公共交通オープンデータ協議会 事務局長/東洋大学 情報連携学部 教授 別所正博さん

公共交通オープンデータチャレンジ2025を開催

 鉄道、バス、フェリー、航空、シェアサイクル、デマンドバス──。日本にはさまざまな交通手段や事業者がありますが、交通データの流通にはいまだ多くの壁があります。

 こうした課題を乗り越え、「使えるオープンデータ」と「使いたい開発者」との橋渡しを目指すのが、公共交通オープンデータ協議会(ODPT)と国土交通省が主催するアプリコンテスト「公共交通オープンデータチャレンジ2025 -powered by Project LINKS-」です。

アプリの力で交通データを活かす

 本コンテストでは、GTFSやGTFS-RT、GBFSなどの標準フォーマットで整備された鉄道・バス・フェリー・航空・シェアサイクルの交通データを、多数の公共交通事業者や自治体の協力のもとに公開し、革新的なアプリケーションやサービスの開発を公募します。

 「このコンテストを通じて、公共交通データを“オープンにする”ことの価値を社会に広げていきたいと考えています」と話すのは、ODPT 事務局長/東洋大学 情報連携学部 教授の別所正博さん。

 GTFS形式の時刻表データや、GTFS-RTのリアルタイム運行情報、さらにフライト情報やバスロケーション、シェアサイクルのポートデータまで、コンテストではさまざまな公共交通オープンデータが活用可能です。今回からはGTFS-Flex形式によるデマンド交通データや、バリアフリー関連の情報も追加予定です。

実証の場から、継続的なデータ公開へ

 公共交通オープンデータセンター(ODPTセンター)は、GTFS形式などの標準化されたデータを通じて、交通事業者と外部サービス(地図アプリや経路探索など)との橋渡しを担う中核的な役割を果たしています。

 ODPTセンターでは現在、交通事業者から預かったデータを、GoogleマップやAppleマップ、Yahoo!乗換案内などのアプリに提供しています。しかし、より多くの交通事業者が継続的にデータを提供しなければ、こうした仕組みは十分に機能しません。

 「公共交通を多数の民間事業者が支える日本では、何をどこまで公開すべきかは、最終的にはデータホルダーである交通事業者が判断する必要があります」と別所さんは話します。

 「私たちはこうした実証的な機会を通じて、“オープンにすることの価値”を交通事業者を含む多くの方に実感してもらい、より多くのデータの継続的な公開につなげたいと考えています」(別所さん)

 これまでに計5回のコンテストを開催し、参加事業者も毎回増加。今回も前回に引き続き、国土交通省との共同開催とすることで、Project LINKSやPLATEAUとの連携も強化。より広範なデータの利活用を促していきます。

2024年度の最終審査会・表彰式の様子

地方創生、観光、防災など、社会課題の解決にも

 単なる経路探索だけでなく、地域の観光情報、バリアフリー支援との連携など、アプリの可能性は広がっています。

 「『交通空白』の解消、オーバーツーリズムの緩和、地域の活性化──。オープンデータとアプリの組み合わせには、まだまだ開拓の余地があります。たとえば、ある鉄道の運行遅延を、路線バスやシェアサイクルなど、他のモードに自動でつなぐといった連携があれば、移動の選択肢はもっと広がるはずです」(別所さん)

 前回と同様にProject LINKS主催のイベントやウェビナーとも連動。公共交通事業者向けには「データをどう作るか」、開発者向けには「データをどう使うか」を伝える実践的な機会も用意されています。

公共交通データを、もっと身近に、もっと使いやすく

ODPTセンターの役割

 ODPTでは、標準フォーマットに基づく公共交通データの流通を進めることで、さまざまな社会課題の解決に貢献すると考えています。

 「アプリ開発者の皆さんには、ぜひこの機会に自由な発想で応募いただきたいです。多くの開発者の皆様に公共交通オープンデータの世界を知っていただき、また交通事業者の方々にも、『オープンにしてみたら、こんな可能性があった』という声を届けたい。多くのプレイヤーと連携しながら、公共交通の新しい価値を共につくっていけたら」と別所さんは呼びかけます。

 公共交通データの活用が進むことで移動の選択肢が広がれば、地域の課題解決にもつながります。今回のアプリコンテストは、そうした未来の一歩を形にする機会です。関心のある方は、ぜひご参加ください。

Updated:

撮影: 森裕一朗(Yuichiro Mori)

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