものでしょうか。
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タクシーには「営業区域」があり、タクシー会社の営業所の所在地に基づいて営業が許可された区域内でのみ営業が可能です。道路運送法第20条に基づき、乗車地と降車地のどちらもが営業区域外にある運送はできませんが、災害の場合その他緊急を要するときなど一定の条件を満たした場合は、例外的に営業区域外での運送が可能となります。
今回は、大雪により鉄道、バスが大幅に運休・遅延している状況下であり、タクシーによる輸送を強化する必要があったことから、北海道運輸局として、営業区域外旅客運送を認めることとしました。
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先ほどお話しのあった「北海道旅の安全情報サイト」を通じた情報提供は、どの程度、有効だったと評価されていますか。
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1月25日(日)と26日(月)累計で新規ユーザーが約2,200人(うち、外国人約300人)増え、約5,100アクセスがありました。また、21時以降の札幌駅発着列車を全て運休した28日(水)には、新規ユーザーが約 24,000人(うち、外国人約200人)増えましたので、非常時における情報発信ツールとして、一定の役割を果たせたものと考えています。
北海道旅の安全情報サイトにおける情報発信の例(左:日本語表記、右:英語表記)
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このほか、観光旅客等向けの情報提供に際して工夫した点はありましたか。
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「北海道旅の安全情報サイト」では、利用者目線に立った情報発信を心掛けました。例えば、運休本数ではなく何便が運行しているかに着目して情報を発信したほか、1運行あたりのキャパシティや、地下鉄東西線大谷地駅に直結し札幌中心部へのアクセスが可能であることなど結節点となる大谷地バスターミナルの特徴なども併せて提供しました。
また、北海道運輸局HPへの情報掲載のほか、運輸局の公式Xも活用し、大谷地バスターミナルの混雑状況等を写真付きリアルタイムで提供するなど、きめ細かな情報発信に努めました。利用者からは、「混雑状況を参考にして行程を検討することができた」等の反響がありました。
また、公式Xでは、日本語・英語の2か国語で情報発信し、さらに関係機関と連携し、Xの投稿を相互にリポストし合うことで発信力を高め、情報の更なる拡散を図りました。
Xは、リアルタイムに情報を発信するうえで効果的であり、今後の災害時等においても有効に活用していく考えです。
05 今後の業務目標
豊かな自然環境という北海道の強みを活かしつつ、非常時には柔軟な代替輸送の確保を
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積雪寒冷地である北海道の厳しい自然の中では、今後もまた同様の事態が発生する可能性もあろうかと思います。今回の経験を踏まえ、今後、自然災害時の観光旅客等の足の確保に向けて、北海道運輸局として、どのように対応していく考えですか。
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北海道では、積雪や寒波といった厳しい自然条件の下、今後も同様の事態が起こり得るものと認識しています。今回の雪害対応を通じて、関係機関が早い段階から情報を共有し、状況に応じて柔軟に代替輸送を組み立てていくことの重要性を改めて確認しました。
北海道運輸局と北海道エアポート㈱は、関係機関の参画を得て、大雪等の災害時に新千歳空港における滞留者の発生を予防し、また、滞留者が発生した場合にその解消を図るスキームを事前に構築しておくこと等を目的とする「大雪等による新千歳空港滞留者解消連携会議」を定期的に開催しています。引き続き、こうした枠組みを活用し、関係機関との平時からの連携を一層強化するとともに、災害時の情報共有や意思決定の手順を整理し、実践的な訓練や検証を重ねていきたいと考えています。
自然条件をコントロールすることはできませんが、関係者が連携し、知恵と経験を積み重ねることで、観光旅客を含む利用者の「足」をできる限り確保するための体制づくりは可能であると考えています。
豊かな自然環境は、北海道の大きな強みです。引き続き、この強みを最大限に活かすべく、運輸局職員として「平時から非常時まで交通を止めない」ことを目指して、取組みを進めてまいります。
大雪等による新千歳空港滞留者解消連携会議の様子
