接遇研修モデルプログラム バス編 表紙 接遇研修モデルプログラム バス編 平成31年3月国土交通省 目次 Ⅰ.接遇研修モデルプログラム(バス編)について・・・・・・・・・・・・・・・1 カテゴリ1:基本理念の理解(障害当事者の参画)・・・・・・・・・・・・・・・ 8  プログラム① 職場のバリアから考える接遇の心構え・・・・・・・・・・・・・9  プログラム② 法令や社会的背景から学ぶ「心のバリアフリー」の基本・・・・・15 カテゴリ2:障害理解と接遇技術の基本・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21  プログラム③ 障害の特性と基本の接遇方法・・・・・・・・・・・・・・・・・22  プログラム④ 接遇ガイドラインに基づく接遇方法・・・・・・・・・・・・・・33  プログラム⑤ 接遇方法の実技実習・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40  プログラム⑥ 障害の疑似体験・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・42 Ⅱ.効果的な障害当事者参画を図るために・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・44 基本のモデルプログラム 副教材・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・49  プログラム② 法令や社会的背景から学ぶ「心のバリアフリー」の基本・・・・・・・・・・・51  プログラム③ 障害の特性と基本の接遇方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・53  プログラム④ 接遇ガイドラインに基づく接遇方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・63 (参考)研修に活用可能な映像教材など・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・69 1ページ目 Ⅰ.接遇研修モデルプログラム(バス編)について 多くの障害者や高齢者等の来訪が見込まれる2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会やその後の超高齢社会に向けて、様々な移動制約者のニーズにきめ細やかに対応するために、交通事業者職員によるソフト面の対応が必要不可欠になっています。 このような中、国土交通省では「ユニバーサルデザイン2020行動計画※1」(平成29年2月関係閣僚会議にて決定、以下UD2020行動計画とする。)において策定が位置付けられた『交通事業者向け接遇ガイドライン※2』を平成29年度に策定しました。 このガイドラインの内容を業界単位で展開し、交通事業者による実施を促進するとともに、交通事業者の行う研修について、障害のある人が参加し、座学に加えて実習を行うカリキュラム・研修教材となるようにする等の充実を図るべく、『接遇研修プログラム(バス編)』を作成いたしました。このモデルプログラムは、バス事業者、バスターミナル事業者など全ての事業者を対象としており、各自の研修にご活用頂きたいと考えています。皆さまには本モデルプログラムをご参照いただき、自社の接遇教育について検証をしていただき、不足点については本モデルプログラムを参考に取組んでいただけるよう、構成しております。 【補足説明】●は項目、■もしくは・はその内容を表します。 ●本研修プログラムが目指すもの ・UD2020行動計画で示されている、『心のバリアフリーの基本的な考え方』を身に付ける。 ・接遇ガイドラインに示されている接遇の基本及び対応方法を身に付ける。 ・障害当事者が参画することにより、理解を深め、ともに考えることのできる場とする。 ※1:UD2020行動計画 UD2020行動計画は、障害者等関係者からなる心のバリアフリー分科会及び街づくり分科会における議論を経て、平成29年2月20日、ユニバーサルデザイン2020関係閣僚会議において決定された。 この計画では、心のバリアフリーや交通事業者の接遇に関し、以下のように記されている。 ■心のバリアフリーに関する基本的な考え方 UD2020で取り組む「心のバリアフリー」とは、様々な心身の特性や考え方を持つすべての人々が、相互に理解を深めようとコミュニケーションをとり、支え合うことである。そのためには、一人一人が具体的な行動を起こし継続することが必要である。各人がこの「心のバリアフリー」を体現するためのポイントは以下の 3 点である。 (1) 障害者への社会的障壁を取り除くのは社会の責務であるという「障害の社会モデル」を理解すること。 (2) 障害者(及びその家族)への差別(不当な差別的取扱い及び合理的配慮の不提供)を行わないよう徹底すること。 (3) 自分とは異なる条件を持つ多様な他者とのコミュニケーションを取る力を養い、すべての人が抱える困難や痛みを想像し、共感する力を培うこと。 2ページ目 ※2:公共交通事業者に向けた接遇ガイドライン UD2020を踏まえ、接遇の基本的事項のほか、交通モードごと、具体の場面ごと の接遇のあり方等を示すことで、交通事業者による一定水準の接遇を全国的に確保し、高齢者、 障害者等の移動等円滑化を推進することをその目的としたガイドラインが、平成30年5月に策定された。以下が基本的な心構えとして挙げられている。 《接遇の基本 基本的な心構え》 高齢者、障害者等にとって、公共交通機関を利用する際には、移動や乗降などの際に困難を感じていることがある。 バリアフリー法に基づき、設備や施設などいわゆるハードのバリアフリー化整備は進んでいるものの、こうしたハード面の対応と相まって、人的対応であるソフト対応を行っていくこと、すなわち、適切な接遇を行っていくことが必要となっている。適切な接遇をするためには、その前提となる考え方を理解し、そのうえで交通モードごと、場面ごとの具体の接遇のあり方について統一された一定水準の知識を身に付けることが必要である。 高齢者、障害者等の接遇対象者も、交通事業者にとって利用者に他ならない。そのことをまず徹底する必要があり、待ち時間等について可能な限り他の利用者と同等の利便性を確保できるように配慮することが重要である。したがって、適切な接遇を行うためには、接遇対象者の移動等に際しての困りごとを理解し、移動等円滑化を図るために必要なことは何かを聞き、考えていくことが重要である。 特に高齢者、障害者等の場合、心身の特性の違いや個人差などによって困りごとは異なっており、さらには、個人の中でも状況によってニーズは変わってくる。そのため、本ガイドラインを基本にしつつ、個々のケースでは、接遇対象者とコミュニケーションをとることにより、どのように接するべきなのかを見極めることが重要である。 特に、障害者については、①障害種別ごと、さらに障害者個人にとっての移動上の制約すなわちバリアと感じることも多様であること、また、②障害のない人からは、障害のある人が感じているバリアは分かりづらいことがあることを理解し、③目の前の利用者にとって何がバリアなのかに気づき、それを取り除く行動を起こす必要があるという考え方を常に持っておく必要がある。 3ページ目 「基本的に必要な研修項目(モデルプログラム)」に基づく研修の組み立てについて 以下に示す「基本的に必要な研修項目(モデルプログラム)」に基づき、現在実施している研修をチェックして、必要研修項目を補ってください。  ■現在の研修を検証していただくためのモデルプログラムです 各交通事業者が現在実施している研修を、UD2020行動計画に示されている「心のバリアフリーの基本的な考え方」の理解を基本に、各交通事業の業務における接遇手法を身に付ける「基本的に必要な研修項目(モデルプログラム)」の内容が組み込まれているかを検証いただくためのモデルプログラムを示しています。  ■「基本的に必要な研修項目」で、現在のプログラムをチェック! 現在実施している研修プログラムをチェックし、足りない部分はこの「基本的に必要な研修項目」をご覧いただき、研修項目を補強してください。 【補足説明】現在実施している研修プログラムの検証フロー図を記載しています。 ステップ①:現在の研修の検証  ・実施すべき項目が入っているか  ・目標が習得できる内容であるか チェック内容 基本的な必要な研修項目(モデルプログラム)   *5ページに具体的な内容を示す YESの場合、ステップ③へ NOの場合、ステップ②へ ステップ②:現在の研修の補強  ・不足項目・内容を、本モデルプログラムを参考に補強する ステップ③:事情に合わせた研修の実施  ・時間、人数、形態に合わせたプログラムの構築(数回に分けての実施でもよい)  ・障害当事者参画の調整 4ページ  ■「基本的に必要な研修項目」(モデルプログラム)  5ページに示す「基本的に必要な研修項目(モデルプログラム)」に基づき、現在の研修を検証してください。 ●現在の研修の検証 現在の研修で実施されているかを検証し、不足している場合には、「基本的に必要な研修項目(モデルプログラム)」を参考に、実施してください。  ●現在の研修の補強   不足している内容は、工夫して研修項目を再構築してください。モデルプログラムの研修教材やシナリオなども紹介していますので、活用してください。  ●事情に合わせた研修の実施   ・各社の事情に合わせ、プログラムを細分化するなど、工夫して実施してください。   ・新入社員研修、現場社員や管理職への研修は優先的に実施していくことが望ましいですが、その他の社員についても、定期的に実施する研修に組み込むなど工夫してください。   ・未だ研修が構築できていない場合には、モデルプログラムを参考に、自社の事情に合わせてアレンジしてご活用ください。 ■障害当事者の参画の意義 障害の社会モデルを理解するためには、障害の社会モデルを理解した障害当事者(又はその家族等の支援者)が研修に参画することが重要ですあり、。これにより理解を深め、ともに考えることができます。 障害当事者の研修への参画については「UD2020行動計画」においても位置づけられています。研修に参画する障害当事者は、社会モデルを体得している、どのようなサポートが必要かを伝えられるなどのスキルが必要であり、スキルに応じて講師、アドバイザー、サポートスタッフなどの役割で参画いただけます。 「基本的に必要な研修項目(モデルプログラム)」のカテゴリ1の2つのプログラムと、カテゴリ2のプログラム⑤、⑥は、特に障害当事者の参画が重要です。 *P.44に障害当事者講師の紹介窓口リストや参画の方法がありますので、ご覧ください。 5ページ 【補足説明】基本的に必要な研修項目(モデルプログラム)の構造図を記載しています。 「基本的に必要な研修項目(モデルプログラム)」 ※可能な限り、全社員に実施 ※時間は目安 カテゴリ1:基本理念の理解 (目標:障害当事者参画により、社会モデルの理解、差別を行わない、コミュニケーション力を養う) ①職場のバリアから考える接遇の心構え(座学/ロールプレイ/対話) 1時間 対象:全社員 交通モード別プログラム  ● バリアはどこに?(対話)  ● 実際の場面で考える(ロールプレイ)  ● 多様な障害への対応の必要性(理念と社会的背景の理解) ②法令や社会的背景から学ぶ「心のバリアフリー」の基本(座学/対話) 30分 対象:特に管理職 共通プログラム ● 障害をとりまく法令制定の流れ ● 障害の社会モデルとは? ● 「心のバリアフリーの理念」 カテゴリ2:障害理解と接遇技術の基本 (目標:多様な障害への対応、接遇対応の技術の習得) ③障害の特性と基本の接遇方法(座学/自主学習) 1.5時間 対象:特に現場社員、管理職 共通プログラム  ●障害の多様性の理解と声かけの必要性  ●障害の特性と基本の接遇方法(障害別) ④接遇ガイドラインに基づく接遇方法(座学/自主学習) 1時間 対象:特に現場社員、管理職 交通モード別プログラム  ●対応の際の配慮点  ●基本の接遇方法(障害別) ⑤接遇方法の実技実習(障害当事者参画) 1.5時間 対象:特に現場社員 交通モード別プログラム  ●車両等を用いた介助技術の実習(車椅子の介助、視覚障害者の誘導 ⑥障害当事者体験 1.5時間 対象:特に現場社員、管理職 共通プログラム  ●障害当事者体験を通じてどのようなサポートが必要かに気づく 6ページ  ■受講者の事情に合わせた組み立てを    新入社員研修、現場社員や管理職に対しては、優先的にモデルプログラムの内容についての研修を実施していくことが望ましいですが、その他の社員の皆さんにも、定期的な研修などで心のバリアフリーの理念や接遇の基本について身に付けていただくことが必要です。 各社の研修時間確保の事情に合わせて、分割して研修を実施するなど、工夫して組み立ててください。 次ページに本研修プログラムの構造を示しています。自社の実情に合わせて、ご活用ください。 【補足説明】 研修実施の組み立て例を6パターン示しています。 例:新人研修 プラン1 ①職場のバリアから考える接遇の心構え【1時間】 ③・④障害の特性と基本の接遇方法、接遇ガイドラインに基づく接遇方法【自主学習2時間】 ⑤接遇方法の実技実習【1.5時間】 合計 4.5時間(うち2時間は自主学習) 例:新人研修 プラン2 ①職場のバリアから考える接遇の心構え【1時間】 ②法令や社会的背景から学ぶ「心のバリアフリー」の基本【0.5時間】 以上、1回目 1.5時間 ③・④障害の特性と基本の接遇方法、接遇ガイドラインに基づく接遇方法【自主学習2時間】 以上、2回目 2.0時間(自主学習) ⑤接遇方法の実技実習【1.5時間】  以上、3回目 1.5時間 例:新人研修 プラン3 ①・⑥職場のバリアから考える接遇の心構え、障害の疑似体験【1.5時間】 ③・④障害の特性と基本の接遇方法、接遇ガイドラインに基づく接遇方法【自主学習2時間】  3.0時間(うち2時間は自主学習) ※①のロールプレイを⑥と組合せて実施することで効率化して時間を短縮する。 例:現場社員研修 ①職場のバリアから考える接遇の心構え【1時間】 以上、1回目 1時間 ③・④障害の特性と基本の接遇方法、接遇ガイドラインに基づく接遇方法【自主学習】 以上、2回目 2.0時間(自主学習) ⑤・⑥接遇方法の実技実習、障害の疑似体験【2時間】 以上、3回目 2時間 ※⑤と⑥を一緒に実施することで効率化して時間を短縮する。 例:管理職研修 ①・②職場のバリアから考える接遇の心構え、法令や社会的背景から学ぶ「心のバリアフリー」の基本【1時間】 以上、1回目 1時間 ③・④障害の特性と基本の接遇方法、接遇ガイドラインに基づく接遇方法【自主学習2時間】 以上、2回目 2.0時間(自主学習) ⑥障害の疑似体験【1.5時間】 以上、3回目 1.5時間 ※①と②を一緒に実施することで効率化して時間を短縮する。 例:一般社員の定期的な研修(長期スパンの定期研修) ①職場のバリアから考える接遇の心構え【1時間】 以上、1回目 1時間 ③・④障害の特性と基本の接遇方法、接遇ガイドラインに基づく接遇方法【自主学習2時間】 以上、2回目 2.0時間(自主学習) ⑤・⑥接遇方法の実技実習、障害の疑似体験【2時間】 以上、3回目 2時間 ※⑤と⑥を一緒に実施することで効率化して時間を短縮する。 7ページ  ■モデルプログラムの教材をご活用ください    「基本的に必要な研修項目」のモデルプログラムについて、研修で活用できる教材、副教材を次頁以降から示しています。内容を確認し、各社の事情に合わせてアレンジして活用してください。 〇教材(スライド及びシナリオ): 研修時にご利用いただけるよう、シナリオもつけています。 〇副教材(受講者配布資料): 研修における配布資料や自主学習にご活用ください。 以上のデータは、国土交通省総合政策局のホームページに掲載しています。    また、接遇ガイドラインに示されている内容を基本としているため、接遇ガイドラインの理解を進めることができます。 8ページ 「基本的に必要な研修項目」のモデルプログラム カテゴリ1:基本理念の理解(障害当事者の参画) ① 職場のバリアから考える接遇の心構え【全社員】 ② 法令や社会的背景から学ぶ「心のバリアフリー」の基本【全社員(特に管理者)】管  カテゴリ1は、基本理念の理解により、接遇対応の基本姿勢を学ぶ、以下の目標を掲げたプログラムを提示しています。  接遇にあたっての基本的理念、コミュニケーションの重要性を学ぶ ・接遇にあたっての基本理念を身に付けることで、受講者自身が多様なお客さまへの対応がしやすくなるだけでなく、対応がスムーズとなることで、会社としての社会評価もあがることが期待できます ・接遇における問題解決のためには、世の中の動き(障害の社会モデルの理解、障害を取り巻く法整備の流れなど)からの必然であることを理解します ・接遇の基本は、技術習得の前に『お客さまとの「対話」』が重要であり、コミュニケーション力、共感力を養うことが重要であることを学びます  障害当事者との対話が理解を深めるポイント(プログラム実施の必要事項) ・受講者自身が、自分の業務において接遇対応をどうすべきかを想像し、自分のものとするために、実際に障害当事者と対話する形での研修が効果的です。 ・ 障害当事者の講師やオブザーバーとの「対話」で、職場における気づかないバリアや解決の方法をともに考えることができ、障害を持つ障害のある人に対する接遇にあたっての理解が深まります。 ※障害当事者の研修参画については、Ⅱ章に講師派遣の窓口を紹介しているので、ご参照ください。 9ページ プログラム① 職場のバリアから考える接遇の心構え 対  象:全社員 目安時間:1時間 研修形態:障害当事者参画による座学、ロールプレイ、対話 このプログラムのポイント 日常お客さまに接している「職場」でどんなバリアがあり、実際にどんな問題が起こっているのかを視点に、(障害当事者との対話を通じて)問題の本質は何かを考え、解決のためには『お客様の立場に立ったコミュニケーションをすることで相互理解が生まれ、ニーズを把握できること』、『接遇の基本的なことは身に付けておくべきこと』が必要であることを見出します。 ●研修の進め方のイメージ このプログラムは、職場でのバリアを感じている問題や実際の場面を考えた上で、障害当事者との認識のギャップに気づき、社会モデルの考え方や社会的背景等から「なぜ接遇対応が必要か」を理解、認識する流れが重要になっています。 プログラムを分ける場合には、気づき⇒理解・認識の流れを鑑み、①と③、②と③の組合せで実施していくことが望ましいです。 ◆プログラムを一度に進める場合 ①バリアはどこに?(障害当事者との対話) 自分の職場に、高齢者や障害者にとって何がバリアとなっているかを考え、障害当事者が実際体験しているバリアと比較して、対話を深めます ↓HOP! 気付き ②実際の場面で考える(ロールプレイ) 実際の問題場面をロールプレイ等で再現し、どこに問題があるかを議論します。 ↓STEP! 確認 ③多様な障害への対応の必要性(座学) 自分の対応とニーズのギャップを認識した上で、「なぜ接遇対応が必要なのか」を社会的背景等から理解を促します。 JUMP! 理解、認識 ◆プログラムを分けて進める場合 上記の①と③、②と③の組合せで分けて実施 10ページ ●研修スライド、講師用シナリオ(解説) ◆スライド1 接遇研修・基本のモデルプログラム プログラム① 職場のバリアから考える心構え ◇シナリオと解説1 ⓪講師の自己紹介とアイスブレイク(障害当事者講師とした場合) ・講師の自己紹介 ・講師のバス利用などについての話をしながら、受講生との対話をつくるアイスブレイク ◆スライド2 ① 「バリア」はどこに? ◇シナリオと解説2 ①バリアはどこに?(障害当事者との対話) この研修は、今どんどん増加している高齢の方、障害のある人などに対する「接遇」について考えていく研修です。 さて、具体的な接遇の方法について考える前に、バスの利用者とはどのような人たちかを考えてみてください。健康で、どこでも自由に動き回れる人もいれば、車椅子使用者の方、視覚障害の方、聴覚障害の方、様々な人がいることを皆さん知っているはずです。 それでは、皆さんが働いているバス車両や、そこで行われているサービスは、そうした多様な人たちの利用を前提として作られているでしょうか?例えば、立って歩くことのできる人しか利用できないステップ、文字や画像を見ることのできる人しか利用できない案内表示、音声を聞くことのできる人にしか伝わらない車内アナウンス…。皆さんの職場はこうしたバリアであふれてはいないでしょうか? こうした環境の中で、障害のある方や高齢の方は、日常的にバス利用の不便を感じているのです。まずは、皆さんの働いている環境の中にどれだけ多くのバリアが存在しており、その結果どんな人たちを困らせてしまっているのかに気づくことが、そうした人たちに対する接遇を考えるための第一歩です。 ◆スライド3 車両やサービスが、高齢者や障害者の利用を前提に作られているかを考えてみよう! 皆さんのご意見 ◇シナリオと解説3 では、皆さんにご自身の職場でバリアとなっている設備やサービス(ハード面、ソフト面の両面から)を考えてみましょう。(受講生から意見が出ない場合には、指名して語っていただく) ※出された意見をPPTに書きだす、または付箋に書いて貼っていく。 ※グループワークで進める方法  受講人数に応じたグループ編成を行い、各グループで問題を話し合ってあげさせ、付箋などに書き込んで整理してもらい、各グループの代表者に発表してもらう。 11ページ ◆スライド4 車両やサービスが、高齢者や障害者の利用を前提に作られているかを考えてみよう! 障害のある方々のご意見 ・混雑していて乗車できなかった ◇シナリオと解説4 次に、障害のある人、つまりお客さまの立場では、どんなことが「問題」になっているでしょう?  ※当事者参画が複数人の場合には、その場で問題を語ってもらうことが効果的。文字で示したり、「こう聞いた」などというよりも、当人の経験を話すことがよい)  ※ただし、複数人の当事者参画がない場合には、以下のような問題を提示する。 【問題点例】 車椅子使用者  ・混雑していて、乗車できなかった  ・「車椅子の方を乗車させたことがないので乗せられません」と拒否された  ・時間がかかると拒否されたり嫌な顔をされた  ・ノンステップでなく、リフトもついていないために乗車が困難であると言われた 視覚障害者  ・白杖を持っていても声を出して声かけをしてくれないので、どうしてよいかわからなかった。 聴覚障害者  ・聞こえないことがわからず、料金チャージの方法がわからなかった 発達/知的/精神障害者  ・どこで降りてよいのかわからず、終点まで行ってしまい降りてよいのか迷っていたが、「降りてください」と言われ、   降りてしまい、迷子になった。   ・車内で勝手に大きな声が出てしまい、「降りてください」と言われた。 ◆スライド5 バス運転者さんのご意見 ・ 障害のある方々のご意見 ・混雑していて乗車できなかった ◇シナリオと解説5 職員の皆さん、障害当事者さん、双方からの問題が出ました。 ※講師が双方の意見を比較する。特に双方の意見に違いがある、双方が問題として挙げているなど注目すべき点については、どんな状況だったのかをドライバーや当事者と対話をしながら引き出していく。 ◆スライド6 ② 実際の場面で考えてみましょう! 実例の再現をしてみます。問題と思ったところをメモしておいてください! ◇シナリオと解説6 ②実際の場面で考える(ロールプレイ)  問題の場面を再現してさらに深堀していきましょう。ロールプレイという方法です。  ・障害当事者と研修担当(バス運転者役)  ・障害当事者の経験例をロールプレイにするのがよい⇒分析においてその時の状況などを深堀できる 【ロールプレイ】  方法①:障害当事者と事務局サイドが登場人物となり、受講者にロールプレイを見せる  方法②:よくある場面の映像や写真を使って実際の場面を再現する  【場面例】     例①:スロープの出し方がわからず、次のバスにしてくださいと拒否してしまったケース   例②:白杖を持っているが視覚障害者と認識されず声を出して応対しないケース ※問題場面は、どこが悪かったのか、何が要因なのかを受講者、障害当事者双方に聞きながら深堀していく。 ※分析すると、双方の誤解があったなどが見えてくる。 ※双方の誤解は「話をすれば」わかってくる 12ページ ◆スライド7 どう解決するか? 運転士「対応できない、対応の方法がわからない・・・」 障害者「障害のあること自体が問題?」 ◇シナリオと解説7 【対話、分析】  ロールプレイに関する感想を聞く。  (感想を分析して) 皆さんには「こういうサービスが必要なはず」という思いがあった、しかし障害当事者は「実は別のお手伝いが必要だった」。。。 つまり、良かれと思って行ったサービスが、実際には必要のないもの、的外れなものになってしまっていたようです。 しかし、「どうしたらよいですか?」と聞けば、コミュニケーションができれば思い違いも、 誤解も取り払うことができるのではないでしょうか。  このように、良かれと思って行ったことで失敗した経験はありますか?(受講者への語り掛け、その内容についても当事者と対話により解決策を見出す) ◆スライド8 安全な設備がない!安心な接遇がされていない! ↓ この人に障害があることがバリア? なぜ、障害のある人だけが安全性・利便性の問題に直面しているのか? ↓ 大多数の人にとっては問題なければいいという発想によって、一部の人にとって「バリアがある環境が作られている」 ↓ つまり、大多数の人にとって当たり前の環境の中にバリアは存在している。 誰もが安全に利用できるよう、それを取り除くことが必要。 ◇シナリオと解説8 さて、ここまで、色々な問題が出されました。設備面の問題、接遇対応の問題など。 しかし、問題は、どこにあるんでしょうか? 「バリア」とは、障害があること自体なのか。 今まで出てきた障害のある人にとっての問題は、あなたにとっては同じように問題になるでしょうか?(問いかけ) 例えば、建物の4階に行こうとしたとき、障害のない人には、階段、エレベーター、エスカレーターなど様々な設備が作られ、配慮がされていて、当たり前に安全や利便性が提供されています。 一方、障害のある人に対してはどうでしょう? エレベーターがあれば障害のある人に十分に配慮されていると思っていませんでしたか? しかし、例えば、エレベーターでしか上の階に行けない車椅子使用者は、もしエレベーターが奥にあったり、エレベーター以外を使える人によって混雑して乗れないなどがあれば、時間がかかってしまいます。 障害のない人と同じように配慮されているとは言えませんよね。 誰もが同じように、安全で使いやすい環境を作るには、こうした知らず知らずに作られてきた不平等に気づかなければなりません。 大多数の人にとって問題がなければいいという発想がバリアを作り出してきたのです。 この考え方を身に付け、接遇の方法が変わってくれば、バリアを取り除くことにつながっていくのではないでしょうか? では、誰もが同じように利用できるようにするためには、どうしたらよいでしょう?(必要なことはエレベーターを増やすこと?声かけの仕方?)(問いかけ、対話) 13ページ ◆スライド9 世の中が変わった! 2000年 「旧交通バリアフリー法」の施行 2006年 「障害者権利条約」が国連総会で採択 2014年 日本の「障害者権利条約」の締結 2016年 「障害者差別解消法」の施行 ・不当な差別取扱いの禁止 ・合理的配慮の提供 世界の多様な人が来訪する「2020年オリ・パラ開催」が契機に! 公共交通としてのバスは、誰もが移動できる手段としての対応が求められている ◇シナリオと解説9 ③多様な障害への対応はなぜ必要?(座学) 「誰もが安全に利用できるようにするためにバリアを取り除く」多様な人が安全にバスを利用していただけるよう、それぞれに対応する「接遇」をする。 ・・・というのは難しいでしょうか? しかし、障害者に対する法律の整備が進み、世の中は大きく変わってきています。そして、超高齢化社会に入って、身体機能の衰えがある人はどんどん増えています。 バスにも、そうしたお客さまの移動手段としての役割が求められているのは、皆さん肌で感じているでしょう。 一番皆さんに身近な法律、「障害者差別解消法」というのはご存知ですか?障害のある人に「移動の権利」など、差別や排除、制限をせず、そして「合理的な配慮」を行うことが位置付けられているという法律です。 カンタンに言うと、皆さんのような「事業者」は、障害のある人に配慮を求められたときには、相手の意思を尊重し、その場でできる範囲の方法で応える努力が必要なのです。 例えば、「バスを通勤手段に使うため、ピーク時でも利用したい」といった、健常の方には当たり前のことを認める法律がようやくそろってきたのです。 さらに、2020年、さらに多様な人々をお迎えする「東京オリンピック・パラリンピック」が開催されることとなりました。 これが契機となって、ユニバーサル社会をつくることが目標として掲げられています。 世の中が変わってきているのは、高齢化社会の進展はすさまじく、障害者に加えて移動に困難を抱える人がどんどん増え、ニーズは高まってきたことも背景にあるでしょう。しかし、もともとバスは様々な人にとって身近な交通手段であり、誰もが移動できる手段としての対応が求められています。 ◆スライド10 「ユニバーサルデザイン2020行動計画」平成29年2月20日関係閣僚会議決定 我々の目指す共生社会(パラリンピックを契機として) ・障害の有無にかかわらず、女性も男性も、高齢者も若者も、すべての人がお互いの人権や尊厳を大切にし、支え合い、誰もが生き生きとした人生を享受することのできる「共生社会」を実現することを目指す。 ・この「共生社会」は、さまざまな状況や状態の人々がすべて分け隔てなく包摂され、障害のある人もない人も、支え手側と受け手側に分かれることなく共に支え合い、多様な個人の能力が発揮されている活力ある社会である。 ◇シナリオと解説10 誰もが移動できる手段として大きな役割を担っているバス事業者だからこそ、こうした世の中の動きに合わせていくということが求められています。 ユニバーサルデザイン2020行動計画では、共生社会を国民全体で目指していくことが位置付けられています。 お互いの人権や尊厳を大切にし、支え合い、誰もが生き生きとした人生を享受することのできる「共生社会」。 地域の足としての役割を担っているバス事業者にとって、この動きを体現していくということは必要ですね。 14ページ ◆スライド11 接遇支援を必要としている人はさまざま まずは「対話」してみる(何かお手伝いすることはありますか?) そして、「接遇技術」を身に付ける ◇シナリオと解説11 さて、「誰もが移動できる手段としての対応」をしていくには何が必要でしょうか? 接遇支援を必要としている人はさまざまです。つまり、支援してもらいたい内容はもちろん、支援が必要かどうかもさまざまだということです。であれば、どうしたらよいかをまず聞くことから始めてみましょう。 「対話」つまり、その人に合わせたコミュニケーションを探して、困っていることがあるかをまず確認してみることです。 「どのようにお手伝いしたらいいですか?」と聞くこと、話すことで半分は解決できるのではないでしょうか。 障害のある人といっても、さまざまです。乗降にあたってどうして欲しいかはさまざまなのです。 つまり、お客様に「どうすればいいかを聞いてしまう」ことが一番最初にして欲しいことなのです ※これまでに挙げられた問題などの中でどんなことが要因だったか、それはコミュニケーションでどう解決できるのかを話す。 そして、どんなことに困っているのか、どんなお手伝い即ち「接遇技術」が必要なのかということも習得していただければ、安心してバスを利用できます。 分からないことは支援を必要としている当事者に尋ね、一緒に考えることができれば、既に存在してしまっているバリアを少しでも取り除き、誰にとっても快適なサービスを提供する「交通」に近づいていくのではないでしょうか。 ◆スライド12 まとめ ◇シナリオと解説12 ④まとめ(振り返りが重要) ※研修の総括 ※学んだことの確認 15ページ目 プログラム② 法令や社会的背景から学ぶ「心のバリアフリー」の基本 対  象:全社員(管理職) 目安時間:30分 研修形態:障害当事者参画による座学、対話 ●このプログラムのポイント 障害者権利条約の採択以降、「障害の社会モデル」の考え方に基づき、法律が改正、施行されており、障害の社会モデルの考え方の理解なくして、法令の遵守を進めていくことはできません。 企業運営や運行管理を行っている管理者にとっては、運営や指導を行うにあたって理解しておくべき障害に関する法令や障害の社会モデルの考え方などを理解するプログラムです。 ●研修の進め方のイメージ このプログラムは、ユニバーサル社会の実現に向けた法的整備の流れなどの社会の変化を学んだ上で、障害の考え方「障害の社会モデル」を理解し、この理解を体現していくためのUD2020行動計画で位置付けられている心のバリアフリーの理念を理解するという流れとなっています。 ①ユニバーサル社会の実現に向けた社会の変化と事業者の使命 ユニバーサル社会の実現に向けた社会の変化の理解として、UD2020行動計画の位置付け、法制度の整備の流れなどについて学びます。 ↓ ②障害の社会モデルの理解 ユニバーサル社会の実現のために必要な「障害の社会モデル」の考え方について学びます。 ↓ ③心のバリアフリーの理念を理解する ①、②で学んだユニバーサル社会を実現するにあたっての背景や考え方を確認し、実践するために身に付けるべき心のバリアフリーの理念について学びます。 ●研修スライド、講師用シナリオ(解説) ◆スライド1 接遇研修・基本のモデルプログラム プログラム② 法令や社会的背景から学ぶ「心のバリアフリー」の基本 ◇シナリオと解説1 ●講師の自己紹介とアイスブレイク(障害当事者講師とした場合) ・講師の自己紹介 ・講師のバス利用などについての話をしながら、受講生との対話をつくるアイスブレイク 16ページ目 ◆スライド2 ① ユニバーサル社会の実現に向けた社会の変化と事業者の使命 ◇シナリオと解説2 ①ユニバーサル社会の実現に向けた社会の変化と事業者の使命  ユニバーサル社会という言葉はご存知かと思いますが、ではバス事業としてユニバーサル社会を実現していくためには、何が必要なのか?何を理解すべきなのか? というところをお話ししていきましょう。 ◆スライド3 『ユニバーサルデザイン2020行動計画』  に基づくユニバーサルな社会づくりが始まっています 平成29年(2017年)2月20日関係閣僚会議決定 ●障害の有無にかかわらず、女性も男性も、高齢者も若者も、すべての人がお互いの人権や尊厳を大切にし、支え合い、誰もが生き生きとした人生を享受することのできる「共生社会」を実現することを目指す。 ●この「共生社会」は、さまざまな状況や状態の人々がすべて分け隔てなく包摂され、障害のある人もない人も、支え手側と受け手側に分かれることなく共に支え合い、多様な個人の能力が発揮されている活力ある社会である。 ◇シナリオと解説3 平成29年2月に、2020年を目標に「ユニバーサルデザイン2020行動計画」がつくられ、これを基本に日本社会全体で「ユニバーサルな社会をつくる」ことが始まっています。 ユニバーサルな社会というのは具体的にはどんな社会なのでしょうか? この行動計画では、このように示しています。 【読み上げる】 ◆スライド4 2000年 「交通バリアフリー法」の施行 2006年  ハートビル法と交通バリアフリー法を一体化させた      「バリアフリー法」を施行      「障害者権利条約」が国連で採択 2011年 「障害者基本法」が改正 2014年 「障害者権利条約」を日本が締結 2016年 「障害者差別解消法」を施行 2018年 「バリアフリー法」を改正  ◇シナリオと解説4 ユニバーサルな社会を作るといっても、もう日本は成熟した社会が作られているのでは?と思われる方がいるのではないでしょうか。しかし、これまでは健常者と言われる大多数の人を基本に社会を作ってきたために、「多様な個人の能力が発揮される活力ある社会をつくる」と言っても、障害者などの少数派の人々は力を発揮できる環境が構築されていませんでした。少数派のことが考えられていない社会が作られていたわけです。  そこで、障害者をとりまく法制度の整備が進展してきているのです。これについては、既にご存知かと思います。 公共交通事業者に関わる「交通バリアフリー法」が2000年に施行され、2006年にこの交通バリアフリー法は建築物に対する法律であるハートビル法と一体化され、「バリアフリー法」となります。 また一方で、同年2006年には、世界的な動きとして、「障害者権利条約」が国連で採択され、これを受けて日本では、2011年に「障害者基本法」を改正し、2014年には権利条約を日本も条約締結しました。この締結から、2016年には交通事業にも大きく関わる「障害者差別解消法」を施行、そして「バリアフリー法」も2018年に改正されています。 こうした流れの軸となっているのは、この2006年の障害者権利条約の国連採択です。障害のある人が全世界から参加し、「私たちのことを、私たち抜きで決めないで」と障害当事者の視点から作られた条約です。 ここには、障害者の権利が当たり前に守られることとともに、障害は、障害のある人の中にあるのではなく、社会が作り出しているという『障害の社会モデル』の考え方が入れ込まれています。つまり、社会が障害を取り除いて、障害のある人が当たり前に暮らせる社会をつくられるべきであることが示されています。 17ページ目 ◆スライド5 障害者差別解消法(平成28年4月1日施行) 不当な差別的取扱いの禁止 合理的配慮の提供 【補足説明】合理的配慮の提供についての解説の図を掲載しています。 合理的配慮の提供 障害のある人は、社会の中にあるバリアによって生活しづらい場合があります。 この法律では、役所や事業者に対して、障害のある人から、社会の中にあるバリアを取り除くために何らかの対応を必要としているとの意思が伝えられたとき(注)に、負担が重すぎない範囲で対応すること(事業者においては、対応に努めること)を求めています。 (注)言語(手話を含む。)、点字、拡大文字、筆談、実物を示すことや身振りなどのサインによる合図、触覚など様々な手段により意思が伝えられることをいいます。通訳や障害のある人の家族、支援者、介助者、法定代理人など、障害のある人のコミュニケーションを支援する人のサポートにより本人の意思が伝えられることも含まれます。 ◇シナリオと解説5 法律制定の流れの中で、事業者に関わる法律、「障害者差別解消法」について見てみましょう。障害者差別解消法では大きく2つのことを求めています。 ひとつは、「不当な差別的取扱いの禁止」であり、役所、事業者などに対して、障害を理由として、差別することを禁止しています。 もうひとつが「合理的配慮の提供」です。合理的配慮とは何でしょう?障害のある人が、役所や事業者に対して、バリアを取り除くために何らかの対応を必要としていますという意思が伝えられた時、負担が重すぎない範囲で対応することが求められるということです。 バス事業で考えてみましょう。例えば、聴覚障害のお客さまが乗車して、「聞こえないので、筆談で話をしたい」という申し出があった場合、メモや筆記用具を準備して対応することが必要である・・・・といったことです。これは簡単に応じられる申し出ですよね。「負担が重すぎない範囲」ということを考えるまでもない例ですね。 ここは、申し出をされる障害のある人と対話をしながら、「こういう形で要望に応えたい」と解決策を一緒に考えていただくことが望ましいでしょう。 ◆スライド6 東京都 障害者への理解促進及び差別解消の推進に関する条例 (平成30年10月1日施行) 【補足説明】障害者差別解消法と都条例との違いについての解説の図を掲載しています。 障害者差別解消法と都条例の比較 (注)条例の対象となる民間事業者とは、都内で事業を行う者です。 ●障害者差別解消法 対象者:行政機関 不当な差別的取り扱い:×してはいけない 合理的配慮の提供:〇しなければならない 対象者:民間事業者 不当な差別的取り扱い:×してはいけない 合理的配慮の提供:△するように努力する ●都条例 対象者:行政機関、民間事業者 不当な差別的取り扱い:×してはいけない 合理的配慮の提供:〇しなければならない ◇シナリオと解説6 合理的配慮については、さまざまな事業者にとって重要な法律となります。障害者差別解消法では、民間事業者については、「するように努力する」という努力義務になっていますが、東京都では「しなければならない」ということが条例で規定されています。このしなければならない「合理的配慮」は、多様な人々に対するものであるため、対応もさまざまです。どのように対応すべきかは、自社の「対応方針」を定めておくことも重要ですが、代替え案も含めて、障害当事者のお客さまとともに考え、対応策を導き出していくことが、多様な解決のあり方に対応できるのではないでしょうか? ユニバーサル社会を支える事業者として、法令を遵守していくことで、社会で多くの評価を得ていくことは間違いないでしょう。必要なコンプライアンスなのです。 ◆スライド7 ② 障害の社会モデル 「障害」に対する新たな考え方『障害の社会モデル』とは? ◇シナリオと解説7 ② 障害の社会モデル 「障害者権利条約」において提示された考え方として、さきほど、「障害の社会モデル」をご紹介しました。 この考え方に基づき、いまの日本における法律や計画も運用されています。 最初にご紹介した「ユニバーサルデザイン2020行動計画」も、障害の社会モデルをすべての人が理解し、具体的な行動に変えていくことが掲げられています。 18ページ目 ◆スライド8 『障害の社会モデル』とは?  【補足説明】階段の下で車椅子使用者が困っているイラストが記載されています。 ◇シナリオと解説8 障害の社会モデル、具体的にはどういうことでしょうか? ここに車椅子使用者の方がいます。 階段の上に、この人の行きたいところがありますが、いま、この階段しか上には行けません。さて、こうした状況、どこに「バリア」すなわち、障害があるでしょうか? 【受講者との対話でバリアを挙げていく】 ※障害の社会モデルについては冒頭で説明しているため、「障害者に問題がある」という回答はでにくい。  エレベーターがないこと、スロープがないことなどが挙げられることが予測される。 ◆スライド9 医学モデル この人は、肢体不自由の「障害」を持っているから、階段が使えない リハビリして治してほしいけど可哀そうだから、エレベーターをつけよう ◇シナリオと解説9 これまでの日本社会では「障害」ということについては、 障害のあることが「要因」で、この人は階段を使えない。リハビリをして階段を使えるようになることが、障害をなくすこと・・・という捉え方、「医学モデル」といいますが、こうした捉え方がされてきました。 ◆スライド10 障害の社会モデル エレベーターがないことが、この人やその他の人にとって「障害」になっている 障害を取り除くために、エレベーターを設置しよう ◇シナリオと解説10 しかし、日本においても障害者権利条約を締結し、「障害の社会モデル」の考え方が取り入れられました。つまり、この人に配慮した環境が作られていないために、階段のような障害(バリア)が生じている。バリアを作ってしまった地域や事業者は、これを取り除いていく責任があるのです。 例えば、建物の4階に行こうとしたとき、障害のない人には、階段、エレベーター、エスカレーターなど様々な設備が作られ、配慮がされていて、当たり前に安全や利便性が提供されています。 一方、障害のある人に対してはどうでしょう? エレベーターがあれば障害のある人に十分に配慮されていると思っていませんでしたか? しかし、例えば、エレベーターでしか上の階に行けない車椅子使用者は、もしエレベーターが奥にあったり、エレベーター以外を使える人によって混雑して乗れないなどがあれば、時間がかかってしまいます。 障害のない人と同じように配慮されているとは言えませんよね。 誰もが同じように、安全で使いやすい環境を作るには、こうした知らず知らずに作られてきた不平等に気づかなければなりません。 大多数の人にとって問題がなければいいという発想がバリアを作り出してきたのです。 19ページ目 ◆スライド11 ハード整備ができない状況でも拒否をすることなく、対話により解決策を導き出すことが重要 ・対応策を対話をして考える ・できない、時間がかかるなどの場合には「理由」を説明する ◇シナリオと解説11 バス事業でも、バリアフリー整備が進み、ハード面のユニバーサルな対応がされてきてはいますが、ハード整備がままならない状況もまだあるでしょう。 しかし、解決策はひとつではありません。 設備が対応していないので無理・・・などと利用を拒否するのでは、その理由によっては、合理的配慮の不提供または不当な差別的取扱いとなる恐れがあります。 お客様と対話をしてできることを導き出す、また、どうしても対応ができない、遅れるなどの場合には、その理由を説明するといったお客様の立場に立って「対話」をすることで、解決ができることが多くあります。 乗車にあたってのニーズや必要なこと、困っていることなどは、それぞれ異なります。車椅子の方だからといって同じでもなく、また障害はさまざまで見かけではわからない場合などもあります。話をしてみなければわからないということであり、最もよい対応の方法は「おうかがいをする」ことです。 これが事業者が遵守すべき「合理的配慮の提供」をしていくための極意とも言えるでしょう。 ◆スライド12 ③ 心のバリアフリーの理念を理解する 社会理念である「心のバリアフリー」を実践するために ◇シナリオと解説12 ③ 心のバリアフリーの理念を理解する ここまで、ユニバーサル社会を実現していくにあたっての、社会的背景、そして法的に事業者が求められている事項、その根幹にある「障害の社会モデル」について学んできましたが、最後に、ユニバーサル社会をつくっていくために必要な「心のバリアフリーの理念」について理解をしていただきたいと思います。 ◆スライド13 心のバリアフリーの考え方(ユニバーサルデザイン2020行動計画より) ①「障害の社会モデル」を理解すること ②障害のある人(及びその家族)への差別を行わない ③自分とは異なる条件を持つ多様な他者とのコミュニケーションをとる力を養い、すべての人が抱える困難や痛みを想像し、共感する力を培う ◇シナリオと解説13 これは、ここまで何度も出てきている「ユニバーサルデザイン2020行動計画」に書かれている 『心のバリアフリーの考え方』です。 【読み上げる】 ◆スライド14 お客様の立場に立った「対話」をすることでともにユニバーサルな社会を作っていく ◇シナリオと解説14 ここまで学んできた法律の背景や、障害の社会モデルと同じですね。 共感する力、つまり、お客様の立場に立って「対話」をすることで、形式的なやりとりとはならず、知らず知らずのうちに差別になってしまっていたこともなくなる・・・即ち、ともにユニバーサルな社会を構築できるのではないでしょうか。 これこそが心のバリアフリーを実践するために、身に付けるべき考え方です。 20ページ目 この考え方をもとに、自社のサービスのあり方、お客様に対する接遇のあり方などを考えていただければ、それが適切なサービス、接遇となります。 バスをはじめとした公共交通は今後の超高齢化社会において、間違えなく移動手段としての役割が大きくなります。サービス展開においてこの理念、考え方を基本にしていただければ、(単純な理念ですよね)誰もが利用できる移動手段としてのバスはますます重要性を増していくことでしょう。 ※副教材はP51~を参照 プログラム2 終わり 21ページ目 カテゴリ2:障害理解と接遇技術の基本 ③ 障害の特性と基本の接遇方法【全社員(特に現場社員、管理職)】 ④ 接遇ガイドラインに基づく接遇方法【全社員(特に現場社員、管理職)】 ⑤ 接遇方法の実技実習【全社員(特に現場社員)】 ⑥ 障害の疑似体験【全社員(特に現場社員、管理職)】  カテゴリ2は、多様な障害について、その特性を学ぶとともに、各場面における接遇方法や、その具体的な技術を学びます。また、障害を理解し、基本理念を達成するために、障害のある人の立場に立つために障害の疑似体験なども提示しています。  障害の多様な特性、具体的な接遇技術を学ぶ ・多様な障害の理解(各障害の特性や困りごとを知る) ・自分の職場で想定される場面における基本の接遇方法を習得する ・障害の疑似体験から、基本理念(障害の社会モデルの理解、コミュニケーション力、共感力を養うこと)を達成するための意識を醸成する  自主学習による効率的な研修 ・多様な障害についての理解、多様な場面を考慮した接遇方法の習得は研修時間を要することとなる。 ・座学による研修実施が望ましいが、時間を要するため、自主学習(タブレット等を活用したEラーニングの活用等)で効率的に研修を実施していくことも考えられる。 ・自主学習で理解したことを活かしていくためにも、他のプログラムの受講の「事前学習」として位置付けることで、理解が深まることが期待できる。 22ページ目 プログラム③ 障害の特性と基本の接遇方法 対  象:全社員(特に現場社員、管理職) 目安時間:1.5時間 研修形態:座学、自主学習 このプログラムのポイント 接遇を行うにあたっては、まずは対象となる高齢者、障害者等の特性を理解することが必要です。どんな特性があり、移動の時にはどのようなサポートが必要であるかを理解した上で、併せて、接遇介助の基本についても学び、障害の理解を深めます。 ●研修の進め方のイメージ このプログラムは、見た目などではわからない多様な障害者に対するコミュニケーション方法を学んだ上で、障害者の多様な特性、対応の基本的なあり方を学ぶプログラムです。 〇自主学習の場合には、②の障害の特性と基本の接遇方法については、各障害の別に学べるものとなっているので、各障害に分けて、毎日取り組んでいく方法もあります。 ①障害の多様性の理解と声かけの必要性 さまざまな特性を持った、多様な人が接遇を求めている。しかし、見た目ではわからない障害もあることから、「まずは声かけ」をして、どんな支援が必要か、必要ではないかを確認することが重要であることを理解する。 ↓ ②障害の特性と基本の接遇方法 公共交通機関利用時、移動時においてどんなことに困っているのか、また困りごとを解消するための基本的なコミュニケーションの方法について学びます。 障害特性を理解した上で、基本的な支援の方法について学びます。(障害ごとに分割して取り組むことも可能) 〇自主学習の学びは、理解しているかを検証するため、小テストやチェックリストで検証することが必要です。 ●研修スライド、講師用シナリオ(解説) ◆スライド1 接遇研修・基本のモデルプログラム プログラム③ 障害の特性と基本の接遇方法 ◇シナリオと解説1 【座学の場合】 講師の自己紹介とアイスブレイク ・講師の自己紹介 ・身近な障害などから、受講生との対話をつくるアイスブレイク 23ページ目 ◆スライド2 接遇支援を必要としている高齢者、障害者などはさまざま 多様性を理解し、どんな支援が必要かを見極めることが重要 ◇シナリオと解説2 ① 障害の多様性の理解と声かけの必要性 このプログラムでは、「障害の理解」と「接遇技術の基本」を学んでいきますが、 そもそも、声かけが必要な人というのはどんな人がいるんでしょうか? 【問いかけ】 肢体が不自由である、視覚が不自由である・・さまざまな部位に障害があるということも ありますが、その障害が重複している、また高齢になった場合にもさまざまな身体の機能の衰えが起きてくる・・・。 本当に多様で、誰もが声かけを必要とする人になりえるということがわかりますね。 こうした多様性を理解し、それぞれ困っていることは違ったりしますから、それぞれの人にどんな支援が必要か を見極めて接遇対応をしていくことが重要です。 ◆スライド3 多様性? でも、見た目では障害がわからない人もいる ↓ 声かけをしてみて、確認してみます ↓ 必要があれば「何をお手伝いしますか?」と声をかける 【補足説明】「見た目では障害の内容がわからない人」への対応が必要なときの、声かけによる支援内容の判断チャート例の図を掲載しています。 以下、チャートフロー 1.声かけ 2.発語も、話す内容の意味もわかる 3.発語はわかるが、話す内容の意味がわかりにくい 4.発語がわからない 5.相手の様子を確認する(見えていない/聞こえていないで伝わっていないことはないか)※プライバシーに配慮しつつ、障害の状況等を確認することは不当な差別的取扱いに当たらない。 6.落ち着いている 7.混乱している 8.ゆっくり落ち着いて話せる環境をつくる 9.どんな支援が必要かを聞く 10.コミュニケーションできる準備をする(マスクを外す、顔を見て話せるよう近づく、やさしく声かけをするなど) 11.相手の状況に合わせ、どんな支援が必要かを聞く(探る) ・目線を合わせ、ゆっくりと口の動きがわかるように話す ・わかったことは復唱して確認する ・わからないことがあれば、何度でも聞き返す ・相手が「はい」「いいえ」で答えられるよう、具体的に質問する ・可能であれば、書いてもらう、こちらも書く ・絵を書く、筆談をする、コミュニケーション支援ボードを使うなど 1から2から9へ 1から3、4へ 3、4から5へ 5から6から10へ 5から7から8から10へ 10から11へ 以上、チャートフロー終わり ◇シナリオと解説3 多様な障害があることはわかりますが、では、その人が目の前にいた場合、どこまでわかるでしょうか? 例えば聴覚障害のある人は、見た目ではわからない場合が多いです。 その他にも、発達障害、精神障害なども外見ではわからない場合が多いですよね。 外見でもわからない人がいる、そして外見でわかったとしてもどんなことに困っているかは多様です。 ですから、接遇対応をしていくにあたって、その人がどんな障害のある人で、どんな支援をすべきかはこちらの思い込みでしてしまうと、必要な支援ができなくなる・・・かも知れませんね。 まずは、「声をかけて確認してみる」ということが必要です。 声をかけて、こちらの話すことを理解し、話していただくこともこちらが理解できれば、あとはどんな支援が必要かを聞くだけです。 しかし、こちらの話すことは理解しているが、話していただけない、またこちらの話すことを理解してもらえていない場合もあります。 そうした場合には、その方が落ち着いていればゆっくりと顔を見てコミュニケーションをしましょう。聴覚障害の方であれば、マスクをしていては伝わりませんよ。 また、その方が混乱しているようであれば、こちらのお話しすることを理解していただくために、落ち着く環境をつくり、やさしく声をかけてみましょう。 声で伝わらなければ、書いたり、コミュニケーションツールを使ったりしてみます。そして、「何をお手伝いしますか?」と伝えましょう。これが、接遇対応の第一歩です。 24ページ目 ◆スライド4 1.高齢者 【特性】 ・視力・聴力・筋力など身体機能が低下 ・移動やコミュニケーションに時間がかかる ・杖やシルバーカー、車椅子を利用している人もいる ・認知症の症状のある人もいる ◇シナリオと解説4 ・障害の特性と基本の接遇方法 第一歩を踏み出し、どんな対応をすればよいかはコミュニケーションで引き出しますが、接遇対応を行っていくにあたっては、基本的な知識として、障害の特性や基本の接遇方法を身に付けておくことが重要です。 この基本的な知識をベースとして、多様なニーズに応えていくこととなります。 では、主な障害について、その特性と基本の接遇方法を学んでいきましょう。 まずは、高齢者です。高齢者は障害というくくりにはコトバとしてはなりませんが、加齢により、さまざまな機能の衰えがでてきます。 個人差はもちろんありますが、さまざまな機能が衰えていくために、移動やコミュニケーションに時間がかかってしまうようになります。 杖やシルバーカー、車椅子が必要となる場合もあります。 また、認知症の症状のある人もいて、自分の行先がわからなくなるなどの場合もあります。 ◆スライド5 【困りごと】 ・長く歩けない ・素早く行動できない ・つまづきやすい、転倒しやすい ・小さな字が見えにくい ・階段や車両への乗降が負担になる ・機械の操作が苦手 ・温度感覚が鈍る ◇シナリオと解説5 こうした身体機能の衰えにより、行動が鈍化し、つまづきや転倒がしやすくなります。また、老眼が進んで見えづらくなり、機械の操作などの煩雑なことが苦手になります。 ◆スライド6 基本の接遇方法 【コミュニケーションの基本】 ・時間がかかる場合は急かさない ・ペースを合わせたコミュニケーションを 【接遇のポイント】 ・誘導する場合はゆっくりペースを合わせて ・乗り降りが困難な様子の場合は、身体を支える、荷物を持つ ◇シナリオと解説6 高齢者に対しては、「時間がかかってしまう」ようになったことを責めてしまうことにも なるために、急かさないで、その人のペースに合わせたコミュニケーションをとることが必要です。 乗り降りなどが困難な様子の場合には、身体を支えたり、荷物を持つなどの支援が必要です。 ◆スライド7 2.肢体不自由者・車椅子使用者 【特性】 ・四肢、体幹が不自由で歩行や筆記が困難 ・障害の部位は個人差がある ・車椅子、杖、義足などを使用 ・原因(脳血管障害、脳性麻痺等)により困難さが異なる ・介助犬を使用する人もいる ◇シナリオと解説7 次は、肢体不自由の人、車椅子を使用している人です。 四肢や体幹に障害があるために歩行が困難となり、杖や義足、車椅子を使用する人がいます。 障害の程度や態様によってその困難さには個人差があります。 移動をサポートする介助犬を使用している人もいます。 25ページ目 ◆スライド8 【困りごと】 ・杖、義足などを使用している人は素早く移動する、階段・段差の上り下りが困難 ・車椅子を使用している人は隙間、段差、溝を越えるのが困難 ・手に麻痺がある場合は物を持つことが困難 ・口に麻痺がある場合はうまく会話できない ・高いところに手が届かない ・床に落としたものがとれない ・車椅子での移動、車椅子からの移乗にはスペースが必要 ◇シナリオと解説8 肢体不自由者、車椅子使用者は、特に上下の移動が困難です。 杖などを使用している人は素早い移動は難しいですね。また、車椅子使用者は隙間や段差、溝などを越えるのが困難です。 手や口に麻痺がある人もいて、物をもったり、会話がうまくできないことがあります。 また、車椅子使用者は、高いところや床に落としたものに手が届きません。 また、車椅子での移動には車椅子が通る幅が必要です。また、移乗をしたりする場合にはスペースが必要です。 ◆スライド9 基本の接遇方法① 【コミュニケーションの基本】 ・車椅子使用者の目線に合わせる ・声かけをするのはあくまで車椅子使用者本人に ・障害の程度によっては振動が伝わるだけで痛みを感じる人もいるため、「どのようにしたらよいか」をよく確認する ◇シナリオと解説9 コミュニケーションをする場合の基本としては、 車椅子使用者とのコミュニケーションの場合、目線を合わせることが重要です。立ったままですと、見下ろしてしまうことになってしまいます。 また、介助者や同行者がいる場合もありますが、声かけをするときには、その人本人の意思をうかがうのですから、あくまで、本人に声をかけなくてはいけません。 障害の程度はさまざまですから、「どうしたらよいか?」をよく確認しましょう。 ◆スライド10 基本の接遇方法② 【接遇のポイント】 ・さまざまな車椅子があることを理解する 【補足説明】主な車椅子の図を掲載しています。 手動車椅子、電動車椅子、リクライニング型、チンコントロール型、ハンドル型電動車椅子、バギー型車椅子 ◇シナリオと解説10 次に接遇のポイントを見ていきましょう。 車椅子といってもさまざまなタイプがあります。 ここにはおおまかなカテゴリを示しましたが、その中にも大きいもの、小さいものなど種類は多様です。 ◆スライド11 ■車椅子の移動介助 ・押す、動作の際には、声をかける ・周囲に注意しながら進む ・少しでも車椅子から離れる場合にはブレーキをかける ・車椅子の基本的な取扱い方法を身に付ける ◇シナリオと解説11 車椅子の移動介助の基本を見てみましょう。 介助において、押したり、何か動作をするときには必ず声をかけ、注意しながら進みます。 少しでも離れる場合にはブレーキをかけましょう。 基本的な取扱いを身に付けておくことも重要ですので、次から見ていきましょう。 ◆スライド12 【補足説明】手順を示した図を掲載しています。 ◆基本のたたみ方 ◆基本の広げ方 ◇シナリオと解説12 基本のたたみ方、広げ方です。 ブレーキをかけて作業をすることとなります。 フットサポートを上げ、中央を持ち上げて閉じたり、開いたりします。 車椅子によって異なることもありますので、分からない場合は、使用者に聞きましょう。 26ページ目 ◆スライド13 【補足説明】手順を示した図を掲載しています。 ◆段差を上がる(車椅子前向き) ◆段差を下りる(車椅子後向き) ◇シナリオと解説13 段差の上り下りです。 段差はキャスターを浮かせて上り下りします。 上がる場合は車椅子を前向きに、降りる場合は車椅子を後ろ向きにします。 ◆スライド14 【補足説明】手順を示した図を掲載しています。 ◆溝を越える(車椅子前向き) ◆溝を越える(車椅子後向き) ◇シナリオと解説14 溝を越える場合も、段差越えと同様です。 ◆スライド15 【補足説明】手順を示した図を掲載しています。 ◆スロープを上がる ◆スロープを下りる ◇シナリオと解説15 スロープの上り下りも同じですが、 危険のないよう、腰から力を入れて、支えましょう。 ◆スライド16 ■エレベーター・エスカレーターの移動介助 ・エレベーターへ誘導する場合は、床とエレベーターかごの間の溝に落ちないよう、扉にフットペダルなどが当たらないよう注意する ・エスカレーターは基本誘導しない ・車椅子対応エスカレーターの場合は安全に固定して利用する ◆車椅子対応エスカレーターの利用 上り ・平にしたステップに車椅子使用者を乗せる    ・タイヤを車止めの位置にあわせブレーキをかける    ・下り側に付添う 下り ・車椅子は上り側向きで、上りと同じ要領で行う ◇シナリオと解説16 次に、エレベーター、エスカレーターの移動介助について見ていきます。車いす使用者の方は、基本的にはエレベーターを利用することとなりますね。溝などに気を付けて誘導しましょう。 エスカレーターは基本的に利用できませんが、車椅子対応のエスカレーターの場合には、安全を確かめてから動作させることが必要です。 タイヤが車止めについているかを確かめてから、ブレーキをかけ、車椅子使用者の下側に立って支えましょう。 ◆スライド17 ■階段の移動介助 ・やむを得ず階段を使う際には、利用者の意向をまず確認する ◆車椅子を持ち上げて階段を利用する場合  持ち上げる ・4人以上で対応することが望ましい         ・前2人はアームサポートとフットサポートの上部を持つ         ・後2人はフレーム下部とハンドグリップを持つ         ・「いち・に・さん」で持ち上げる(せーのはNG)         ・水平を維持し、前が低くならないようにする  階段を上る  ・ブレーキをかけ、一段一段確認しながら上る  階段を下る  ・車椅子は上り側向きで、上りと同じ要領で行う ◇シナリオと解説17 やむを得ず階段を使う場合もあるでしょう。しかし、車椅子を持ち上げるということは、車椅子使用者にとっても不安です。利用者の意向をまずおうかがいしましょう。 持ち上げる場合は、4人以上で持ち上げましょう。どこを持ったらよいのかは、利用者に伺った方がよいでしょう。上り下りの際には、前が低くならないよう、細心の注意を払いましょう。 27ページ目 ◆スライド18 ■車椅子からの移乗 ・身体に触れることについて必ず了解を得る ・移乗の方向を確認する(障害の部位により異なる) ◆移乗支援の方法  2人で介助する場合   ・ブレーキをかけ、フットサポートを上げる   ・後方介助者は両脚を開きぎみにし、利用者の背後から腕を抱え込む   ・前方介助者は両膝を抱える   ・「いち・に・さん」で抱え上げ、腰を痛めないよう屈伸を使い、背筋を伸ばす   ・ゆっくりと移乗の座席に降ろす 【補足説明】手順を示した図を掲載しています。 ◇シナリオと解説18 車椅子からの移乗が必要な際には、支援の必要性有無を確認してから、必要な場合、体に触れることの了解を得て、移乗の方向を確認します。 2人で介助できればよいですが、 ◆スライド19 ◆移乗支援の方法  1人で介助する場合   ・腰とひざ裏を抱え、利用者には首に腕を回してもらう   ・腰を痛めないよう屈伸を使い背筋を伸ばして抱きかかえる 【補足説明】手順を示した図を掲載しています。 ◇シナリオと解説19 1人の場合には、腰を痛めて力が抜けてしまわないよう、注意して持ち上げます。 ◆スライド20 ■肢体不自由の人への支援 ・車椅子を使用していなくても、段差や垂直の移動が困難な人がいる ・支援が必要かを確認して支援を行う ■介助犬を使用している人への支援 ・介助犬は肢体不自由な人等の日常の手助けをする犬 ・介助犬には声をかける、見つめる、触るなどをしない(仕事を阻害してしまう) ・車椅子用スペースと、介助犬のスペースを確保する 【補足説明】手順を示した図を掲載しています。 ◇シナリオと解説20 高齢者を含め、杖を使用しているなどの肢体不自由の方も、段差や垂直の移動が困難な人がいます。 支援の確認をし、どんな支援をしたらよいかおうかがいしましょう。 また、介助犬を使用している人もいます。介助犬は肢体不自由を助けていますが、仕事をしていますので、 犬に声をかけたり、触ったりしてはいけません。犬のスペースの確保も必要です。 ◆スライド21 3.視覚障害者 【特性】 ・大きく「全盲」と「弱視」に分かれる ・光を感じる/感じない、物の輪郭が判別できない、視野の一部が欠けている、色の判別が困難、暗いところでは見えにくい、明るいところでは見えにくいなどさまざま 【補足説明】見え方の例を示した図を掲載しています。 正常な視野、弱視ではっきりと見えない、中心暗転、周辺視野狭窄、視野欠損 ◇シナリオと解説21 次は見えない、見えにくいなどの視覚障害のある人です。大きくは全く見えない「全盲」と見えにくい「弱視」に分かれます。また、先天的な障害か、後天的かによってその困難さが異なることもあります。 一方、色の判別がしにくい、暗いところでは見えにくい、明るいところでは見えにくいなどの特徴を持っている方もいます。 白杖を持っている、盲導犬を使用している、ガイドヘルパーと一緒に歩いている、1人で歩いているなどさまざまです。 ◆スライド22 【特性(つづき)】 ・白杖を持っている、盲導犬を使用している、ガイドヘルパーと一緒に歩いている、白杖等を利用せずに1人で歩いているなど歩き方もさまざま ・白杖や盲導犬を使用していても、全盲ではなく弱視の人の場合がある ・盲導犬は使用している人の指示した方向に進む、障害物を避ける、止まって曲がり角や段差を教える。道を覚えているのではない。 ◇シナリオと解説22 しかし、白杖を持っているから全盲、1人で歩いているから全盲ではないとは断定できません。 また、盲導犬は使用している人の指示した方向に進んだり、障害物を避けたり、曲がり角や段差を教えたりしますが、 道を覚えてナビゲーションをしているわけではありません。 28ページ目 ◆スライド23 【困りごと】 ・階段からの転落、車・人・物などとの接触に危険・不安を感じている ・視覚的な情報が得にくい/得られないため、「音の情報」が頼り ・誘導用ブロックを頼りに歩いている場合、ブロック上に障害物があると危険 ・無理に振り向かせてしまうと、方向がわからなくなる ・近くに人がいるかがわからないため、自ら助けを求めることが難しい ・無人駅などの呼び出しボタンの位置がわからない ・様々な音が混在していると混乱してしまう ◇シナリオと解説23 困りごととしては、見えない、見えにくいために、接触したりすると危険や不安を感じます。 また、視覚的な情報が得られない、得にくいので、音の情報(あなたの声掛けやアナウンスなど)が頼りです。 視覚障害者用誘導ブロックを使用している人もいます。ですから、ブロックの上に何かが置いてあったりすると、歩行を妨げてしまいます、 また、方向を確認しながら歩行していますので、後ろから話しかけて無理に振り向かせたりすると、方向がわからなくなってしまいます。 また、音の情報が頼りであるため、様々な音が混在すると混乱してしまいます。 ◆スライド24 基本の接遇方法① 【コミュニケーションの基本】 ・困った様子のときには、声をかけ、支援が必要かを確認する ・誘導する場合には、「どうしたらよいですか?」とどんな支援が必要かを確認する ・危険な場合には躊躇なく声をかける ・「1人で歩いているから支援はいらないだろう」、「白杖を持っているから一部始終支援が必要だろう」などの断定は禁物 ◇シナリオと解説24 コミュニケーションにあたっては、「声掛け」が重要です。近くに人がいるかがわからない場合もあるため、困った様子を見かけた際には、声をかけ、支援が必要かを確認します。 誘導が必要な場合には「どのようにお手伝いしたらよいですか?」とお伺いし、どのように誘導すべきか確認します。危険な場合には、躊躇なく「止まれ!」などと声をかけましょう。 ◆スライド25 基本の接遇方法② 【接遇のポイント】 ・いきなり触れたり、手を引いたりせず、何をすべきかを確かめる ・支援してほしいことはさまざま。どんな支援が必要かを確認する ・支援を断られた場合でも、安全を確認するために見守る ・白杖SOSシグナル  視覚障害者が周囲に助けを求めて、白杖を頭上50cm提示に掲げて意思表示を行う場合があります。 ◇シナリオと解説25 誘導をする際には、いきなり触れたり、手を引いてはいけません。支援をしてほしいことはさまざまですので、確認しましょう。 声かけをしても、なれている場合は「大丈夫です!」と断られる場合もあります。しかし、視覚障害の方には危険が見えていない場合もあります。安全を確認し、見守ることも重要です。 ◆スライド26 ■誘導の方法 ・声かけをして誘導を希望された場合には、どのようにしたらよいかを確認して誘導する ◆誘導の方法を確認  ・「私の腕の位置はここです。ここにつかまっていただけばよろしいですか?」など誘導の方法を確認する ◆情報をお伝えしながら誘導  ・「ここからまっすぐ進みます」「10cmくらいの段差があります」「ここで右に曲がります」など、方向や状況などの情報を都度お伝えしながら誘導する ◆周囲への配慮  ・周囲に人やものがある場合には、ぶつからないよう配慮し、避ける場合、「前方に柱があるので右に避けます」などと声をかける ・クロックポジション  位置関係を伝えるために、時計の文字盤に見立て、「3時の方向に改札があります」などと説明する。 ◇シナリオと解説26 誘導では、まず方法を確認します。肘につかまりたいですというご要望があった場合、 「私の腕の位置はここで、ここにつかまっていただければよろしいですか?」と利用者の手を誘導しましょう。 誘導する際には、情報をお伝えします。進んでいる方向、距離、曲がる、段差があるなどの情報を都度お伝えします。 また、周囲に障害物がないかも、確認しながら誘導しましょう。 位置をお伝えする際には、時計の文字盤に見立てて方向をお伝えする「クロックポジション」という方法があります。 ◆スライド27 ■盲導犬を使用している人への支援 ・盲導犬は視覚障害者の移動等を助けている ・盲導犬には声をかける、見つめる、触るなどをしない(仕事を阻害してしまう) ・盲導犬のスペースを優先席付近や壁際などに確保する ◇シナリオと解説27 盲導犬を使用している人もいます。盲導犬は移動の助けをしていますが、仕事をしています。ですから、声をかけたり、触ったりしてはいけません。犬のスペースを確保することも重要です。 29ページ目 ◆スライド28 4.聴覚障害者・言語障害者 【特性】 ・外見では気づきにくい ・聞こえ方には個人差がある ・補聴器を使用して会話が可能な人もいるが、うまく聞き取れない人もいる ・すべての人が手話を使えるわけではない ・表情や身振り手振り、口話、筆談、手話などの視覚情報が頼り ・聴導犬を使用している人もいる ◇シナリオと解説28 続いて、聴覚障害、言語障害の方の特性です。外見では、わからないですよね。ですから、障害のあることに気付かれないことが多くあります。 聞こえ方は障害の程度によって個人差があります。補聴器で会話が可能な人もいますが、うまく聞き取れないこともあります。 障害が先天性の場合、言語障害を伴うこともあります。 また、すべての人が手話ができるわけではありません。口話や筆談などのコミュニケーションの方法もあります。 聴導犬を使用している人もいます。 ◆スライド29 【困りごと】 ・外見ではわからないため、誤解や障害を理解されないことがある ・補聴器を使用していても、周囲の雑音などで聞き取れない場合がある ・相手の表情や口元が見えないとコミュニケーションがとりにくい ・声や音声情報だけでは、伝わらず、緊急時などは状況を理解できない場合がある ◇シナリオと解説29 外見では気付かけないことから、こちらが話しているのに無視したなどと誤解を受けることもあります。 口元が見えていることで、話している内容を理解できる人もいますが、マスクをしていたりしてはわかりませんね。 音の情報だけでは、緊急時などは困ることがあります。 ◆スライド30 基本の接遇方法① 【コミュニケーションの基本】 ・困った様子のときには、声をかけ、支援が必要かを確認する ・コミュニケーションの際には、表情が見えるよう正面に立ち、はっきりとした口の動きを見せる ・身振り手振り、筆談(簡潔な文章)、簡単な手話で対応する ・聞き取れない場合は、あいまいにせず確認する ◇シナリオと解説30 困っている様子をみかけたら、声をかけ、声で分からない様子の場合は、その人の正面に立って表情が見えるようにして口の動きを見ていただきます。 聞き取れていない様子の場合は、筆談や身振り手振りで伝えましょう。伝えるべきことはあいまいにせず、コミュニケーション方法を確認してお伝えしましょう。 ◆スライド31 基本の接遇方法② 【接遇のポイント】 ■口話の方法 ・利用者の視界に入る(正面がよい) ・普通の声の大きさで ・はっきり、少しゆっくり、文節を区切る ・わかるまで丁寧にうかがう ◇シナリオと解説31 口話は、口の動きで話している内容を理解する方法です。ですから、口の動きがよくわかるよう、正面に立ち、はっきり、ゆっくり、文節を切って話しましょう。 ◆スライド32 ■筆談の方法 ・筆談が苦手という人もいるため、筆談でよいかを確認する ・簡潔に短い文章で伝える(キーワードだけでもよい) ・文字が見えるようにして書く ・図なども適切に使う ◇シナリオと解説32 筆談は、文字で書いて伝える方法ですが、筆談が苦手という人もいるので、確認します。 すべての内容を書くのではなく、キーワードを書くなど、簡潔に伝えることが重要です。 書く時には利用者に見えるようにし、文字だけでなく、図などで伝えることもわかりやすいでしょう。 30ページ目 ◆スライド33 ■手話の方法 ・すべての聴覚障害者が手話を使えるわけではない(中途失聴者の多く習得していない) ・カンタンな手話を習得し、身振り手振りや口話と合わせて伝える 【補足説明】手話の例(2つ)の手順の図を掲載している 1.よろしくお願いいたします。 握った手を鼻にあてる→右手を顔の中央から少し下におろしながら、おじぎする。 2.お待ち下さい 右手の甲をあごにあてる→右手を顔の中央から少し下に下ろしながら、おじぎする。 ◇シナリオと解説33 手話は、すべての聴覚・言語障害の人が使えるわけではありません。 しかし、あいさつや確認などの簡単な手話は覚えておけば、身振り手振りや口話と合わせて使えますね。 ◆スライド34 ■聴導犬を使用している人への支援 ・聴導犬は聴覚障害者が聞こえない情報(後ろから来る車等の音、玄関チャイム、携帯電話の着信音、警報機の音など)を知らせている。 ・聴導犬には声をかける、見つめる、触るなどをしない(仕事を阻害してしまう) ・聴導犬のスペースを優先席付近や壁際などに確保する ◇シナリオと解説34 聴導犬は、聴覚に障害のある人が「聞こえない情報」を伝えることを仕事にしています。 聴導犬は小型犬が多いためペットと間違えられることがありますが、聴導犬である表示をつけています。 犬は仕事をしていますので、声をかけたり、触ったりしてはいけません。犬のスペースを確保することも重要です。 ◆スライド35 5.発達障害者・知的障害者・精神障害者 ■発達障害(脳機能の障害) ・広汎性発達障害(自閉症、アスペルガー症候群) ・注意欠陥多動性障害 ・トゥレット症等のチック など ■知的障害 ・概ね幼少期までに何らかの知的機能障害が生じた ・複雑な判断や計算などに支援が必要 ■精神障害(精神疾患) ・統合失調症、気分障害(うつ病など) ・脳の損傷による高次脳機能障害 など ◇シナリオと解説35 発達障害は脳機能の障害で、自閉症スペクトラム、アスペルガー症候群などの広汎性発達障害、注意欠陥多動性障害、トゥレット症などのチックや吃音症などがあります。 知的障害は概ね幼少期までに脳になんらかの障害を受けたために、知的な発達が遅れています。 精神障害は、統合失調症、うつ病などの気分障害、てんかんなどのさまざまな精神疾患です。 また、脳の損傷によって起こる、高次脳機能障害もあります。 ◆スライド36 【特性】 ・外見では気づきにくい ・話の内容を理解できない人がいる ・自分の考えや気持ちをうまく伝えられない人がいる ・常識やルールを理解しにくい人がいる ・身体が勝手に動く、声や言葉が急に出る、変わったクセがあるなどの場合がある ・強いこだわりがある人がいる ・音や光が苦手な人がいる ・ストレスに弱く、疲れやすい   など ◇シナリオと解説36 これらの障害のある人は、外見からでは気づきにくく、その症状や特性、反応はさまざまです。 人とのかかわりあいやコミュニケーションが苦手な傾向があるということが大きな特徴と言えます。 ◆スライド37 【困りごと】 ・コミュニケーションが苦手な傾向にある ・困っていても自分から助けを求められない場合がある ・勝手に動きや声が出ることがコントロールできない場合がある ・不安を感じると体調不良となる場合がある ・いつもとは違った状況になるとパニックを引き起こす場合がある ・料金体系や機械の利用などが理解できない、しづらいなどの場合がある ◇シナリオと解説37 コミュニケーションが苦手な傾向にあるために、困っていても自分から助けを求められないなどの困りごとがあります。 動きや声をコントロールできない、また、いつもとは違った状態になると不安になり、パニックを起こすこともあります。 31ページ目 ◆スライド38 基本の接遇方法 【接遇のポイント】 ■コミュニケーションの方法 ・やさしい表情とコトバで話しかける ・ゆっくり、丁寧に、繰り返し対応する ・具体的で、簡潔に ・肯定的な表現で話す ・難しい単語や、言い回しは避ける ・視覚的な伝達手段の利用(イラストやピクトグラム) ■パニックになったときの対応方法 ・刺激をしない ・不必要に注目を集めることをしない ・安全を確保しながら、落ち着くまで見守る ・近くに静かな場所があれば、そちらに誘導する ◇シナリオと解説38 コミュニケーションにあたっては、やさしい表情とコトバで、ゆっくり丁寧に話しかけます。具体的かつ、簡潔に、理解していただけなければ繰り返し説明します。 伝わりにくいようであれば、イラストやピクトグラムなどの視覚的な伝達手段を利用しましょう。 パニックとなってしまっている様子の場合には、刺激せず、安全を確保しながら落ち着くまで見守りましょう。 混雑していたり、音が大きいなどの場所であれば、静かな場所に誘導し、落ち着いてもらうようにします。 ◆スライド39 ■チックを抱える人への対応方法 ・音声チックや運動チックなどの症状に対して、不必要に注目が集まらないよう配慮する ・他のお客様とのトラブル時には、周囲の方への理解を求める声かけをする ・苦痛を訴えるなど、本人から支援を求められた際は、静かなところでの休憩を促す ■緊急連絡先を把握できる場合には ・ヘルプマークなど、緊急連絡先が記載されているものを携行している場合がある ・確認の上連絡し、状態を伝えて対応方法を把握する ◇シナリオと解説39 トゥレット症の方は、チックと言われる症状が出ることがあります。言葉を繰り返したり、叫び声をあげたりする音声チックやまばたきや顔をしかめるなどの運動チックがあります。 不必要に注目を集めたりしないよう配慮が必要です。 他のお客様とのトラブルがあった場合には、周囲の方への理解を求める声かけをしましょう。 また、身体的あるいは精神的苦痛を訴えるなど、本人から支援を求められた場合には、静かなところでの休憩を促します。 ヘルプマークなど緊急の連絡先を携行している場合もあります。 パニックが収まらないなどの場合には、確認の上連絡して対応方法を確認します。 ◆スライド40 6.内部障害者 【特性】 ・外見では気づきにくい ・体調が変化しやすい、骨折しやすい、風邪などがうつりすい ・人工肛門、人口膀胱を使用している人(オストメイト)がいる ・酸素ボンベや人工呼吸器を携行している人がいる ・ヘルプマークを持っている人がいる(外見では障害がわからないため) 【補足説明】ヘルプマークの図を記載しています。 ◇シナリオと解説40 内部障害とは、内蔵機能の障害で、心臓機能、腎臓機能、呼吸器機能、肝臓機能、膀胱・直腸機能、小腸機能、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能の障害、また糖尿病などの膵臓機能障害などが挙げられます。 外見では気づきにくいですが、体調が変化しやすい人がいます。 人工肛門や膀胱を使用しているオストメイトや酸素ボンベ、人工呼吸器を携行している人もいます。 外見ではわからないために「ヘルプマーク・カード」を持っている人がいます。 ◆スライド41 【困りごと】 ・疲れやすく、長時間立っていられない場合がある ・長い距離を歩く、階段の上り下りなどが困難 ・オストメイトに対応したトイレが必要 【補足説明】オストメイトやオストメイト設備を表すマークの図を記載しています。 ◇シナリオと解説41 疲れやすいために、長時間立っていられない、階段の上り下りがつらいなどの困りごとがあります。 また、オストメイトの方には、対応のトイレが必要です。 ◆スライド42 基本の接遇方法 【接遇のポイント】 ・体調がすぐれない様子があれば、声をかけ、休める場所などに誘導する ・医療器具の携行に配慮する(必要な支援をうかがう) ・エスカレーターやエレベーターの位置を案内する ・トイレの機能を把握しておき、適切な場所に案内する ・ヘルプカードには対応方法や緊急連絡先が記載されている 【補足説明】ヘルプカードの図を記載しています。 ◇シナリオと解説42 体調がすぐれないなどの様子を見かけた場合には、支援が必要かどうかを確認し、休める場所に誘導します。人工呼吸器など携行している医療器具があるかを確認し、どんな配慮が必要かをうかがいます。 オストメイトトイレがどこにあるかなども確認しておきましょう。 ヘルプカードを持っている場合、そこに対応方法や緊急連絡先が記載されています。 32ページ目 ◆スライド43 7.その他 その他にも、  その他の心身の機能障害、妊産婦、  ベビーカー使用者を含む乳幼児連れ、けが人など に配慮が必要 ◇シナリオと解説43 その他の心身機能障害や、妊産婦、ベビーカー使用者を含む乳幼児連れ、けが人など、公共交通を利用するにあたって配慮が必要な人がいます。 それぞれの特性や困りごとはさまざまですので、まずは、支援が必要かを確認し、さらにどんなことを支援すればよいかを確認します。 ※副教材はP53~を参照 ※自主学習の場合には、小テストやチェックリストを作成し、理解の検証を行う。 プログラム③ 終わり 33ページ目 プログラム④ 接遇ガイドラインに基づく接遇方法 対  象:全社員(特に現場社員、管理職) 目安時間:1時間 研修形態:座学、自主学習 このプログラムのポイント 日常の業務において、高齢者、障害者等に対してどのような接遇対応が必要であるかを、接遇対象別、業務の場面別に具体的に示しています。 接遇対象のお客さまの特性を理解した上で、基本的な接遇方法を身に付けさせましょう。 ●研修の進め方のイメージ このプログラムは、日常の業務において接遇を行う際の配慮点を理解した上で、場面別に基本の接遇方法を身に付けていただくプログラムです。内容は接遇ガイドラインに基づいています。 〇自主学習の場合は、②バス事業における基本の接遇方法については、接遇対象の別に学べるものとなっているので、各障害に分けて、毎日取り組んでいく方法もあります。 ①対応の際の配慮点 接遇対応を行う前提として、対応の際に身に付けておくべき配慮点について学びます。 ↓ ②基本の接遇方法 接遇対象別(主な障害の別)に、業務の各場面においてどのような接遇が必要かを学びます。(障害ごとに分割して取り組むことも可能) 〇自主学習の学びは、理解しているかを検証するため、小テストやチェックリストで検証することが必要です。 ●研修スライド、講師用シナリオ(解説) ◆スライド1 接遇研修・基本のモデルプログラム プログラム④ 接遇ガイドラインに基づく接遇方法 ◇シナリオと解説1 講師の自己紹介とアイスブレイク  ●講師の自己紹介  ●バスにおける接遇の場面などの話をしながら、受講生との対話をつくるアイスブレイク 34ページ目 ◆スライド2 高齢者、障害者等に対する接遇の基本を学ぶ ◇シナリオと解説2 急激に増加している高齢者、また、障害のある人が問題なく移動できるよう、根幹の公共交通手段であるバスには、接遇対応が求められています。 平成30年に、公共交通事業者向けの「接遇ガイドライン」が国交省で策定され、高齢者や障害のある人に対する「接遇の基本」が示されています。 ここでは、接遇ガイドラインを基本に、バス事業の各場面でどのような配慮が必要かを学んでいきます。 ◆スライド3 ① 対応の際の配慮点 ・障害特性、高齢者、障害者等に対する理解を高め、偏見を取り除く ・まずはコミュニケーションをとることにより、思い込みや不当な対応をなくす ・コミュニケーションにおいては、必要な情報保証を ・敬意を持った対応を ・必要な接遇は多様であることを前提に ・高齢や障害を理由に乗車を拒否してはならない ◇シナリオと解説3 ①対応の際の配慮点 具体的な業務の場面での接遇方法に入っていく前に、身に付けるべき対応の配慮点を見てみましょう。 これは、障害者権利条約に基づき、障害のある人が当たり前に公共交通の利用など、生活を送ることができる「権利」を法的に保障されているということが裏付けにありますが、差別をせず、合理的な配慮をすることを整理したものです。 【内容の読み上げ】 ◆スライド4 ② 基本の接遇方法 ◇シナリオと解説4 ②基本の接遇方法 では、接遇対象別、業務の場面別に接遇方法を見ていきましょう。 ◆スライド5 1.高齢者 特性に配慮し、困っている様子のときは、支援が必要かを確認した上で接遇対応をします。 ■高齢者の特性 ・視力・聴力・筋力など身体機能が低下 ・移動やコミュニケーションに時間がかかる ・杖やシルバーカー、車椅子を利用している人もいる ・認知症の症状のある人もいる ◇シナリオと解説5 まずは、高齢者ですが、高齢者は文字情報や周囲の様子が見えにくい、乗務員の声が聞こえにくい、筋力が低下し歩きにくい、認知症の症状のある人もいるなどの特性があります。 困っている様子の場合には、支援が必要かを確認して対応しましょう。 ◆スライド6 ●事前問合せ、チケット購入 ・聴こえている、理解しているかを確認 ●乗降時、運賃支払い、車内 ・バランスを崩す、躓きやすいため、安全を確認 ・時間に余裕を持った支援 ●乗り換え時 ・支援の申し出があれば乗換経路を具体的に案内 ◇シナリオと解説6 予約時、事前の問合せ時などにおける電話対応などでは、 聞こえているか、理解しているかを確認することが重要です。 また、乗降時や支払い時には、バランスを崩したり、躓きやすいため安全を確認し、相手のペースに合わせ、ゆっくりと対応しましょう。降車を急いで、走行時に立ち上がらないよう注意喚起が必要です。 支援の申し出があれば、乗換の経路を具体的にご案内します。 35ページ目 ◆スライド7 2.肢体不自由者・車椅子使用者 特性に配慮し、困っている様子のときは、支援が必要かを確認した上で接遇対応をします。 ■肢体不自由者・車椅子使用者の特性 ・四肢、体幹が不自由で歩行や筆記が困難 ・障害の部位は個人差がある ・車椅子、杖、義足などを使用 ・原因(脳血管障害、脳性麻痺等)により困難さが異なる ・介助犬を使用する人もいる ◇シナリオと解説7 肢体不自由者、車椅子使用者は、移動や設備の利用に困難な状況があります。 困っている様子の場合には、支援が必要かを確認して対応しましょう。 ◆スライド8 ●事前問合せ、チケット購入 ・支援内容の確認(車椅子等の補助具や介助犬の使用等について) ・窓口の利用では、必要に応じて支援(車椅子使用者等に配慮したカウンターではない場合など) ・発券機の利用では、必要に応じて支援(車椅子使用者等に配慮した構造ではない場合など) ●乗降時、運賃支払い、車内 ・バス停への正着 ・車椅子使用者のスロープによる乗降支援  ・スロープを利用して支援  ・乗車時は前向き、降車時は後向きで  ・歩道にスロープが降ろせない場合は車道面まで降ろして(段差越え要領で)から ◇シナリオと解説8 事前問合せ、チケット購入においては、補装具や介助犬を使用しているのかなどを確認する必要があります。また、窓口や発券機が車椅子使用者等に配慮したカウンターではない場合などは、必要に応じて支援を行うことが必要です。 乗降時、運賃支払い、車内においては、まずバス停では正着して利用がしやすいようにします。また、車椅子使用者のスロープによる乗降支援を行う際には、乗車時には前向き、降車時には後ろ向きで支援し、スロープが歩道に降ろせない場合には、車椅子を車道面まで降ろしてから支援します。 ◆スライド9 ●乗降時、運賃支払い、車内(つづき) ・車椅子使用者のリフトによる乗降支援  ・乗車までの流れを説明  ・使用方法を確認して支援 ・スロープ/リフトがない場合の乗降支援  ・設備がないことを説明  ・利用者の意向を確認  ・同意が得られれば、階段の要領で4人以上で支援(他の乗客などの協力を得る)  ・支援必要人数が得られない場合は、別の方法(設備のあるバスを待って乗車等)などを提案し、話し合い、理解を得られるようにする ・乗車時に運賃の授受  ・目的地の確認、手帳の確認、運賃の授受を乗車位置で行う  ・割引適用は合理的な方法で確認 ◇シナリオと解説9 リフトによる乗降支援の場合、まずは乗車までどんな作業があって、どのくらいの時間がかかるかなど、流れをご説明することが重要です。 スロープもリフトもない場合には、設備がないことをご説明し、利用者のご意向をうかがった上で、階段の要領で4人以上で持ち上げます。他の乗客などの協力が必要ですが、支援が得られない場合には、他の方法を提案し、話し合って理解を得られるようにすることが重要です。 「ご説明する」ということで、その車両にはご乗車が難しい場合でも、納得していただくことが重要です。 また、運賃の授受は、乗車位置で行います。 割引運賃を適用する際の本人確認については、利用者の負担にならないよう、合理的な方法での確認を行います。 ◆スライド10 ●乗降時、運賃支払い、車内(つづき) ・車椅子は確実に固定装置を装着する  ・車椅子スペース又は一般座席横に移動  ・進行方向に向けてブレーキをかける  ・備え付けの固定装置を確実に装着する  ・移乗の場合は支援の有無を確認して支援する ●乗り換え時 ・支援の申し出があれば乗換経路を具体的に案内 ◇シナリオと解説10 車内では、車椅子スペースなどに誘導し、進行方向に向いていただいて、ブレーキをかけ、確実に固定装置を装着します。 支援の申し出があれば、乗換の経路を具体的にご案内します。 36ページ目 ◆スライド11 3.視覚障害者 特性に配慮し、困っている様子のときは、支援が必要かを確認した上で接遇対応をします。 ■視覚障害者の特性 ・大きく「全盲」と「弱視」に分かれる ・光を感じる/感じない、物の輪郭が判別できない、視野の一部が欠けている、色の判別が困難、暗いところでは見えにくい、明るいところでは見えにくいなどさまざま ・白杖を持っている、盲導犬を使用している、ガイドヘルパーと一緒に歩いている、白杖等を利用せずに1人で歩いているなど歩き方もさまざま ・白杖や盲導犬を使用していても、全盲ではなく弱視の人の場合がある ・盲導犬は使用している人の指示した方向に進む、障害物を避ける、止まって曲がり角や段差を教える。道を覚えているのではない。 ◇シナリオと解説11 視覚障害者は、文字情報や周囲の様子が見えない、見えにくいなどの状況があります。 困っている様子の場合には、支援が必要かを確認して対応しましょう。 ◆スライド12 ●事前問合せ、チケット購入 ・支援内容の確認(盲導犬の使用等について)発券機の利用では、必要に応じて支援  ・困った様子の場合には支援の要否を確認  ・目的地を確認し、金銭の授受を正確に行う  ・誘導支援を希望される場合は、画面の内容を説明し、テンキーなどに手を誘導する ●乗降時、運賃支払い、車内 ・バス停への正着 ・白杖使用者、盲導犬使用者をバス停でも書けた場合にはマイクで声をかける ・発車停止などの状況をアナウンスで伝える ・急停止の場合にはただちに短く伝える ◇シナリオと解説12 事前問合せ、チケット購入のときには、盲導犬を使用しているのかなどを確認する必要があります。 また、発券機の利用に困っている様子の場合には、支援の要否をまず確認し、目的地の確認、金銭の授受を正確に行います。お客さまが自分で購入するために誘導を希望された場合には、画面の内容を説明し、テンキーなどに手を誘導します。 乗降時、運賃支払い、車内においては、まずバス停では正着して利用がしやすいよいにします。 バス停で白杖使用者や盲導犬使用者がお待ちの場合には、マイクで声をかけます。 また、車内でも発車や停車などの状況をアナウンスで説明し、急停止などの場合には、「急停止します!」など短く伝えます。 ◆スライド13 ●乗降時、運賃支払い、車内(つづき) ・乗車の際には、着席している、手すりにつかまっているかを確認 ・指定席がある場合  ・支援の要否を確認  ・座席まで誘導  ・車内設備などの説明 ・色別表示などの情報に対する支援  ・色別情報表示でわからない様子の場合には、情報を提供する。 ◇シナリオと解説13 乗車の際には、着席しているか、手すりにつかまっているかを確認してから出発します。指定席がある場合には、支援の要否を確認した上で、座席まで誘導し、車内の状況がわかるよう、設備などについて説明します。 色覚に異常がある人もいます。色別で情報表示をしていてわからないなどの支援を求められた場合には、情報を提供しましょう。 支援の申し出があれば、乗換の経路を具体的にご案内します。 ◆スライド14 4.聴覚障害者・言語障害者 特性に配慮し、困っている様子のときは、支援が必要かを確認した上で接遇対応をします。 ■聴覚障害者・言語障害者の特性 ・外見では気づきにくい ・聞こえ方には個人差がある ・補聴器を使用して会話が可能な人もいるが、うまく聞き取れない人もいる ・すべての人が手話を使えるわけではない ・表情や身振り手振り、口話、筆談、手話などの視覚情報が頼り ・聴導犬を使用している人もいる ◇シナリオと解説14 聴覚障害者、言語障害者は、乗務員の声が聞こえない、聞こえにくい、自分の要求が伝えられないなどの状況があります。 困っている様子の場合には、支援が必要かを確認して対応しましょう。 37ページ目 ◆スライド15 ●事前問合せ、チケット購入 ・支援内容の確認(聴導犬の使用等について) ●乗降時、運賃支払い、車内 ・遅れなどの運行情報が、情報版の表示で伝えられない場合は、筆談等で伝える ・次のバス停の案内が、情報版の表示で伝えられない場合は、身振り手振りや筆談等で伝える ●乗り換え時 ・支援の申し出があれば乗換経路を具体的に案内 ◇シナリオと解説15 事前の問合せやチケット購入時などにおいては、 聴導犬を使用しているのかなどを確認する必要があります。ただし、音声では伝わらないため、ファックスやインターネットでの問い合わせをできるようにしておくことが重要です。 また、乗降時、運転支払い、車内においては、遅れなどの情報や、次のバス停について情報版の表示で伝えられない場合には、筆談や身振り手振りでお伝えします。 支援の申し出があれば、乗換の経路を具体的にご案内します。 ◆スライド16 5.発達障害者・知的障害者・精神障害者 特性に配慮し、困っている様子のときは、支援が必要かを確認した上で接遇対応をします。 ■発達障害者・知的障害者・精神障害者の特性  コミュニケーションが苦手な傾向にある ・外見では気づきにくい ・話の内容を理解できない人がいる ・自分の考えや気持ちをうまく伝えられない人がいる ・常識やルールを理解しにくい人がいる ・身体が勝手に動く、声や言葉が急に出る、変わったクセがあるなどの場合がある ・強いこだわりがある人がいる ・音や光が苦手な人がいる ・ストレスに弱く、疲れやすい   など ◇シナリオと解説16 発達障害者、知的障害者、精神障害者は、コミュニケーションが苦手な傾向にあります。 困っている様子の場合には、支援が必要かを確認して対応しましょう。 ◆スライド17 ●事前問合せ、チケット購入 ・支援内容の確認 ・問い合わせに対してはゆっくり、はっきり、具体的に対応し、理解を確認 ●乗降時、運賃支払い、車内 ・支払いなどがわからない様子の場合には、ゆっくり、はっきり、具体的に話す ・ウロウロする、大声を上げる、パニックとなっている様子の場合にはゆっくり停車し、やさしく話しかけ落ち着かせることが重要 ・他のお客様とのトラブル時には、周囲の方への理解を求め、声かけをする ・必要以上に注目を集めない ●乗り換え時 ・支援の申し出があれば乗換経路を具体的に案内 ◇シナリオと解説17 事前の問合せ、チケット購入時などにおいては、説明がわからない様子の場合には、ゆっくり、はっきり、具体的に対応し、理解しているかを確認します。 また、乗降時や支払い時、支払いなどが分からない様子の場合には、ゆっくり、はっきり、具体的に説明します。 ウロウロする、大声を上げる、また、パニックなどを起こしてしまう場合もあります。その場合にはやさしく話しかけ、落ち着かせることが重要です。 また、他のお客様とのトラブルが生じてしまった場合には、周囲のお客様への理解を求める声かけをしましょう。 ただし、必要以上に注目を集めないようにも配慮も必要です。 支援の申し出があれば、乗換の経路を具体的にご案内します。 ◆スライド18 6.内部障害者 特性に配慮し、困っている様子のときは、支援が必要かを確認した上で接遇対応をします。 ■内部語障害者の特性 ・外見では気づきにくい ・体調が変化しやすい、骨折しやすい、風邪などがうつりすい ・人工肛門、人口膀胱を使用している人(オストメイト)がいる ・酸素ボンベや人工呼吸器を携行している人がいる ・ヘルプマークを持っている人がいる(外見では障害がわからないため) ◇シナリオと解説18 内部障害者は、外見ではわからない場合が多いですが、体調が変化しやすいなどの状況があります。 困っている様子の場合には、支援が必要かを確認して対応しましょう。 38ページ目 ◆スライド19 ●事前問合せ、チケット購入 ・支援内容の確認 ・具合が悪い等の申し出があった場合、  ・支援が必要かを確認  ・どのような支援が必要かを聞く ●乗降時、運賃支払い、車内 ・具合が悪い等の申し出があった場合、  ・支援が必要かを確認  ・どのような支援が必要かを聞く ●乗り換え時 ・支援の申し出があれば乗換経路を具体的に案内 ◇シナリオと解説19 事前の問合せ、チケット購入時などにおいては、必要な支援事項があれば確認します。 また、乗降時に具合が悪くなったなどの申し出があれば、支援が必要かを確認し、どんな支援をすべきかを聞いて対応します。 車内で具合が悪いなどの申し出があった場合には、どのような支援が必要かを聞き、対応します。 支援の申し出があれば、乗換の経路を具体的にご案内します。 ◆スライド20 7.その他 その他にも、  その他の心身の機能障害、妊産婦、  ベビーカー使用者を含む乳幼児連れ、けが人など に配慮が必要 ◇シナリオと解説20 その他にも、これまで紹介した障害のほかに心身の機能障害は多様にあります。 また、妊産婦、ベビーカー使用者を含む乳幼児連れ、けが人などにも配慮が必要です。 困っている様子の場合には、支援が必要かを確認して対応しましょう。 ◆スライド21 ●事前問合せ、チケット購入 ・支援内容の確認 ●乗降時、運賃支払い、車内 ・具合が悪い等の申し出があった場合、支援が必要かを確認し、どのような支援が必要かを聞く ・ベビーカー使用者には、ベビーカー用スペースなどでブレーキをかけ、ベルトで固定をしていただく。 ・妊婦やけが人はバランスを崩しやすいため、相手の状況に応じて支援する ◇シナリオと解説21 事前の問合せやチケット購入時などにおいては、必要な支援事項があれば確認します。 また、乗降時に具合が悪くなったなどの申し出があれば、支援が必要かを確認し、どんな支援をすべきかを聞いて対応します。 ベビーカー使用者は、ベビーカー用スペースなどでブレーキをかけ、ベルトで固定をしていただきます。スペースがない場合には、周囲のお客様にご協力をいただけるよう声かけなどをします。 妊産婦、けが人などはバランスを崩しやすいため、相手の状況や支援の申し出などを受け、乗降の支援などを行います。 支援の申し出があれば、乗換の経路を具体的にご案内します。 ◆スライド22 8.緊急時・災害時の対応について 配慮事項 ・遅延・運転の見合わせなどの時には、必要な情報を乗客が得やすい手段で伝えることに努める ・支援の申し出があれば乗換経路を具体的に案内高齢者・障害者等が緊急事態に陥った時には、迅速かつ適切な対応を図ることに努める 地震、火災などの災害時には、乗客の安全を確・支援の申し出があれば乗換経路を具体的に案内認し、高齢者・障害者等が安全に避難できるよう誘導・介助を行う。適宜一般の乗客にも誘導・介助の協力を求める ◇シナリオと解説22 最後に、緊急時・災害時の対応についてですが、既に安全規定管理などによる対応をしていると思います。ここでは、高齢者や障害者等に対する基本的な配慮事項についてお伝えします。 ・まず、遅延や運転の見合わせなどの時には、特に視覚障害や聴覚障害の方などは情報を得にくい状況にあります。必要な情報を、乗客が得やすい手段で伝えることに努めましょう。 ・緊急事態に陥った際には、迅速かつ適切な対応が求められます。 ・地震、火災などの災害時には、皆さまが安全に避難できるよう誘導・介助を行います。また、適宜、一般の乗客の方にも誘導・介助の協力を求めましょう。 39ページ目 ◆スライド23 公共交通事業者に向けた『接遇ガイドライン』H.30.5 国土交通省 http://www.mlit.go.jp/common/001236569.pdf ◇シナリオと解説23 「接遇ガイドライン」では、さらに詳細に対応の留意点などが掲載されています。国土交通省のホームページにありますので、読んでみてください。 ※副教材はP61~を参照 ※自主学習の場合には、小テストやチェックリストを作成し、理解の検証を行う。 プログラム4 終わり 40ページ目 プログラム⑤ 接遇方法の実技実習 対  象:全社員(特に現場社員、管理職) 目安時間:1.5時間(参加人数による) 研修形態:障害当事者参画による実技実習 ●このプログラムのポイント 具体的な接遇技術は、実際に体験する、研鑽することで技術が身につくこととなるため、車椅子使用者の支援、視覚障害者の手引きなどを中心として、実技実習によって習得させていくプログラムです。 ただし、実技実習にあたっては、障害当事者の参画を図ることで、接遇実技の問題点、配慮点が明確となります。 ●実技例:車椅子使用者の支援(自社の実情に合わせて実施) ①必要な学習事項とポイント 車椅子使用への理解 ・車椅子の構造 ・操作のポイント(どこを持って良いのか、いけないのか) ・車椅子使用に対する理解(車椅子使用者による自分の車椅子の特徴、選んだ理由や他の車椅子の特徴など) 実車による車椅子使用者の乗介助 ・バス車両への乗降(スロープの使用等) ・シートなどへの移乗介助 ・重心移動で立たせるための介助 ②プログラムを進める上での留意点 ・なぜ車椅子の構造やその選び方などを学ばなければならないか ⇒使用者の障害の程度によって選び方は異なり、障害の程度によって移動介助の配慮点も異なることを学ぶ ・実車による乗降の介助を障害当事者とともに学ぶ ⇒実際に障害当事者を乗降させることを実車で体験することにより、問題点が明確となり、コミュニケーションの必要性が実感できる ●実技例:視覚障害者の支援(自社の実情に合わせて実施) ①必要な学習事項とポイント 視覚障害者に対する気づき ・運転席から見てどう視覚障害者に気づくか(気付きのポイントの確認) ・視覚障害者に対する声かけ実習 41ページ目 実車(又はロールプレイ)による視覚障害者の介助 ・視覚障害者の手引きのポイント ・バス車両への乗降、座席への誘導のための手引き ・乗車時における情報提供の方法 ②プログラムを進める上での留意点 ・視覚障害者であることに気づくためのポイント ⇒視覚障害者は声など音声による情報が頼りであり、バスが自分の前に停止してドアが開いたことに気づかず、なかなか乗車して来ない場合もある。視覚障害があって乗車が困難という可能性がある場合の気づきのポイントを学ぶ ・実車(又はロールプレイ)による乗降の介助を障害当事者とともに学ぶ ⇒実際に障害当事者を乗降させることを実車で体験することにより、問題点が明確となり、コミュニケーションの必要性が実感できる ●実技例:聴覚障害者の支援(自社の実情に合わせて実施) ①必要な学習事項とポイント 聴覚障害者に対する気づき ・外見ではわからない聴覚障害者にどう気づくか(気付きのポイントの確認) ・聴覚障害者とのコミュニケーション実習(口話、筆談、ジェスチャー) 実車(又はロールプレイ)による聴覚障害者への対応 ・説明時の留意点(筆談、スマートフォンなどの活用) ・混雑時、災害時などの情報伝達方法 ② プログラムを進める上での留意点 ・聴覚障害者であることに気づくためのポイント ⇒聴覚障害者は外見からはわからないために、気づきにくく、「無視しているのか?」と思い違いをしてしまう場合もある。しかし、音声による情報がわからないため、コミュニケーションの方法に工夫が必要であることの気づきのポイントを学ぶ ・実車による(又はロールプレイ)乗降時の対応を障害当事者とともに学ぶ ⇒実際に障害当事者を乗降させることを実車で体験することにより、問題点が明確となり、コミュニケーションの必要性が実感できる 42ページ目 プログラム⑥ 障害の疑似体験 対  象:全社員(特に現場社員) 目安時間:1.5時間(参加人数による) 研修形態:障害当事者参画による実技実習 ●このプログラムのポイント 障害等の疑似体験を行うことにより、どのようなサポートが求められているかに気づき、障害当事者との相互理解を促進するプログラムです。障害当事者が参画することで、対話を通じて、サポートのあり方などについて学びを深めることができます。 ●実技例:車椅子操作体験(自社の実情に合わせて実施) ①必要な学習事項とポイント 車椅子の操作方法 ・車椅子の構造 ・操作のポイント 車椅子操作体験 ・自走体験(段差、狭い道、スロープなどを単独で体験する) ・移動体験(車椅子に乗り、スロープ、段差などを介助してもらう) ・介助体験(車椅子に乗り、シートへと移乗をしてもらう) ②プログラムを進める上での留意点 ・介助時における当事者の不安を体験する ⇒車椅子使用者の立場になり、移動や移乗を体感し、その際にどのように不安を感じるか、不安を払拭するための技術習得やコミュニケーションの必要性について気づく ●実技例:全盲体験(自社の実情に合わせて実施) ①必要な学習事項とポイント 全盲の人の困りごと体験 ・音声情報の重要性(周囲で話されていたことが見えないことでどれだけ理解できないかの体験) ・視覚以外の感覚をどう活用しているか(方向、気配などをどう感じ取れるのか) 歩行体験 ・視覚障害者誘導ブロックと白杖による歩行体験 ・手すりを用いた歩行体験 ・手引きによる歩行体験(コミュニケーションの取り方も含めて) 43ページ目 ②プログラムを進める上での留意点 ・音声情報の重要性、感覚の活用の理解から、必要な情報提供に気づく ⇒視覚を失う疑似体験から、音声情報が重要であり、それをどのように感じ取っているかを理解し、必要な情報の提供のあり方、コミュニケーションの必要性について気づく ・介助時における当事者の不安を体験する ⇒視覚障害者の立場になって歩行を体感し、その際にどのように不安を感じるか、不安を払拭するための手引きの技術習得やコミュニケーションの必要性について気づく ●実技例:高齢者体験(自社の実情に合わせて実施) ①必要な学習事項とポイント 高齢者の困りごと体験 ・感覚の鈍化、筋力や視力の低下による困難さを体感(見え方、動作などにおいてどんな困難さがあるかの体験) 歩行体験 ・段差体験(乗降を想定し、段差を上がることにどんな困難があるかに気づく) ・料金の支払い体験(指先の感覚が鈍化することにより、支払いを機敏にできないことに気づく) ②プログラムを進める上での留意点 ・感覚の鈍化、筋力や視力の低下で、乗降が機敏にはできなくなることに気づく ⇒さまざまな機能の劣化は、移動にどれだけの支障をきたすかを体感することにより、乗降時におけるゆとりや見守りが必要であることに気づく 44ページ~47ページ目 Ⅱ.効果的な当事者参画を図るために 障害の社会モデルを理解するためには、障害の社会モデルを理解した障害当事者(又はその家族等の支援者)が研修に参画することが重要です。これにより理解を深め、ともに考えることができます。 障害者の研修への参画については「UD2020行動計画」においても位置づけられています。研修に参画する障害当事者は、社会モデルを体得している、どのようなサポートが必要かを伝えられるなどのスキルが必要です。 こうした障害当事者の参画を効果的に実施していくためには、研修プログラムでの役割を明確にし、ともに研修プログラムをつくりあげ、実施していくことが重要です。 ●障害当事者の参画方法 ①障害当事者(又はその家族などの支援者)を活用した研修や講師派遣を利用する 心のバリアフリーの周知に向けて、障害当事者(又はその家族などの支援者)が講師などとして活躍する研修が増えてきています。以下に紹介窓口や研修を実施している団体や企業について紹介していますので、参考にしてください。 【障害当事者講師の紹介窓口・研修実施団体/企業リスト】 ※平成31年3月現在 【補足説明】 リストは、種別、研修名、内容、連絡窓口の順に掲載しています。 1.総合研修・講師養成/交通サポートマネージャー研修 交通事業者職員向け、接遇・介助技術の習得と気付きの心を磨く2日間の研修プログラム。講師養成の上級は1日のプログラム。 ※費用:19,000円(上級10,000円) 窓口:(公財)交通エコロジ―・モビリティ財団バリアフリー推進部 電話:03-3221-6673 E-mail:best-sapomane@ecomo.or.jp 2.総合研修/サービス介助士+オプションプログラム ①サービス介助士:高齢者・障害者との良好なコミュニケーションを築くためのおもてなしの心と正しい介助技術を身に付ける資格取得研修 ※費用:41,040円/人+実費相談 ※講師:認定サービス介助士インストラクター(2名で最大20名を担当) ※以下のオプションの追加により当事者参画プログラムとなる。 https://www.carefit.org/carefit/ ②障害当事者による社会モデルワークショップ:ワークショップを通して心のバリアフリーの実践を目指す対話式研修 ※費用:60分80,000円~+実費相談 ※ワークショップ形式のため90分~/60人まで程度が望ましい ※講師:当事者講師1名(場合によってアシスタント講師稼働) ③映像を利用した心のバリアフリー実践講座:障害の社会モデルの理解、多様な他者とのコミュニケーション能力の養成などUD2020行動計画において位置付けられている心のバリアフリー実践に重要な事項を体系だって学ぶプログラム。監修東京大学大学院教育学研究科付属バリアフリー教育開発センター ※費用:60分80,000円~+実費相談 ※ワークショップ形式のため90分~/60人まで程度が望ましい ※講師:認定サービス介助士インストラクター(場合によってアシスタント当事者講師稼働) 公益財団法人日本ケアフィット共育機構 窓口:電話:0120-0610-64 E-mail:toiawase@carefit.org 東京事務所:東京都千代田区神田三崎町2-2-6 大阪事務所:大阪府大阪市中央区東心斎橋1-7-30 21心斎橋6F 3.総合研修/ユニバーサルマナー検定 3級では基本的な向き合い方等を、2級では実践的なサポート方法を学ぶ ※費用:3級5,000円/人、2級15,000円/人 日本ユニバーサルマナー協会 電話:06-6195-4466 http://www.universal-manners.jp/ 4.総合研修/接遇体験型研修 車椅子使用者、視覚障害者、聴覚障害者などさまざまな講師と一緒に体験を通して接遇を学ぶプログラム。依頼側の事情に合わせてプログラムの構築が可能。 ※費用:15万円/回(所在地が遠方の場合は別途交通費等の諸費用) 特定非営利活動法人東京ユニバーサルデザイン・コミュニケーターズ(TUDC) 担当:諏訪正晃 E-mail:barumasaaki@nifty.com 5.総合研修/当事者講師と考える心のバリアフリー研修 障害当事者の視点で制作した動画を見ながら、障害の社会モデルの考え方を学び、行動へと結びつけるプログラム。依頼側の事情に合わせてプログラムの構築が可能。 ※費用:研修実施場所と規模により要相談(コーディネート費、講師謝礼、交通費等) 窓口:(一財)国土技術研究センター及び(公財)交通エコロジー・モビリティ財団 E-mail:kokorobf@jice.or.jp 6.総合研修/講師派遣、出前講座、バリアフリー障害当事者リーダー養成研修 障害当事者講師と障害の社会モデルの考え方を学び、行動へと結びつけるプログラム。依頼側の事情に合わせてプログラムの構築が可能。 ※毎年交通エコロジー・モビリティ財団からの助成金で「バリアフリー障害当事者リーダー養成研修」を実施し、毎年約25名を輩出。各地域への講師を派遣。 ※費用:研修実施場所と規模により要相談(コーディネート費、講師謝礼、交通費等) 窓口:特定非営利活動法人DPI日本会議 担当:山嵜涼子 E-mail:cilkodaira3@hotmail.com 7.総合研修/障害平等研修、講師養成研修 ・社会の様々な障害(障壁)を見抜き、それを改善していく具体的な解決行動を考える研修。 ・基本はワークショップ型(1-3時間)だがオンデマンド学習版(個別学習、動画教材:50分)もある。 ・障害者がファシリテーター(対話の進行役)を務め、発見型学習の方法で進める。障害の社会モデルに根ざした内容。 ・費用:ワークショップ型(4,000-12,000円/人:内容と時間による)、オンデマンド型(2,000円/人) ・講師:80時間の養成研修を受講し「障害の社会モデル」の知識と発見型学習ファシリテーションを獲得している障害者。 窓口:特定非営利活動法人 障害平等研修フォーラム 電話:070-5363-6443 Email: info@detforum.com HP:www.detforum.org 8.身体障害/当事者参画 研修への障害当事者参画への協力 ※費用:交通費実費、謝金(要相談) 窓口:(社福)日本身体障害者団体連合会 電話:03-3565-3399 http://www.nissinren.or.jp/ 9.視覚障害/講師派遣相談 外部窓口となる団体事務局を紹介し、依頼事項を確認の上、講師派遣の相談に応じます。 ※費用:交通費実費、謝金(要相談) 窓口:(社福)日本盲人会連合組織部団体事務局 電話:03-3200-0011 E-mail:jim@jfb.jp 10.聴覚障害/手話教室 交通事業者職員向け、聴覚障害に対する理解を図るため全10回のコースを年2回開催。 ※費用:6,000円(別途テキスト代実費) 窓口:(公財)交通エコロジー・モビリティ財団バリアフリー推進部 電話:03-3221-6673 E-mail:t-takahashi@ecomo.or.jp 11.知的障害・発達障害/人権研修等 学校、行政、企業に対する人権研修、地域団体主催のイベント等での実演。開催場所に近い団体を派遣。 ※費用:交通費、謝金(要相談) 窓口:全国手をつなぐ育成会連合会「知的・発達障害啓発キャラバン隊」 電話:077-536-5297 E‐mail:ikuseikai-bunshitsu@wonder.ocn.ne.jp 12.発達障害/心のバリアフリー研修(出前研修) 講師、ファシリテーターとして、以下の研修などを実施。 ①交通事業者向け「発達障害を手掛かりとした心のバリアフリー研修」 ②企業人事担当向け「発達障害を理解すると進むバリアフリー」 ※費用:講師料、別途交通費 窓口:発達障害を手掛かりとしたUDコンサルタント 橋口亜希子個人事務所 E‐mail:ahinfo@hashiguchi-akiko.com 13.精神障害/障害理解・接遇対応研修 家族学習会としてアドバイザー(講師)を派遣。全国の事務局が窓口となって派遣要請に応えている。 ※費用:交通費実費、諸経費(要相談) 窓口:みんなねっと((公社)全国精神保健福祉会連合会) https://seishinhoken.jp/events 14.補助犬ユーザー/心のバリアフリー研修 ①心のバリアフリー検定:90分、5,000円/人、障害当事者講師(補助犬ユーザー)の派遣 ②補助犬受入接遇セミナー:60分~、20万円~(参加者数により変動)、障害当事者講師(補助犬ユーザー)の派遣 ③企業・団体主催の「心のバリアフリー研修」、「補助犬受入接遇セミナー」:障害当事者講師(補助犬ユーザー)の派遣 窓口:(公財)日本補助犬協会 電話:045-951-9221 https://www.hojyoken.or.jp/ 15.補助犬ユーザー/心のバリアフリー研修、補助犬ユーザー受入研修 当事者講師を基本にオーダーメイドで研修内容を構築。要望に応じてワークショップを実施している。 ①2020年に向けた心のバリアフリー研修 ②2020年に向けた海外からの補助犬ユーザーの受入れ方研修 ③「補助犬ってなんだろう?」教育プログラム ※費用:研修実施場所と規模により要相談(コーディネート費、講師謝礼、交通費等) ※開催場所に近い全国の訓練事業者やユーザーの会の紹介も可能 窓口:特定非営利活動法人日本補助犬情報センター 電話:045-275-7770 https://www.jsdrc.jp/ ※紹介窓口については、国土交通省のホームページで随時更新していきます。 ②自社の障害当事者の参画を得る 自社内の障害当事者は自社のサービスに熟知していることに加えて、障害当事者の目線を持つ貴重な存在です。 こうした人材の中から、研修への参画を希望する者を募り、障害当事者参画による研修を実施することで、各社の事情に応じたプログラムの構築もしやすくなります。 ●障害当事者の参画方法 基本的に全てのプログラムを障害当事者講師に実施していただくことが望ましいですが、障害当事者(又はその家族などの支援者)には、そのスキルに応じた役割を担ってもらい、その参画により、より効果的な研修となるようにしていきましょう。 〇講師として研修を任せる場合は、社会モデルを体得しており、効果的に研修を運用できるスキルが必要 自分以外の障害にも精通し、障害の社会モデルについて理解を促すことができ、また研修実施の時間配分や受講生の理解に気を配ることのできるスキルが必要。 〇ファシリテーターとともに研修を運営する場合は、社会モデルを体得しており、ファシリテーターをサポートするスキルが必要 基本的な研修の運営はファシリテーターに任せ、障害者の視点(自分以外の障害にも精通し、障害の社会モデルについて理解を促すことができる)を研修に活かすことのできるスキルが必要。 〇研修内容に対するアドバイザーとして参画する場合は、社会モデルを体得しており、効果的に研修を運用できるスキルが必要 自分以外の障害にも精通し、障害の社会モデルについて理解を促すことができ、また研修実施内容のバランスを確認、アドバイスできるスキルが必要。 〇サポートスタッフとして参画する場合は、どのようなサポートが必要かを伝えられることが重要 自分自身の困りごとだけを話すのではなく、困りごとに対してどのようなサポートをすることが必要であるか、どのように解決すべきかを伝えられることが重要。 <副教材> 49ページ 中扉 基本のモデルプログラム 副教材 51ページ目 プログラム② 法令や社会的背景から学ぶ「心のバリアフリー」の基本 ■『ユニバーサルデザイン2020行動計画』(2017年2月20日関係閣僚会議決定)に基づくユニバーサルな社会づくりが始まっています ・障害の有無にかかわらず、女性も男性も、高齢者も若者も、すべての人がお互いの人権や尊厳を大切にし、支え合い、誰もが生き生きとした人生を享受することのできる「共生社会」を実現することを目指す。 ・この「共生社会」は、さまざまな状況や状態の人々がすべて分け隔てなく包摂され、障害のある人もない人も、支え手側と受け手側に分かれることなく共に支え合い、多様な個人の能力が発揮されている活力ある社会である。 ■障害者をとりまく法整備の流れ 2000年 「旧交通バリアフリー法」の施行(公共交通事業者に関わる法令) 2006年 「障害者権利条約」が国連で採択(障害の社会モデルの考え方) 2011年 「障害者基本法」が改正 2014年 「障害者権利条約」を日本が締結 2016年 「障害者差別解消法」を施行(不当な差別的取扱いの禁止、合理的配慮の提供) (画像)「合理的配慮」の提供 障害のある人は、社会の中にあるバリアによって生活しづらい場合があります。 この法律では、役所や事業者に対して、障害のある人から、社会の中にあるバリアを取り除くために何らかの対応を必要としているとの意思が伝えられたとき(※)に、負担が重すぎない範囲で対応すること(事業者においては、対応に努めること)を求めています。[※言語(手話を含む。)、点字、拡大文字、筆談、実物を示すことや身振りなどのサインによる合図、触覚など様々な手段により意思が伝えられることをいいます。通訳や障害のある人の家族、支援者、介助者、法定代理人など、障害のある人のコミュニケーションを支援する人のサポートにより本人の意思が伝えられることも含まれます。] 2018年 「交通バリアフリー法」を改正      「障害者への理解促進及び差別解消の推進に関する条例」(東京都) (画像)障害者差別解消法と都条例とのちがい ※条例の対象となる民間事業者とは、都内で事業を行う者です。 ●障害者差別解消法と都条例の比較 ・障害者差別解消法2つ ①対象者:行政機関 不当な差別的取り扱い:×、してはいけない 合理的配慮の提供:○、しなければならない ②対象者:民間事業者 不当な差別的取り扱い:×、してはいけない 合理的配慮の提供:△、するように努力する ・都条例 対象者:行政機関・民間事業者 不当な差別的取り扱い:×、してはいけない 合理的配慮の提供:○、しなければならない 52ページ目 ■『障害の社会モデル』による合理的配慮の提供 障害のある人に配慮した環境が作られていないために、障害のある人にとってのバリア(障害)が生じている。しかし、バリアを作った地域や事業者はこれを取り除いていく責任がある。これを『障害の社会モデル』という。 (画像) ハード整備ができない状況でも拒否をすることなく、対話により解決策を導き出すことが重要 ↓ ・対応策を対話をして考える ・できない、時間がかかるなどの場合には「理由」を説明する (コラム) 【障害の社会モデルの考え方の例】 例えば、建物の4階に行こうとしたとき、障害のない人には、階段、エレベーター、エスカレーターなど様々な設備が作られ、配慮がされていて、当たり前に安全や利便性が提供されています。 一方、障害のある人に対しては、どうでしょう?エレベーターがあれば障害のある人に十分に配慮されていると思っていませんか? しかし、例えば、エレベーターでしか上の階に行けない車椅子使用者は、もしエレベーターが奥にあったり、エレベーター以外を使える人によって混雑して乗れないなどがあれば、時間がかかってしまいます。 障害のない人と同じように配慮されているとは言えません。 誰もが同じように、安全で使いやすい環境を作るには、こうした知らず知らずに作られてきた不平等に気づく必要があります。大多数の人にとって問題がなければいいという発想がバリアを作り出してきたのです。このような社会モデルの考え方を身に付け、接遇の方法が変わってくれば、バリアを取り除くことにつながっていくのです。 バス事業では、バリアフリー整備が進み、ハード面でのユニバーサルな対応ができてきていますが、ハード面がままならない状況もまだある。しかし、こうしたバリアがある状況でも、対話によって解決策を導き出すことが重要。 ■『心のバリアフリーの考え方』(ユニバーサルデザイン2020行動計画より) ①「障害の社会モデル」を理解すること ②障害のある人(及びその家族)への差別を行わない ③自分とは異なる条件を持つ多様な他者とのコミュニケーションをとる力を養い、すべての人が抱える困難や痛みを想像し、共感する力を培う ↓ 差別をせず、「対話」をすることで、ともにユニバーサルな社会を作っていく (イラスト)子供連れ、学生、手話通訳者、視覚障害者、車椅子使用者、高齢者のイラストが書かれています。 53ページ目 プログラム③ 障害の特性と基本の接遇方法 ■多様性を理解し、どんな支援が必要かを見極めることが重要 障害に多様性があることはわかるが、見た目でわからない場合もある ↓ 声かけをして確認してみる ↓ 必要があれば、「何をお手伝いしますか?」と聞く ①声かけ→発語も、話す内容の意味もわかる→どんな支援が必要かを聞く ②声かけ→発語はわかるが、話す内容の意味がわかりにくい、発語がわからない→相手の様子を確認する(見えていないもしくは聞こえていないで伝わっていないことはないか)※プライバシーに配慮しつつ、障害の状況等を確認することは不当な差別的取り扱いに当たらない。 →(混乱している場合)ゆっくり落ち着いて話せる環境を作る →(落ち着いている場合)コミュニケーションできる準備をする(マスクを外す、顔を見て話せるよう近づく、優しく声かけをするなど) →相手の状況に合わせ、どんな支援が必要かを聞く(探る) ・目線を合わせ、ゆっくりと口の動きがわかるように話す ・わかったことは復唱して確認する ・わからないことがあれば、何度でも聞き返す ・相手が「はい」「いいえ」で答えられるよう、具体的に質問する ・可能であれば、書いてもらう、こちらも書く ・絵を書く、筆談をする、コミュニケーション支援ボードを使うなど 54ページ目 ■高齢者 【特性】 ・視力・聴力・筋力など身体機能が低下 ・移動やコミュニケーションに時間がかかる ・杖やシルバーカー、車椅子を利用している人もいる ・認知症の症状のある人もいる 【困りごと】 ・長く歩けない ・素早く行動できない ・つまづきやすい、転倒しやすい ・小さな字が見えにくい ・階段や車両への乗降が負担になる ・機械の操作が苦手 ・温度感覚が鈍る 【コミュニケーションの基本】 ・時間がかかる場合は急かさない ・ペースを合わせたコミュニケーション 【接遇のポイント】 ・誘導する場合はゆっくりペースを合わせて ・乗り降りが困難な様子の場合は、身体を支える、荷物を持つ ■肢体不自由者・車椅子使用者 【特性】 ・四肢、体幹が不自由で歩行や筆記が困難 ・障害の部位は個人差がある ・車椅子、杖、義足などを使用 ・原因(脳血管障害、脳性麻痺等)により困難さが異なる ・介助犬を使用する人もいる 【困りごと】 ・杖、義足などを使用している人は素早く移動する、階段・段差の上り下りが困難 ・車椅子を使用している人は隙間、段差、溝を越えるのが困難 ・手に麻痺がある場合は物を持つことが困難 ・口に麻痺がある場合はうまく会話できない ・高いところに手が届かない ・床に落としたものがとれない ・車椅子での移動、車椅子からの移乗にはスペースが必要 【コミュニケーションの基本】 ・車椅子使用者の目線に合わせる ・声かけをするのはあくまで車椅子使用者本人に ・障害の程度によっては振動が伝わるだけで痛みを感じる人もいるため、「どのようにしたらよいか」をよく確認する 55ページ目 【接遇のポイント】 ・さまざまな車椅子があることを理解する (イラスト)手動車椅子、電動車椅子、リクライニング型、チンコントロール型、ハンドル形電動車椅子、バギー型車椅子 ■車椅子の移動介助 ・押す、動作の際には、声をかける ・周囲に注意しながら進む ・少しでも車椅子から離れる場合にはブレーキをかける ・車椅子の基本的な取扱い方法を身に付ける (イラスト) ◆基本のたたみ方 ①両側のブレーキをかけ、フットサポートを上げます ②シートの中央を持ち上げます(上に引き上げればいすは閉じます) ③完全に折りたたみます ◆基本の広げ方 ①両側のブレーキをかけ、アームサポートをもって少し外側に開きます ②手のひらでシートの両側を押し広げます(上から押していけば開きます)。この時指を挟まれないように注意! ③人が座ってからフットサポートを下ろします。座る前に足を乗せるといすが跳ね上がり危険です ◆段差を上がる(車椅子前向き) ①キャスターを上げる ②キャスターを段に乗せる ③後輪をゆっくり押し上げる ◆段差を下りる(車椅子後向き) ①後輪を下ろす ②キャスターを少し浮かせ、後ろに引く ③キャスターを下ろす (やや押し気味にするとゆっくり下ろせます) ◆溝を越える(車椅子前向き) ①キャスターを上げる ②溝を通過したらキャスターを下ろす ③後輪を浮かせぎみにして溝を越える ◆溝を越える(車椅子後向き) ①後輪を浮かせぎみにして溝を越える ②そのまま後退し、 ③キャスターが溝にきたらあげて通過する ◆スローブを上がる(イラストでのみ説明、車椅子前向きで押す) ◆スローブを下りる ・緩やかな時は車椅子前向きで押す ・急なくだりは車椅子後向きで引く ■エレベーター・エスカレーターの移動介助 ・エレベーターへ誘導する場合は、床とエレベーターかごの間の溝に落ちないよう、扉にフットペダルなどが当たらないよう注意する ・エスカレーターは基本誘導しない ・車椅子対応エスカレーターの場合は安全に固定して利用する 56ページ目 (イラスト) ◆車椅子対応エスカレーターの利用 上り ・平にしたステップに車椅子使用者を乗せる ・タイヤを車止めの位置にあわせブレーキをかける ・下り側に付添う 下り ・車椅子は上り側向きで、上りと同じ要領で行う ■階段の移動介助 ・やむを得ず階段を使う際には、利用者の意向をまず確認する (画像) ◆車椅子を持ち上げて階段を利用する場合 持ち上げる ・4人以上で対応することが望ましい ・前2人はアームサポートとフットサポートの上部を持つ ・後2人はフレーム下部とハンドルグリップを持つ ・「いち・に・さん」で持ち上げる(せーのはNG) ・水平を維持し、前が低くならないようにする 階段を上る ・ブレーキをかけ、一段一段確認しながら上る 階段を下る ・車椅子は上り側向きで、上りと同じ要領で行う (イラスト)4人で車椅子を持ち上げるイラスト、ハンドグリップを持つイラスト、車椅子を持ち上げ階段を上るイラスト ■車椅子からの移乗 ・身体に触れることについて必ず了解を得る ・移乗の方向を確認する(障害の部位により異なる) (画像) ◆移乗支援の方法 2人で介助する方法 ・ブレーキをかけ、フットサポートを上げる ・後方介助者は両脚を開きぎみにし、利用者の背後から腕を抱え込む ・前方介助者は両脚を抱える ・「いち・に・さん」で抱え上げ、腰を痛めないよう屈伸を使い、背筋を伸ばす ・ゆっくりと移乗の座席に降ろす (上記の説明のイラストが書いてあります) (画像) ◆移乗支援の方法 1人で介助する方法 ・腰とひざ裏を抱え、利用者には首に腕を回してもらう ・腰を痛めないよう屈伸を使い背筋を伸ばして抱きかかえる (上記の説明のイラストと車椅子の角度が20~30°と書いてあります) ■肢体不自由の人への支援 ・車椅子を使用していなくても、段差や垂直の移動が困難な人がいる ・支援が必要かを確認して支援を行う ■介助犬を使用している人への支援 ・介助犬は肢体不自由な人等の日常の手助けをする犬 ・介助犬には声をかける、見つめる、触るなどをしない(仕事を阻害してしまう) ・介助犬のスペースを確保する 57ページ目 ■視覚障害者 【特性】 ・大きく「全盲」と「弱視」に分かれる ・光を感じる/感じない、物の輪郭が判別できない、視野の一部が欠けている、色の判別が困難、暗いところでは見えにくい、明るいところでは見えにくいなどさまざま ・白杖を持っている、盲導犬を使用している、ガイドヘルパーと一緒に歩いている、白杖等を利用せずに1人で歩いているなど歩き方もさまざま ・白杖や盲導犬を使用していても、全盲ではなく弱視の人の場合がある ・盲導犬は使用している人の指示した方向に進む、障害物を避ける、止まって曲がり角や段差を教える。道を覚えているのではない。 (イラスト)見え方の例のイラスト:正常な視野、弱視ではっきりと見えない、中心暗転、周辺視野狭窄、視野欠損 【困りごと】 ・階段からの転落、車・人・物などとの接触に危険・不安を感じている ・視覚的な情報が得にくい/得られないため、「音の情報」が頼り ・誘導用ブロックを頼りに歩いている場合、ブロック上に障害物があると危険 ・無理に振り向かせてしまうと、方向がわからなくなる ・近くに人がいるかがわからないため、自ら助けを求めることが難しい 【コミュニケーションの基本】 ・困った様子のときには、声をかけ、支援が必要かを確認する ・誘導する場合には、「どうしたらよいですか?」とどんな支援が必要かを確認する ・危険な場合には躊躇なく声をかける ・「1人で歩いているから支援はいらないだろう」、「白杖を持っているから一部始終支援が必要だろう」などの断定は禁物 58ページ目 【接遇のポイント】 ・いきなり触れたり、手を引いたりせず、何をすべきかを確かめる ・支援してほしいことはさまざま。どんな支援が必要かを確認する ・支援を断られた場合でも、安全を確認するために見守る 白杖SOSシグナル 視覚障害者が周囲に助けを求めて、白杖を頭上50cm提示に掲げて意思表示を行う場合があります。 (イラスト)「白杖SOSシグナル」普及啓発シンボルマーク、赤色で白杖を持った人が中心におり、その下にSOSと書いてあります。 ■誘導の方法 声かけをして誘導を希望された場合には、どのようにしたらよいかを確認して誘導する ●誘導の方法を確認 ・「私の腕の位置はここです。ここにつかまっていただけばよろしいですか?」など誘導の方法を確認する ●情報をお伝えしながら誘導 ・「ここからまっすぐ進みます」「10cmくらいの段差があります」「ここで右に曲がります」など、方向や状況などの情報を都度お伝えしながら誘導する ●周囲への配慮 ・周囲に人やものがある場合には、ぶつからないよう配慮し、避ける場合、「前方に柱があるので右に避けます」などと声をかける クロックポジション 位置関係を伝えるために、時計の文字盤に見立て、「3時の方向に改札があります」などと説明する。 (イラスト)テーブルに置いてある料理の周りに時計の文字盤が書かれています ■盲導犬を使用している人への支援 ・盲導犬は視覚障害者の移動等を助けている ・盲導犬には声をかける、見つめる、触るなどをしない(仕事を阻害してしまう) ・盲導犬のスペースを確保する 59ページ目 ■聴覚障害者・言語障害者 【特性】 ・外見では気づきにくい ・聞こえ方には個人差がある ・補聴器を使用して会話が可能な人もいるが、うまく聞き取れない人もいる ・すべての人が手話を使えるわけではない ・表情や身振り手振り、口話、筆談、手話などの視覚情報が頼り ・聴導犬を使用している人もいる 【困りごと】 ・外見ではわからないため、誤解や障害を理解されないことがある ・補聴器を使用していても、周囲の雑音などで聞き取れない場合がある ・相手の表情や口元が見えないとコミュニケーションがとりにくい ・声や音声情報だけでは、伝わらず、緊急時などは状況を理解できない場合がある 【コミュニケーションの基本】 ・困った様子のときには、声をかけ、支援が必要かを確認する ・コミュニケーションの際には、表情が見えるよう正面に立ち、はっきりとした口の動きを見せる ・身振り手振り、筆談(簡潔な文章)、簡単な手話で対応する ・聞き取れない場合は、あいまいにせず確認する 【接遇のポイント】 ■口話の方法 ・利用者の視界に入る(正面がよい) (イラスト)女性が駅員に話かけているイラスト ・女性と駅員の距離は2m以内 ・女性「ゆうこうは何時ですか?」と話しかけ、駅員「次の急行の発車時刻ですね」と答えている。ゆうこうと間違えたのを急行と訂正している ・普通の声の大きさで ・はっきり、少しゆっくり、文節を区切る ・わかるまで丁寧にうかがう ■筆談の方法 ・筆談が苦手という人もいるため、筆談でよいかを確認する ・簡潔に短い文章で伝える(キーワードだけでもよい) ・文字が見えるようにして書く ・図なども適切に使う (イラスト)女性が駅員に話しかけているイラスト 女性「どうしたのですか?」 駅員「3番線は運休しています。4番線から発車します」と言いながら「○○方面は4番線」と書いたメモを見せている ■手話の方法 ・すべての聴覚障害者が手話を使えるわけではない(中途失聴者の多く習得していない) ・カンタンな手話を習得し、身振り手振りや口話と合わせて伝える (イラスト)手話のイラスト2つ ①「よろしくお願いします」 握った手を鼻にあてる。次に右手を顔の中央から少し下に下ろしながら、おじぎする ②「お待ちください」 右手の甲をあごに当てる。次に右手を顔の中央から少し下に下ろしながら、おじぎする 60ページ目 ■聴導犬を使用している人への支援 ・聴導犬は聴覚障害者が聞こえない情報(後ろから来る車等の音、玄関チャイム、携帯電話の着信音、警報機の音など)を知らせている。 ・聴導犬には声をかける、見つめる、触るなどをしない(仕事を阻害してしまう) ・聴導犬のスペースを確保する ■発達障害(脳機能の障害) ・広汎性発達障害(自閉症、アスペルガー症候群) ・注意欠陥多動性障害 ・トゥレット症等のチック など ■知的障害 ・概ね幼少期までに何らかの知的機能障害が生じた ・複雑な判断や計算などに支援が必要 ■精神障害(精神疾患) ・統合失調症、気分障害(うつ病など) ・脳の損傷による高次脳機能障害  など 【特性】  「コミュニケーションが苦手な傾向にある」 ・外見では気づきにくい ・話の内容を理解できない人がいる ・自分の考えや気持ちをうまく伝えられない人がいる ・常識やルールを理解しにくい人がいる ・身体が勝手に動く、声や言葉が急に出る、変わったクセがあるなどの場合がある ・強いこだわりがある人がいる ・音や光が苦手な人がいる ・ストレスに弱く、疲れやすい   など 【困りごと】 ・コミュニケーションが苦手な傾向にある ・困っていても自分から助けを求められない場合がある ・勝手に動きや声が出ることがコントロールできない場合がある ・不安を感じると体調不良となることがある ・いつもとは違った状況になるとパニックを引き起こすことがある ・料金体系や機械の利用などが理解できない、しづらいなどの場合がある 【接遇のポイント】 ■コミュニケーションの方法 ・やさしい表情とコトバで話しかける 61ページ目 ・ゆっくり、丁寧に、繰り返し対応する ・具体的で、簡潔に ・肯定的な表現で話す ・難しい単語や、言い回しは避ける ・視覚的な伝達手段の利用(イラストやピクトグラム) ■パニックになったときの対応方法 ・刺激をしない ・不必要に注目を集めることをしない ・安全を確保しながら、落ち着くまで見守る ・近くに静かな場所があれば、そちらに誘導する ■チック症状が出ている人への対応方法 ・音声チックや運動チックなどの症状に対して、不必要に注目が集まらないよう配慮する ・他のお客様とのトラブル時には、周囲の方への理解を求める声かけをする ・苦痛を訴えるなど、本人から支援を求められた際は、静かなところでの休憩を促す ■緊急連絡先を把握できる場合には ・ヘルプマークなど、緊急連絡先が記載されているものを携行している場合がある ・確認の上連絡し、状態を伝えて対応方法を把握する ■内部障害者 【特性】 ・外見では気づきにくい ・体調が変化しやすい、骨折しやすい、風邪などがうつりすい ・人工肛門、人口膀胱を使用している人(オストメイト)がいる ・酸素ボンベや人工呼吸器を携行している人がいる ・ヘルプマークを持っている人がいる(外見では障害がわからないため) (イラスト)ヘルプマークのイラスト 【困りごと】 ・疲れやすく、長時間立っていられない場合がある ・長い距離を歩く、階段の上り下りなどが困難 ・オストメイトに対応したトイレが必要 (イラスト)オストメイトやオストメイト設備を表すマーク 【接遇のポイント】 ・体調がすぐれない様子があれば、声をかけ、休める場所などに誘導する ・医療器具の携行に配慮する(必要な支援をうかがう) ・エスカレーターやエレベーターの位置を案内する ・トイレの機能を把握しておき、適切な場所に案内する ・ヘルプカードには対応方法や緊急連絡先が記載されている (イラスト)ヘルプカードのイラスト 62ページ目 ■その他(その他の心身の機能障害、妊産婦、ベビーカー使用者を含む乳幼児連れ、けが人など) 【特性】 ・慢性疾患は、生活習慣病やリウマチなど徐々に発病し、治療に長期間を要する疾患で、疲れやすい、移動しにくいなどの症状 ・難病は、治療が難しく慢性の経過をたどる疾病で、症状は多様 ・妊娠初期は急な体調の変化があり、外見からはわかりにくい ・妊娠後期は動くのが困難 ・ベビーカーを使用したり、乳幼児を抱きかかえていると移動が困難であり、子供が騒がないか周囲を気にする ・松葉杖などを使って移動する人がいる 【困りごと】 ・疲れやすく、長時間立っていられない場合がある ・長い距離を歩く、階段の上り下りなどが困難 ・おなかの大きい妊婦は足元が見えにくく階段や段差が困難 ・体調が急変しやすい 【接遇のポイント】 ・体調がすぐれない様子があれば、声をかけ、休める場所などに誘導する ・待ち時間がある場合などは配慮が必要 ・ヘルプカードには対応方法や緊急連絡先が記載されている 63ページ目 プログラム④ 接遇ガイドラインに基づく接遇方法 1.対応の際の配慮点 ・障害特性、高齢者、障害者等に対する理解を高め、偏見を取り除く ・まずはコミュニケーションをとることにより、思い込みや不当な対応をなくす ・コミュニケーションにおいては、必要な情報保証を ・敬意を持った対応を ・必要な接遇は多様であることを前提に ・高齢や障害を理由に乗車を拒否してはならない 2.基本の接遇方法 ■高齢者 特性に配慮し、困っている様子のときは、支援が必要かを確認した上で接遇対応をします。 高齢者の特性 ・視力・聴力・筋力など身体機能が低下 ・移動やコミュニケーションに時間がかかる ・杖やシルバーカー、車椅子を利用している人もいる ・認知症の症状のある人もいる 【補足説明】●が項目を表します ●事前問合せ、チケット購入  ・聞こえている、理解しているかを確認 ●乗降時、運賃支払い、車内 ・バランスを崩す、躓きやすいため、安全を確認 ・時間に余裕を持った支援 ●乗り換え時 ・支援の申し出があれば乗換経路を具体的に案内 ■肢体不自由者・車椅子使用者 特性に配慮し、困っている様子のときは、支援が必要かを確認した上で接遇対応をします。 肢体不自由者・車椅子使用者の特性 ・四肢、体幹が不自由で歩行や筆記が困難 ・障害の部位は個人差がある ・車椅子、杖、義足などを使用 ・原因(脳血管障害、脳性麻痺等)により困難さが異なる ・介助犬を使用する人もいる 64ページ目 ●事前問合せ、チケット購入 ?支援内容の確認(車椅子等の補助具や介助犬の使用等について) ?窓口の利用では、必要に応じて支援(車椅子使用者等に配慮したカウンターではない場合など) ?発券機の利用では、必要に応じて支援(車椅子使用者等に配慮した構造ではない場合など) ●乗降時、運賃支払い、車内 ?バス停への正着 ?車椅子使用者のスロープによる乗降支援  ・スロープを利用して支援  ・乗車時は前向き、降車時は後向きで  ・歩道にスロープが降ろせない場合は車道面まで降ろして(段差越え要領で)から ?車椅子使用者のリフトによる乗降支援  ・乗車までの流れを説明  ・使用方法を確認して支援 ?スロープ/リフトがない場合の乗降支援  ・設備がないことを説明  ・利用者の意向を確認  ・同意が得られれば、階段の要領で4人以上で支援(他の乗客などの協力を得る)  ・支援必要人数が得られない場合は、別の方法(設備のあるバスを待って乗車等)などを提案し、話し合い、理解を得られるようにする ?乗車時に運賃の授受  ・目的地の確認、運賃の授受を乗車位置で行う。  ・割引適用は合理的な方法で ?車椅子は確実に固定装置を装着する  ・車椅子スペース又は一般座席横に移動  ・進行方向に向けてブレーキをかける  ・備え付けの固定装置を確実に装着する  ・移乗の場合は支援の有無を確認して支援する ●乗り換え時 ・支援の申し出があれば乗換経路を具体的に案内 65ページ目 ■視覚障害者 特性に配慮し、困っている様子のときは、支援が必要かを確認した上で接遇対応をします。 視覚障害者の特性 ・大きく「全盲」と「弱視」に分かれる ・光を感じる/感じない、物の輪郭が判別できない、視野の一部が欠けている、色の判別が困難、暗いところでは見えにくい、明るいところでは見えにくいなどさまざま ・白杖を持っている、盲導犬を使用している、ガイドヘルパーと一緒に歩いている、白杖等を利用せずに1人で歩いているなど歩き方もさまざま ・白杖や盲導犬を使用していても、全盲ではなく弱視の人の場合がある ・盲導犬は使用している人の指示した方向に進む、障害物を避ける、止まって曲がり角や段差を教える。道を覚えているのではない。 ●事前問合せ、チケット購入 ?支援内容の確認(盲導犬の使用等について) ?発券機の利用では、必要に応じて支援  ・困った様子の場合には支援の要否を確認  ・目的地を確認し、金銭の授受を正確に行う  ・誘導支援を希望される場合は、画面の内容を説明し、テンキーなどに手を誘導する ●乗降時、運賃支払い、車内 ?バス停への正着 ?白杖使用者、盲導犬使用者をバス停でも書けた場合にはマイクで声をかける ?発車停止などの状況をアナウンスで伝える ?急停止の場合にはただちに短く伝える ?乗車の際には、着席している、手すりにつかまっているかを確認 ?指定席がある場合  ・支援の要否を確認  ・座席まで誘導  ・車内設備などの説明 ?色別表示などの情報に対する支援  ・色別情報表示でわからない様子の場合には、情報を提供する。 ●乗り換え時 ・支援の申し出があれば乗換経路を具体的に案内 66ページ目 ■聴覚障害者・言語障害者 特性に配慮し、困っている様子のときは、支援が必要かを確認した上で接遇対応をします。 聴覚障害者・言語障害者の特性 ・外見では気づきにくい ・聞こえ方には個人差がある ・補聴器を使用して会話が可能な人もいるが、うまく聞き取れない人もいる ・すべての人が手話を使えるわけではない ・表情や身振り手振り、口話、筆談、手話などの視覚情報が頼り ・聴導犬を使用している人もいる ●事前問合せ、チケット購入 ・支援内容の確認(聴導犬の使用等について) ●乗降時、運賃支払い、車内 ?遅れなどの運行情報が、情報版の表示で伝えられない場合は、筆談等で伝える ?次のバス停の案内が、情報版の表示で伝えられない場合は、身振り手振りや筆談等で伝える ●乗り換え時 ・支援の申し出があれば乗換経路を具体的に案内 ■発達障害者・知的障害者・精神障害者 特性に配慮し、困っている様子のときは、支援が必要かを確認した上で接遇対応をします。 発達障害者・知的障害者・精神障害者の特性 コミュニケーションが苦手な傾向にある ・外見では気づきにくい ・話の内容を理解できない人がいる ・自分の考えや気持ちをうまく伝えられない人がいる ・常識やルールを理解しにくい ・自分ではミントロールできない動きや発生をする人がいる ・強いこだわりがある人がいる ・音や光が苦手な人がいる、ストレスに弱く、疲れやすい ●事前問合せ、チケット購入 ?支援内容の確認 ?問い合わせに対してはゆっくり、はっきり、具体的に対応し、理解を確認 ●乗降時、運賃支払い、車内 ?支払いなどがわからない様子の場合には、ゆっくり、はっきり、具体的に話す 67ページ目 ●乗降時、運賃支払い、車内(つづき) ?ウロウロする、大声を上げる、パニックとなっている様子の場合にはゆっくり停車し、やさしく話しかけ落ち着かせることが重要 ?他のお客様とのトラブル時には、周囲の方への理解を求め、声かけをする ?必要以上に注目を集めない ●乗り換え時 ・支援の申し出があれば乗換経路を具体的に案内 ■内部障害者 特性に配慮し、困っている様子のときは、支援が必要かを確認した上で接遇対応をします。 発達障害者・知的障害者・精神障害者の特性 ・外見では気づきにくい ・体調が変化しやすい、骨折しやすい、風邪などがうつりすい ・人工肛門、人口膀胱を使用している人(オストメイト)がいる ・酸素ボンベや人工呼吸器を携行している人がいる ・ヘルプマークを持っている人がいる(外見では障害がわからないため) ●事前問合せ、チケット購入 ?支援内容の確認 ?具合が悪い等の申し出があった場合、  ・支援が必要かを確認  ・どのような支援が必要かを聞く ●乗降時、運賃支払い、車内 ?具合が悪い等の申し出があった場合、  ・支援が必要かを確認  ・どのような支援が必要かを聞く ●乗り換え時 ・支援の申し出があれば乗換経路を具体的に案内 (画像)ヘルプマーク、ヘルプカード、オストメイトやオストメイト設備を表すマーク 68ページ目 ■その他 その他にも、その他の心身の機能障害、妊産婦、ベビーカー使用者を含む乳幼児連れ、けが人などに対して、支援が必要かを確認した上で接遇対応をします。 ●事前問合せ、チケット購入 ?支援内容の確認 ●乗降時、運賃支払い、車内 ?具合が悪い等の申し出があった場合、支援が必要かを確認し、どのような支援が必要かを聞く ?ベビーカー使用者には、ベビーカー用スペースなどでブレーキをかけ、ベルトで固定をしていただく。 ?妊婦やけが人はバランスを崩しやすいため、相手の状況に応じて支援する ●乗り換え時 ・支援の申し出があれば乗換経路を具体的に案内 (画像)※ベビーカーマーク(ベビーカーで安心して利用できる場所や設備を表している) ■緊急時・災害時の対応について 既に安全規定管理などによる対応をしていると思いますが、高齢者や障害者等に対する基本的な配慮事項としては、以下が必要です。 ・遅延・運転の見合わせなどの時には、必要な情報を乗客が得やすい手段で伝えることに努める ・高齢者・障害者等が緊急事態に陥った時には、迅速かつ適切な対応を図ることに努める ・地震、火災などの災害時には、乗客の安全を確認し、高齢者・障害者等が安全に避難できるよう誘導・介助を行う。適宜一般の乗客にも誘導・介助の協力を求める ※公共交通事業者に向けた『接遇ガイドライン』(平成30年5月 国土交通省) http://www.mlit.go.jp/common/001236569.pdf 69ページ目 (参考)研修に活用可能な映像教材など 研修の実施に活用可能な映像教材を以下に整理していますので、研修の内容に応じて、活用してください。 ※平成31年3月現在 1.【内閣官房】心のバリアフリー研修アニメーション教材 内閣官房 「心のバリアフリー」を学ぶアニメーション教材 共生社会のイメージの共有、心のバリアフリーの意義、障害をはじめ多様な特性を理解する際のポイント等、教材で伝えたいメッセージをまとめた「メッセージ編(10分程度)」と「バリアとは何だろう?(2分程度×6本)」で構成されています。 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tokyo2020_suishin_honbu/udsuisin/program.html 2.【ヤンセンファーマ㈱】統合失調症の方の症状の体験映像プログラム 幻聴の疑似体験を通じ、統合失調症などの精神疾患の一部の症状に限られるものの、幻聴の疑似体験をすることで理解がすすみます。 ヤンセンファーマ株式会社のバーチャルハルシネーションの動画(実際はVR)とヘッドフォンを使用します。 https://www.mental-navi.net/togoshicchosho/for-around/virtual.html 3.【(公財)日本補助犬協会】「心のバリアフリー検定」のインタラクティブ動画 補助犬ユーザーによる心のバリアフリーの理解を促す動画研修プログラム(疑似体験)。自主学習などに活用が可能。 https://www.hojyoken.or.jp/bf/ ※現在アップしているのは「試作版(テロップ・ナレーションなし)」。 ※「完成版」は2019年5月上旬予定。 4.【NPO日本補助犬情報センター】 ①DVD「補助犬使用者の受け入れ方」「まずは受け入れてみませんか?~補助犬使用者の受け入れ方」(事業者用) https://www.jsdrc.jp/jsdrc_goods/dvd_ukeire/  ②DVD「補助犬ができること、あなたにできること」  https://www.jsdrc.jp/jsdrc_goods/dvd_foredu/  ③DVD「補助犬ってなぁに?」  https://www.jsdrc.jp/jsdrc_goods/dvd_forkids/ 上記のような映像資料のほか、以下のような資料もあります。研修の内容に応じて、活用してください。 1.認知症者にやさしい公共交通 ・お出かけサポートカード ・「公共交通機関における認知症者の対応の現状」報告書 支援依頼時に活用できるサポートカードや、困っている人への声かけ・見守り方法についてのリーフレットや副読本を作成。また、公共交通機関における認知症者の利用実態把握と対応方法に関するアンケート調査結果を公表しています。 http://www.ecomo.or.jp/barrierfree/ninchi/ninchii_top.html 2.「視覚障害者にとって差別ってどんなこと?」差別事例集 視覚障害者が感じている困りごととその解決方法について整理されています。 http://nichimou.org/case-studies/ 3.「見えづらい・見えにくい人のくらし」弱視に関する懇談会報告書 弱視の方の困りごととその解決方法について整理されています。 http://nichimou.org/all/news/secretariat-news/190122-jimu/ 接遇研修モデルプログラム バス編 平成31年3月 発行:国土交通省 総合政策局 安心生活政策課 〒100-8918 東京都千代田区霞が関2-1-3 電話03-5253-8111 作業協力:社会システム 株式会社 終わり