第15編 地域防災計画の作成の基準
 
地域防災計画は、次に掲げる事項につき、当該事項ごとに定めるところにより作成するものとする。
 
第1章 災害予防に関する事項
 
第1節 災害に強い地域づくりに関する事項
都市の防災構造化対策の計画的推進を図るため、都市防災に関する方針の都市計画への位置づけに配慮するとともに、避難地、避難路、延焼遮断帯等都市の骨格的な防災施設の整備に関する事項、防災上危険な密集市街地の整備に関する事項等を主な内容とする「防災都市づくり計画」を定めること。「防災都市づくり計画」は、消防防災部局、都市計画部局等関係部局間の連携を密に図るとともに、災害危険度判定調査等を実施し、客観的でわかりやすいデータに基づき、市民の理解と協力を得て策定すること。
広域避難地、一次避難地、避難路、延焼遮断帯、広域防災拠点の機能を有する都市公園等について、防災公園等として適切な位置づけを行うとともに、他施設との連携・機能分担を図った系統的かつ計画的な配置と整備の推進について定めること。
また、都市公園等の都市基盤施設と一体となった各種公共・公益施設の集中立地等による地域の防災活動拠点の整備、市街地の防災性向上のための緑地・オープンスペース等の整備の推進について定めること。
河川・海岸堤防等の施設の整備とともに、流域の適正な土地利用の誘導等も含め総合的な治水対策の推進について定めるほか、高規格堤防(スーパー堤防)の整備等の超過洪水対策、流域の保水及び遊水機能の確保対策、堤防等の耐震対策、津波・高潮対策等の推進について定めること。
土砂災害危険箇所等における砂防設備、地すべり防止施設、急傾斜地崩壊防止施設を整備するとともに、避難地、避難路、都市間を結ぶ重要交通網、防災拠点、住宅・建築物等の保全等を考慮した総合的な土砂災害対策の推進について定めること。
土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律に基づき、土砂災害が発生するおそれがある土地の区域における警戒避難体制の整備、著しい土砂災害が発生するおそれがある土地の区域における一定の開発行為の制限、建築物の構造の規制、建築物の移転等の措置について定めること。
災害の発生に対して代替路となる経路を確保するための高規格幹線道路、一般国道等の災害に強い幹線道路ネットワーク整備、道路施設等の点検、防災対策の実施等、道路防災対策の推進について定めること。
港湾における耐震強化岸壁、臨海部防災拠点の整備等の推進について定めること。
ヘリコプターの離着陸施設としてヘリポートの整備促進、場外離着陸場として使用可能な場所の調査、把握等に努めること。
第2節 交通利用者・被災者の安全確保
地方公共団体が自ら管理する旅客施設等に係わる利用者の避難誘導体制等の整備を図るとともに、地方支分部局と協力して、関係公共機関、関係事業者が管理する域内の交通施設等に係わる避難誘導体制等の整備を指導すること。
地方支分部局、関係公共機関、関係事業者と協力して、国土交通省及び関係公共機関、関係事業者が管理する土地、施設、設備の避難路、避難場所、仮設住宅用地、宿泊施設等としての活用について検討すること。
第3節 ライフライン施設・公共施設の災害に対する安全性の確保に関する事項
施設の災害に対する安全性を確保するための点検の方法及び体制についての計画を定めること。
共同溝・電線共同溝の整備に関する計画を定めること。
第4節 緊急輸送の確保に関する事項
災害時の緊急輸送の確保のため緊急輸送計画の策定、具体化にあたっては、発災時等に人流、物流が途絶することがないよう、迂回ルート、代替・補完施設の確保等に十分配慮し定めること。
地方公共団体は自ら管理する交通施設等の耐災害性の強化を図るとともに、地方支分部局等と協力して、関係公共機関、関係事業者が管理する域内の交通施設等の耐災害性の強化を指導すること。
地方支分部局を始めとする関係行政機関、関係公共機関、関係事業者と協力して、具体的な被害想定に基づき、緊急輸送ネットワークを整備するとともに、緊急輸送ネットワークを構成する輸送施設、輸送拠点の耐災害性の強化に努める。
地方公共団体と関係公共機関、関係事業者等とが緊急輸送の実施に係わる協定を締結することなど、その協力確保に努めること。
また、緊急輸送に特に重要な役割を果たす関係公共機関、関係事業者及びその団体を指定地方公共機関に指定すること。
災害発生時における緊急輸送道路についての整備及び施設の耐震性の確保の推進について定めること。緊急輸送道路ネットワーク計画に基づき、計画的に整備を推進すること。
災害発生時の緊急輸送を確保するため、河川、海岸堤防の管理用通路、緊急用河川敷道路、海岸道路、ヘリポート等の整備の推進について定めること。整備に当たっては、緊急輸送ネットワークの多重化、代替性を考慮し、関係機関への周知に努めるものとすること。
第5節 代替輸送の確保に関する事項
地方支分部局を始めとする関係行政機関が、関係公共機関、関係事業者に対し、代替輸送体制の整備について指導する場合には、必要な協力を行うこと。
第6節 防災上必要な教育等に関する事項
次の事項について定めること。
職員の研修機関は、防災業務に関係する職員の研修を行うこと。
防災業務に従事する職員を教育するため、講演会、講習会、研究会等を随時開催し、また、その内容を整備充実すること。
テレビ、ラジオ、新聞等を利用して、防災知識の普及を図ること。
防災に関する図書、機関紙等の発行、配布等を行うこと。
一般住民の防災思想の普及を図るため、防災関連行事、防災関係機関の見学会防災映画の映写会等を実施すること。
砂防ボランティア、斜面判定士、被災建築物の応急危険度判定士、建築物耐震診断技術者、構造物危険度判定士、防災エキスパート、被災宅地危険度判定士等の人材の育成及び活用を図るとともに、公的な機関等による研修の参加を支援すること。
水防団等の研修・訓練や災害発生時に活動の拠点となる施設の整備を図り、組織の活性化を推進し、その育成、強化を図ること。
防災についての啓蒙活動を計画、実施するにあたっては、地方支分部局、関係公共機関、関係事業者と密接な連携を図ること。
国土交通省所管の研究機関、大学、関係公共機関、関係事業者と協力して、関係分野における防災に関する研究を推進する。また、研究により得られた成果を速やかに防災対策に反映させること。
第7節 防災上必要な訓練に関する事項
次の事項について定めること。
観測機器の取扱い、観測方法等の訓練を行うこと。
防災に関する命令、観測結果、被害の状況その他の情報の伝達等の訓練を行うこと。
非常無線の訓練を地区ごとに、又は数地区にわたって定期的に行うこと。
都道府県にあっては都道府県ごとに、市町村にあっては市町村ごとに少なくとも年1回水防演習を行うこと。
仮橋等の建設、河川の応急復旧等の訓練を行うこと。
関係機関と協力して総合防災訓練を少なくとも年1回行うこと。
都道府県にあっては、都道府県産業開発青年隊の防災訓練を行うこと。
災害時における緊急・代替輸送体制の整備等を行うよう努めること。
防災訓練を計画、実施するにあたっては、地方支分部局、関係公共機関、関係事業者と密接な連携を図ること。
第8節 災害安全運動時における広報宣伝に関する事項
洪水、高潮、地震、土石流等による危険が切迫した場合における居住者等の水防義務又は避難のための立ち退き等災害防止に関する広報宣伝の実施について定めること。
第9節 水防に関する施設及び設備の整備に関する事項
次の事項について定めること。
水防管理団体に無線通信設備を整備すること。
水防団に小型無線機を整備すること。
雨量、風向、風速、水位、潮位及び波高に関する観測施設を整備すること。
観測の正確を期するため、必要に応じて自記計への転換を図るとともに、迅速にデータを得るため、テレメータ化を図ること。
水防管理団体にあっては、その担当する河川、海岸等について、一定の間隔をおいて、水防倉庫を設け、必要な水防資機材等を整備すること。
河川防災ステーション、津波・高潮防災ステーション、海岸部の防災拠点等の水防活動の拠点整備や、移動式ポンプ等の内水対策施設の整備を計画的に推進すること。
高潮、津波災害を防ぐための水門等の操作の自動化、遠隔化を進めること。
第10節 資機材の備蓄に関する事項
次の事項について定めること。
風水害の発生・拡大の防止や応急復旧に必要な資機材の堤防側帯や備蓄倉庫への備蓄を進めるほか、関係団体の協力が得られるよう、協議しておくこと。
災害発生時に避難地又は避難路となる公園等に、必要に応じ、食料、医薬品等災害応急対策に必要な物資の備蓄倉庫の設置を推進すること。なお、これらの施設の設置に際しては配置、内容、管理方法等について関係機関と十分な連携を図ること。
住宅戸数に応じた住宅建設用資機材の備蓄並びに、災害発生時に当たっての輸送方法及び輸送経路について定めること。
災害対策本部等の運営に必要な食料、水、燃料等の備蓄を定めること。
第11節 災害発生時において危険な区域に関する事項
次の事項について定めること。
災害発生時における危険区域の調査の実施、指定、行為規制等、災害予防上必要な措置を行うこと。
河川又は海岸について、災害に際し水防上重点をおくべき区域を定めて、水防関係機関への通知その他の必要な措置を講ずること。
溢水、湛水並びに土石流、地すべり、がけ崩れ等の災害の発生のおそれのある土地の区域について、都市的土地利用を誘導しないものとするなど、風水害等に強い土地利用の推進に努めること。
風水害に対し、安全な土地利用への誘導と緊急時における警戒避難等に資するため、水防法に基づき、洪水予報河川がはん濫した場合に浸水が想定される区域等を示した浸水想定区域図を公表し関係市町村の長に通知するとともに、浸水実績図、浸水予想区域図、洪水氾濫危険区域図等の作成・公表を推進する。
土石流、地すべり、がけ崩れの土砂災害危険箇所については、砂防関係事業を推進するとともに、危険箇所を関係住民へ周知し、警戒避難体制の整備が円滑に進むよう関係機関からなる総合土砂災害対策推進連絡会を組織するなど必要な措置を講ずること。
建築基準法第39条に規定する災害危険区域の指定を行うとともに、災害を防止するため必要な建築物の建築に関する制限を行うこと。
宅地造成等規制法に基づく宅地造成工事規制区域の指定を行い、災害を防止するための必要な措置を講ずること。
第12節 災害に対する警戒避難体制の整備等に関する事項
地震災害
避難地、避難路(緊急用河川敷道路を含む。)、緊急輸送道路、防災安全街区緊急時の消火用水確保に資する施設、防災拠点等の公表、周知等、地震災害に対する避難体制の確立に関すること。
津波災害
津波災害の予想される地区においてハザードマップの作成、安全情報伝達施設の整備等、津波に対する警戒避難体制の確立に関する事項について定めること。
水害
ハザードマップ、防災マップ等の水害に関する危険区域の公表、周知、これらの災害を防止するための情報の収集及び伝達施設の整備、潮位等の水文情報の観測機器の整備、避難・救助体制の整備等について定めること。
土砂災害
土砂災害を防止するため、ハザードマップ等の作成、公表による土砂災害危険箇所の地域住民に対する周知、警戒避難基準雨量、土砂災害予警報システムの整備、及び平常時から災害時を通じて土砂災害関連情報を住民と行政機関が相互に通報するシステムの整備等による警戒避難体制について定めること。
火山災害
火山災害を防止するため、ハザードマップ等の作成、公表による火山災害に関する危険箇所の地域住民に対する周知、警戒避難基準雨量、火山災害噴火警戒システム等の整備による警戒避難体制について定めること。
雪害
集落に対する雪崩災害の危険箇所の調査の実施、危険箇所の情報の公表、周知に関する事項、及び積雪深計、日射量計、降雪検知計等の雪崩監視装置の設置データの収集・伝達、予警報の発令等の警戒避難体制の整備に関する事項について、計画を定めること。
海上災害
危険物等が大量流出した場合に備えて、避難誘導活動を行うための体制の整備に努めること。
道路通行規制
異常気象時において、道路の通行が危険であると認められる場合における道路通行規制に関する基準等を定め、関係機関等への連絡、通行規制の実施その他必要な措置を講ずること。
第13節 学校、病院、工場、事業場、百貨店、旅館、地下街、高層建築物の災害予防措置に関する事項
学校、病院、工場、事業場、百貨店、旅館、地下街、高層建築物等の所有者又は管理者に、その敷地、構造及び建築設備について、定期的にその状況を報告させるとともに、必要な場合においては、実地に検査し、必要な措置を定めること。
第14節 住宅・建築物の安全性に対する指導に関する事項
住宅をはじめとする建築物の耐震性等について、診断、補強方法等に関する普及・啓発、住民等の指導について定めること。
住宅をはじめとする建築物の風水害に対する安全性の確保を促進するため、「家屋の浸水対策マニュアル」を作成・公表するとともに、基準の遵守の指導等に努めるものとする。
第15節 地震防災緊急事業五箇年計画による施設の整備に関する事項
都道府県知事が地震防災対策特別措置法第2条に基づき作成した地震防災緊急事業五箇年計画に盛り込まれた事業の適切な実施について定めること。
第16節 防災のための適正な土地利用の誘導等に関する事項
次の事項について定めること。
溢水、湛水、津波、高潮、土砂災害等による災害のおそれのある土地の区域について、都市計画法に基づき、おおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域としては、原則として市街化区域に含まない等必要な規制・誘導措置を講ずること。
第17節 豪雪害の予防に関する事項
次の事項について定めること。
降雪及び積雪に関する調査を行い、統計資料を準備しておくこと。
雪崩防止工、流雪溝その他の雪害防止施設の整備充実を図ること。
豪雪時において、迅速かつ円滑な除雪活動を実施し得るよう除雪要員の出動体制及び除雪用機械の調達、配置、輸送方法等について、地域的にあらかじめ計画を定めておくこと。
第18節 海上災害の予防に関する事項
海上災害の予防を図るため、海上交通の安全のための情報の充実、船舶の安全な運航、船舶の安全性の確保、危険物等の大量流出における防除活動、海上交通環境の整備、海上災害及び防災に関する研究等の推進並びに再発防止対策の推進を図ること。
第19節 航空災害の予防に関する事項
航空災害の予防のために、航空交通の安全のための情報の充実、航空機の安全な運航、航空機の安全性の確保、航空交通環境の整備及び再発防止対策の推進を図ること。
航空災害の災害応急対策として被災者の捜索に関する計画を定めること。
第20節 鉄道災害の予防に関する事項
鉄道災害の予防を図るため、鉄軌道交通の安全のための情報の充実、鉄道の安全な運行、鉄軌道車両の安全性の確保、鉄軌道交通環境の整備、鉄軌道の安全確保に関する研究等及び再発防止対策の推進を図ること。
第21節 道路災害の予防に関する事項
次の事項について定めること。
広域的な幹線道路ネットワーク計画に関すること。
道路施設等の点検、防災対策の実施等に関すること。
道路の通行規制基準に関すること。
第22節 港湾危険物災害予防に関する事項
次の事項について定めること。
港湾における危険物等災害の予防に関すること。
広域的な緊急輸送ネットワーク計画に関すること。
港湾施設等の点検、防災対策の実施に関すること。
第23節 石油コンビナート地帯等の周辺市街地における安全の確保に関する事項等災害に対する周辺市街地の安全化措置に関する事項
石油コンビナート等災害防止法第2条に規定する石油コンビナート等特別防災区域における災害が周辺の市街地に及ぶおそれのある地域については、緑地等の設置、隣接市街地の耐震不燃化等を内容とする防災緩衝地帯の整備に関する基本的な事項を定めること。
第24節 大規模な火事災害の予防に関する事項
住宅をはじめとする建築物の防火対策の推進について定めること。
第25節 被災施設等の応急復旧体制に関する事項
地方公共団体が自ら管理する被災施設等の応急復旧体制、2次災害の防止体制の整備を図るとともに、地方支分部局等と協力して、関係公共機関、関係事業者が管理する域内の交通施設等の応急復旧体制、2次災害の防止体制の整備を指導すること。
地方支分部局、関係公共機関、関係事業者と協力して、ボランティア、海外からの支援の受入が可能な分野及び受入を円滑に行うために講ずべき措置について検討すること。
第26節 被害情報の収集・連絡等に関する事項
次の事項について定めること。
他機関との情報交換に関すること。
地震計、河川水位計、雨量計、積雪深計、ワイヤーセンサー、監視用テレビカメラ等の観測機器の計画的な整備に関すること。
複数ルート化・デジタル化等総合防災情報ネットワークの整備に関すること。
道路情報板、路側放送等の道路情報提供装置の整備に関すること。
災害発生時等における地方支分部局、関係公共機関、関係事業者と地方公共団体との間の情報の収集・伝達に関する必要な体制の整備に関すること。
被災地域内の交通関連情報を被災者等に提供するための体制の強化等を図ること。
第27節 他機関との相互応援に関する事項
災害発生時の関係地方支分部局との応援体制について定めること。
交通分野における災害予防対策については、地方公共団体が広域的に密接に連携しつつ、その検討、実施を図ること。
 
第2章 災害応急対策に関する事項
 
第1節 災害に関する予報及び警報の伝達並びに警告の方法に関する事項
気象官署その他の関係機関との連絡組織を定めること。特に、河川管理者、海岸管理者、道路管理者、港湾管理者、航空管理者、鉄道事業者等、公共施設管理者との連絡窓口を明示しておくこと。
非常災害発生時用の専用通信施設の設置を定めること。
通信途絶時における無線通信施設等の確保を定めること。
河川、海岸等ごとに予警報及び警告の発令時期及びその方法並びに伝達の方法について具体的に定めること。特に、災害時要援護者に配慮した伝達の方法に留意すること。
予警報に関する伝達を迅速に行うため、あらかじめ、符号、略語等を定めること。
地方支分部局、関係公共機関、関係事業者と適時適切な情報連絡を行うとともに、住民等の避難輸送を要請すること。
第2節 災害発生時における災害に関する情報の収集等に関する事項
情報の収集及び報告に関する連絡体制を定めること。特に、河川管理者、海岸管理者、道路管理者、港湾管理者、空港管理者、鉄道事業者等、公共施設管理者の連絡窓口を明示しておくこと。
災害に関する情報の収集及び報告に関する責任者を定めること。
地震計、河川水位計、雨量計、積雪深計、ワイヤーセンサー、監視用テレビカメラ等、災害に関する機器の配置現況及び計画を定めること。
地方支分部局、関係公共機関、関係事業者と協力して、域内における交通施設等の被害状況等に関する情報を速やかに収集し、伝達すること。
また、地方支分部局、関係公共機関、関係事業者との情報伝達手段の確保を図ること。
第3節 災害発生時における防災関係職員の参集体制に関する事項
防災業務に従事する職員の参集体制を定めること。
第4節 災害発生時における広報宣伝に関する事項
災害発生時における無用の混乱を防ぐため、ラジオ、テレビ、広報車等により、随時、災害の状況、その見通し、応急対策の措置状況その他災害に関する正確な情報を一般住民に知らせるため、広報宣伝体制を定めること。
広報に関する公共施設管理者との連絡窓口を定めること。
第5節 避難に関する事項
避難命令の伝達及びサイレン、警鐘等による周知の手段方法を定めること。
避難の時期、方法、避難先及び避難経路を定めること。定める際には災害危険箇所に留意すること。
広域避難地、一次避難地、避難路などの機能を有する都市公園等については、防災公園等としての機能強化を図るとともに、関係機関との十分な調整に基づいた避難時の利用計画を定め、住民や公園利用者への事前の周知を図ること。
地方支分部局、関係事業者等と調整の上、国土交通省または関係公共機関、関係事業者の管理する土地、施設、設備を避難場所、仮設住宅用地、宿泊施設等として活用するよう努めること。
第6節 水防活動に関する事項
水防組織、重要水防区域及び危険箇所、気象予警報、水防信号、雨量、水位、潮位及び波高の観測通報、水防資機材の整備、自衛隊の出動の要請その他水防に関し必要な事項について水防計画を定めること。
第7節 災害発生直後の施設の緊急点検に関する事項
災害発生直後の所管公共土木施設の緊急点検の方法、体制その他必要な事項について定めるとともに、施設ごとの緊急点検に関するマニュアルを作成しておくこと。
第8節 災害発生時における通信計画に関する事項
非常時における水防、道路、公共土木施設等の被災に関する情報の収集・連絡体制の強化を図るため、移動通信機材の出動・配備、地方整備局とのマイクロ回線網及び衛星通信回線網への接続強化に関する通信計画を定めること。
第9節 災害発生時における施設、公共施設の応急復旧計画に関する事項
大規模な災害が発生した際に円滑に対応できるよう、道路、河川、下水道、港湾、空港等施設の被害状況の把握及び緊急時の対応について、計画を定めること。この際、施設の応急復旧に関して、広域的な応援を前提とした応援体制の整備を図ること。
第10節 災害発生時における道路交通の確保に関する事項
災害発生時における主要な幹線道路の交通の確保を図るため、応急措置等について必要な事項を定めること。
第11節 緊急輸送に関する事項
域内のニーズ、交通施設等の被害状況、復旧状況、交通機関の運行(航)状況、道路混雑状況、交通規制の導入状況等を常時把握するとともに、地方支分部局を始めとする関係行政機関、関係公共機関、関係事業者と協力して、陸・海・空の輸送モードを活用した緊急輸送が円滑に実施されるよう努めること。
関係公共機関、関係事業者に緊急輸送を要請する場合には、地方公共団体としての窓口を一本化すること。
緊急輸送物資の集配送拠点の設置にあたっては、物資の効率的な輸送の確保に最大限配慮すること。
第12節 代替輸送に関する事項
地方支分部局を始めとする関係行政機関が域内における代替輸送が円滑に行われるよう、関係公共機関、関係事業者に対し指導する場合には、必要な協力を行うこと。
第13節 建設機材の現況の把握及びその緊急使用に関する事項
建設機材の保有状況等の把握及び緊急時における主要建設機材の調達について必要な事項を定めること。
第14節 技術者の現況の把握及びその動員に関する事項
防災関係の技術者及び技能者の現況の把握、緊急時における防災関係技術者及び技能者の動員の方法その他必要な事項について定めること。
第15節 災害発生時における復旧資材の需給計画に関する事項
緊要な災害復旧用資材の民間在庫量の把握及び緊急時における復旧資材の調達について必要な事項を定めること。
第16節 水質事故発生時の防除に関する事項
関係機関との情報連絡・相互支援体制や関係団体等との協力体制に関する事項を定めること。
水質事故発生時の調査や防除活動等に必要な資機材等の整備・運用に関する事項を定めること。
第17節 石油等危険物の大量流出による防除に関する事項
防除資材等の配備状況の把握、防除資材等の整備及び運用、防除活動の協力体制等について必要な事項を定めること。
第18節 災害発生時における応急工事に関する事項
応急工事を迅速かつ適切に行うため、応急用資機材を確保するとともに、それらの輸送経路を定めること。
地方公共団体が自ら管理する施設等について、迅速な応急復旧を実施すること。
地方支分部局等と協力して、関係公共機関、関係事業者が管理する交通施設等について迅速な応急復旧を指導すること。
第19節 二次災害の防止に関する事項
二次災害に関する危険箇所の点検、情報の住民への周知、警戒避難、応急工事に必要な体制、資機材の確保に関する計画について、次の項目について定めること。
災害発生時の所管施設及び危険箇所の点検・現地調査に関する項目
雨量、河川水位、波浪、潮位等、二次災害に関わる水文情報等の観測・監視及び警報の伝達に関する項目
二次災害防止のための警戒、避難場所、避難経路、避難誘導に関する項目
災害・施設ごとの二次災害防止工法その他の対策に関する項目
二次災害防止のための資機材の備蓄に関する項目
公共土木施設管理者等との連携に関する項目
土砂災害危険箇所の周知に関する項目
被災建築物の応急危険度判定の実施体制に関する項目
被災宅地危険度判定の実施に関する項目
関係公共機関、関係事業者が管理する交通施設等の防止対策の指導に関する項目
第20節 ダム、堰、水門等の管理に関する事項
風水害による出水状況、地震による被災状況等の把握及び関係機関との情報交換に関する事項、風水害発生時等においてダム、堰、水門等の効用を十分に発揮するための操作及び当該操作のために必要な事項並びに地震発生後における二次災害防止のために必要な措置に関する事項を定めること。
第21節 被災者への情報提供に関する事項
域内に係わる交通関連情報を適時適切に被災者等に提供すること。
第22節 災害発生時におけるボランティアに関する事項
被災した土木施設の被害情報や土砂災害防止の諸活動を行う、防災エキスパート制度、砂防ボランティア制度、斜面判定士制度等の活用に関する計画を定めること。
ボランティア及び海外からの支援を受け入れることとなった場合、これが円滑に行われるよう所要の支援措置を講じること。
 
第3章 災害復旧・復興に関する事項
 
第1節 復旧に関する情報提供に関する事項
地方支分部局、関係公共機関、関係事業者と協力して、域内における代替輸送が円滑に実施されるよう努めること。また、被災した交通施設等の復旧予定時期、代替輸送の実施状況等に関する情報を被災者等に適時適切に提供すること。
第2節 査定の早期実施に関する事項
次の事項について定めること。
災害発生後できる限り速やかに現地調査、査定設計等を行い、早期に査定申請が行えるよう努めること。
災害査定に当たっては、必要に応じて復旧工法等について査定前に打ち合わせを行い、現地における査定の迅速な処理、手戻りの防止を図ること。
総合単価の適用が可能な場合はできる限りその活用を図ること。
第3節 緊要事業の決定に関する事項
次の事項について定めること。
復旧事業の決定に際しては、被災施設の重要度、被災状況等を勘案の上、緊要事業を定めて、適切な復旧を図ること。
第4節 災害復旧の促進に関する事項
次の事項について定めること。
災害による地域の社会経済活動の低下を最小限にとどめるため、可能な限り迅速かつ円滑な復旧を図るとともに、災害復旧・復興計画を考慮に入れ計画的に実施すること。
年度別の復旧進捗度については、事業の規模・難易度等を勘案して、早期に、かつ円滑に事業を実施すること。
環境汚染の未然防止又は住民等の健康管理のため、適切な措置等を講ずること。
被災した施設等の復旧にあたっては、必要に応じ、所要の財政上、税制上、金融上、技術上の支援措置を講じること。
第5節 再度災害の防止に関する事項
次の事項について定めること。
被災施設の復旧に当たっては、原形復旧を基本にしつつも、再度災害の防止等の観点から、可能な限り改良復旧を行うこと。
河川、砂防設備及び道路の災害復旧事業に関し、寄州、狭窄部、橋梁、堰等の災害発生の原因となった障害物について、必要に応じて除去・是正を行い、再度災害の防止を図ること。
土砂災害の発生箇所等について、迅速に調査を行い応急対策を実施するとともに、災害関連緊急事業等を活用すること。
第6節 借地借家制度等の特例の適用に関する事項
罹災都市借地借家臨時処理法の迅速適切な運用を定めること。
必要に応じ非常災害があった場合の建築基準法の制限の緩和措置を活用すること。
第7節 公営住宅の建設等に関する事項
次の事項について定めること。
地域の住宅事情を踏まえつつ、公営住宅、特定優良賃貸住宅等公的住宅の速やかな供給を推進すること。特に、一定規模以上の住宅被害を受けた災害においては、災害公営住宅の建設を推進すること。
既存公営住宅等の空家を活用し、被災者を一時的に避難させること。その後、入居者資格を有する被災者(災害が大規模な場合には、当該災害により住宅が滅失した被災者等に対して、被災市街地復興特別措置法第21条に規定する公営住宅の入居者資格の特例を適用する。)については、適宜、特定入居を行うべく、事業主体に対して必要な指導又は要請を行うこと。
第8節 被災建築物等の復旧指導の推進に関する事項
被災建築物等の復旧で住民等から相談を受けた場合の措置について、関係機関等との連携、復旧方法等、適切な事項を定めること。
第9節 都市の復興に関する事項
次の事項について定めること。
大規模な災害により地域が壊滅し、社会経済活動に甚大な障害が生じた災害においては、被災地域の再建を可及的速やかに実施するため、災害復旧等の進捗状況を見極めつつ、再度災害防止とより快適な都市環境を目指し、計画的に都市の復興を進めること。
復興のため、市街地の整備改善が必要な場合には、被災市街地復興特別措置法等を活用すること。
復興まちづくりにおいては、地方公共団体が行う専門家の派遣等、住民が参加するまちづくり活動を支援すること。
住民の早急な生活再建の観点から、住民の合意を得るよう努めつつ、市街地の面的整備や防災に資する各種都市施設の総合的・一体的整備等により、合理的かつ健全な市街地の形成と都市機能の更新を図ること。
防災まちづくりの観点から、被災地の復興を進めるに当たり、地方公共団体相互間で、広域的に密接な連携を確保すること。また、必要に応じ、国土交通省及び所管の特殊法人から復旧に必要な技能を有する職員の派遣を受け入れること。
地方支分部局、関係公共機関、関係事業者と協力して、被災した施設等については、安全防災機能の向上、防災施設としての活用等の観点から復旧、復興を計画し、具体化を図ること。
また、市街地の復興と連携したがれき等のすみやかな搬出が図れるよう努めること。地方支分部局を始めとする関係行政機関、関係事業者等と協力して、陸・海・空の輸送モードを活用した復興物資の輸送が円滑に行われるよう努めること。
第10節 被災事業者等に対する支援措置に関する事項
被災した関係公共機関、関係事業者の復興を促進するため、財政上、税制上、金融上の支援措置について検討すること。