第9回 新技術等を活用した駅ホームにおける視覚障害者の安全対策検討会 議 事 要 旨 日時:令和3年11月18日(木)15:00〜18:00 場所:中央合同庁舎第2号館低層棟1階共用会議室3A・3B(※ウェブ会議併用) 【開会挨拶(鉄道局技術企画課 権藤課長)】 ・今回はWEB併用での開催ということで、一部の方々にはなるが久々にお集まりいただいたことに感謝申し上げる。 ・本日は、9月に開催した前回検討会で議論やご説明のあった、視覚障害者の転落事故調査の進め方について、また、長軸方向の安全な歩行経路を示す方法に関する検討の進め方ついて、議論いただく。 ・併せて、視覚障害者に対する歩行訓練の試行実施について、また、東武鉄道における社内教育について、ご報告をいただく。 ・昨今、10月31日に発生した京王電鉄京王線車内の傷害事件に始まり、九州新幹線車内放火未遂事件など、鉄道の利用における安全を脅かす事故が続発している。 ・何よりも、全ての方々の安全の確保が最優先であり、そのためにも新たな技術等を活用していくということも、また大変重要なことではないかと認識しているところ。 ・本検討会は、新技術等を活用して、視覚障害者の方々の安全対策について検討する場であり、委員の皆様におかれましては、活発な議論をお願いしたい。 【議事(1)視覚障害者の転落事故調査の進め方について】 (国土交通省) ・資料に基づき説明。 (学識経験者) ・WGとして行う場合はどのような構成員を想定しているか。 ・調査対象は重大な事故に限るということで良いか。 ・WGメンバーは現地調査等に参加するのか。 ・WGで行う場合は鉄道事業者等から調査に必要な情報が収集することができるのか。 (国土交通省) ・構成員についてはまだ具体的には決まっていないが、視覚障害者の歩行に関する知識を有する学識経験者、視覚障害者等、様々な立場から意見をいただけるよう、今後検討していきたい。 ・調査対象は、まずは転落後の接触事故としたい。転落のみの事例については、情報収集できる体制が整っておらず、情報収集の体制の整備を行うことを先に行いたいと考えている。 ・WGメンバーにも現地調査を行っていただく可能性はある。事故の概要等については鉄道局で収集し、WGメンバーに報告の後、必要に応じて追加調査や現地調査を行うことを想定している。 ・運輸安全委員会や鉄道局であれば情報収集も可能であると考えている。 (国土交通省) ・転落事故が起こった場合には、鉄道事業者から鉄道局に対して、法令に基づいた事故報告書が提出される。鉄道局の職員であれば守秘義務もあるため、映像等の確認も行うことができると考えており、一定の議論をできる材料を集めることは可能と考える。ただし、WGメンバーにも映像等をそのまま提供できるかについては、個人情報の問題もあり、当事者や遺族に合意を得る必要があると考えている。 (学識経験者) ・最終的には運輸安全委員会での調査が望ましいと考えているが、その体制が整うまではWGで調査を行えればいいと考えている。 (学識経験者) ・鉄道局の下にWGを設けるのであれば、守秘義務について取り交わしを行うなど、調査した内容が外部には漏洩しないように注意すべき。 ・WGに参画するメンバーとして、「視覚障害に関する専門性を有する有識者」は必要。また、事故の分析に際しては、視覚障害だけが原因ではないこと(例えば視覚障害に加えて糖尿病を有しており、それがバランスを崩すことにつながるといったこと)もあるかと思うので、WGには必要に応じて様々な専門家を招へいできる体制であればよい。 ・運輸安全委員会とWGが連携しながら重大ではない事故に関しても調査が行えるようであればよい。 (障害者団体) ・WGが検討会の下に設置されるのであれば、検討会終了後にWGもなくなってしまうため、WGを鉄道局の下に設置する案も前回の検討会資料にはあったと思うが、こちらはどうなったのか。 ・電車に接触していないいわゆる転落事案も年間75件程度起きており、これには法的な報告義務はないわけだが、これを確実に報告してもらうようにするための具体策はあるか。 ・運輸安全委員会は視覚障害者の転落事故について調査しないとのことだが、これは視覚障害者の転落事故に限った話なのか、健常者も視覚障害者も運輸安全委員会では扱わないということか。 (国土交通省) ・前回資料に掲載の鉄道局が主体となる案については、今回資料のWGとほぼ同じスキームとなるため、統合・削除した。WGが鉄道局の下に設置されるのか、この検討会の下に設置されるのかについては引き続き議論していきたい。 ・転落したこと自体を鉄道事業者も把握していないものについて、視覚障害者が自ら報告できる窓口が必要との意見も前回検討会ではあったので、こちらの検討を行いたい。 (国土交通省) ・運輸安全委員会では、鉄道人身障害事故で、1人以上の死者を含む5人以上の死傷者が発生した場合を調査対象としており、1人の人が転落し死傷した場合には、視覚障害の有無にかかわらず調査対象とはならない。 (障害者団体) ・鉄道事業者が転落事故に気付いていても、報告義務がないために報告をしないということが無いよう、必ず報告するということを担保する仕組みを検討していただきたい。 (国土交通省) ・鉄道事業者が把握しているものは全て報告していただいているものと認識しており、その報告に基づき、転落のみの件数も資料に提示している。 【議事(2)長軸方向の安全な歩行経路を示す方法に関する検討の進め方について】 (慶應義塾大学 中野教授) ・資料に基づき説明。 (鉄道総研 大野主任研究員) ・資料に基づき説明。 (日本歩行訓練士会 堀内事務局長) ・資料に基づき説明。 (国土交通省) ・資料に基づき説明。 (障害者団体) ・ホーム中央ブロックに加え、定位喪失やホーム端接近に対応する新技術を活用することは、二重、三重の安全策となるため、大変望ましいと思う。 ・中野委員の説明では、「これまでの事故対策が無効であり、代替案を検討しなければならないという暗黙の前提を元に議論が進行されている場面があることを感じてきた。しかし、ホームドア等の従来からの事故対策は、推進途上であり、転落死亡事故が起こっているから、代替案が必要と考えるのは、論理の飛躍である。」とあるが、私自身はそうは思っていない。現在、全ホーム19,531番線のうち約1割の1,953番線にホームドアが設置済みとのことだが、昨年国交省が発表した整備目標では年間200番線に設置となっており、それは全ホーム数の約1%ずつ毎年増えていくという計算になる。これでは1日1万人以上駅に設置が完了するまでも約24年、全駅ホームに設置するまでは約85年かかることになる。ホームドアが設置されるまでの間にどのような対策がとれるかという議論をこの検討会で行っているので、論理の飛躍は起こっていない。 ・確認だが、年間200番線というホームドアの整備をさらに加速させることはできるのか。 ・一つだけ検証したいことがある。内方線の整備が進んできているが、個人的に、内方線に懐疑的な見方をしている。これまで転落事故が起こった青山一丁目駅、蕨駅、新宿駅、阿佐ヶ谷駅、日暮里駅、京成立石駅など、内方線が整備済みであっても転落事故は起きている。そのため、内方線がどの程度有効かといった分析も必要ではないか。 ・中野委員の資料に重度のロービジョンで白杖を使用していなかった例がないため、このデータだけを根拠として議論を組み立てることには留意が必要とあるが、これも事実と異なるように思う。このアンケートは日本弱視者ネットワークの会員にもアンケートを行っており、調査結果の資料には視力別のデータがあり、視力0.01以上の人も含まれている。そのため、この先さらに調査を行っても大きく外れた結果ではないものと思われる。 ・中野委員、堀内委員の資料に今後の進め方として人的支援によって安全対策を行うとある。人的支援は望ましいと思うが、今や無人駅が48%を超え、さらにこの傾向は強まっている。また、業務委託や有人改札がインターフォンに代わっていっている中、人的支援を十分に行うためのコストを鉄道事業者が負担できるのか、実現性という観点でかなり厳しいと思う。また、乗車時は、改札でカメラで検知するシステムは検討会でも紹介されているが、降車時にホーム上ですぐに視覚障害者を発見できるのかといった課題がある。ホーム上の駅係員の配置も考えられるが、東陽町駅や下赤塚駅の事故のように、ホーム上に駅員がいても転落事故が起きている。つまりコストと安全性の担保という意味で不安が残る。 ・大野委員の資料についてだが、大倉委員の実験に対して懸念の点があるのであれば、そこを検証していくことも鉄道総研の役割ではないか。かつて新型ホームドアに対応する誘導ブロックのあり方を検討した際には、鉄道総研で模擬ホームを作って実証実験した例もある。本検討会の実証実験についても検討していただきたい。 (学識経験者) ・今後中央ブロックの議論を進めるとのことだが、中央ブロックありきで議論を進めていくということか。資料に中央ブロックに加えてQRコードを使ったシステムも活用という例示があるが、QRコードを使ったシステムはホームドアが付いている駅のみで活用されるとのことであった。ホームドアのついている駅に更に中央ブロックを設置するということになるのか。 ・参考資料1についての議論無く中央ブロックを進めていって良いのか。ホームドア工事に影響が出るとの回答がある中で、ホームドア設置に影響を及ぼしてまで中央ブロックを設置することが重要なのか考える必要がある。 (国土交通省) ・検討会の議論の中で、様々な提案があり、またそれらについて様々な懸念の声もある中で、懸念を解消できる方策があるのかどうかは見極めていく必要がある。そのため、現時点で、中央ブロックありきということではない。新技術を活用することで、懸念の点が解消できることはないかという観点で事務局から提案している。 ・ホームドアの整備を遅らせるということはあってはならないので、影響が出ないようにいかに安価にできるかという点も考える必要がある。 ・障害者団体からあった更なるホームドア整備の加速という点については、昨年定めた目標を今すぐさらに上方修正することは容易ではないが、一方で、いかに早く1番線でも多く整備していくかということは考える必要がある。 (国土交通省) ・ホームドアが設置されるまでの間に起きる事故をいかに防ぐかということが本検討会の議題であるため、やはりホームドアに依らない転落防止策については議論する必要がある。 (学識経験者) ・参考資料1に鉄道事業者からは長軸歩行動線を確保することでホームドアの整備が遅れるとの回答があるが、国交省としてはホームドア整備を遅らせることなく、一方で長軸歩行の議論も進めるということで良いか。 (国土交通省) ・ホームドアの整備も、ホームドア以外の安全対策も両方進めていくことである。 (学識経験者) ・堀内委員の資料に、触覚マーカーがあっても大きく逸れている例があるとの指摘があるが、一度逸れた後に右往左往することなく、所定の方向に戻れているということが重要である。多少逸れたのは実験の初期段階における不慣れのためであり、触覚マーカーの大きな欠点ではない。 ・障害者団体と同じく、中央ブロックに加えて新技術でさらに対策を行うとなれば有効であると考えている。 (支援団体) ・諸条件は詳しくは分からないが、第6回検討会資料の図では、触覚マーカーがあっても逸れている人もいるし、触覚マーカーが無くてもまっすぐ目標物に向かって歩けている人もいるということが読み取れ、有効性があるとは示せてはいないのではないか。 (障害者団体) ・現実的に考えれば、中央ブロックを設置できる駅があるのかということは考える必要がある。内方線の内側活用案の方が現実味がある、 ・中野委員の資料に代替案と記載があるが、中央ブロックや内方線内側活用がホームドアと同列に語られるものではないと思う。 (学識経験者) ・中央ブロックに加えて新技術を活用する例が載っているが、中央ブロックの敷設だけでもホームドア設置に影響を及ぼすとの声がある中で、さらに新技術の導入となると、果たして実現できるのかという点は疑問である。 ・資料3の図で触覚マーカーがあっても逸れている箇所がある。この箇所についての堀内委員のご指摘に対して、大倉委員は、当該参加者は触覚マーカーから逸れても右往左往せずに戸惑いなく歩いているので問題ないと述べられたが、実験後に被験者になぜ触覚マーカーから外れてそのように歩いたかの確認は行ったのか。それとも大倉委員の解釈か。 (学識経験者) ・確認は行っていないが、実験試行中には観察を行っている。逸れた2試行については、模擬売店に到達する前に回避を始めたものと模擬売店の横を通過後その延長上を進んだものであった。両試行とも、その後は所定の経路に復帰し、目標に到達した。どちらも実験初期の試行で、不慣れの影響が大きい。また、後者については歩行速度の速さも関与していると考えている。いずれの場合も触覚マーカーの欠点とは考えていない。 (障害者団体) ・参考資料の設問について、長軸方向の歩行動線の導入によりホームドアの整備が遅れるかとの設問があるが、違和感がある。ホームドアの整備費だけを原資として、誘導ブロックや塗装費、AIカメラなどこれから導入が検討されているコストをホームドアの整備費から引くのであれば、どれもコストはかかるため、ホームドアの設置の遅れが懸念されるということになってしまう。それぞれのコストは別個に考える必要があるのではないか。 ・支援団体から、触覚マーカーがあっても逸れている人がいる、逆に誘導ブロックがなくてもまっすぐ歩けている視覚障害者もいるので中央の誘導ブロックは意味がないのではないかとの指摘があった。歩行訓練士からの発言とは思えないが、中には誘導ブロックからそれてしまう人もいるかも知れない。しかし、ほとんどの視覚障害者は点字ブロックを頼りに歩いているのが現状である。誘導ブロックに沿って歩ける前提で議論しないと意味を成さないのではないか。 ・資料3で、自身が人的支援を勧めているような記載になっているが、歩行能力が高くない人にとって人的支援が必要ということを言っているのであって、人的支援を全般的に勧めているわけではない。普段から一人歩きしている高い歩行技術を持っている人の慣れた駅での事故が多いことが問題であり、それを防ぐための新たな方策が重要ということであるので、誤解が無いようにお願いしたい。 (障害者団体) ・ホーム端に近づいた際にどのように視覚障害者に気付かせるかといったことが載っているが、新技術に期待するところはあるものの、ホーム端に行った時に早く気付かせることの有効性が先に示されなければ、議論できないのではないか。 (障害者団体) ・人的支援は鉄道事業者に継続をお願いしたい。 (障害者団体) ・中央線状ブロック敷設案について、新技術を活用したサポートは必要と考える。 ・また、視覚障害者自身が白杖をきちんと使う意識を高めることが必要。障害物があった場合にはAIで教えてもらう、なども効果的だが、視覚障害者が歩行訓練などにより、意識を高めていくことが基本となる。 ・内方線がある駅での転落事例もある。白杖の先端の感触だけではわからない場合もあるので、内方線をしゃがんで手で確認するなど、慎重な歩行が必要。 ・慌てたり、見誤ったり、急いだりすることが転落の原因となることもあるので、駅ホームは普通の道路とは異なるという意識で歩行訓練等をするなど、意識改革をしないといけない。 ・ホームドアには、通常のホームドアよりも安価なロープ式のホームドア等もある。ホームドア整備の難しさの要因として、車両扉の位置の違いがあるということも聞くので、ロープ式のようなものは有効では。 (障害者団体) ・内方線活用案について、柱にぶつかる可能性があるが、売店や蕎麦屋と違って柱は撤去できない。また、丸い柱は沿って歩くと方向定位を失いやすい。360度回って元の場所に戻る可能性もある。これらについての解決策はあるのか。 ・狭い島式ホームでは、80cmの縁端部、40cmの内方線付点状ブロック、1mの歩行エリアが両側にあることを想定すると、中央に立つ場所がない。これに対する解決策はあるのか。・乗車待ちの利用者に1m程度下がってもらうことを定着させるのは難しいのでは。例えば、エスカレーターを2人並んで利用してもらうことも、呼びかけに関わらず定着していない。このような中、利用者に下がってもらうことは実現できないのではと考えるが鉄道事業者はどのように考えているのか。 (国土交通省) ・事務局としても議論のポイントとして同じことを挙げており、リスクがあるとお考えの方から意見をいただきたいと思っていたところ。ご意見として承り、引き続き検討させていただきたい。 (支援団体) ・本当に安全なのはホームドアと人的支援しかないと考える。それ以外の施策、例えば新技術等については、人間が錯誤・ミスをする以上、事故が発生すると思う。そのため、まず大事なことはホームドアと人的支援の充実である。 ・ただし、実際に長軸方向に歩かざるを得ない現状がある以上、全ての駅にホームドアが設置されるわけではないことから、より錯誤の少ない方法を考えることが重要。 ・また、鉄道事業者の経済的事業も踏まえると、コストがかかる施策は実施までに時間を要することから、なるべく安価でホームドア設置と並行してできる方法を考えることも重要。 ・以上より、現実にかなり設置が進んでいる内方線を活用することは意義があると考える。 ・盲導犬は、内方線の内側を歩いている。内方線の位置までは意識をしていくので内方線を見つけやすい。意識せず斜めに進んでいくと内方線を見つけられないこともある。 ・乗客の方に下がってもらうところにラインを引くだけで、当面の案として内方線活用案は実現可能ではないかと考えている。 ・なお、狭いホームについての問題は、内方線活用案も中央線状ブロック案も同等にある。随時この点については検討が必要。 (学識経験者) ・人との接触については、通常ホーム中央部は多くの人が歩行しているため、接触する可能性がある。 ・内方線の内側を活用する案は既に導入している鉄道事業者がある。その事業者の全ての駅でできているわけではないが、鉄道利用者の動線に内方線の内側を使っている。同じ動線を視覚障害者も利用するという考えであれば比較的導入しやすいのでは。ホームドアができるまでの代替案として考えるのであれば、実施がより高速にできる方策を考えるべき。 ・その事業者が全ての駅で導入していないのにも理由があると思う。鉄道事業者に意見を聞きながら、検討を進めるべき。 (障害者団体) ・内方線付点状ブロックの内側を活用する案について、視覚障害者の歩行動線の内側にもう1本内方線のような白杖で確認できる線を付けてもらえると、視覚障害者が歩行できる1m幅を把握できるので良いのではないか。 【議事(3)歩行訓練の試行実施について(報告)】 (国土交通省) ・資料に基づき説明。 (障害者団体) ・基本的に歩行訓練は推進していくべき。相対式ホームで実施した今回の訓練で内方線を伝う練習をしたのはなぜか。 ・過去の検討会で示された調査結果では、転落経験者と未経験者を比較すると、転落経験者の方が歩行訓練の受講率が高かったと認識している。これについてどのような原因が考えられるか。 ・過去の検討会では、歩行訓練士からホーム上で白杖を常時接地法で歩いていれば絶対に転落しないという発言もあったが、調査の結果では、実際にはヒヤリハット経験者、転落経験者の中では、常時接地で歩いている人の割合が最も高い。なぜ常時接地でも転落している人が多いのか、どのように考察されているか教えてほしい。 (支援団体) ・歩行訓練では、長軸方向の移動は極力しない、個人に応じた歩行ルートを選択する、致し方なく歩行する場合は内方線を伝う、相対式ホームの場合は壁を伝う、など指導するが、今回の歩行訓練では内方線の場面を取り上げて報道された。真意が伝わるよう歩行訓練のやり方を検討していきたい。 ・慣れているホームで転落された方が多いという調査結果だったので、歩行訓練は受講したが歩行方法が変化している可能性もありそれが要因になっているのではないか。メンタルマップが描けていても歩行方法の変化で転落するということもある。だからと言って、歩行訓練が不要ということにはならない。 ・常時接地法で歩いていても、焦り等の他の要因が関与していたとも聞いている。 (障害者団体) ・焦りが要因としてあったかもしれないが、これはホームの警告ブロックの線路側を常時接地で長軸方向に歩行している際に、ホーム側に白杖を振ったときに線路側の足が落ちているケースもある。これは、歩行訓練を受講したとしても、ホームのどこを歩行するかによってリスクが違うということ。歩行環境、動線をしっかり整えた上で歩行訓練をしないと功を奏さないと考える。 (支援団体) ・歩行環境を整えた上で歩行訓練をするのではなく、並行して進めるべき。誘導ブロックを使える・使えないなど様々な歩行能力の方がいる中で、環境をどう使うかについて練習をすることは必要。 ・アンケート調査の結果では、半数の人が駅ホーム上での歩行訓練を受けておらず、訓練を知らない人も多い。常時接地して歩いていない人も8割以上いるという実態がある中で、この事実を伝えながら、歩行訓練もしながら、環境整備も進めていくのが重要。 (障害者団体) ・意見に食い違いはない。歩行環境の整備と歩行訓練は車の両輪で、どちらも大事だと思う。 【議事(4)東武鉄道における社内教育について(報告)】 (東武鉄道) ・資料に基づき説明。 【その他】 (学識経験者) ・内方線の内側を整備するということについて、これまでの内方線の意味合いは線路側・ホーム側を示すもので、国交省・鉄道事業者も説明してきている。今回、内側を整備する案は、この見解を変えるということか。内方線を伝って歩行するということを考え方として示すということか。 (学識経験者) ・現時点ではホームドアがない、人的誘導がないところでは長軸をなるべく移動しないというのが国土交通省のこれまでの見解であったと理解している。中央の線状ブロックにしろ、内方線内側の活用にしろ、それを整備していくことは、ホームドアのないところでも長軸移動を国交省として認めるということを発信することだと思う。この辺りは慎重にご議論いただきたい。 (国土交通省) ・ご意見はしっかりと受け止め、慎重に考えていくこととしたい。 ―以上―