タクシーでの長蛇の列をどう解決するか
終電・終バスを逃した駅前に、長蛇の列。なかなか来ないタクシーを待ち続ける人々の姿は、都市部でも観光地でも見られる共通の風景です。特に繁忙期や雨天時などは、移動手段が見つからずに困る利用者が後を絶ちません。
こうした課題を解決するために、「リアルタイム相乗りタクシーマッチングシステム開発プロジェクト」が始まりました。
タクシーをその場でシェアする“リアルタイム相乗り”
このプロジェクトに取り組むのは、独自のAIルーティング技術を活用した配車・シェア乗りサービスを展開する株式会社NearMe。空港シャトルや観光送迎、企業向け通勤サービスなど、これまでも地域や状況に応じたさまざまなライドシェアの実装を手がけてきました。
このプロジェクトのテーマは、「リアルタイム相乗り」です。
「従来の相乗りサービスは事前予約が前提でしたが、今回の実証では、駅前にいる人同士をその場でリアルタイムにマッチングする“ミッドナイトシャトル”として機能させます。終電後の深夜時間帯に、乗車地も目的地も異なる複数の利用者を、最適なルートで効率よく送る仕組みです」と話すのは、同社 代表取締役の髙原幸一郎さん。
対象となるのは、都心のターミナル駅や郊外の終着駅など、深夜時間帯にタクシー需要が集中する地点。車両供給量に限界がある時間帯だからこそ、「相乗り」の合理性が生きてくる場面です。
都市の混雑解消にも、地方の移動支援にも“相乗り”が効く
こうした取り組みの背景には、都市と地方の両方で深刻化する移動課題があります。
「都市部ではタクシーが捕まらない、地方ではそもそも走っていない。まったく逆のように見えて、根底には“移動の選択肢がない”という共通の問題があります。相乗りという形で効率化できれば、限られたリソースを最大限に活用し、より多くの人に“動ける手段”を提供できます」と髙原さんは語ります。
「移動をあきらめざるを得なかった人が、帰宅できるようになる」「出かけることが選択肢に戻ってくる」その小さな積み重ねが、地域の活性化や都市の利便性向上にもつながっていきます。
社会実装で見えてきたリアルな課題
NearMeではこれまで、47都道府県のさまざまな地域で、実際に相乗り運行を行ってきました。その中で見えてきたのは、「サービスの良し悪しだけでは、定着しない」という現場のリアリティです。
「例えば、住民がスマホを使い慣れていない地域では、アプリではなく電話受付の導入が必要になります。逆に都市部では、UIや操作性の“数秒単位”の差が利用体験に大きく影響します。リアルタイム相乗りの仕組みも、単なる技術だけではなく、地域に合わせた運用設計が不可欠です」と髙原さん。
今回の実証でも、どのようなUI設計が適切か、どこまで自動マッチングできるか、乗務員との連携はどうするか、といった観点で詳細な検証が行われる予定です。
相乗りを“当たり前”の選択肢にするには
同社が描く未来は、相乗りが特別な手段ではなく「自然な選択肢」となる社会です。
「相乗りという言葉に構えてしまう方もいるかもしれません。でも、空港や通勤、観光送迎など、場面ごとに分けてみると“実は使えるかも”と感じてもらえるはず。利用者が一歩踏み出しやすい仕組みづくりこそが、普及のカギだと思っています」
将来的には、観光地の混雑緩和や、災害時の避難支援、医療・介護との連携など、社会的意義の高い活用も視野に入れています。
深夜の移動支援から、社会インフラとしての展開へ
今回の実証は、2025年10月から12月にかけて実施予定です。実証を通じて得られたフィードバックは、来年度以降の本格導入や他地域展開の検討材料として活用される見通しです。
終電後の「困った」を減らす取り組みは、単なる深夜輸送対策ではありません。リアルタイムの相乗りマッチングは、都市と地方の交通を“もっと使いやすく、もっと動ける”仕組みに変えていくための第一歩です。
Updated:
写真提供: 株式会社NearMe
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