第2回 新技術等を活用した駅ホームにおける視覚障害者の安全対策検討会 議 事 要 旨 日時:令和2年11月9日(月)16:00〜19:00 場所:中央合同庁舎2号館 講堂 開会挨拶(江口技術審議官) ・第1回では一言ご意見をいただいたが話足りない方もいた。引き続き忌憚のないご意見を頂きたい。 ・本日はAI やIT を用いた新しい技術について、メーカーへのヒアリングや視覚障害者の方の体験を予定している。技術開発は実際に利用する当事者の方々と一緒に進めることが望ましいと考えている。 ・また、転落事故の原因分析についても本検討会で取り上げたいと考えている。関係する方々にご意見を伺いながら、アンケート調査の準備を進めている。 議事1 品川駅での「安全教室」について (東京都盲人福祉協会 市原常任理事) ・10月22日、23日にJR 品川駅7番線で実施した。阿佐ヶ谷駅の事故を受けたもので、落ちた後の対応の確認と電車・レールの大きさを触ってみることが目的。 ・資料に参加者の意見を書かせていただいたが、電車の大きさを確認して驚いていた。 ・(教室の様子を収めた動画の放映) (学識経験者) ・私も参加させていただいた。これまでモックアップは経験していたが、実際の駅での体験は初めてで、貴重な経験をさせていただいた。定例化を考えていただきたい。また、非常ボタンを押してみる、音を聞いてみるなど、具体的な体験を加えることでもっと良い教室になるのではないかと感じる。 (障害者団体) ・私も参加させていただいた。ホームに登るのは難しく、また、退避スペースがあることで却って登りづらい構造となっていると感じた。壁状になっていると体を預けて登りやすい。 ・今回のような教室はホーム下構造を知るいい機会だが、知ったから転落時に独自で対処する、ということではない。声を出して気づいてもらうことが必要となる、ということの気づきを与えていただいた。 (障害者団体) ・私も体験させていただいた。主催された皆様には感謝申し上げる。視覚障害者は全国に30〜40万人いることから、少しでも多くの方に車両の大きさやホームの高さ等を理解していただく機会が必要だと感じた。 ・転落した後の具体的な対応として、ホーム下に入ることも手段の一つであることを学んだ、という点でも有意義な教室だったと感じた。 (支援団体) ・非常に貴重な経験だったと思う。自分の力でホームに登ることが難しいことや、転落によってケガをすること、声が出せない状況となること等を知っていただけたと思う。 ・訓練士側として、ホーム上の歩き方、乗車の時の注意点を同時にお伝えしたり、駅員の介助の仕方も紹介できると良いと思う。 (国土交通省) ・私も参加させていただいた。先ほどより委員の皆様から安全教室の定期的な開催や伝えるべきメッセージについてご発言があった。国土交通省としても、こうした研修のやり方等について検討していきたい。 (鉄道事業者) ・弊社でも関西地区の団体と数年前から、ホームから線路上に実際に降りて頂く等の安全教室を、定期的ではないが実施している。その際、駅係員がホームでの誘導やご案内を行うほか、非常ボタンや内方線付点状ブロック、車両間幌の確認、会議室で声掛けの方法や異常時の対応等に関するディスカッションも行い、多くの気付きを得ている。 ・取り組みでの気付きをマニュアルに落とし込むことも行っている。 (鉄道事業者) ・社会貢献活動の一環として、東京都立文京盲学校の生徒を招いて2018年から鉄道施設体験学習会として、総合研修訓練センターの模擬駅を使って同様の取り組みをしている。 ・本年はコロナウイルスの影響で中止となっているが、本取組については、将来地下鉄を使って通勤・通学をするであろう生徒のみなさんを応援する次世代育成の取組として継続開催することを考えている。 ・内容は非常停止ボタンの体験、車両を触ってみる、退避スペースに入ってみる他、弊社で実証実験を行っているshikAI の体験や、「ことばの道案内」という音声の駅情報の確認もしている。 (鉄道事業者) ・今回、阿佐ヶ谷駅の事故をきっかけとして安全教室を開催し、弊社としても勉強をさせていただいた。当事者の方からは、良い体験だったとの感想をいただいた。 ・転落した場合どう対応するのか当事者から質問をいただいたが、転落した場合の対応だけでなく、車両の大きさやホームの高さを体験していただくことが目的であった。 ・弊社では、ハード面だけでなくソフト面での対策として、2011年からは声かけサポート運動を開始している。今年はコロナウイルスの影響で声掛けが減ったとの意見もあったが、引き続き積極的に声掛けを実施するとともに、介助の申し出を辞退された場合でも見守ることを基本としている。 議事2 新技術を活用した転落防止対策等に関するヒアリング ○1−1 AI カメラによるホーム縁端歩行注意喚起システム (アイテック阪急阪神) ・(資料に基づいて説明) ・京急で運用しており運用の詳細は把握していないが、自動放送による注意喚起と駅係員への通知が基本となっている。 ○1−2 視覚障がい者歩行支援システムについて(VA システム) (京セラ) ・(資料に基づいて説明) ・(視覚障害者団体の委員によるデモ体験) (障害者団体) ・ホームの端が自分の右側なのか左側なのかがわからないと感じた。 (京セラ) ・方向を認識できるような方策を考えていきたい。 (障害者団体) ・連結部のタグはブロックに入っているのか。電車によって位置が違うのでブロックに入っていると対応できないのではと思った。 (京セラ) ・車両に実装することを考えている。 (障害者団体) ・内方線を踏んでいればどちらが線路側かわからないことはないと感じる。 ・ホーム端は歩行に気を使うが、下車後等に階段やエレベーター・エスカレーターも検知できると良い。 (障害者団体) ・白杖は近年軽量化している中、日常使用するには少し重いと感じた。 ・音が反応する場所をピンポイントで探さないといけないのが不安。 ・コストとの兼ね合いで、どこまで普及できるかが不安。 (障害者団体) ・自分の白杖につけた場合にどの程度の重さが加わるのか、今後検討が必要。 ・短軸方向にどこまでの幅で検知させるのかを検討することが必要。歩く度にメッセージが流れるのは煩わしい。 (学識経験者) ・これまでも白杖にセンサーを付ける技術は開発されているが、普及していない。その理由を検証することが重要。 ・短軸方向で歩く場合は、電車が来ていると思って乗り込もうとする場合がほとんどなので,「ホーム端です」と言われてもおそらく止まれない。状況を踏まえたメッセージを考える必要があるのでは。 ○1−3 パナソニックの画像認識技術 (パナソニックシステムソリューションズジャパン) ・(資料に基づいて説明) (鉄道事業者) ・弊社では今年の4月より、経堂と祖師ヶ谷大蔵の2駅でパナソニックシステムソリューションズジャパンのシステムを導入している。元々あったホームの監視カメラの映像を利用する形で、転落検知のシステムを比較的安価に構築できるということで導入した。 ・当該の2駅はホーム上で駅係員が監視をしているのはラッシュ時間帯だけである。よって、システムが転落を検知すると駅務室でアラームが出て、駅務室で映像を確認した駅係員が危険と判断した場合に速やかに列車停止の措置を取るような運用としている。 ・太陽光が車体に反射して誤検知をする事象が発生している。また、既存の監視カメラを流用することから、ホーム上全てを網羅できていないという課題もある。 ・誤検知に関しては微調整を繰り返しながら精度を高めている最中。 ○1−1〜1−3に関する意見交換 (障害者団体) ・運用していく上で課題が出てくる。 ・アイテック、パナソニックに共通すると思うが、点字ブロックの内側にいるか外側にいるか把握していない状況の中、本人に直接言っているかを理解することができるか。 ・危険な状態を検知し警告が鳴った場合に、本人が自分が言われているとわかる前に転落してしまわないか。 (アイテック阪急阪神) ・京急は現状1番線1つの放送装置で系統が分かれていないが、次のステップとして検知したカメラ付近のスピーカーで、対象者のすぐ近くで警告をするようなシステムも検討している (障害者団体) ・(アイテック・パナソニックについて)危険エリアにそもそも立ち入らせないという発想は良いと思う。 ・(アイテックについて)検知範囲1.5mは広すぎるので色々な状況で警報が鳴ってしまうのではないか。また、誰に言っているかわかるのか。指向性を持つスピーカーがどの程度の間隔で設置されるとわかるのか、明確にする必要があるのでは。 ・(アイテックについて)視覚障害者以外にも警告ブロックの外側を歩く場合がある。警報が発せられる頻度が多くなるとその信頼性に疑いが出てしまうのでは。 ・(京セラについて)床面がアスファルト等ザラザラの材質の場合、その振動と白杖の振動が混同しないかが不安。 ・(パナソニックについて)落ちた時の対応について、現状の国交省の規程では転落検知マットもしくは非常ボタンを設置することとなっているが、検知マットに代わるものとして本技術が普及し、自動的に列車を止められる仕組みがあれば、有効な技術となるのではないか。 (アイテック阪急阪神) ・1.5mの検知範囲は京急と今後調整していくように考えている。まずは安全側で広めの1.5mとしている。なお、京急蒲田駅は固定柵が設置されており、開口部だけを検知すればよい。 ・京急蒲田駅は比較的ホームが広いことから、もっとホームが狭い駅では検知対象が多くなってしまう可能性がある。点字ブロックの外側を歩かないことを周知することも必要では。 (京セラ) ・自分がどこを歩いているかを把握するための仕組みを考えていきたい。 (パナソニックシステムソリューションズジャパン) ・検知精度を高めていくことが重要だと考えている。 (障害者団体) ・(アイテック・パナソニックについて)駅係員が合理化されている中で、パソコンに張り付くような仕組みではなく、自動化して転落時には速やかにすぐに列車停止措置を図る仕組みにならないのか。 ・(厚労省に対して)IT 化した白杖について、厚労省で普及を図る考えはあるか。 (鉄道事業者) ・誤検知があった場合、原因がわからない状態で列車停止措置をすることで、確認時間を要し、運行再開が遅れてダイヤ乱れに繋がる。現時点では列車停止措置と切り離し、検知した場合のアラームを基に係員が状況を確認して列車停止措置をしている。 ・市原常任理事のおっしゃるような仕組みも今後勉強していかなければならないと考えている。 (厚生労働省) ・昨年まで国立障害者リハビリテーションセンターで訓練士をしていた。 ・白杖は補装具の分類で支給をしているが、様々なタイプがあるものの、実際は追いつけていない。車椅子も含めて補装具や日常生活用具全般について再考する機会が必要かと考えている。 (障害者団体) ・(アイテック・パナソニックについて)音量についての考えを教えてほしい。列車の走行音にかき消されることはないか。 (アイテック阪急阪神) ・現状は、ホームのスピーカー設備に合わせた音量になっている。 (パナソニックシステムソリューションズジャパン) ・現状は放送設備につないだ実績はないが、放送設備の音量に合わせた設定ができると考えている。 (障害者団体) ・駅の環境に応じて音量を考えることが必要であると感じた。地下鉄では狭い空間で反響して聞きづらくなることが考えられる。 ・ICT の活用はいかに人に伝わるかが重要。駅係員だけでなく駅に関わっている警備員等にも伝わるようなシステムを検討するのが良いのでは。 (支援団体) ・(アイテックについて)自分に声かけられているかわからないという点、青山一丁目の事故を受けて「盲導犬の人・白杖の人止まってください」という声掛けが重要であるという議論がなされ、啓発活動をしている。可能であれば、駅員が目視によりお声がけするシステムが良いのでは。 ・(パナソニックについて)転落検知から駅員が声掛けするまでの時間差が課題。転落がわかり次第列車が停止するシステムを検討してほしい。 (国土交通省) ・パナソニックの転落検知システムでは、駅務室にいる駅係員のすぐ横に非常停止ボタンがあったので、時間を要することはないと思う。警報の頻度や対象者について課題があったが、カメラで白杖を検知し、白杖の方に限定して「白杖の方止まってください」と警告することは技術的に可能か。 (アイテック阪急阪神) ・技術的に可能であると考えている。 (学識経験者) ・RF タグは後付けをすることが可能か。点字ブロックや床タイルの中に埋め込むなどの措置では、敷設済みの点字ブロックや床タイルを入れ替えなくてはならず、導入に要する手間とコストが膨大になる。後付け設置できるなら導入は容易になる。 ・白杖が床からどの程度浮いていても検知可能なのか。ロービジョン者には白杖を使用しない方も多くいるので、スマホを用いて、腰程度の高さで検知できるようになれば、可能性が拡がるだろう。 (京セラ) ・後付けは可能。人に踏まれる前提で、大型トラックが踏んでも壊れないような外装を考えている。 ・本日のデモの設定は25cmの設定となっている。ウェアラブル端末も検討したが、ある程度ピンポイントで反応することが必要。リーダー側の出力を高めればできる可能性もある。 (学識経験者) ・新技術を活用して転落死亡事故が起こった場合の責任は、開発側か、鉄道事業者か、使用している視覚障害者か。 ・転落防止だけでなく、転落しても死亡しない技術開発が急務ではないか。何を優先すべきか検討会で議論するのが良いのではないか。転落検知装置だけでなく、複数の装置を組み合わせることが効果的ではないか。 (国土交通省) ・1点目については、重要なポイントかと考えるが、まずは、より安全な技術の可能性について議論をしようと考えている。一般の利用者が障害者の支援に参画した場合の事故の責任なども含めて、今後検討すべきことがある。 ・2点目については、既存の対策との組み合わせも含めて如何にいいものを作りあげていくかが重要。引き続きご意見をいただきたい。 ○2−1 改札口見守りシステム(白杖・車椅子検知) 2−4 スマホを用いたマッチング・クラウドサービスによる案内誘導 (アイテック阪急阪神) ・(資料に基づいて説明) (鉄道事業者) ・一昨年、昨年と実験を行い、その結果を踏まえて本年6月より、大和西大寺駅で実証実験を行っている。設置当初は誤検知が多かったが、今は実用上問題ない程度になっている。 ・誤検知の例としては傘、カバンの肩ひも、衣服のライン状の柄、清掃員の持つモップなどがあった。清掃員のモップについては、柄や色をつけることで誤検知を防ぐことも検討している。大和西大寺駅の駅員にヒアリングしたが、白杖利用者を見落とさないために多少の誤検知は仕方がないとの意見であった。今後もデータを蓄積して、精度を上げていきたい。 (障害者団体) ・近年の視覚障害者の転落事例を見ても、白杖を使用していない場合の事故もある。そこで、障害者交通系IC カードの開発・普及をお願いしたい。関西の「スルッとKANSAI」には障害者カードがあり、これであれば、改札で確実に障害者が通ったことを検知でき、精算の際に窓口に行く必要もなくなるのではないか。 ・マッチングアプリのリモートサポートについては、自身も家族にテレビ電話を使って助けを求めることがある。ただし、移動しながらとなると距離感の問題や、カメラの死角から何かが起こった時に対応できない懸念がある。ダイレクトサポートについては、人が多い駅ではどこに助けてほしい人がいるかわからない、人が少ない駅ではマッチングが成立しない可能性があり、声を出して助けを求める方が手っ取り早い感じを受けた。 (国土交通省) ・障害者IC カードについて、関西では定着していると聞いている。昨年11月に関東の鉄道事業者33社の集まった場で関西の事例の説明をするとともに関東エリアでの導入検討をお願いしているところ。 (障害者団体) ・改札口見守りシステムについて、乗り換え駅である大和西大寺駅では、改札での検知だけではなく、乗り換え時の検知も出来ないか。また、盲導犬の検知もあればよいと思う。 (アイテック阪急阪神) ・検知エリアの拡大、ホーム上での検知は今後の課題の一つ。 (鉄道事業者) ・乗り換えの際に介助を希望される場合は、乗車時に駅員に伝えていただければ駅間で連絡を取り、対応している。また、ホームは障害物が多く検知が難しいということがあり、改札であれば検知しやすい。盲導犬の検知について、現場からも声が上がっているので今後検討していきたい。 (障害者団体) ・マッチングアプリは、特に女性の障害者に対して悪用されることを懸念している。助けを求めるということであれば、白杖を高く上げるSOS シグナルの普及が良いと考えている。改札口見守りシステムについては、シグナルエイドを使って、助けを呼びたいときに障害者自身が呼ぶというのが良いのではないか。 (支援団体) ・改札口見守りシステムについて、大和西大寺駅では有人改札がインターホン方式になっていたが、検知→発報→実際に介助するまでタイムラグがあるのではないか。常に介助できているのか。 (鉄道事業者) ・白杖検知を通知する装置を設置している場所は、改札横の駅員が常駐している駅務室であり、お声掛けできなかったという例は聞いていない。 (学識経験者) ・市原常任理事から発言のあったように、案内・誘導の基本は障害者が求めた時に必要な案内がされること。障害者自身が欲しい時に情報を得られることが重要。障害者を周りが見守る、障害者は見守られるといった見方があるかもしれないが、この考え方を変えた方が良いと思っている。視覚障害者が欲しい情報をすぐに手に入れられることを技術開発の方向性にするとよいと思う。 ○2−2 視覚障がい者移動支援アプリ shikAI の概要 (リンクス) ・(資料に基づいて説明) ・(視覚障害者団体の委員によるデモ体験) (障害者団体) ・慣れないと難しいとの印象だが、慣れていくと便利だと思う。ただ、警告ブロック上を歩くことにならないか、歩きスマホにならないかとの懸念がある。 (国土交通省) ・警告ブロックに沿って歩くことは推奨していない。歩きながらスマホで誘導する手法については、安全性の面や勘違い等もあるので、様々な意見を聞きながら議論していきたい。 (障害者団体) ・荷物もスマホも白杖も、全て手で持つとなると難しいので、使い勝手の良いものになればよいと思う。 (障害者団体) ・shikAI は、無人駅が増えており、駅員に助けを求め辛い現状、選択肢の一つとして効果的であると思う。ただし、人が多い駅では他の利用者に影響しないかという懸念があるので、運用面は考えなければいけないのではないか。 ○2−3 スマホを用いた信号情報確認システム (日本信号) ・(資料に基づいて説明) ・(視覚障害者団体の委員によるデモ体験) (障害者団体) ・スマホを使って歩くことは歩行訓練にはないと思うが、その点、歩行訓練士としてはどのように感じているか。 (支援団体) ・現状では車の発進音により信号を判断している。有効であればスマホアプリの使い方も訓練することになるであろう。 (支援団体) ・盲導犬は信号を認識しないので、スマホで情報が分かるのは良いと思う。ただし、歩きながら使うとなると、情報が多すぎる可能性があるので、その点は注意が必要。 (支援団体) ・基本的には立ち止まっているときにスマホを使う、歩くときは歩くことに集中するという形が安全。 (障害者団体) ・shikAI は辰巳駅で試したことがあるが、改札やトイレへの誘導など、とても便利だと感じた。ただし、白杖片手にスマホとなると、他の物が持てなくなる。スマートウォッチにカメラが付いたり、白杖の先端にカメラが付いたりすると手をふさがず使えるので、今後期待したい。 ・東京メトロでは当面はホームドアのある駅でshikAI のQR コードを敷設するとのことだが、ホームドアのない駅では警告ブロック上を歩くことを推奨しかねないので、その点は危ないかもしれない。「何メートル先に誘導ブロックがあります」という案内もあればより安全になると思う。スマホを使っていない視覚障害者もいるので、操作はできるだけ簡単な方が良い。 ・信Go!は、情報が多いので、シンプルに短く情報を伝えた方が良い。また、この信号が何秒間青なのかの案内もあるとよい。 ・これらの新技術は、最終的にどれだけ普及するかが大事だと思うので、一部の人だけでなく、多くの人が使えるものになればよい。 (障害者団体) ・信Go!は、他社でも似たようなものがあると思うが、メーカー同士や国とメーカーがうまく連携して進めていただければと思う。 ・白杖を上にあげると視覚障害者は困っているということも広く普及するよう、国と障害者団体で連携していければと思う。 (学識経験者) ・国のガイドラインでは警告ブロックはそこから先は歩いてはいけないエリアとなっているので、アプリで警告ブロック上を誘導することについて国交省としても考えなければいけないのではないか。はっきりさせないと開発するメーカーも困るのではないか。 (国土交通省) ・警告ブロックに沿って歩くことは推奨していないが、現実問題として、視覚障害者が何に沿って歩くかということはこの検討会の重要な検討課題であるので、様々な意見を聞きながら進めていきたい。 (学識経験者) ・心理学に「注意の配分」という考え方があり、二つ以上のことに同時に注意を払うのは難しいとされている。視覚障害者がこれらのシステムを活用できるならば、健常者の歩きスマホも問題ないと判断されるはずであるが、実際にはスマホに集中して周囲に注意が向かなくなった結果トラブルが起きている。「注意の配分」という人間の特性も考慮し、慎重になければならない。 以上