○国土交通省令第115号
高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法
律(平成十八年法律第九十一号)第十三条第一項の規定に基づき、移動等円滑化のために必要な特定公園施設の設置に関する基準を定める省令を次のように定め
る。
平成十八年十二月十八日
国土交通大臣 冬柴 鐵三
移動等円滑化のために必要な特定公園施設の設置
に関する基準を定める省令
(趣旨)
第一条 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関
する法律第十三条第一項の規定に基づく移動等円滑化のために必要な特定公園施設の設置に関する基準は、都市公園法(昭和三十一年法律第七十九号)、都市公
園法施行令(昭和三十一年政令第二百九十号)及び都市公園法施行規則(昭和三十一年建設省令第三十号)に定めるもののほか、この省令の定めるところによ
る。
(一時使用目的の特定公園施設)
第二条 災害等のため一時使用する特定公園施設の設置
については、この省令の規定によらないことができる。
(園路及び広場)
第三条 不特定かつ多数の者が利用し、又は主として高
齢者、障害者等が利用する高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律施行令(平成十八年政令第三百七十九号。以下「令」という。)第三条第一号
に規定する園路及び広場を設ける場合は、そのうち一以上は、次に掲げる基準に適合するものでなければならない。
一 出入口は、次に掲げる基準に適合するものであるこ
と。
イ 幅は、百二十センチメートル以上とすること。ただ
し、地形の状況その他の特別の理由によりやむを得ない場合は、九十センチメートル以上とすることができる。
ロ 車止めを設ける場合は、当該車止めの相互間の間隔
のうち一以上は、九十センチメートル以上とすること。
ハ 出入口からの水平距離が百五十センチメートル以上
の水平面を確保すること。ただし、地形の状況その他の特別の理由によりやむを得ない場合は、この限りでない。
ニ ホに掲げる場合を除き、車いす使用者が通過する際
に支障となる段がないこと。
ホ 地形の状況その他の特別の理由によりやむを得ず段
を設ける場合は、傾斜路(その踊場を含む。以下同じ。)を併設すること。
二 通路は、次に掲げる基準に適合するものであるこ
と。
イ 幅は、百八十センチメートル以上とすること。ただ
し、地形の状況その他の特別の理由によりやむを得ない場合は、通路の末端の付近の広さを車いすの転回に支障のないものとし、かつ、五十メートル以内ごとに
車いすが転回することができる広さの場所を設けた上で、幅を百二十センチメートル以上とすることができる。
ロ ハに掲げる場合を除き、車いす使用者が通過する際
に支障となる段がないこと。
ハ 地形の状況その他の特別の理由によりやむを得ず段
を設ける場合は、傾斜路を併設すること。
ニ 縦断勾配は、五パーセント以下とすること。ただ
し、地形の状況その他の特別の理由によりやむを得ない場合は、八パーセント以下とすることができる。
ホ 横断勾配は、一パーセント以下とすること。ただ
し、地形の状況その他の特別の理由によりやむを得ない場合は、二パーセント以下とすることができる。
ヘ 路面は、滑りにくい仕上げがなされたものであるこ
と。
三 階段(その踊場を含む。以下同じ。)は、次に掲げ
る基準に適合するものであること。
イ 手すりが両側に設けられていること。ただし、地形
の状況その他の特別の理由によりやむを得ない場合は、この限りでない。
ロ 手すりの端部の付近には、階段の通ずる場所を示す
点字をはり付けること。
ハ 回り段がないこと。ただし、地形の状況その他の特
別の理由によりやむを得ない場合は、この限りでない。
ニ 踏面は、滑りにくい仕上げがなされたものであるこ
と。
ホ 段鼻の突き出しその他のつまずきの原因となるもの
が設けられていない構造のものであること。
ヘ 階段の両側には、立ち上がり部が設けられているこ
と。ただし、側面が壁面である場合は、この限りでない。
四 階段を設ける場合は、傾斜路を併設しなければなら
ない。ただし、地形の状況その他の特別の理由により傾斜路を設けることが困難である場合は、エレベーター、エスカレーターその他の昇降機であって高齢者、
障害者等の円滑な利用に適した構造のものをもってこれに代えることができる。
五 傾斜路(階段又は段に代わり、又はこれに併設する
ものに限る。)は、次に掲げる基準に適合するものであること。
イ 幅は、百二十センチメートル以上とすること。ただし、階段又は段に併設する場合は、九
十センチメートル以上とすることができる。
ロ 縦断勾配は、八パーセント以下とすること。
ハ 横断勾配は、設けないこと。
ニ 路面は、滑りにくい仕上げがなされたものであるこ
と。
ホ 高さが七十五センチメートルを超える傾斜路にあっ
ては、高さ七十五センチメートル以内ごとに踏幅百五十センチメートル以上の踊場が設けられていること。
ヘ 手すりが両側に設けられていること。ただし、地形
の状況その他の特別の理由によりやむを得ない場合は、この限りでない。
ト 傾斜路の両側には、立ち上がり部が設けられている
こと。ただし、側面が壁面である場合は、この限りでない。
六 高齢者、障害者等が転落するおそれのある場所に
は、さく、令第十一条第二号に規定する点状ブロック等及び令第二十一条第二項第一号に規定する線状ブロック等を適切に組み合わせて床面に敷設したもの(以
下「視覚障害者誘導用ブロック」という。)その他の高齢者、障害者等の転落を防止するための設備が設けられていること。
七 次条から第十一条までの規定により設けられた特定
公園施設のうちそれぞれ一以上及び高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律施行規則(平成十八年国土交通省令第 号)第二条第二項の主要
な公園施設に接続していること。
(屋根付広場)
第四条 不特定かつ多数の者が利用し、又は主として高
齢者、障害者等が利用する屋根付広場を設ける場合は、そのうち一以上は、次に掲げる基準に適合するものでなければならない。
一 出入口は、次に掲げる基準に適合するものであるこ
と。
イ 幅は、百二十センチメートル以上とすること。ただ
し、地形の状況その他の特別の理由によりやむを得ない場合は、八十センチメートル以上とすることができる。
ロ ハに掲げる場合を除き、車いす使用者が通過する際に支障となる段がないこと。
ハ 地形の状況その他の特別の理由によりやむを得ず段
を設ける場合は、傾斜路を併設すること。
二 車いす使用者の円滑な利用に適した広さが確保され
ていること。
(休憩所及び管理事務所)
第五条 不特定かつ多数の者が利用し、又は主として高
齢者、障害者等が利用する休憩所を設ける場合は、そのうち一以上は、次に掲げる基準に適合するものでなければならない。
一 出入口は、次に掲げる基準に適合するものであるこ
と。
イ 幅は、百二十センチメートル以上とすること。ただ
し、地形の状況その他の特別の理由によりやむを得ない場合は、八十センチメートル以上とすることができる。
ロ ハに掲げる場合を除き、車いす使用者が通過する際に支
障となる段がないこと。
ハ 地形の状況その他の特別の理由によりやむを得ず段
を設ける場合は、傾斜路を併設すること。
ニ 戸を設ける場合は、当該戸は、次に掲げる基準に適
合するものであること。
(1) 幅は、八十センチメートル以上とすること。
(2) 高齢者、障害者等が容易に開閉して通過できる構造
のものであること。
二 カウンターを設ける場合は、そのうち一以上は、車
いす使用者の円滑な利用に適した構造のものであること。ただし、常時勤務する者が容易にカウンターの前に出て対応できる構造である場合は、この限りでな
い。
三 車いす使用者の円滑な利用に適した広さが確保され
ていること。
四 不特定かつ多数の者が利用し、又は主として高齢
者、障害者等が利用する便所を設ける場合は、そのうち一以上は、第八条第二項、第九条及び第十条の基準に適合するものであること。
2 前項の規定は、不特定かつ多数の者が利用し、又は
主として高齢者、障害者等が利用する管理事務所について準用する。この場合において、同項中「休憩所を設ける場合は、そのうち一以上は」とあるのは、「管
理事務所は」と読み替えるものとする。
(野外劇場及び野外音楽堂)
第六条 不特定かつ多数の者が利用し、又は主として高
齢者、障害者等が利用する野外劇場は、次に掲げる基準に適合するものでなければならない。
一 出入口は、第四条第一項第一号の基準に適合するも
のであること。
二 出入口と次号の車いす使用者用観覧スペース及び第
四号の便所との間の経路を構成する通路は、次に掲げる基準に適合するものであること。
イ 幅は、百二十センチメートル以上とすること。ただ
し、地形の状況その他の特別の理由によりやむを得ない場合は、通路の末端の付近の広さを車いすの転回に支障のないものとした上で、幅を八十センチメートル
以上とすることができる。
ロ ハに掲げる場合を除き、車いす使用者が通過する際
に支障となる段がないこと。
ハ 地形の状況その他の特別の理由によりやむを得ず段
を設ける場合は、傾斜路を併設すること。
ニ 縦断勾配は、五パーセント以下とすること。ただ
し、地形の状況その他の特別の理由によりやむを得ない場合は、八パーセント以下とすることができる。
ホ 横断勾配は、一パーセント以下とすること。ただ
し、地形の状況その他の特別の理由によりやむを得ない場合は、二パーセント以下とすることができる。
ヘ 路面は、滑りにくい仕上げがなされたものであるこ
と。
ト 高齢者、障害者等が転落するおそれのある場所に
は、さく、視覚障害者誘導用ブロックその他の高齢者、障害者等の転落を防止するための設備が設けられていること。
三 当該野外劇場の収容定員が二百以下の場合は当該収
容定員に五十分の一を乗じて得た数以上、収容定員が二百を超える場合は当該収容定員に百分の一を乗じて得た数に二を加えた数以上の車いす使用者が円滑に利
用することができる観覧スペース(以下「車いす使用者用観覧スペース」という。)を設けること。
四 不特定かつ多数の者が利用し、又は主として高齢
者、障害者等が利用する便所を設ける場合は、そのうち一以上は、第八条第二項、第九条及び第十条の基準に適合するものであること。
2 車いす使用者用観覧スペースは、次に掲げる基準に
適合するものでなければならない。
一 幅は九十センチメートル以上であり、奥行きは百二
十センチメートル以上であること。
二 車いす使用者が利用する際に支障となる段がないこ
と。
三 車いす使用者が転落するおそれのある場所には、さ
くその他の車いす使用者の転落を防止するための設備が設けられていること。
3 前二項の規定は、不特定かつ多数の者が利用し、又
は主として高齢者、障害者等が利用する野外音楽堂について準用する。
(駐車場)
第七条 不特定かつ多数の者が利用し、又は主として高
齢者、障害者等が利用する駐車場を設ける場合は、そのうち一以上に、当該駐車場の全駐車台数が二百以下の場合は当該駐車台数に五十分の一を乗じて得た数以
上、全駐車台数が二百を超える場合は当該駐車台数に百分の一を乗じて得た数に二を加えた数以上の車いす使用者が円滑に利用することができる駐車施設(以下
「車いす使用者用駐車施設」という。)を設けなければならない。ただし、専ら大型自動二輪車及び普通自動二輪車(いずれも側車付きのものを除く。)の駐車
のための駐車場については、この限りでない。
2 車いす使用者用駐車施設は、次に掲げる基準に適合
するものでなければならない。
一 幅は、三百五十センチメートル以上とすること。
二 車いす使用者用駐車施設又はその付近に、車いす使
用者用駐車施設の表示をすること。
(便所)
第八条 不特定かつ多数の者が利用し、又は主として高
齢者、障害者等が利用する便所は、次に掲げる基準に適合するものでなければならない。
一 床の表面は、滑りにくい仕上げがなされたものであ
ること。
二 男子用小便器を設ける場合は、一以上の床置式小便
器、壁掛式小便器(受け口の高さが三十五センチメートル以下のものに限る。)その他これらに類する小便器が設けられていること。
三 前号の規定により設けられる小便器には、手すりが
設けられていること。
2 不特定かつ多数の者が利用し、又は主として高齢
者、障害者等が利用する便所を設ける場合は、そのうち一以上は、前項に掲げる基準のほか、次に掲げる基準のいずれかに適合するものでなければならない。
一 便所(男子用及び女子用の区別があるときは、それ
ぞれの便所)内に高齢者、障害者等の円滑な利用に適した構造を有する便房が設けられていること。
二 高齢者、障害者等の円滑な利用に適した構造を有す
る便所であること。
第九条 前条第二項第一号の便房が設けられた便所は、
次に掲げる基準に適合するものでなければならない。
一 出入口は、次に掲げる基準に適合するものであるこ
と。
イ 幅は、八十センチメートル以上とすること。
ロ ハに掲げる場合を除き、車いす使用者が通過する際
に支障となる段がないこと。
ハ 地形の状況その他の特別の理由によりやむを得ず段
を設ける場合は、傾斜路を併設すること。
ニ 高齢者、障害者等の円滑な利用に適した構造を有す
る便房が設けられていることを表示する標識が設けられていること。
ホ 戸を設ける場合は、当該戸は、次に掲げる基準に適
合するものであること。
(1) 幅は、八十センチメートル以上とすること。
(2) 高齢者、障害者等が容易に開閉して通過できる構造
のものであること。
二 車いす使用者の円滑な利用に適した広さが確保され
ていること。
2 前条第二項第一号の便房は、次に掲げる基準に適合
するものでなければならない。
一 出入口には、車いす使用者が通過する際に支障とな
る段がないこと。
二 出入口には、当該便房が高齢者、障害者等の円滑な
利用に適した構造のものであることを表示する標識が設けられていること。
三 腰掛便座及び手すりが設けられていること。
四 高齢者、障害者等の円滑な利用に適した構造を有す
る水洗器具が設けられていること。
3 第一項第一号イ及びホ並びに第二号の規定は、前項
の便房について準用する。
第十条 前条第一項第一号イからハまで及びホ並びに第
二号並びに第二項第二号から第四号までの規定は、第八条第二項第二号の便所について準用する。この場合において、前条第二項第二号中「当該便房」とあるの
は、「当該便所」と読み替えるものとする。
(水飲場及び手洗場)
第十一条 不特定かつ多数の者が利用し、又は主として
高齢者、障害者等が利用する水飲場を設ける場合は、そのうち一以上は、高齢者、障害者等の円滑な利用に適した構造のものでなければならない。
2 前項の規定は、不特定かつ多数の者が利用し、又は
主として高齢者、障害者等が利用する手洗場について準用する。
(掲示板及び標識)
第十二条 不特定かつ多数の者が利用し、又は主として
高齢者、障害者等が利用する掲示板は、次に掲げる基準に適合するものでなければならない。
一 高齢者、障害者等の円滑な利用に適した構造のもの
であること。
二 当該掲示板に表示された内容が容易に識別できるも
のであること。
2 前項の規定は、不特定かつ多数の者が利用し、又は
主として高齢者、障害者等が利用する標識について準用する。
第十三条 第三条から前条までの規定により設けられた
特定公園施設の配置を表示した標識を設ける場合は、そのうち一以上は、第三条の規定により設けられた園路及び広場の出入口の付近に設けなければならない。
附 則
(施行期日)
第一条 この省令は、高齢者、障害者等の移動等の円滑
化の促進に関する法律の施行の日(平成十八年十二月二十日)から施行する。
(経過措置)
第二条 この省令の施行の日から起算して六月を経過す
る日までの間は、第三条から第十一条まで及び第十三条の規定は適用しない。