第5回 新技術等を活用した駅ホームにおける視覚障害者の安全対策検討会 議 事 要 旨 日時:令和3年2月26日(金)15:00〜17:40 場所:中央合同庁舎2号館地下1階 国土交通省第2会議室A(※ウェブ会議) 【開会挨拶(江口技術審議官)】 ・1月28日に東武鉄道下赤塚駅で視覚障害者の方がホームから転落し、お亡くなりになる大変痛ましい事故が発生した。お亡くなりになられた方のご冥福を心よりお祈りするとともに、御遺族の方々にはお悔やみ申し上げる。昨年の10月に当検討会を立ち上げて以降、11月にも東京メトロ東陽町駅で視覚障害者の転落事故が発生しており、議論している最中にこのような事故が再度発生したこと、悲しい思いでいる。それと同時に視覚障害者の転落事故をどのように防いでいくのか、この検討会でしっかりと議論し、検討していく重要性を改めて痛感している。この後、東武鉄道から事故に関する一連の経緯等について説明があるので、忌憚のないご議論をいただきたい。 ・その他にも、前回に引き続き、新技術を活用した転落防止対策のフォローアップや、ホーム上の歩行動線についての議論、堀内委員から歩行訓練士についての情報提供、厚生労働省からの視覚障害者に対する支援制度についての情報提供など、今回も盛りだくさんな内容になっているので、熱心なご議論をお願いしたい。 【報告事項 東武鉄道 下赤塚駅での転落事故について】 (東武鉄道 池田部長) ・(報告資料に基づき説明) (支援団体) ・転落された方の白杖の使用状況、障害特性などは分かるか。 (東武鉄道 池田部長) ・障害の等級等は把握していない。 (国土交通省) ・転落時、白杖は使用していなかったと聞いている。 (障害者団体) ・改めての確認だが、転落した場所には、警告ブロックに平行する誘導ブロックは無かったということで良いか。 ・短軸方向への移動中か長軸方向への移動かは分かるか。 ・下赤塚駅にはホーム上に監視カメラがないとのことだが、事故原因分析と検討会で検討されている新技術の活用に向け、今後のカメラの設置についてはどのように考えているか。 (東武鉄道 池田部長) ・転落した場所には、誘導ブロックは無かった。 ・転落時の移動方向については把握していない。 ・下赤塚駅はホームが曲線であるため、駅係員による目視での監視としている。直線ホームの駅であればカメラが付いている。カメラの設置については意義を感じている。また、東上線の車両では、ドライブレコーダーのように、前方を撮影するカメラが付いている車両が2編成あるが、今後はこのカメラ設置についても前向きに検討したい。 (障害者団体) ・自殺か事故かわからないケースは2年前に新宿駅でも起きている。警察と鉄道事業者のみによる検証ではなく、視覚障害者の歩行について知見のある人を交えて、事故調査する仕組みが必要ではないか。 (障害者団体) ・東武東上線では前方を撮影するカメラを搭載した車両が2編成とのことだが、国の基準として、カメラを搭載することを検討してはどうか。視覚障害者に限らず、ホームからの転落事象の検証に役立つのではないか。 (国土交通省) ・ご意見を参考に検討していきたい。 (学識経験者) ・転落された方はどの号車から降りたか分かるか。 ・誘導ブロックを5〜9号車付近に敷設している理由は。 ・視覚障害者の転落による事故の事故原因を調査する仕組みを作るべき。これは強く申し上げたい。 (東武鉄道 池田部長) ・降車位置は不明。 ・誘導ブロックについては、改札からホーム上のトイレへの誘導のために設置したもの。 (学識経験者) ・この方は普段から(介助者による)移動支援を利用していたのか。 (東武鉄道 池田部長) ・承知していない。 (学識経験者) ・報道では訪問マッサージに向かうために電車を利用していたとのことだが、通勤には、福祉制度での移動支援・同行援護が使えないものとなっている。今後の調査の中で、本来は支援制度を活用したかったが、それが叶わず事故に至った可能性についても、確認していただきたい。福祉制度上の課題も今後議論が必要ではないか。 ・他の委員と同様の意見だが、視覚障害者の転落事故の場合、第三者による原因の調査が必要と感じる。 【議事1 新技術を活用した転落防止対策等に関するフォローアップ】 (国土交通省) ・(資料1に基づき説明) (障害者団体) ・資料1−1の「1.カメラによりホーム端への接近を知らせるシステム」について、対象を視覚障害者に限定する必要はないのではないか。一般人の転落件数も年間2800件程度もある。対象を視覚障害者に限ることで、白杖や盲導犬をAIで検出するために技術的にハードルが上がり、その分コストも高くなるのではないか。コストが下がることで、鉄道事業者も導入しやすくなるのではないか。 ・資料1−1の「4.ホームからの転落後速やかに列車を停止するシステム」について、転落検知後、駅員による確認を間に挟むことなく、列車を即時停止するシステムとすべきではないか。 (国土交通省) ・ホーム上での白杖検知については、これまでの検討会の中で、視覚障害者の方に向けたアナウンスの方が良いといった意見があったことから、白杖を検知し、白杖を持った方向けに具体的なメッセージを発するということを考えたもの。今後の検証次第で、視覚障害者向けのメッセージとそれ以外の方に向けたメッセージを分けてアナウンスすることも可能となるかもしれない。技術的にハードルが上がる点については、ご指摘のとおり改札での検知に比べて、屋外となるホーム上での検知の方が難しいが、AIで学習していきながら検知精度を上げていきたい。 ・転落検知後、列車を即時停止することについては、鉄道事業者にもそうしたニーズがあることは承知しているが、検知精度の点でまだ課題が多い。 (障害者団体) ・資料1−3の「スマートフォンを用いた介助要請の実証実験」について、参加する視覚障害者はどのような障害特性の方なのか。 ・今回はスマホアプリを使用するとのことだが、将来的にはスマホアプリではなく、スマホを使っていない人による、電話での依頼も考えられるか。 (鉄道事業者) ・それぞれの詳細な人数については手元に資料がないが、全盲の方、弱視の方、先天性の方、後天性の方など、様々な方に依頼している。 ・現在の介助要請が電話により行われている。それに加え、アプリも活用することで、視覚障害者の方にとって使いやすい方で依頼できるようになれば良いと考えている。 (学識経験者) ・実証実験を行うことで、どの程度の障害の方にどのような方法が有効かということはわかると思うが、この検討会で議論しなければいけないのは、そのシステムが転落事故や死亡事故をどれだけ防げるかという観点の検証ではないか。今回の実証実験で、その点の評価ができるのかが疑問。この検討会で取り上げた技術で、実証実験で効果があったからこれが有効だというお墨付きを与えてはいけない。 ・現在無い技術についてはこの検討会では検討しないのか。シーズオリエンテッドとニーズオリエンテッドという考え方があるが、この検討会では、技術があるから使いましょうというものが多く、視覚障害者の方のニーズに基づいた技術開発には必ずしもなっていないのではないか。ニーズに応じるためにやらなければいけないこと=死亡事故を無くすためにやらなければいけないことに関する議論が大切なのではないか。 (学識経験者) ・前回の検討会で、視覚障害者の転落事故に関するヒアリングについての議題があったが、転落事例と照らし合わせて、新技術を活用していれば事故が防げたかどうかのシミュレーションをすることも一つの案ではないか。 ・新技術の実証実験を行うとのことだが、導入に向けてのスケジュール感はどのように考えているか。 (国土交通省) ・(学識経験者委員の)ご意見については、今後の検討において参考にさせていただく。 ・前回の検討会で整理した事故の要因に照らして、今回の新技術を用いた転落防止対策の有効性を検討したい。 ・有効な転落防止対策は、鉄道事業者に活用するよう推奨していきたいが、具体的なスケジュール感については、現時点ではまだ定まっていない。 (障害者団体) ・ホーム上で白杖検知を検知し、アナウンスをするとのことだが、同じ駅、同じ時間帯に複数の視覚障害者がいた場合、自分向けにアナウンスしていると分かるものなのか、 (国土交通省) ・指向性スピーカーを用いることで、特定の方向に範囲を限定してアナウンスを流すことも検討している。 【議事2 ホーム上における歩行動線について】 (国土交通省) ・本件については、様々なご意見があることは承知しており、国交省としても現時点で定まった方針がある訳ではない。当事者の方々のご意見もよく聞いて、検討してまいりたい。 (国土交通省) ・(資料2−1に基づき説明) (日本盲導犬協会 吉川顧問) ・(資料2−2に基づき説明) (鉄道事業者) ・新たにブロックを敷設するとなれば、実際に駅には支障物も多い点、敷設の方法によっては誤認の原因ともなる点、コスト面など課題も多い。この検討会としては敷設する前提の方向性のみを示して、やるのであればどのような方法があるか、補助金等は活用できるのか等も含めて進めていければよいのではないか。 (鉄道事業者) ・設置できる場所のみの部分的な設置となれば、効果は限定的で、転落のリスクが増えることが懸念される。また、新たにブロックを敷設するとなれば、その投資に見合う効果があるのかの検証も必要になると思う。 (鉄道事業者) ・内方線の敷設にも相当な時間がかかっていることを考えると、さらにブロックを追加する場合には、それ相応の時間が必要になることが想像される。国交省のバリフリの検討会で2025年までのホームドアの整備方針が示されたが、従来を上回るペースでホームドア整備を進めていきたいというのが弊社の考え。そのような中で、新たにブロックを敷設するための設計・施工を行うと、ホームドアの工事が遅れることが見込まれる。弊社としては、ホームドアの整備を優先的に行うことが、現実的で効果的な転落防止対策となるのではないかと考えている。 (障害者団体) ・ホームドアが設置できれば良いのは同意見。ただし、以前の検討会資料で、年間200番線程度のホームドア新設とのことだったが、これでは、利用者数1万人以上の駅に限ったとしても、設置まで相当長い期間が必要となる。そのため、ホームドアの設置されていない駅での転落防止策が必要。 ・特に島式ホームの天井や屋根を支えているのは、2列の柱であることが多いと感じている。この柱が警告ブロックを支障していることもあると思うが、島式ホームで柱が警告ブロック上にある、または警告ブロックに近接している駅はどの程度あるのか。 (国土交通省) ・そのようなデータは持ち合わせていない。 (障害者団体) ・前回の歩行動線の調査と同様、警告ブロックを支障している状況の把握も必要ではないか。 ・前回の検討会では、カバー率が低い場合は視覚障害者が安全に移動できない旨の発言もあったと思うが必ずしもそうとは言えないのではないか。階段等によってカバー率が低くなる場合は、最寄りの階段等を使用すればよいので、その分、長軸方向への移動が短くなる可能性が高い。売店等による支障の場合、駅ホームで歩行するスキルを持つ視覚障害者にとって、脳内マップを描けていれば迂回も問題なくできる。前回の検討会では売店に客がいる場合の話もあったが、これも売店の形を脳内マップで認識していれば、反対側を迂回することも可能である。 ・資料2−1で、視覚障害者同士が誘導ブロック上で衝突するとの懸念もあったが、これは現在の内方線付き警告ブロックを頼って歩いている場合も同様に起こりえる。実際に兵庫県で、警告ブロック上で衝突し、一人が転落したことで裁判になっている事例もある。もし衝突した場合に、ホーム端付近での衝突と、ホーム中央付近での衝突ではどちらが安全かということ。 ・中央のブロックに反対されている方に質問したい。これまでの検討会でホーム中央のブロックのないところを歩行していて方向の定位を失い警告ブロックを越えて転落した例、警告ブロック上を歩いていて人や荷物を避けるために転落した例、白杖を常時設置で歩いていたがホーム端を歩行していたため転落した例などが示されたが、これらをなくすために中央にブロックがあれば、方向定位を失うこともなく、人にぶつかっても相手に避けてもらい誘導ブロック上を歩ける。方向定位を失うことや警告ブロックの外側を歩かざるを得ない状況での事故をどのように防ぐか具体的な方策はあるか。 (障害者団体) ・視覚障害者の意見集約をしている日視連では、全国から上がってくる要望や請願に基づいて福祉大会等に参加していると思うが、ホーム中央ブロックに関する要望は視覚障害者の意見として上がっているか。 (障害者団体) ・国土交通省等に要望書を数々出しているが、ホーム中央ブロックに関する要望はこれまで上がっていない。 ・一番多いのはホームドアの設置の要望であり、また、地方部では乗降時に必要な車両の開閉ボタンや無人駅についての要望が多い。 (障害者団体) ・要望内容の実態が大多数の視覚障害者の意見だと考えている。 (学識経験者) ・長軸方向の移動を可能にすれば事故が無くなるかはエビデンスに基づいて判断すべき。また、長軸移動ができるようになれば事故がなくなるという仮定が成立したとしても、長軸移動を可能にするための方法は人的支援も含めて複数あると考えられるため、実現可能で誤認が少ない方法をエビデンスに基づき決めていくことが重要。 (学識経験者) ・(資料2−1について)前回国交省から報告のあった歩行動線調査は、歩行動線が同一線上になくても良いという条件で実施されたもの。この条件では、歩行動線からホーム端までの距離がある番線とその反対側の番線で異なる、という事は重要。 ・前回の検討会では、歩行動線調査について、学識経験者委員より構造物の脇を通過する動線は不要では、というご指摘があった。その条件で算定すると平均動線長25mという結果は変わるはずだが、算定しているか。 (国土交通省) ・そのような前提での動線の長さは算定していない。 (学識経験者) ・(歩行動線調査について)前提を変えると動線は25mよりは短くなると言える。 ・今後はホーム上でもエスカレーターに向けた誘導ブロックが敷設されることとなっており、この事実は環境条件として重要な事かと考える。 ・資料2−1にはホーム中央の歩行動線設置に対して積極的な意見と慎重な意見が記載されているが、当事者や支援団体の意見は視覚障害者の歩行について実情を知っているという点から重要であると考える。 ・資料2−1に記載されている積極的なご意見は概ねある障害者団体委員の意見であり、その他の委員については、別の障害者団体委員は「歩行動線とホーム縁端ブロックを誤認する危険性」を指摘、また別の障害者団体委員は「ホーム上での長軸移動は避けるということを前提とすべきで、必要な場合は駅員への援助依頼等を行うべき」との意見、ある支援団体委員は「歩行動線の導入は効果よりもリスクの方が多く、白杖を適切に使えば事故は防げる、援助依頼も重要」との意見、別の支援団体委員は「盲導犬歩行の場合は基本的に長軸歩行をせず、必要な場合は援助依頼をすべき、(資料2−2にあるように)全盲の方の場合は何度も方向転換をすることで方向を見失う可能性がある」と指摘している。このように各委員から慎重な意見が続出しているという事実は重要なことではないか。 ・内方線付点状ブロックの実用化から20年が経過しても、内方線付点状ブロックを知らない人がいるというのが現実で、視覚障害者の方々に周知を徹底するということは非常に難しいこと。仮に歩行動線を導入するとしても、20年経過しても歩行動線を知らない、理解していない人がいることは避けられないと考える。視覚障害者が歩行動線を全員正しく使ってくれるということは難しく、駅ごとに、また、ホーム内で敷設状況が変化し、状況が複雑になると事態は悪化すると考えられる。こうしたことを考えても、なお誤認のリスクがないと言えるのか。 ・私を含め、委員の中には、歩行動線の理念に反対をしている人はいないと思うが、実際にホーム上の諸条件を考慮した場合に考えられるリスクをどのように査定するかによって、歩行動線に積極的な意見と慎重な意見に分かれていると考える。 ・当事者や支援団体から慎重な意見が出ている現状に鑑みると、歩行動線の導入に進むべきではなく、着実な方策としてホームドアの設置や駅ホーム上の歩行訓練、鉄道施設の体験会、既往のブロックの敷設方法の周知、白杖の使用の徹底などを進めていく方が得るものが大きいのでは。 (障害者団体) ・動線ごとのホーム端までの距離の違いについては、現状の誘導ブロックでも違うことから、各人が脳内マップを描ければ問題ないと思う。 ・誘導ブロックの必要性については過去に他の委員からも賛成の意見があったと思う。 ・(ホーム中央にブロックがある駅における事故について、)下赤塚駅は転落地点に誘導ブロックはなかった。また、ホーム中央に誘導ブロックがある護国寺駅では30年強にわたり事故が起きていない。 ・誘導ブロックと警告ブロックの誤認については、内方線付点状ブロックの有効性にも関わってくる問題であり、認識できる人を前提として議論すべきでは。 (国土交通省) ・様々なお考えがあることは承知しており、事務局側で意見を再整理する。 【議事3 歩行訓練士について】 (日本歩行訓練士会 堀内事務局長) ・(資料3に基づき説明) 【議事4 厚生労働省における視覚障害当事者に対する支援制度について】 (厚生労働省) ・(資料4に基づき説明) (障害者団体) ・歩行訓練の受講は大切だと考えるが、団体の会員でも歩行訓練を知らない人がいるという実態を国交省のアンケートで知り驚いた。団体に所属していない方は尚更知らない人が多いのではないか。眼科や福祉の窓口など当事者が必ず行く場所で情報を得られるようになると良い。 ・歩行訓練士が少ない現状ではあるが、気軽に、必要に応じて訓練を受けられる体制になると良い。 ・駅の歩行方法を伝えるイベントが開催できれば、より周知ができるのではないか。 (支援団体) ・(駅の歩行訓練について)3月に実施される阪神電車のイベント(介助要請アプリの実証実験等)において、駅ホーム上の歩行訓練について時間を取っていただく予定。 ・これまでも駅施設を触れるイベントは見受けられたが、駅の歩行訓練も組み込むことができれば良いと思う。 (学識経験者) ・(支援団体委員に対して)駅における歩行訓練について、(今後、より精力的に)展開するための方法はお考えか。イベントの際の歩行訓練だけでは事項防止の観点からは足りないのでは。 ・(厚生労働省に対して)駅における移動支援は重要だと考えるが、更に推進する方策はないか。駅の安全を守るための人の配置を考えるべきなのか。 (支援団体) ・歩行訓練士会としても、研修会等で歩行訓練の周知に取り組んでいるものの、今後の取組については具体策がない状況。 (学識経験者) ・イベントの際にデモンストレーションのように実施する場合、歩行訓練士への収入(報酬)となるのか。 (支援団体) ・歩行訓練士会の財源だけでは難しいと考える。 (厚生労働省) ・同行援護は場所を選ぶものではなく、通勤は対象外ではあるものの、駅の中でも利用できるサービスである。 (学識経験者) ・事故を防止するためには乗客だけでなく資格者等の同行援護も必要だと考えており、省庁を超えた取組に期待。 (支援団体) ・(歩行訓練を多くの人が知らない件について)東日本大震災の際、被災地に支援に入った際、音声時計を約35%の人しか知らないという事実を知り驚いたことがあった。障害者手帳を受領する際、どのような支援があるかを知らされないということが問題なのではないか。自治体から情報提供すべきであり、歩行訓練についても同じことが言えるのでは。厚労省にお考えいただけるとありがたい。 ・(訓練士が訓練できない状況について)費用がなく訓練士を雇えないという実態がある。盲導犬協会では白杖歩行の訓練も行っているが、協会が費用を負担している。盲導犬協会は公益財団法人であるが、社会福祉法人であれば障害者総合支援法の自立訓練として支援を受けられる。訓練士側をいかに保障するか、検討する必要があるのでは。 【その他】 (学識経験者) ・歩行動線について、検討会の主旨はホームドアの整備が時間がかかる中、ホームドアによらない対策を検討すること。例えば、歩行スキルを身につけること、周囲の人が支援すること、新技術の導入など様々な議論がなされており、議論の一つとしてホーム中央の歩行動線の確保もある。色々な方法で今後も議論すべき。 (障害者団体) ・短軸方向についても議論が必要かと考える。 ・電車がホームに停車しているのではないかという見間違い、聞き間違いなど、誤認が大きな原因になっている。音サインが有効ではないか。電車の到着を知らせる駅ホームでの放送の徹底、電車到着時の駅名を伝える放送の徹底(乗り越しへの対策)、男性の高い声・低い声、女性の高い声・低い声など、声のバリエーションの増加といった対策が考えられる。 ・歩行動線について、吉川委員が医学モデルから社会モデルへの転換という説明の中で、長軸方向の動線の確保について述べられていた。 (国土交通省) ・本日のご意見は、今後の検討にあたって参考にさせていただく。次回の検討会の日程は、改めてお知らせする。本日の熱心な議論に感謝申し上げる。 ―以上―