21世紀を切りひらく緊急経済対策

 

平成9年11月18日

経済対策閣僚会議


<21世紀に向けた新たな経済政策の展開>

● 急速な経済成長を遂げた戦後半世紀から新たな半世紀へ時代が転換する中、わが国経済は、バブル期の後の低成長から抜け切れないでいる。公共事業の追加等からなる累次の経済対策によって景気を下支えしてきたにもかかわらず、日本経済は未だ力強い景気回復の軌道に乗っていない。

● その結果、わが国財政は主要先進国の中で、最悪の危機的状況となっている。

● 現在のいわば閉そく状況から早期に脱却して、強靱で活力に満ちた日本経済を実現するためには、経済運営に関する旧来の発想を180度転換し、民間活力を中心に21世紀に向けた新たな経済政策の展開を図る必要がある。

<力強い回復を妨げている構造的な問題>

● 景気が足踏みし、消費者や企業がわが国経済の将来に対する信頼感(コンフィデンス)を低下させている背景には、わが国経済が抱える構造的な問題がある。

● わが国の過剰な規制の存在が民間企業の活力を削ぎ、高コスト構造を通じて、わが国経済の競争力を低下させている。経済グローバル化を背景に、企業が国を選ぶ時代となっており、わが国産業が空洞化し国内の雇用機会が失われるおそれがある。

● わが国は、世界に前例のない高齢化に直面している。高齢化・少子化は、現行制度を前提にすると、財政収支を大幅に悪化させる要因である。同時に、働き手の減少や貯蓄率の低下等によって、わが国経済の潜在的な成長力が低下するおそれがある。

● また、足元の問題としては、わが国経済は依然としてバブルの後遺症から脱しておらず、不良債権処理や、これに関連して金融システムの安定化などの課題も抱えている。

<経済構造改革と整合的な経済対策の必要性>

● 現在足踏み状態の日本経済を早急に順調な回復軌道に乗せることが求められているが、それを実現するための経済対策は、短期的な需要創出ではなく、わが国が抱える構造的な問題に取り組む政策と整合的でなければならない。

● 21世紀を見据えて経済構造改革を進め、同時にわが国金融システム全体に対する内外からの信頼回復に努め、わが国経済の活力や適応力を最大限に引き出して、民間需要中心の自律的な安定成長軌道に乗せていく必要がある。特に、不良債権を抱えるなどして経営が悪化した金融機関の扱いについては、地域経済への影響に十分配慮しつつ、預金者保護と金融システムの安定性確保に万全を期していくこととする。

● こうした観点に立った経済政策運営を着実に実行することが、国民や企業の将来に対する展望をひらかせ、コンフィデンスを高めて、経済へのプラスの影響を与える。

● また、企業が経済構造改革のメリットを先取りすべく、未来を信じて企業家精神おう盛な事業展開を図れば、景気回復も一層早まるであろう。

<今求められる経済対策>

『規制緩和を中心とした経済構造改革の大胆な断行』

● 規制緩和は、新しい技術開発やニュー・ビジネスの創出を活性化したり、高コスト構造の是正などを通じて、新たな需要を生み、雇用を増大させる。

『土地の取引活性化と有効活用』

● わが国は、都市における地上過密・空中過疎の問題と、都市と地方の間の過密過疎の問題を抱えている。土地の有効利用によって、この二つの過密過疎を解決することが、ゆとりある国民生活を実現し、また、わが国経済の成長力を高める。

● バブルの後遺症として、担保不動産の処分が滞っていることが不良債権の処理や景気回復の足かせとなっており、土地取引を活性化する必要がある。

『魅力ある事業環境の実現』

● 経済グローバル化により企業が国を選ぶ時代になってきた現状においては、わが国が企業の活動拠点として選ばれるよう、企業にとって魅力ある事業環境を整備することが重要となっている。

● 産・学・官連携による研究開発の推進によって、未来の新産業を育成する基盤の強化を図る。

『中小企業対策』

● バブル期の反省などを踏まえ、民間金融機関において貸出しに慎重さがみられる中、中小企業に対する必要な資金供給が妨げられることがないよう、適切な措置を講じるとともに、経済構造改革への中小企業の適応を支援する。

以上のような考え方に立って、政府としては以下の具体策からなる「21世紀を切りひらく緊急経済対策」の実施を決定する。


目次

T.規制緩和を中心とした経済構造改革

 1.情報通信分野における改革

 2.福祉・医療分野における改革

 3.雇用・労働分野における改革

 4.金融分野における改革

 5.物流・運輸分野における改革

 6.教育分野における改革

 7.その他

U.土地の取引活性化・有効活用

 1.都市の再構築を図るための施策

 2.積極的な土地・住宅の供給

 3.現行規制を緩和する等その他の土地有効利用のための施策

 4.不動産等の証券化等

V.中小企業対策

 1.金融対策

 2.中心市街地活性化対策について

 3.その他

W.科学技術の振興

X.市場アクセス改善の加速化

 1.OTOの積極的活用

 2.市場アクセス改善のための具体的方策

Y.税制の見直し

Z.民間活力を活用した社会資本整備その他の施策

 1.情報通信基盤整備のための各種施策

 2.物流基盤整備の促進のための各種施策

 3.環境政策の推進のための各種施策

 4.新しい社会資本整備手法の活用

 5.公共事業の効率的執行の確保等

 6.その他

 


T. 規制緩和を中心とした経済構造改革

民間活力を活用した経済全体の体質強化、活性化を図るとともに、我が国経済の構造変革を大胆に進めるために、以下の措置をとる。

1.情報通信分野における改革

[電気通信事業の規制緩和]

・特別第二種電気通信事業の範囲を、国際通信を提供する第二種電気通信事業及び、公専公接続により不特定かつ多数の者に対して音声役務を提供する第二種電気通信事業に限定し、これに該当しないものは一般第二種電気通信事業とする旨、次期通常国会に所要の法律案を提出する。

・第二種電気通信事業者に対する回線設備の保有につき一部解禁する旨、具体的内容を年内に決定した上、次期通常国会に所要の法律案を提出する。

・第一種電気通信事業者及び第二種電気通信事業者の電気通信役務の3区分(音声・データ・専用)への簡素化を今年度中に実施する。

・第一種電気通信事業者が業務委託を行う際に、認可が必要とされる対象を他者が設置した電気通信回線設備を利用する場合に限定し、ネガティブリストとして明確化する旨、次期通常国会に所要の法律案を提出する。

・電気通信料金の個別認可制を原則廃止し、届出制に移行するとともに、インセンティブ方式を導入する旨、具体的内容を年内に決定した上、次期通常国会に所要の法律案を提出する。

[通信衛星による多チャンネル放送の規制緩和]

・衛星放送において、複数局支配の禁止として制限される出資比率の緩和(現行の議決権の10分の1以内から議決権の3分の1未満)を今年度中に実施する。

・CSデジタル放送において、一委託放送事業者が行うことのできるテレビジョン放送に係る現行12番組(2中継器)以内という番組数の制限については、これを今年度中に廃止し、4中継器以内では何番組でも可能とする。

・委託放送業務の認定について、放送番組審議機関設置義務の適用除外範囲の拡大や申請事項の大幅な簡素化を今年度中に実施する。

[通信衛星による事業促進のための制度の整備]

・通信衛星を利用した通信・放送が融合化した新たなサービスの出現に対応して、本年中に具体的かつ明確な基準を設定することにより、予備校による受験生宅への通信衛星授業などを、「放送」扱いではなく、「通信」扱いとする。

[有料放送にかかる料金規制の緩和]

・衛星トランスポンダ料金の届出制に適用されている総括原価主義を撤廃する旨、次期通常国会に所要の法律案を提出する。

・衛星放送の有料視聴料金規制については、本年10月1日に総括原価主義を撤廃して届出制としたところであるが、本年中にCS放送についての標準契約約款の提示を行う。

[ケーブルテレビの外資規制の見直し]

・ケーブルテレビ事業者の外資規制に関しては、来年1月に第一種電気通信事業を併せ行うケーブルテレビ事業者について撤廃し、それ以外の者については、その撤廃につき検討の上、来年中に早急に結論を得る。

[ケーブルテレビ加入者網における無線システムの実用化]

・ケーブルテレビ局がネットワーク構築の補完的な手段として、基地局から各加入者宅までの伝送に無線システムを利用することを認め、来年9月を目途に実用化を行う。

[複数ケーブルテレビ事業者のヘッドエンドの共有化]

・ケーブルテレビ事業の効率化を促進するため、申請書類の様式の改正等により、複数の事業者間でヘッドエンドを共有化したり、賃貸することを認め、本年12月を目途に実用化を行う。

[KDD法の廃止]

・国際電信電話株式会社法を廃止する旨、次期通常国会に法律案を提出する。

[携帯電話等の技術基準適合証明]

・携帯電話、自動車電話、PHS(簡易型携帯電話)等に関する技術基準適合証明については、本年中に手数料の引下げ、書面審査化、審査期間の短縮を行う。さらに、来年度において、手数料を一層大幅に引き下げ(現行水準と比較して3分の1以下を目途とする)、審査期間を一層短縮するため、大量生産機種向けの簡素な制度を新たに導入する旨、次期通常国会に所要の法律案を提出する。

[教育の情報化]

・次期の教育課程基準の改訂において、小学校では、新設される「総合的な学習の時間」(仮称)などで、外国語に触れ、外国の生活や文化に親しむことができるようにする。情報通信のグローバル化のなかで、インターネットのような情報通信手段を英語で活用することができるようにする。

・学校におけるネットワークの計画的整備を進め、近い将来全国の学校がインターネットに接続されることを目指す。

・平成11年度までに公立学校において小学校に22台(児童2人に1台)、中学校・普通科高等学校で42台(生徒1人に1台)、特殊教育諸学校で8台(児童生徒1人に1台)の水準で、必要とする教育用ソフトウェアも含めて整備することとしている教育用コンピュータの整備方針に基づき、着実な整備を推進する。

・次期の教育課程基準の改訂において、中学校において情報に関する基礎的内容を必修とすることとし、高等学校において情報に関する教科を設けるようにする。

・高等教育機関におけるマルチメディアを活用した遠隔授業の単位認定を可能とする制度整備及び通信制の大学院の設置を可能とする制度整備を実施する。

[医療の情報化]

・遠隔診断行為について、今年中可能な限り早期に医師法との関係を明確化する。その上で、診療報酬上の位置づけについても明確化を図る。また、診療報酬請求について、磁気媒体による請求を行うことができるシステム(レセプト電算処理システム)の構築を推進し、早急に全国的に本稼働を行う。

[地理情報システムの効率的な整備・相互利用の推進]

・地理情報システムについて、各省庁、地方公共団体、民間企業が個別に作成した地図、各種データの相互利用のための共通基盤化(データ様式の標準化等)を図る。また、国、地方公共団体、民間が調整・連携したデータ整備と相互の役割分担の明確化を図る。あわせて、各省庁においてその利活用分野の拡充を図る。

[コンピュータ2000年問題対策]

・関係省庁が自ら保有するコンピュータシステムについての対応を行うと共に、地方公共団体、各省庁所管団体及び各省庁所管業界に対する啓発・普及活動の拡充を行う。

・また、2000年問題対応促進のための各種支援、広報・普及活動等の措置を図ることにより、早期の対応の促進に努める。

・コンピュータ2000年問題に対応する企業の情報化投資の早期実施を支援するため、財政投融資等を適切に活用する。

[高度道路交通システム(ITS)の推進]

・カーマルチメディア通信システムの開発・普及を図るため、周波数割当、技術基準制定等の制度整備を図る。具体的には、76GHz帯の周波数を使用する小電力ミリ波レーダーの技術的条件について、今年度の施行を目途に関係省令の改正を行う。

[企業情報の電子化]

・各種法令で民間事業者に保存を義務づけている帳簿等の電子媒体による保存の容認について、原則として平成9年度末までに所要の措置(法改正が必要なものについては、法案を提出)をとる。

[行政の情報化]

・申請・届出に係る手続について、各省庁において早急に見直しを実施し、原則として平成10年度末までに可能なものから早期に電子化を行う。平成9年度内には、既に実施している手続きに加え、電気事業法、割賦販売法、有線電気通信法、電気通信事業法等に関する手続きについて電子化を行う。

・現在紙媒体によって行われている国庫金の口座振替について、国と金融機関の間の手続の電子化を推進する。特に、歳入金に係る口座振替に係る委託データについては早急に電子化を図る。

[公共事業に係る電子化の推進]

・政府調達の大きな割合を占める公共事業の入札契約手続において、必要となる各種情報のやり取りの電子化を推進する。

2.福祉・医療分野における改革

福祉・医療分野においては、民間企業の参入を促進し、民間部門の創意工夫が活かされ、効率的なサービス提供が行われることが重要である。このような観点から以下の規制緩和を推進する。

[介護サービス等への民間(営利・非営利)参入]

・介護保険法案成立後における介護保険サービスの実施に当たっては、有料老人ホームについても特定施設入所者生活介護の給付を実施するとともに、民間企業の参入が図られ、利用者がサービス事業者を自由に選択・変更できるよう、介護サービスの利用手続き及び支払方法を多様化することを検討し、介護保険制度の実施までに結論を得る。

・社会福祉事業のあり方全般の見直しを行い、所要の制度改正の検討に着手することとし、その際に高齢者介護に関する社会福祉事業について民間企業の参入が図られるよう、各種の規制緩和及び競争的環境の整備を検討し、その結論は、介護保険制度の実施までに得る。また、併せて、児童の保育に係る福祉サービスについても同様に検討し、結論を得る。

[その他の介護関連の規制緩和]

・平成9年度内に市町村が民間企業に対して日帰り介護(デイサービス)事業を委託することを可能とする。

・平成9年度内に市町村が民間企業に対して短期入所生活介護(ショートステイ)事業を委託することを可能とする。

・民間事業者による在宅入浴サービスに関する規制緩和を平成9年度内に検討し、結論を得る。(看護婦1名が、サービスごとに必要であるという要件を緩和)

・平成10年度に市町村が民間企業に対して在宅介護支援センターの運営を委託することを可能にする。

・指定訪問看護事業への民間企業の参入を可能とする。(介護保険法案成立後、できる限り早急に実現)

・保険会社の介護ビジネスへの参入について、保険会社に期待される在宅介護サービス等の内容や、適切な参入形態の在り方に関する検討を進め、公的介護保険制度の導入までの期間に、所要の制度の整備を図る。

[医療分野の規制緩和]

・医療法人の理事長を医師又は歯科医師に限定している規制については、平成9年度中に医療審議会において具体的な緩和方策を検討し、早急に対応する。

3.雇用・労働分野における改革

[労働者派遣事業に関する規制緩和]

・労働者派遣事業制度については、対象業務のネガティブリスト化、派遣期間、労働者保護のための措置等を中心に、制度の全般的な見直しを進め、関係省庁の十分な協力の下に、労働者派遣法の一部改正法案を次期通常国会に提出する。

[有料職業紹介事業等に関する規制緩和]

・有料職業紹介事業制度については、取扱職業の更なる拡大及び許可等に係る有効期間の延長を行うため、ILO第181号条約等を踏まえ、平成9年度中に中央職業安定審議会において検討を開始し、可能な限り速やかに法的措置を含め所要の措置を講ずる。併せて、労働者の募集のあり方についても検討し、同条約の批准を行う。

[ネットワーク上の労働市場の整備]

・公共職業安定機関における雇用情報提供のためのネットワークの在り方について調査・研究を行い、平成10年度以降早期にネットワークを構築する。

[学生等の就業体験(インターンシップ。学生等が在学中に自らの専攻、将来のキャリアに関連した就業体験を行うこと)の推進]

・平成9年度から行われている一部地域等における試行的取り組みの成果等を踏まえ、早急に学生等の就業体験(インターンシップ)の総合的な推進を図る。具体的には、大学等において教育課程に位置づけることを含め、積極的に評価する等、その本格的な取り組みが行われるよう促すとともに、中小・ベンチャー企業等を含む企業側における実施体制の整備の促進を図る。

[機動的な雇用対策の実施]

・産業・地域にわたる雇用動向に迅速かつ的確に対応しつつ、雇用調整助成金に係る特例措置(特定雇用調整業種等の高率助成、支給対象事業主の範囲の拡大等)の継続、雇用調整助成金の大型倒産等事業主の指定の迅速化を図るための指定基準の見直しにより雇用の維持等を図る。

4.金融分野における改革

(1)証券取引法等の抜本的改正

我が国証券市場の魅力と競争力を高め、活力ある証券市場を達成するために、金融システム改革に盛り込まれた下記の措置を含む証券取引法等の抜本的改正法案を次期通常国会に提出する。これらの措置の推進により、国民にとってより身近で魅力ある市場を実現し、我が国証券市場への個人投資家の参加を容易にすることが重要である。また、企業においても、証券市場の魅力が一層高まるよう、株主重視を徹底した経営姿勢を取ることが期待される。

[証券会社の業務の多角化等による多様なサービスの提供]

・証券会社の専業義務を見直すなど、業務の多角化を可能にすることによって、多様な商品・サービスの提供の枠組みを整備し投資家の利便性を向上させる。

[証券会社の原則登録制への移行]

・証券業の参入について、現行の免許制を原則登録制に改革し、国際的にみて効率的かつ競争力のある証券市場を作る。

[資産運用業(投資信託等)の強化と銀行・保険会社等の本体における投資信託の窓口販売解禁]

・会社型投資信託等の導入や投資信託の販売チャンネルの拡大等を通じ、商品の多様化・投資家の利便性の向上を図る。

[有価証券定義の拡大]

・有価証券定義を拡大し、証券取引法に基づく投資家保護措置(公衆縦覧型ディスクロージャー、不公正取引ルール等)の対象範囲を適切に定める。

[証券デリバティブの全面解禁]

・証券デリバティブの全面解禁により、多様なヘッジ手段を提供し、運用パフォーマンスを向上させる。

[資産担保証券(ABS)の銀行、保険会社等への取扱解禁]

・債権等の流動化を目的とした一定のABSの銀行、保険会社等への取扱解禁によって、金融機関のリスク管理手段の充実、投資家に対する魅力ある投資手段の提供を図る。

(2)その他

[証券総合口座への給与・年金振込]

・労働者本人が申し出た場合には、本人が指定する証券総合口座に振り込まれた賃金を受け取ることができるように、労働基準法施行規則を平成10年度早期に改正する。また、証券総合口座への年金等の振込を平成10年度早期に実現する。

[厚生年金基金の5:3:3:2規制の撤廃の前倒し]

・厚生年金基金の運用に課されている5:3:3:2規制については、厚生年金基金規則の一部を改正し、平成10年度に予定されている規制撤廃を平成9年度中のできるだけ早期に前倒しして実施する。

[保険会社のインパクト・ローンに関する規制緩和]

・保険会社のインパクト・ローンの借入限度に関する規制を平成9年度中できるだけ早期に撤廃する。

[コミットメントライン契約の取扱い]

・出資法、利息制限法におけるコミットメントライン契約の取扱いについて、平成9年度中に検討を開始し、平成10年末までに結論を得る。

5.物流・運輸分野における改革

[トラック輸送事業における規制の緩和]

・平成12年度までに経済ブロック単位に段階的に拡大することとされているトラックの営業区域について、そのスケジュールの前倒しを図る。

・トラック運賃・料金の届出に当たり、原価計算書の添付を不要とする範囲を一層拡大(上下20%)することについて、平成9年度中にそのスケジュールを明確にし、必要な措置をとる。また、トラック事業の運賃・料金規制の事後届出などの緩和を検討する。

[フル積載ISOコンテナの輸送に係る軸重規制の経過措置]

・ISO規格の海上コンテナをフル積載したセミトレーラについては、一定の路線について、必要な改造を行った現有車両等が通行可能になるよう、当分の間、特例として経過措置を講ずる。

[車検制度の見直し]

・トラック等の検査証の有効期間については、平成9年度中に調査の結果、安全確保、公害防止の面で支障がない場合には、速やかに延長の措置をとる。

[自動車マーケット活性化支援(道路運送車両法の見直し)]

・自動車の検査・認証制度の国際調和、自動車マーケットの活性化支援を図るため、道路運送車両法改正案を次期通常国会に提出する。

1)自動車の装置の認定制度を創設し、外国政府による自動車装置の認定との相互承認制度を導入。<ECE1958年協定への加入>

2)ブレーキを含む重要保安装置の分解整備を行った場合に使用者に課されている国の検査を廃止。

3)新車の完成検査終了証の有効期間を延長。

[流通業務市街地の整備促進]

・流通業務市街地の整備及び円滑な機能更新を一層促進するため、流通業務地区における用途規制について弾力的な運用を推進するとともに、総合物流施策大綱に基づき本年度末に策定されることとなっている物流拠点整備指針についての検討等を踏まえ、必要に応じ流通業務施設の整備に関する基本指針の見直しを行う。

[水先に関する規制の見直し]

・水先業務の効率化については、平成9年度中に同一湾内の水先業務の引受の一元化、水先艇の共同利用を措置する。

・料金体系の見直しについては、夜間割増料金の適用時間帯等の見直しを平成10年4月1日に措置する。

・強制水先の必要な船舶の範囲の見直しについては、神戸港について平成9年度中に結論を得、これを踏まえて早急に制度改正する。

[港湾手続等のEDI化等の推進]

・平成11年度までを目途に、外国為替及び外国貿易管理法に基づく輸出入許可及び承認の手続と、主要港湾及び国際空港における出入港、検疫等の行政手続をEDI(Electronic Data Interchange;電子データ交換)化して、関税法に基づく輸出入許可の手続等を処理する通関情報処理システム等との連携を図ることにより、輸出入及び港湾諸手続のペーパーレス化及びワンストップサービスの実現を目指す。

また、G7間での税関及びその他の行政機関が求めるデータの標準化・最小限化についての取り組みを次回サミットまでに報告する旨の、デンバーサミットにおけるG7首脳によるイニシアティブに積極的に参画する。

[国内航空運送事業における参入規制及び料金規制の緩和]

・国内航空運送事業については、平成9年4月のダブル・トリプルトラック化基準の廃止、同年7月の羽田空港における自由枠の設定や新規会社用の枠の確保等により、実質的に「自由な路線設定や増減便」は既に相当程度可能であり、今後、これを一層促進する。

・国内航空運送事業の需給調整規制については、平成9年度中を目途に結論を得た上で、平成11年度までに廃止し、自由な路線設定や増減便ができる体制にするとともに、運賃制度の一層の弾力化(上限価格制など)を速やかに進めることとする。

6.教育分野における改革

[大学の校地面積基準の見直し]

・大学の校地面積基準については、校舎の最低基準面積の6倍以上とする原則が定められているが、これを大幅に緩和する方向で、平成9年中に結論を得る。

[学外における学修の単位認定の促進]

・各大学の判断によって、大学が学外の多様な学修の成果を単位認定できる範囲について、各大学の創意工夫がより発揮できるよう、その制度の在り方を見直す。

[入学時期の弾力化]

・国際化・生涯学習社会への対応等を図るため、特に秋季入学を促進する。

[高等学校における転入学・編入学の弾力化]

・保護者の転勤や帰国等に伴う高等学校における転入学や編入学の受入れの機会を確保するため、収容定員の内数のみならず、外数としての特別定員枠の設定の一層の促進を図るよう、平成9年中に各都道府県教育委員会等に通知を発出する。

7.その他

[保安規制の見直し]

・高圧ガス保安法、労働安全衛生法、消防法及び石油コンビナート等災害防止法(いわゆるコンビナート保安四法)について早期に整合性の確保を図るとともに、化学設備の定期自主検査のために停止することなく連続運転できる期間の延長、機能性基準の導入、コンビナート事業所の設置・変更その他の諸手続の簡素化等の規制緩和を平成9年度内に行う。また、主として家庭で用いられるような小規模電気温水ボイラーについては、労働安全衛生法に基づくボイラー構造規格の適用除外の拡大を平成9年内に実施する。さらに、十分な保安体制を有する事業所の変更工事に係る消防法の完成検査に関し、消防署等による検査に代えて自主検査を認める制度について、平成9年度内を目途に結論を得て、可能な限り早期に導入を図る。

[電気事業法の見直し等]

・電気工作物検査を行う指定検査機関として民間企業を加えることを含め、電気事業法に基づく電気工作物の溶接検査制度の抜本的見直しを行い、平成9年度中を目途に成案を得、所要の措置を講じる。

・電気工作物の技術進歩、保安実態を踏まえ、電気事業法による工事計画認可・届出の範囲の見直しを平成10年度上期に行う。

・発電設備設置者のコスト低減を図る観点から、技術進歩等の状況を踏まえ、系統連系に係る技術要件について見直し、ガイドラインの改訂を平成9年度中に行う。

[有人セルフサービス方式の給油取扱所]

・有人セルフサービス方式の給油取扱所の導入については、安全性の確保を前提として、平成10年度早々にも導入のための所要の措置を講ずる。なお、安全確保策の概要については年内に周知する。

[共同溝利用の円滑化]

・熱供給導管及びケーブルテレビ事業用線路について、「共同溝の整備等に関する特別措置法」に基づく共同溝の使用の可否も含め、円滑な埋設の方策に関する検討を行い、平成9年度中に検討結果を踏まえ対応する。

[道路の使用及び占用に係る許可条件の検討]

・ガス管及び地中電線類の道路への埋設工事に関する埋設深さについて、道路構造の保全の観点等を踏まえ、技術的検討及び基準の緩和の可否の検討を平成9年度中に行い、その検討結果を踏まえ、可能なものについては、できる限り早期に所要の措置を講じる。

・また、ガス管及び地中電線類の道路への埋設工事に関する道路使用許可の運用について、道路交通の安全と円滑の観点を踏まえつつ、平成9年度中に事業者との意見交換等と併せて実態の把握を行い、運用上の課題の有無を検討する。その検討結果を踏まえ、必要に応じ、できる限り早期に所要の対応を行う。

U. 土地の取引活性化・有効活用

不良債権処理を促進して経済活動全体を活性化させるとともに、長期的な視野に立ってゆとりある居住スペースやオフィス・スペースを実現することで豊かな国民生活を達成し、併せて、都市部における防災上の備えも強化し、都市の再構築を図るため、以下の措置をとる。なお、土地政策が地価抑制から土地有効利用促進へと転換したことに鑑み、土地の有効活用に資する良好なプロジェクトへ十分な資金供給が行われることが土地取引の活性化に資すると考えられる。

1.都市の再構築を図るための施策

[都市中心市街地(商業地域等)における容積率の抜本的緩和]

・都市構造の再編、防災上、情報化等の観点から、都市中心市街地の更新を促進するため、優良プロジェクトに係る容積率等の特例制度の活用や容積率指定の見直しなど、機動的に土地利用規制を見直すよう地方公共団体に要請する。(商業地域における法定容積率の最高限度は、1000%)

・特に、都心商業地域の更新については、地区の望ましい更新の姿を示した構想を、地元公共団体が中心となって作成し、これに基づいて特例制度の活用による容積率、斜線制限の緩和等の施策を総合的に展開する。併せて、附置駐車施設の敷地外への設置について、有効かつ適正に運用されるよう地方公共団体に要請する。

・この際、高度利用地区について、空地確保を必須の要件としない容積率割増基準を新たに設定(割増上限300%)することにより、都心商業地域の円滑な更新を図る。

・併せて、高度利用地区内の建築物の整備について、財政投融資を適切に活用し、日本開発銀行等の融資を拡充する。

[都市構造再編プログラム(仮称)の策定の推進]

・都市計画道路等の整備と連動した容積率のアップとこれによる民間投資の活発化を促進し、「都市の再構築」を実現するため、将来の都市像を明らかにしつつ、都市基盤整備、高度利用等の具体的目標等を示す「都市構造再編プログラム(仮称)」の策定を推進する。このプログラムに基づき都市基盤の整備など各種施策を総合的に推進する。

[街路沿道の土地の高度利用と民間建設投資の促進]

・都市計画道路の整備によって誘発・促進される土地の高度利用と民間建設投資を支援するため、民間都市開発推進機構の融通業務及び都市開発資金貸付制度の拡充・活用を図る。

[民間都市開発推進機構の積極的活用]

・土地の高度利用・市街地の活性化等を積極的に進めるため、民間都市開発推進機構を積極的に活用するものとする。

1)財政投融資を適切に活用し、融通業務(民間都市開発事業者に対する日本開発銀行等を通じた長期低利資金の貸付け)を積極的に活用するため、土地の高度利用に資する一定の場合につき面積要件の大幅な緩和を図る。

2)土地取得・譲渡業務で取得した土地を含め、民間都市開発推進機構自らが民間都市開発事業・市街地再開発事業等に積極的に参加して事業の推進を図る。

3)土地取得・譲渡業務については、当面、現在の政府保証枠(残額約7500億円)を活用して、引き続き積極的に取得を進めるとともに、取得した土地の事業化を推進する方策の充実を検討する。なお、取得期限(平成10年末)後のあり方について保証枠の規模を含め十分な検討を行う。

4)取得した土地を証券化等(法制化が予定されているSPC(特別目的会社)の活用や土地信託の受益権の小口化等)によって市場流通させる方策を検討する。

[容積率・斜線制限等の緩和や日影規制が適用除外となる「高層住居誘導地区」制度の積極的活用の推進]

・本年9月に施行された「高層住居誘導地区」制度について、早期の地区指定に向けて、地方公共団体の積極的な取り組みを推進する。

[密集市街地の再整備の推進]

・老朽木造住宅密集地域における防災性の向上を図るため、本年5月に公布された密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律を踏まえ、老朽住宅の除去及び建替え、公共施設等の整備などを計画的に推進する。

[容積率制限の複数敷地への一体的適用]

・既存建築物の建替えや、道路を含んだ区域など、一団地の総合的設計制度について積極的活用等を図る。

[市街地再開発事業等における、民間のノウハウの活用]

・市街地再開発事業等において、民間のノウハウを活用する観点から、業務代行方式の積極的な活用の推進を図る。

[住宅・都市整備公団の活用]

・住宅・都市整備公団において、平成9年6月の閣議決定の方針を踏まえ、総合的な都市整備を推進する。

[生活環境の改善のための都市のリノベーション]

・現在逼迫している都市開発等のための長期・低利の金融市場を補完し、都心居住、工場跡地の利用転換等都市の再構築を推進するため、財政投融資を適切に活用し、臨時的措置として、日本開発銀行等の融資を拡充する。また、事業の円滑な推進を図るため、住宅・都市整備公団の活用を図る。

[行き過ぎた宅地開発等指導要綱の是正等]

・開発許可をはじめとする各種手続の迅速化を図るとともに、宅地開発等指導要綱の実態について速やかに調査を行い、その結果に基づき是正指導の徹底を図る。

[土地収用の積極的活用]

・道路等のインフラ整備等の収用適格事業については、事業確定後速やかに事業認定の申請を行う等土地収用手続の積極的活用を図るとともに、事業認定の事務処理の迅速・円滑化を図る。

2.積極的な土地・住宅の供給

[農地転用の円滑化]

・農業振興地域等で、原則転用不許可となっている農地であっても、集落に接続するなどの要件を備えるもののほか、農村活性化土地利用構想等を活用する場合には、転用を許可する。

・農地転用したい者が円滑に転用できるよう、農地転用及び農用地区域の除外について、透明化・簡素化・迅速化の措置を講ずるとともに、これをマニュアル化し、円滑な農地転用を図る。

・農地転用の許可権限については、4ha以下のものは都道府県知事へ早急に移管する。また、市街化区域内にある農地の転用届出について、添付書類の簡素化等を進め、円滑な運用に努める。

[市街化区域及び市街化調整区域の線引きの機動的な見直しの推進]

・線引きについて、5年ごとの国勢調査等を踏まえた見直しに加え、その間において、必要に応じ、随時の見直しを機動的に推進するとともに、市街化調整区域における開発許可の弾力的運用を図る。

[郊外型住宅等の取得促進]

・郊外型住宅、退職後の本格居住のために先行的に確保する住宅等の多様な住宅ニーズに対応し投資を促進するため、財政投融資を適切に活用しつつ、臨時的措置として、現在居住している住宅のほかに取得する住宅に対する住宅金融公庫融資の拡充(地域限定要件の撤廃及び面積要件の緩和)を図る。

・国有林野内の適地について、自然保護への配慮を行いつつ、要望のある民間事業者、地方公共団体等に提供することにより、セカンドハウス、福利厚生施設等の建設を促進する。

・市街化調整区域において、市町村が地区計画を作成した場合には、この計画に沿った開発行為を許可する都市計画法上の特例制度の創設、集落地域整備法の積極的活用等により、郊外型住宅用の宅地造成・住宅建設を戸数の多少に関わりなく推進する。

・都市生活者が週末を過ごす自然環境調和型住宅(ガーデニングハウス)の整備を促進するため、フィージビリティ・スタディの実施、住宅の仕様・部材の標準化による低コスト化、輸入住宅の導入等を推進する。

[住宅金融公庫融資の活用]

・住宅金融公庫の融資について、財政投融資を適切に活用し、臨時的措置としての特別割増融資額の引上げ(800万円→1000万円)、返済能力の十分な者に対する融資限度割合(現行80%)の撤廃を図る。

・住宅投資を促進するため、財政投融資を適切に活用し、臨時的に、マイホーム新築等貸付の受付期間を長期化(原則2週間→4週間程度)するとともに、バリアフリー化、断熱構造化のための住宅改良貸付の受付期間を通年化する。

[定期借家権の導入]

・良質の賃貸住宅の供給を促進する観点から、定期借家権の導入を促進する。

[借地方式等による公共事業の推進]

・現在、都市公園事業について実施されている借地方式を一層促進する。

・公営住宅等の供給に当たり、借地による住宅の供給や、借地による供給よりも効率的な住宅整備方策として民間住宅の借上げ(転貸)方式による供給を推進する。

・道路、河川のように将来にわたり公共の用に供される施設について、支障のない限り借地権等の活用を図る。

[建築規制体系の見直し]

・仕様を詳細に規定する現行の建築基準(仕様規定)を、一定の性能さえ満たせば具体の仕様の如何を問わないこととする方法を導入(性能規定化)することにより、設計における選択の自由を拡大し、建築市場の活性化、建築コストの低減を進めるため、次期通常国会に建築基準法の一部改正法案を提出する。

・行政が行っている建築確認・検査業務について、民間機関が行える途を開くことにより、民間活力の活用、検査体制の充実、手続の迅速化を図るため、次期通常国会に建築基準法の一部改正法案を提出する。

3.現行規制を緩和する等その他の土地有効利用のための施策

[国土利用計画法に基づく土地取引届出制度の事後届出制への移行]

・国土利用計画法の届出勧告制については、原則として、事後届出に移行するなど制度の改善を行うこととし、所要の法律案を次期通常国会に提出する。事後届出とした場合、利用目的に関する極めて不適切な土地取引に対しては適切な対応を行うことができることとするが、個々の取引価格については勧告等の措置は行わないこととする。また、地価水準の上昇の状況に応じ、機動的に事前届出とすることができることとする。

[工業(場)等制限法による規制の抜本的見直し]

・工業(場)等制限法の工場跡地に関する制限の緩和、除外業種の拡大等について、平成10年1月中に前倒し措置を行う。さらに、制度の枠組みのあり方及びその手法の妥当性についての抜本的見直しの検討については、平成10年夏までに中間的な論点整理を行い、首都圏基本計画及び近畿圏基本整備計画が策定される平成10年度中に結論を得る。

[臨港地区の迅速かつ的確な見直しの促進]

・港湾機能の沖合展開等により臨港地区としての性格が低減・消失した地域の土地の有効利用を図るため、地方公共団体に対して、臨港地区の指定・変更等のための基準を明確化した平成9年3月の運輸省・建設省共同通達の周知徹底を行い、臨港地区の見直しを迅速に進める。

[工場立地法の見直し]

・地方公共団体が、地域の実情に応じた緑地面積率の設定を可能にすること等により、緑地の整備や工場施設のリニューアルが促進されるよう、工場立地法の改正を行う。

[不良債権の償却等を促進するための赤字会社の指名排除扱いの是正]

・早期かつ計画的な不良債権の償却等を促進するため、国、地方公共団体において、単に赤字決算であることのみをもって直ちに指名から除外しない取扱いを徹底する。このため、先般、建設省・自治省連名で通達を発出したところであり、今後、赤字決算となった建設業者の指名の取扱いについて実態調査を行うとともに、通達の趣旨の徹底を図る。

[国鉄清算事業団用地の売却促進]

・地方公共団体による先行取得、購入者に対する政策金融の適切な活用、規制緩和措置の周知徹底、郵便入札売却・公募型売却の対象拡大により、国鉄清算事業団用地の売却促進を図る。

[高速自動車国道の早期施行命令]

・昨年末の国土開発幹線自動車道建設審議会に係る新たな整備計画区間について、調査が完了し地元の協力体制が整ったところから早急に施行命令を出し、円滑な着工を図る。

[土地の有効活用の促進]

・将来の公共用地の需要に備えて、公有地拡大法等による公有地の先行取得を適切に進める。

4.不動産等の証券化等

[不動産の証券化等]

・不動産・債権等の資産流動化促進のための特別目的会社(SPC)に係る法案を次期通常国会に提出する。

・債権譲渡の第三者対抗要件の具備を簡素化し、債権流動化の促進を図るべく、特例法案を次期通常国会に提出する。

・不動産特定共同事業の推進方策を拡充する。

[虫喰い・不整形状態で低未利用となっている担保土地の有効利用]

・虫喰い・不整形状態で低未利用となっている担保土地の有効利用を図るため、敷地整序型土地区画整理事業等の実施により、土地の集約化・整形化を推進する。

[担保土地の国民生活に密着した公共的な用地需要への活用]

・国民生活に密着した公共的な用地需要に応えるべく、住宅金融債権管理機構等の保有する担保土地の国・地方における積極的な活用を促す。

[担保不動産の情報化の推進]

・当面、債権回収機関において、担保不動産について迅速なデータベース化を進める等、担保不動産の情報化を推進する。

V.中小企業対策

景気が足踏み状態にある中で、厳しい経営を強いられている中小企業への資金供給が円滑に行われるようにするとともに、中小企業の積極的な事業活動を支援するため、以下の措置をとる。

1.金融対策

中小企業に対する金融措置については、既に、政府系金融機関における金利減免措置を平成10年10月18日まで延長したところであるが、バブル期の反省などを踏まえ民間金融機関において貸出に慎重さがみられる中、健全な事業を営む中小企業に対して、必要な資金の供給が阻害されることは適切ではない。このため政府系金融機関において、当該金利減免措置に加え、財政投融資を適切に活用しつつ、貸出・保証条件の緩和等を行うことにより、中小企業者の実情及びニーズに応じた資金対策に万全を期す。また、中小企業庁及び各通商産業局等において中小企業の実情を十分把握し、必要な対応を行うための体制を整備するとともに、都道府県に対しても、同様の体制整備を要請する。

・年末の金融繁忙期を控え、中小企業者の資金調達の円滑化を図るため、政府系金融機関の本店・支店及び信用保証協会に、本年11月30日までに、特別な相談窓口を設置し、貸出・保証手続きの迅速化、一定の条件の下での返済猶予など既往債務に対する適切な対応を図る。

また、国民金融公庫等の政府系金融機関において、代理店を拡充し、中小企業者への資金供給の円滑化を図る。

・政府系金融機関に、金融機関との取引が著しく変化し、運転資金の確保に困難が生じるなど、資金繰りに支障をきたす恐れのある中小企業者に対する別枠の融資制度(担保徴求特例を導入)を創設し、本年12月1日より実行する。

(中小企業金融公庫: 一般枠4億8000万円+別枠1億5000万円。国民金融公庫: 一般枠4800万円+別枠3000万円。環境衛生金融公庫: 一般枠4800万円+別枠3000万円。)

なお、商工組合中央金庫においてもこれに準じた措置を講じる。

・中小企業金融公庫において、新規事業の創出、新たな事業展開等中小企業の経済構造改革を支援するための融資制度(別枠4億円)について、新事業育成関連資金に関し担保徴求特例を導入し、また、新分野進出関連資金を本融資制度の対象に追加し、本年12月1日より実行する。

なお、商工組合中央金庫においてもこれに準じた措置を講じる。

・国民金融公庫の小企業等経営改善資金(マル経)融資について、平成10年度末までの間、別枠措置を拡充し貸付限度額を1000万円とするとともに、新規開業者を貸付対象とする。

・担保不足等により資金操りが悪化している中小企業を支援するため、特定業種の指定要件等を緩和し中小企業信用保険法の保険限度額が倍額(普通保険: 2億円→4億円、無担保保険: 3500万円→7000万円、特別小口保険: 750万円→1500万円)となる対象業種について、小売関連業種、建設関連業種等を追加(現行指定18業種→44業種)するとともに、平成9年度末に期限の到来する保険料率の引き下げ措置を延長する。

・職場の安全衛生に配慮しつつ設備投資を行う中小企業に対して、労働福祉事業団が行う労働安全衛生融資制度について貸付金の使途の拡大、審査手続きの簡素化等の拡充等を図る。

2.中心市街地活性化対策について

関係省庁の連携により総合的な対策を推進すべく、下記の対策について、速やかに所要の措置を講ずる。

・各種基盤施設や公共施設等の整備・有効利用を図るとともに、それと一体として、空き地・空き店舗を利活用しつつ、単独大型店から中小主導の商店街まで多種多様な商業集積について、個々の整備を図るのみならずその面的な展開による中心市街地商業集積の魅力の向上の推進を図る。特に、中心市街地の中小小売業の活性化のため、中小企業事業団の高度化資金の積極的活用を図る。具体的には、中心市街地における商業施設等の整備に対する無利子融資を行う際の要件を緩和し(中小企業面積要件: 2/3以上→1/4以上)、キーテナントの誘致の円滑化を図るとともに、中小企業事業団の高度化資金を活用した中心市街地の中小商業活性化のための基金により、店舗賃借料の低減等を行い、空き店舗を活用した中心商店街の活性化を図る事業を支援する。また、商業・サービス業における情報化の推進、各種活性化事業の実施の支援、工場リニューアルに対する資金調達支援等の産業業務機能の集積の促進等を行う。

・市町村における中心市街地の活性化を図るため、新たな計画の策定や人材確保・育成、観光客の来訪促進等を支援するとともに、商店街等振興整備特別事業、都市生活環境整備特別対策事業、ふるさとづくり事業等を活用し、市町村が地域の実状に応じて行う計画的街づくりを積極的に支援する。

・「まちなか再生」を実現する土地区画整理事業等を積極的に進めることにより、商業、業務、居住などの都市機能や文化・福祉などの公益施設の集積・再配置、これを支える道路、駐車場等の基盤施設の計画的な整備を推進する。

・中心市街地において、道路整備、交通安全施設等整備、駐車場整備、電線類の地中化等を推進し、街並みのにぎわいや快適性を向上させるとともに、バス、鉄道等の交通施設、物流施設の整備及びその利活用、更に、情報通信ネットワークの整備を推進する。また、街づくりと連携したウォーターフロントの整備を図り、中心市街地の利便性を高めるとともに、にぎわいを創出する情報通信拠点施設の整備を推進する。

・安全性の確保に十分留意しつつ、地下街の新設等に当たっての公共比率等の規制緩和を推進することにより、地下街の整備を推進する。

3.その他

・事業協同組合等がその所有する施設を用いて行う事業について、当該事業を継続するために必要と認められる場合には、員外利用制限(組合員以外の者が組合の事業を利用する際の制限)を緩和するなどの措置を講ずる。(中小企業等協同組合法及び中小企業団体の組織に関する法律の改正法案を今臨時国会に提出中。)

・政府や政府関係機関における物品、役務及び工事の発注に際し、中小企業者の受注の機会の増大に努める。

・政府や政府関係機関における一般競争入札等において、技術力を有する中小企業や開業後、日の浅いベンチャー企業の入札機会が増大するよう制度改善を図り、これらの企業の成長を支援する。

・中小事業者等に不当な不利益を与える不当廉売等の不公正な取引に対して、独占禁止法の厳正な運用に努める。

W.科学技術の振興

喫緊の経済対策としての研究開発活動の活性化のみならず、21世紀における我が国経済の発展の礎となるべき科学技術の振興を図るため、産学官連携による研究開発環境の整備に向けて以下の措置をとる。

[大学・国立試験研究機関等における受託研究による研究開発の推進]

・国立試験研究機関において、研究成果、能力及び施設を活用して、政策的に意義の深い受託研究を促進するための所要の措置を講ずる。

・民間資金の導入の円滑化による国立大学等の研究の一層の活性化を図るため、学外からの受託研究費について経理及び執行手続きの簡素化等の改善を進め、プロセスの迅速化、研究者の負担軽減及び受託研究費の効率的活用を図る。

[産学官連携による共同研究の推進及び大学等の研究成果の活用等]

・国立大学の構内における国以外の者による官民共同研究施設の整備を促進するため、早期に大学敷地の使用条件等の整備を図る。

・産学官連携を推進し、大学等から生じた研究成果についての民間企業等における活用及び共同研究の促進等を図るため、所要の法的措置を含め検討を進める。また、可能な限り早期に、国立試験研究機関における共同研究規程の充実等の措置を講ずるとともに、平成10年度可能な限り早期に、大学等における特許等の取扱いに関する規程の明確化を図る。

X.市場アクセス改善の加速化

開かれた経済社会システムを創造し、内外の企業による多様な競争を通じた我が国経済の効率化・活性化を図るため、市場開放問題苦情処理体制(OTO)の積極的活用や規格・基準の国際整合化及び明確化並びに適合性評価手続きの簡素化等、以下の市場アクセス改善措置をとる。

1.OTOの積極的活用

・過去のOTO案件の現状の総点検を平成10年度中に行い、その改善状況に応じて更なる対応を行う。また、OTO対策本部決定(平成9年7月18日)を踏まえ、OTO推進会議建議を最大限尊重し、必要な対応を積極的に実施する。

2.市場アクセス改善のための具体的方策

[薬事法]

・医薬品について、医薬品承認審査等に関する国際的な調和の動きを踏まえ、試験データ等に関する国際的な共通ガイドラインの作成と実施を進める。また、医薬品と食品の区分方法に関し、医薬品的な形状のカプセル等を使用した一部のミネラルについて、平成10年度中に食品として流通を認める。

また、JIS規格適合品以外の医療用具について、電動マッサージャー、磁気健康器具等の家庭用医療用具について、平成10年3月末までに承認を不要とする方向で結論を得る。

[JAS規格の国際化対応]

・JAS規格について、国際規格との整合化を進めるとともに、生産・流通・消費の実態を踏まえ、不要となった規格の廃止やニーズに即した改正を積極的に進める。具体的には、構造用合板について、強度等の性能を重視する等の観点から平成10年度中に見直しを行う。

また、国際規格作成会議(コーデックス委員会)へ我が国が主体となって作成した規格案を提案する等国際化対応への取り組みを推進する。

[JIS規格と強制法規基準等との整合化、重複検査の排除]

・関係省庁が連携して、可能な限り、JIS規格と強制法規の技術基準や政府調達の調達基準等との整合化を図る。また、強制法規、工業標準化法の各指定・認定機関等について、それぞれの法令で定める要件に合致する場合には、可能な限り相互の活用を図ることにより、重複検査を排除し、効率的な認証体制を実現する。

(規格・基準の整合化の具体例)

1)電気用品取締法の技術基準とJIS規格との整合化を図り、平成10年度中を目途にJIS規格を改正する。

2)圧力容器関連のJIS規格の改正作業を平成9年度中に着手し、関係省庁が連携して可能な限り強制法規との整合化を図る。

3)カーペットについてJISマーク難燃表示方法についてのJIS改正を平成9年中に行うとともに、当該改正を受け、消防法の指定表示について所要の措置を講じる。

[道路運送車両法](再掲)

・自動車の検査・認証制度の国際調和、自動車マーケットの活性化支援を図るため、自動車の装置の認定制度を創設し、外国政府による自動車装置の認定との相互承認制度を導入(ECE1958年協定への加入)すること等を内容とする道路運送車両法改正案を次期通常国会に提出する。

[携帯電話等の技術基準適合証明](再掲)

・携帯電話、自動車電話、PHS(簡易型携帯電話)等に関する技術基準適合証明については、本年中に手数料の引下げ、書面審査化、審査期間の短縮を行う。さらに、来年度において、手数料を一層大幅に引き下げ(現行水準と比較して3分の1以下を目途とする)、審査期間を一層短縮するため、大量生産機種向けの簡素な制度を新たに導入する旨、次期通常国会に所要の法律案を提出する。

[労働安全衛生法]

・電気機械器具防爆構造規格について、適合性評価に関する相互承認の推進について検討を進めつつ、外国検査データ受入れの拡大により、国内検査の簡素化を図る。

[建築基準法](再掲)

・仕様を詳細に規定する現行の建築基準(仕様規定)を、一定の性能さえ満たせば具体の仕様の如何を問わないこととする方法(性能規定化)を導入するため、次期通常国会に建築基準法の一部改正法案を提出するとともに、国際規格等との調和に努める。

[トレーラーハウスと我が国法令等との関係]

・トレーラーハウスについて、トレーラーハウス等に関する各種スペック及び米国における規制等の明確化に伴い、関係省庁において我が国の現行法令等との関係について早急に検討を進め、積極的な対応を行う。

[公益法人に対する検査等の委託]

・公益法人については、「『公益法人に対する検査等の委託等に関する基準』について」(平成8年9月20日閣議決定)において、検査等の基準の明確性や当該法人の役職員に係る中立性等の要件がみたされる場合のみ、国は検査等の委託を行うこととする等の措置を平成12年度末までに行うものとされているが、これを可能な限り前倒しして行う。

特に、かつてOTOの苦情の対象となった公益法人については早急に措置する。

[総合的な通関処理システムの構築](再掲)

・平成11年度までを目途に、外国為替及び外国貿易管理法に基づく輸出入許可及び承認の手続と、主要港湾及び国際空港における出入港、検疫等の行政手続をEDI(Electronic Data Interchange;電子データ交換)化して、関税法に基づく輸出入許可の手続等を処理する通関情報処理システム等との連携を図ることにより、輸出入及び港湾諸手続のペーパーレス化及びワンストップサービスの実現を目指す。

また、G7間での税関及びその他の行政機関が求めるデータの標準化・最小限化についての取り組みを次回サミットまでに報告する旨の、デンバーサミットにおけるG7首脳によるイニシアティブに積極的に参画する。

[貿易金融EDIの推進]

・我が国企業の貿易事務の効率化・迅速化を図るため、銀行・商社・海運会社等の間で行われている、船荷証券をはじめとする貿易関連書類の電子データ交換(EDI)化についての調査・研究を踏まえて、所要の検討を行う。また、銀行・商社・海運会社等の間で、平成9年度中に貿易関連書類のEDI化に係る実証実験を立ち上げ、民間事業者間の貿易金融EDIを推進する。

Y.税制の見直し

税制については、公平・中立・簡素の租税原則、国際的な視点にも配意した事業環境の整備、土地有効利用の促進、民間活力の一層の発揮等の観点を踏まえ、平成10年度税制改正において、法人課税、金融・証券関係税制、土地税制等を含めた幅広い措置について検討を行い、結論を得る。

Z.民間活力を活用した社会資本整備その他の施策

1.情報通信基盤整備の促進のための各種施策

[光ファイバ網全国整備]

・光ファイバ網全国整備の2005年への前倒しに向けて、民間事業者の活力をいかし、できるだけ早期に実現できるよう努力する。

[広域的な情報通信ネットワーク整備]

・広域的な情報通信ネットワークを整備するため、平成10年度より新たに河川管理用光ファイバー収容管路等を民間事業者に開放する。

・現行の財政投融資制度を適切に活用し、電線共同溝及び共同溝に係る民間事業者の建設負担金・関連施設整備について支援する。

[情報通信ネットワークの整備の促進]

・放送分野のデジタル化の進展に対応して、放送ソフトのデジタル制作環境の整備によりコンテント制作を支援するため、財政投融資を適切に活用する。

・移動通信技術をはじめとする無線通信技術やデジタル放送技術の研究開発を促進するため、PFI手法を活用して、ITS(高度道路交通システム)の実用化に向けた移動通信実験用サーキット、その他無線通信・放送研究開発施設を整備することを検討する。

・FM放送に係る規制についてその緩和を検討する。

[情報流通コストの低減]

・インターネットなど多様なネットワークインフラの整備、ネットワークビジネスの創出に資するため、全国どこのパソコンからでも3分10円(市内通話料金)でインターネットにアクセスできるようにすることを目指し、財政投融資を適切に活用して、インターネットのアクセス拠点の整備の促進を支援する。

2.物流基盤整備の促進のための各種施策

[物流基盤施設の整備]

・高速自動車国道等のインターチェンジ周辺に、財政投融資の適切な活用により、運輸事業者による物流の効率化に資する施設(倉庫、一般トラックターミナル、配送センター、共同配送センター、省力化対応倉庫、物流近代化ターミナル)の整備を促進する。

・製造事業者、卸小売事業者による物流の効率化に資する物流センター整備に係る投資の早期実施を支援するため、財政投融資を適切に活用する。

[高速道路空間等を活用した民間事業機会の創出]

・高速道路等に関し、次期通常国会において所要の法令改正を行い以下の措置を講ずるとともに、民間事業者のインターチェンジ設置等に対し、財政投融資を適切に活用することにより、その整備を促進する。

1)既存インターチェンジ等の利用可能地に民間企業が多様な利便施設を設置。

2)民間企業が既存のサービスエリア、パーキングエリア等を活用したインターチェンジを設置。

3)サービスエリア・パーキングエリアに隣接する土地について、民間企業による利便施設の設置。

3.環境政策の推進のための各種施策

[ダイオキシン対策の促進]

・産業廃棄物焼却施設の改修を促進するため、ダイオキシン対策を行う既設の産業廃棄物焼却施設に対し、財政投融資を適切に活用し、環境事業団の融資制度の活用を図る。

・ダイオキシン対策のために整備するRDF利用施設、再生利用施設については、既存の財政投融資制度を適切に活用し、民間事業者への支援を図る。

[新エネルギー・リサイクル関連等の社会資本整備]

・廃棄物発電、風力発電等の新エネルギー・リサイクル関連施設等について、日本版PFIの確立による整備の推進について検討することとし、「新エネルギー・リサイクル等PFI推進協議会」を設立し、案件の発掘・具体化を進めるとともに、BOT方式等による整備についても検討する。

[一般廃棄物処理施設の整備]

・ごみ焼却施設などの一般廃棄物処理施設の整備に係る事業にPFIを導入し、民間事業者への支援を検討する。

[企業の環境対応支援]

・オゾン層保護対策、低公害車・低燃費車普及に係る企業の環境対応投資の早期実施を支援するため、財政投融資を適切に活用する。

[エコ・トラック推進プログラム]

・民間活力を通じ、低公害タイプのトラックの導入、トラック輸送の効率化に資する共同集配施設の整備の促進、積載効率の向上を図るため、官民による推進体制を整備し、環境にやさしいトラック事業を構築する。

[自然エネルギーの導入促進]

・太陽エネルギーなど自然エネルギーの一層の導入促進を図る。

[低環境負荷型製品の普及促進]

・低環境負荷型製品の市場育成に資するとともに、その普及促進を図るため、率先実行計画に基づく対策を一層推進し、政府におけるグリーン調達の参考とする物品調達推奨リストを今年度中を目途に策定する。

4.新しい社会資本整備手法の活用

[新しい社会資本整備手法(PFI・BOT等)の検討]

・公共施設空間の有効活用や民間の高い技術力、経営力と豊かな資金力の活用による社会資本等の新たなPFIやBOT等整備方策について検討を行い、来春を目途に、新たな社会資本整備手法等の導入が期待される分野、事業成立を可能とするための諸条件等を明らかにしたガイドラインを策定する。

・海外において経済協力等を通じて蓄積してきたBOT等に係る経験・ノウハウを活用し、我が国における日本版PFIやBOT等による新たな社会資本整備の在り方や手法等について検討する。

[地方公共団体におけるPFIの活用の検討]

・地方公共団体におけるPFIの活用の可能性について検討する。

5.公共事業の効率的執行の確保等

公共事業の端境期における効率的な執行を確保する観点からいわゆるゼロ国債の活用(事業費ベースで1兆円)を図るとともに、災害対策について適切な対応を図る。

また、これと併せて、地方公共団体に対し、地方単独事業についても債務負担行為の活用などによる工事発注時期の平準化等を要請する。

6.その他

[国際拠点空港の整備]

・国際化に対応した国際拠点空港の整備が急がれることにかんがみ、中部新空港については、2005年の愛知万博の開催をふまえ、PFI手法も活用しつつ、定期航空路線の一元化等の諸問題の早期解決を図り、予算編成過程における結論を得て、その整備を推進する。

[観光による地域活性化とゆとりある生活スタイルの実現]

・官民一体となった観光の促進による地域の活性化を図るため、モデル地域を選定して、観光地評価を実施の上当該地域に係る「観光地づくりプログラム」を策定し、当該地域に観光関係団体による観光振興イベント支援事業等の事業を集中的に実施するとともにPRや観光客誘致等を行う「観光地づくり推進モデル事業」を新たに実施することとし、年内に着手する。

[ふるさと融資制度の活用]

・民間活力の活用により地域の活性化を推進するため、ふるさと融資制度について臨時的な設備投資額要件の引下げ、融資限度額の引上げ等により、その活用を図る。

[規制緩和等に伴う投資の支援]

・規制緩和等に伴って行われる工場建て替え・新増設等に係る企業投資の早期実施を支援するため、財政投融資を適切に活用する。

[輸入・対内直投促進のための支援]

・輸入・対内直投に係る企業投資の早期実施を支援するため、財政投融資を適切に活用する。

[食品産業における品質管理の高度化]

・O−157食中毒事件を契機とする食品産業の品質管理の徹底に対する要請の高まり等に応じて、食品産業における品質管理の高度化への取り組みを支援する。

[国民金融公庫の教育資金貸付限度額の引上げ]

・国民金融公庫の教育資金貸付限度額を一学生・一生徒あたり150万円から200万円に引き上げる。