民間都市開発推進機構の業務概要及び実績



 

                  目   次

 

             1.機構の業務概要        

             2.参加業務           

             3.融通業務           

             4.NTT−A型無利子貸付業務  

             5.土地取得・譲渡業務      

             6.PFI無利子貸付業務


 

1.機構の業務概要

 

 

 機構は、民間事業者によって行われる都市開発事業を推進するために、次の 業務を行っている。

 

(1)参加業務(法第4条第1項第一号)

 特定民間都市開発事業の施行に要する費用の一部を負担して、その事業に参 加する。費用の財源は国からの無利子資金(都市開発資金融通特別会計、道路整 備特別会計及び港湾整備特別会計)と民間金融機関(協調融資団)からの資金と を合わせて、公共特利(他に手数料0.05%)で実行する。

 参加できる限度は公共施設等の整備に要する費用の範囲内である。

 

(2)融通業務(法第4条第1項第二号)

 特定民間都市開発事業を施行する者に対し、事業の施行に要する費用に充て るための長期かつ低利の資金の融通を行う。機構は金融機関(日本開発銀行、北 海道東北開発公庫及び沖縄振興開発金融公庫)に事業を推薦し、公共特利まで金 利を引き下げるために必要な低利の資金を寄託し、金融機関を通して民間事業者 に融資する。

 費用の財源は国からの無利子資金(都市開発資金融通特別会計及び港湾整備 特別会計)と機構が発行する政府保証債とで調達した資金を金融機関に寄託する 。金融機関は寄託金と財政投融資とを合わせて公共特利で民間事業者に融資する 。

 事業者へは公共施設等の整備に要する費用に対して貸し付ける。

 

(3)NTT−A型無利子貸付業務(法附則第14条第1項、昭和62年9月 法改正)

 道路、公園、下水道、河川等のうち一定の公共施設(道路及び公園は都市計 画区域内に限る)の整備に関する事業を施行する者(第三セクター及び土地区画 整理組合)に対し、当該事業の施行に要する費用の一部を無利子で貸し付ける( 当初はNTT株式売り払い収入を活用)。

 

(4)土地取得・譲渡業務(法附則第14条第2項、平成6年3月法改正)

 民間都市開発事業の用に供される見込みのある土地の取得、管理及び民間都 市開発事業施行者に譲渡すること、機構が取得した土地について開発事業の企画 ・立案・調整を行うこと、及び機構が取得した土地で施行される民間都市開発事 業に共同事業者として参加すること(土地活用型参加事業)が柱となる業務であ る。

 土地取得資金は民間金融機関(協調融資団)から調達(3年借換え、金利は 長期プライムレートマイナス 0.2%)する。この調達資金に対し予算措置と して金利の4割相当(但し1%を限度)の利子補給が行われる。

 

(5)助成業務(法第4条第1項第三号)

 民間都市開発事業の初期段階における基本構想の作成、事業化のための計画 策定等の基礎的な調査に要する費用に対して助成を行う。

 

(6)あっせん業務(法第4条第1項第四号)

 民間都市開発事業に必要な資金のうち、機構の参加、融通等の対象にならな い部分について、民間金融機関(協調融資団)による資金の貸付を機構があっせ んする。

 

(7)都市研究センター

 また、平成2年6月に機構の中に都市研究センターを設置し、都市の開発・ 整備に関わる総合的な調査研究を、学際性、公開性、流動性、国際性の重視を研 究の基本理念として実施している。

 

 

 

2. 参加業務

 

(1)概 要

 

 参加業務は、民間事業者が行う良好な都市開発事業に対して、機構が調達し た長期かつ低利の資金をもってその費用の一部を負担し、当該事業に自ら共同事 業者として参加する。

 具体的には、機構が事業者と共同事業協定を締結し、権利調整、建設発注そ の他の各種手続の主体となって事業を施行し、建物・施設完成時に負担した費用 割合に応じた収益床及び施設を取得し、これを相手方(共同事業者)もしくは第 三者に賃貸又は長期割賦譲渡することによって資金を回収する。

 これにより民間事業者にとっては、

  ・ 資金負担の軽減

  ・ 事業機会の拡大

  ・ 信用力の補完

  ・ 床処分の円滑化

  ・ 長期低利資金の間接的導入

等のメリットを享受することとなる。

(2)証券型参加業務の創設

 不動産の証券化を促進するため、参加業務の一類型として、機構が参加した 民間都市開発事業で不動産の証券化等が行われる場合において、その資金の償還 を割賦弁済ではなく資産対応証券の代物弁済でできることとする「証券型参加業 務」を11年度から創設した。  この業務により、SPC法によるSPCの発 行する資産対応証券(特定出資証券、特定社債)などの不動産証券化による証券 や、不動産特定共同事業による小口化商品などを機構が取得し、不動産の証券化 、流動化の促進が期待される。

 


(3)公共特利

 

 参加・融通事業の場合に用いる 公共特利 は、財投金利と長期プライムレートの間で設定される政策金利のなかで、都 市開発の分野では最も有利なものとして設定され、日本開発銀行の特利より低い 利率となる。

 しかし、史上最低水準の公定歩合0.5%という低金利時代へ突入し、財政 投融資金利も長期プライムレート金利も2%台にまで下がった。また、長期プラ イムレートが財政投融資金利よりも低くなる状況が平成5年11月から平成6年 1月まで、および平成7年3月から平成9年10月まで続いた。更に、平成10 年6月には財投金利は1%台に下がった。

 この結果、機構の公共特利が、財政投融資金利や他の政府系金融機関の政策 金利等と同金利になる状況が生じている。

 このため、金利を引き下げるための国の特別会計からの無利子資金の予算が 執行出来にくい状況となり、制度そのものの政策効果が発揮出来ない状況が続い ている。

 

(3)参加業務の実績

 

 参加業務は、初年度機構内部において参加事業制度についての検討を行った 。そして、昭和63年度に学識経験者、国、民間企業等の委員からなる「参加事 業調査委員会」を設置し、参加事業のモデル検討、問題点の整理、事業推進の為 の条件整備の検討が行われ、同年度末第1号案件を採択・実行した。
 
 以降,平成9年度末までに参加したプロジェクト数は37件(うち 港湾4 件),参加総額は1,304.4億円(うち港湾15.7億円)となっている。 (別表参照)

 過去の参加案件に対する参加額は、年平均約130億円、1件当たり約35 億円となっている。

 

 参加業務は、民間都市開発事業に対して、適切なコンサルティングやアドバ イス等を積極的に行うとともに、関係行政当局とのパイプ役を果たすなど、事業の円滑 な推進に貢献している。

 

3.融通業務

 

(1)概 要

 

 融通業務は、「特定民間都市開発事業」を施行する者に対し、長期かつ低利 の資金を融通することによりその事業の推進を図るものである。本業務は、日本 開発銀行、北海道東北開発公庫及び沖縄振興開発金融公庫に対して政府からの無 利子資金と政府保証債により調達した資金を寄託、日本開発銀行等がこの寄託金 と通常の調達資金(財投資金)を原資として公共施設等の整備に充てるための長 期かつ低利の資金を民間事業者に貸し付ける形で行われる。その際、機構は事業 者の申請を受け事業要件の適格性を審査し、日本開発銀行等に推薦を行っている 。

 

(2)融通業務の実績                              

 融通業務は、昭和62年度第4四半期以降、多目的ホ−ル、駐車場、オフィ スビル、ショッピングセンタ−、ホテル及び港湾関連施設(倉庫、旅客タ−ミナ ル)等において、公共施設・都市利便施設等の整備を伴う優良な民間都市開発プ ロジェクトに対して支援を行ってきた。

 平成9年度末までにおけるこれまでの融通実績は累計で推薦件数は延べ62 0件(プロジェクト数は309件)、融通額は約5,228億円に達しており、 これに対して、機構は日本開発銀行等へ約530億円の寄託を行っている。

(10年度までの実績については 別紙参照)

 9年度までの融通実績を地域別にみると、北海道から沖縄までほぼ国内全域 で業務を実施してきており、その構成比は件数ベ−スでは関東(三大都市除く) 28%、近畿(同)15%、その他地方圏51%、三大都市6%であり、金額ベ −スでは関東(同)30%、近畿(同)13%、その他地方圏42%、三大都市 15%となっている。

 また、融通対象事業を用途別に構成比をみると、主な施設は駐車場施設28 %、ショッピングセンタ−等の商業施設24%、オフィスビル等の業務施設19 %、都市ホテル等の宿泊施設8%、倉庫6%などとなっている。

 他方、ここ数年の金利情勢は、平成5年11月に長期プライムレ−トが財投 金利を下回る”逆転現象”が生じ、更に平成7年4月以降、長期プライムレ−ト が融通金利をも下回る過去に例を見ない低金利情勢が2年以上も続いている。こ のため、公共特利と財投金利が同じとなる状況が続き、本業務に基づく開銀への 資金の寄託が出来ない状態が続いている( 融通業務の実績参照 )。
 

 

(3)港湾整備関係業務

 

 民間都市開発推進機構の参加、融通業務は、民間活力を活用した港湾地域の 面的整備や港湾業務関連施設の整備を支援するため、これらの施設整備について も、その対象としている。

 具体的に対象となる港湾関係プロジェクトは、

 ・旅客ターミナル施設

 ・複合物流施設(上屋・倉庫)

 ・港湾業務用施設

 ・港湾環境整備施設(フィッシャーマンズワーフ・マリーナ・宿泊施設等)

 ・拠点駐車場

などである。

 この設立後の10年間における港湾関係民都事業は26港において71プロ ジェクト、総事業費は約2,000億円にのぼっており、民間事業者の各種建築 物の整備促進に果たした役割は大きいものがあった。

 当初は、コンテナ化などの物流変革に沿わなくなって陳腐化した施設の存す る一帯を民間による物販施設や宿泊施設などの誘致を図り賑わい空間に変貌させ る、いわゆるウォーターフロント開発に対する支援が活発に行われた。

 他方、円高傾向のもと物流コスト低減の観点から、コンテナ船の大型化に対 応した大型岸壁整備の遅れや利用料金の割高、情報化の遅れなど多面にわたって 国際的な水準と乖離し、グローバル化された国際経済状況の中で躍進目覚ましい アジア各港との競争にも遅れをとっていることが改めて認識されている。このた め、国においても、物流政策大綱が閣議決定され、国際交流インフラ事業など各 省連携事業が推進されつつあが、民都機構においても、大型岸壁の整備に併せて 造成された港湾関連用地に建設される複合物流施設(上屋・倉庫)の整備の支援 が多くなっている。

 

 

4. NTT−A型無利子貸付業務

 

(1)概要

 

 日本電信電話株式会社(NTT)の株式の円滑な売払いによって生じた収入 の一部を活用し社会資本整備を図る制度が、昭和62年度補正予算第1号(昭和 62年7月24日成立)において創設された。

 具体的には、NTT株式売払い収入の一部を国債整理基金特別会計から一般 会計を通じて産業投資特別会計に繰り入れ、無利子貸付けを行うことにより、次 のように、Aタイプ、Bタイプ、Cタイプの3つの事業を推進することとされた 。 

 

・Aタイプ(収益回収型)

 社会資本の整備を推進するため、その事業により生ずる収益をもって費用を 支弁することができる公共事業へ無利子貸付けを行うもの

・Bタイプ(補助金型)

 地域活性化につながる面的開発等と関連し、一体的緊急整備を要する公共事 業へ無利子貸付けを行うもの

・Cタイプ(民活型)

 地域の活性化に資する特定の民活事業を推進するためのインセンティブとし て無利子貸付けを行うもの

 

 このなかで、Aタイプ(以下「NTT−A型」という)の公共事業のうち、 第三セクター及び土地区画整理組合が行う事業に対するNTT−A型無利子貸付 けについて、その業務を民都機構を経由して行うこととして行うこととされてい る。

 これは、収益事業を含む事業全体について、民間の都市開発事業の専門機関 である民都機構に審査させる方がより適確かつ効率的であること、民間の都市開 発事業に関する情報、ノウハウ、低利資金の供給等の総合的支援措置をもつ民都 機構が民間事業者に対する窓口となるほうが、民間事業者にとり便利であること 等の理由からである。

  

 

(2)貸付対象等

 

1)貸付対象事業

 国の補助(負担)事業対象で国の補助金(負担金)を受けない次の事業であ る。

・ 都市計画施設である道路、公園、下水道、河川、砂防、海岸事業

・ 都市計画区域外の下水道、河川、砂防、海岸事業

・ 都市計画事業である土地区画整理事業の都市計画施設

 

2)貸付条件

・ 貸付額は貸付対象事業費に貸付率(国庫補助率又は負担率)を乗じた額で ある。

・ 償還は5年間据置期間を含む20年間(半年均等賦・区画整理事業は保留 地処分に

  よる区画整理事業期間内)である。

 

3)貸付対象者

次の者に限られる。

・第三セクター(地方公共団体全額出資法人を含む)

・土地区画整理組合(土地区画整理 法第14条に基づき都道府県知事認可を 受けた組合 に限る)

 

 

(3)貸付業務の実績

 

1)貸付実績

 平成10年度までに,全国で502事業に1,697億円を貸し付けた。( 別紙参照

 このうち第三セクターは  140事業者、 170事業、 貸付金1,1 43億円
     区画整理組合は  301事業者、 314事業、 貸付金  3 75億円 (8年度末)

 近年では、年120〜100億円前後の貸付実績で推移しているが、制度創 設後は年200億円以上の貸付を行った。これは地場産業斜陽化に苦悩していた 地方自治体が、地域の活性化と雇用受け皿を狙って、第三セクターによるリゾー トやテーマパークの開発を相次いで行ったためである。この時期はリゾート開発 のインフラ整備としての公共事業や組合区画整理事業に多くの貸付を行った。

 

2)貸付事例

・ リゾート開発のインフラ整備に無利子貸付金を活用:

  ハウステンボス、シーガイヤ、大平山リゾート公園、キロロリゾート等

・ 地下街建設の公共地下歩道に無利子貸付金を活用:

  ディアモール大阪、クリスタ長堀、ZEST御池、広島紙屋町地下街(仮 称)等

・ 立体連続交差緊急整備事業に無利子貸付金を活用:

  小田急線(東京都世田谷区区間)、西武池袋線(東京都練馬区区間)、J R関西本線

  (大阪市浪速区区間)等

・ 組合区画整理事業に無利子貸付金を活用:

  かずさアカデミアパーク、座生地区(スーパー堤防整備)等

 

 

5. 土地取得・譲渡業務

 

(1)背景及び業務概要

 

 バブル崩壊後の土地市場等の低迷を背景に民間の都市開発事業が停滞する中 で、都市部を中心に、本来、民間都市開発事業の適地としてその速やかな開発が 望まれる土地の相当多くが、具体的な事業に結びつかず、遊休地化する傾向が見 られ、これらの遊休地がこのまま放置された場合には、細分化やスプロール化等 が進み、将来の優良な民間都市開発事業の実現が困難となる恐れが生じてきた。

 このような民間都市開発事業をめぐる状況の変化を背景に、平成6年2月8 日の政府の総合経済対策において、公共施設の整備を伴う優良な民間都市開発事 業の適地で事業化の見込みが高いものを先行的に確保する制度を、臨時かつ緊急 の措置として創設することが打ち出された。

 これを受けて、平成6年3月2日に、民都法及び都市開発資金の貸付けに関 する法律の一部を改正する法律が公布施行され、機構の業務として、土地取得・ 譲渡業務が新たに追加され、寄附行為や業務方法書の一部変更も終了した3月1 5日から業務を開始した。

 この業務は、

・民都法令で定める民間都市開発事業の用に供される見込みがある土地(事業 見込地)の取得、管理及び譲渡を行うこと、

・取得した事業見込地における民間都市開発事業についての企画、立案及び調 整を行うこと、

・取得した事業見込地において施行される民間都市開発事業に参加すること( 土地活用型参加)

を柱とするものであるが、臨時かつ緊急の措置であることに鑑み、土地の取 得については、平成14年3月31日までとされている。

 土地取得期間は、当初、平成11年3月31日までとされたが、現下の厳し い経済情勢に鑑み、政府は、11年度予算案において、この期限を3年間延長す ることとし、11年2月に所要の法律改正案(都市開発資金の貸付に関する法律 等の一部を改正する法律案)を通常国会に提出した。この法案は平成11年3月 31日に国会で可決され、成立している。

 なお、現行制度の概要は別掲(3)のとおりであるが、平成7年9月20日 の政府の経済対策をはじめとする度々の経済対策において、取得要件の緩和、事 業規模の拡大、保有期間の延長等の制度拡充が行われた。

(2)執行体制

 

 平成6年3月の業務発足時に専務理事並びに計画調整部及び業務部が新設さ れ、専務理事のもと二部体制のスタートであったが、平成7年11月の制度拡充 時からは計画調整部、業務第一部及び業務第二部の三部体制となった。さらに平 成9年8月1日には業務第三部が新設され、四部体制で業務を執行している。

 その後、再開発・土地有効利用支援センターの発足に際して民間支援総括部 が新設された。 

(3)制度の概要

 

1)取得することができる土地の要件

 ・三大都市圏の都市開発区域等の中の区市町村、道府県庁所在の市及び人口 10万人

  以上の市の各市街化区域内にあること

 ・未利用地であり、交通アクセス、公共施設整備の状況から見て、民間都市 開発事 

  業を施行する上で必要な条件を備えていること

 ・土地の面積が原則500u以上であること

   ただし、隣接する土地と一体として民間都市開発事業の用に供される見 込みのある面積

  が500u以上である場合は、200u以上であること

   また、区画整理事業の施行区域内においては,一団となる見込みの土地 で換地の面積の
  合計が500u以上である場合( 隣接する土地と一体として民間都市開 発事業の用に供
  される見込みのある面積が500u以上である場合は、20 0u以上で あること)は、
  100u以上(近隣商業地域又は商業地域内の土地である場合は、65u 以上)

   個人施行及び組合施行の市街地再開発事業の施行地区(その面積の合計 が500u以上で
  ある場合に限る。)において、合計200u以上の土地である場合も、1 00u以上(近隣
  商業地域又は商業地域内の土地である場合は、65u以上) 

 ・概ね整形であること(民間都市開発事業の施行に支障がない場合等を除く )

 ・建築物その他の工作物がある場合は、容易に移転又は除却できること

 ・担保権など所有権以外の権利又は処分制限の目的となっていないことなど

 

2)土地の取得資金

 @通常の場合

 土地取得資金及び保有に要する費用は、民間金融機関から長期プライムレー トより0.2%(平成10年度からは0.3%)低い金利で、政府保証を受け、 3年毎の借換えで調達している。

 なお、この借入れに伴う政府保証は、平成14年3月31日までの5年間で 累計1兆5000億円の枠が与えられている。

 A幹線道路の沿道で、民間都市開発事業により沿道環境の改善が図られる場 合

 11年度から、 幹線道路の沿道で、大気、騒音等の環境が厳しい区域にお いて、沿道環境の向上に資する民間都市開発事業が行われる見込みがある場合に 、機構が当該沿道の土地及び道路用地(拡幅を伴う場合)を一体的に取得する資 金については、道路特別会計より、国費を10分の5以内、無利子で貸し付ける ことができるものとなった。
 なお、この場合は、残りの民間資金は政府保証の対象とならないため、長期 プライムレートでの借入が予定されている。

3)保有コスト等の軽減措置

 ・国からの無利子資金の受入れ

  国から資金(都市開発資金)を無利子で借り入れ、この運用益を事務管理 費、運営資金等 に当てている。

 ・税制上の措置

  土地の取得時及び保有期間中は、次の減免措置がある。

  ア. 登録免許税(免除)

  イ. 不動産取得税(1/3に減額)

  ウ. 地価税(非課税)

  エ. 特別土地保有税(1/3に減額)

 ・利子補給

  国の予算措置として、機構に対し調達資金利率の4割(1%を限度)相当 の利子補給

 措置がある。

 

4)取得手続

 取得する事業見込地の選定及び取得した事業見込地の譲渡人の選定について は経営審査会(別掲)の、事業見込地の取得対価及び取得した事業見込地の譲渡 対価については価格審査会の議を経なければならないこととされている 。

 

5)売戻し特約の附帯等

 機構が事業見込地を取得する場合には、当該土地が10年以内に民間都市開 発事業の用に供されず、かつ国、公共団体等に譲渡されない場合において、機構 がやむを得ない事情によって請求したときは、当該土地を機構に譲渡した者又は 信用力のある第三者が買戻す旨の特約を付さなければならないこととされている 。このため、機構による土地保有期間は、10年以内とされている 。

 

(4)経営審査会及び価格審査会

 

 業務の適正な実施を確保するため、法施行規則附則第4項により、業務の運 営に関する重要事項(事業見込地の価額に係る評価に関する事項を除く)につい て審議していただくために経営審査会を、また、事業見込地の価額に係る評価に 関する事項について審議していただくために価格審査会を設置している。

 

1)経営審査会委員(平成10年6月1日現在)

会  長

 田中 啓一  日本大学教授、日本不動産学会会長

会長代理

 吉田 公二 (財)全国建設研修センター理事長

 飯原 一乗  弁護士

 河原崎守彦 (社)不動産協会専務理事

 公文 宏  (株)住友生命総合研究所副社長

 鹿谷 崇義 (財)東京都新都市建設公社理事長

 中村 芳夫 (社)経済団体連合会常務理事

 本吉 庸治  朝日大学法学部教授

 吉野 準  (財)日本道路交通情報センター理事長

 

2)価格審査会委員(平成11年6月1日現在)

会  長 

 久保田誠三 (財)自転車駐車場整備センター理事長

会長代理

 片岡 輝昭  日本税理士会連合会顧問

 安斎 洋子  税理士

 伊藤 達雄  四日市大学経済学部教授

 河原 将文 (社)全国宅地建物取引業協会連合会長

 熊田 禎宣  東京工業大学教授、日本不動産学会副会長

 定森  一 (社)日本不動産鑑定協会副会長

 白井 精一 (財)日本不動産研究所顧問

 氷鉋 楊四郎  筑波大学農林工学系教授

 

(5)土地取得・譲渡業務の実績

 1)相談実績

 業務発足時においては、持ち込まれる多数の相談案件に対応する一方、当制 度がわが国でも類例のない新しい制度であることから、建設省との共催による説 明会の開催、関係企業等に対するPR等に努めた。

 相談案件数については、土地市場の低迷と当制度に対する期待の大きさもあ って、業務発足時から多数の案件について相談が持ち込まれたが、平成6年8月 をピークに減少に転じた。その後、10年度になって増加している。
 現在の相談案件件数の累計は,以下の通りである( 土地譲渡相談実績 )。

  平成5年度    31 件

    6     546  

    7     233  

    8     114  

    9      95  

   10     289

   合計   1,308 



  2)土地取得実績

 土地の取得については、平成6年11月28日に初めて2件の土地の売買契 約を行った。その後、以下の通り、平成11年3月31日現在で、162件、総 面積274.2ha余、取得総額約7,184億円の土地を取得した。
 その詳細は、別表( 土地取得状況 参照)の通りであり、従来から、マスコミ等に定期的に公開してきたが、業 務に関する情報の開示を進めるため、平成11年4月より、その開示方法(土地 の売り主名等)をさらに改善したところである。

           件 数      面 積       取得金額
 
   平成6年度    4       0.8 ha    314 億 円

     7     10      12.9       616    

     8     26      22.9     1,195      

     9     30      59.7     1,301     

    10     92     177.9     3,758 

    合計    162     274.2     7,184  


 3)事業化実績

 機構は、土地取得業務によって取得した土地で行われる民間都市開発事業の 事業化を支援している。
 この結果、以下のとおり、平成11年3月末で、累計33件の事業化が行わ れた(件数は、工事着手の年度で区分)。

       工事着工件数  面積(土地)  総事業費    竣工件数

 平成8年度     2     1.0 ha  280 億円    0

   9      11    15.8  1,525       2  (1件は一期竣工)

  10      20    19.3  1,156       6

  合計      33    36.1  2,961       8


 4)土地の譲渡実績

 機構は、土地取得業務で取得した土地の事業化を図り、その譲渡を促進して いる。

          件 数    面 積    金 額 

 平成9年度      2    1.7 ha   18 億円 (1件は 一部)

  10        1    1.1      6    (前年案 件の一部) 

  合計        3    2.8     24

    

6.PFI無利子貸付業務の創設

11年度から、民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用した公共施設等の建設等の促進により、効率的かつ効果的な社会資本の整備を図るため、民間事業者が行う道路、公園、下水道、河川等の公共施設の整備事業に対して、民間都市開発推進機構が所要の資金を無利子で貸し付ける制度が、創設された。



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