「土地の有効利用促進のための検討会議」提言

 

はじめに

 

 急速に進展する高齢化や国際的な大競争等に立ち向かい、真に豊かな国民

生活の実現と活力ある経済の維持を図ることは、現下、政府をあげて取り組

まなくてはならない緊急の課題であるが、中でも、土地問題への対応は一つ

の核をなすものである.

 このため、土地基本法の基本理念を踏まえ、土地の有効利用を進めること

により、子孫に誇れる、豊かで安心できるまちづくりの推進等を図るととも

に、有効利用に向けて土地取引の活性化を図り我が国の経済を中長期的な安

定成長につなげることは、我が国内政上の最重要課題の一つである.

 このようなことから、政府においては、去る2月10日に、「新総合土地

政策推進要綱」を閣議決定し、土地政策の目標を、地価抑制から土地の有効

利用へ転換し、本要綱に基づき、都市計画法・建築基準法の改正による容積

率規制の緩和、敷地整序型土地区画整理事業の創設、不動産特定共同事業法

の改正による規制緩和等、土地の有効利用や土地取引の活性化に向けた諸施

策を推進しているところである。

 さらに、昨今の土地をめぐる状況を踏まえ、土地の有効利用に向けて具体

策を取りまとめるため、去る4月14日に、政府と与党がー体となって、「土

地の有効利用促進のための検討会議」を設置し、これまで、精力的な討議を

行ってきたところであるが、今般、新たに以下のように土地の有効利用促進

策を取りまとめたところである。

 今後は、政府と与党が一丸となって、関係地方公共団体等との密接な連携

のもと、これらの取組みを強力に推進していくこととする。

                                   

 

1.基本的考え方

 

(1)最近の土地をめぐる状況

 

  土地の有効利用策を取りまとめるに当たって、前提となる最近の土地

 をめぐる状況を概観すると以下のとおりである.

 

 (地価の状況)

 

  地価は、バブル崩壊後、長期にわたり下落し、現在の地価は、ほぼ需

 要と供給によって定まっており、いわゆるバブル部分は解消された状況

 にある.

  昨今の動向を見ると、大都市圏においては、住宅地、商業地ともに下

 落率が縮小している.具体的には、住宅地は、下落率が0に近く、安定

 した状況になりつつあるが、商業地は、好立地の土地とそれ以外の土地

 との間で地価の動向に差異がみられ、いわゆる地価動向の「二極化」の

 動きが生じている。

 

(土地取引の状況)

 

  土地取引は、長期的には減少傾向にあり、特に、バブル崩壊後、大規

 模な土地取引及び商業地における土地取引を中心に、減少度合が大きか

 ったが、近年、大都市圏、特に東京圏においては、旺盛な住宅需要に支

 えられ、平成5年から4年連続して増加した。

  しかしながら、平成9年に入ってからは、消費税率の引上げに伴う駆

 込み需要の反動減の影響もあり、住宅建設は弱い動きとなっていること

 等から、土地取引は低調に推移している.

 

(2)土地の有効利用促進策の取りまとめの考え方

 

 (土地問題)

 

  バブル期の地価の高騰とその後の下落や産業構造の転換等を背案に、

 都心部の不良債権がらみの土地や臨海部の工場跡地など、大都市地域を

 中心に低・未利用地、遊休地が多数発生し、地域コミユニテイーの崩壊、

 防犯上の危惧等の問題が生じているとともに、中心市街地においては、

 空き店舗の発生など空洞化が進行している。

  また、依然として、既成市街地における住宅・社会資本の整備が遅れ

 ていること、密集市街地や用途が混在した地域が大量に形成されている

 ことが、良好な都市環境の形成上大きな障害となるとともに、阪神・淡

 路大震災の経験に照らしても、防災上、深刻な問題となっている.

  加えて、長期にわたり地価が下落する中で、個人・企業のバランスシ

 ートの悪化や投資意欲の減退により、土地の動きが鈍くなっており、こ

 のことは、また、我が国経済の景気の回復のテンポが緩やかなものにと

 どまっているー要素となっている。

 

 (施策の概要)

 

  上記のような現下の土地利用上の問題や経済状況を踏まえ、土地の有

 効利用や土地を有効利用しようとする者への土地の移転をしやすくする

 ことにより、土地取引の活性化を促進するため、次のように、新総合土

 地政策推進要綱に示された諸施策を具体化するとともに、さらなる土地

 の有効利用促進策を取りまとめることとする。また、このような施策を

 通じて、有効利用に向けて土地取引の活性化を図ることが、我が国経済

 を中長期的な安定成長につなげることに資するものである.

 

 @ 当面、バブル期に講じられた措置の見直しの検討を図るとともに、

  バブル期に生じた土地利用の混乱の回復など市街地の再生・整備のた

  めの措置を講ずることとする。

   特に、土地を有効に利用しようとする者の投資意欲が顕在化しにく

  い状況を踏まえ、これまでも講じてきている規制緩和等の供給面の施

  策とともに、土地の開発に伴う負担の軽減、土地取得に必要な資金を

  確保する手段の多様化などの実需を喚起するための施策を重点的に実

  施するなど、土地の有効利用に向けて、土地取引の活性化を図ること

  とする。

   このため、土地税制、不動産の証券化、低未利用地の有効利用に向

  けた諸事業の推進、規制緩和の推進、住宅・宅地の整備の促進、土地

  情報の整備・提供等の各般にわたって諸施策を検討し、具体化を図る。

 

 A 中期的に構造的な土地問題を解決し、子孫に誇れる、豊かで安心で

  きるまちづくりの推進とゆとりある住宅・住環境の形成を図るため、

  不動産の証券化の活用、優良な都市再開発の推進、土地利用計画の整

  備・充実等の観点から、新たな制度の創設に向けた検討に着手する。

 

2.緊急に実施すべき措置

 

(1)土地・住宅税制

 

  土地・住宅税制については、土地の公共性を踏まえつつ、土地の有効

 利用の促進及び土地取引の活性化、住宅対策の推進を図る観点から、地

 価税等の土地保有課税、個人・法人の土地譲渡益課税、買換え特例など

 の見直しについて検討する。

 

(2)不動産の証券化等

  土地の有効利用を促進するためには、有効利用に向けた事業に必要な

 資金の円滑な確保を図り、事業を起こしやすくする環境を整備すること

 が重要であることから、不動産の証券化等を推進する必要がある.

 

 @不動産担保付債権や不動産の証券化等促進のための法制等の整備

 

  不動産担保付債権等の証券化促進のための特別目的会社(仮称)を創

 設する法案を次期通常国会に提出する。また、所要の税制上の措置につ

 いても検討を行う。

  また、債権譲渡の第三者対抗要件の具備を簡素化し、債権流動化の促

 進を図るべく、特例法案を次期通常国会に提出する。

  さらに、土地信託の受益権の小口化を図る。

 

 A不動産特定共同事業の推進方策の拡充

 

  不動産特定共同事業法について、一層の規制緩和の検討等、推進方策

 の拡充を図る。

 

(3)低・未利用地等の有効利用促進

 

  バブル期の地価高騰とその後の下落等を背素に、大都市圏を中心に低・

 未利用地が多数発生するとともに、依然として、既成市街地においては、

 密集市街地が存在している.また、地方都市を中心に空店舗や空地が中心

 市街地に発生している。これらについては、国民生活やマクロ経済の観点

 から合理的、効率的な土地利用を進めることが緊喫の課題である。

  このため、上述した土地税制の検討、不動産の証券化等と併せて、以下

 のような諸事業や規制緩和を推進する必要がある。

 

 1)有効利用に向けた諸事業の推進

 

   低・未利用地等の有効利用のためには、当該土地を有効利用しやすい

  土地に変換する必要があるが、それには多大のコストを要し、民間サイ

  ドでは対応が難しい場合が多いため、事業面、ソフト面等において、国、

  地方公共団体等の支援が不可欠である。

 

 @都市構造再編プログラム(仮称)の策定の推進

 

   都市計画道路等の整備と連動した容積率のアップとこれによる民間投

  資の活発化を促進し、「都市の再構築」を実現するため、将来の都市像

  を明らかにしつつ、都市基盤整備、高度利用等の具体的目標等を示す

  「都市構造再編プログラム(仮称)」の策定を推進する.

   このプログラムに基づき都市基盤の整備など各種施策を総合的に推進

  する。

 

 A街路沿道の土地の高度利用と民間建設投資の促進

 

   都市計画道路の整備によって誘発・促進される土地の高度利用と民間建

  設投資を支援するため、民間都市開発推進機構の融通業務及び都市開発資

  金貸付制度の拡充・活用を図る。

 

 B既成市街地の再生に向けた再開発地区計画の策定の推進

 

   工場跡地等を活用して基盤を整備しつつ高度利用を実現するため、再開

  発地区計画の積極的な活用を促進する。

 

 C最低敷地規模規制の積極的な活用・

 

   敷地の細分化を防止するため、用途地域、地区計画等による最低敷地規

  模規制の積極的な活用を推進する。

 

 D敷地整序型土地区画整理事業や密集市街地の再整備の推進

 

   本年4月に行われた技術基準の弾力化を踏まえ、敷地整序型土地区画

  整理事業を実施し、換地による交換分合を通じた敷地の集約化、整形化

  を推進するとともに、本年5月に公布された密集市街地における防災街

  区の整備の促進に関する法律を踏まえ、老朽住宅の除去及び建替え、公

  共施設等の整備などを推進する。

 

 E地方都市を始めとした中心市街地の活性化の推進

 

  「まちなか再生」を実現する土地区画整理事業等についての支援等を

 積極的に進めることにより、商業、業務、居住などの都市機能や文化・

 福祉などの公益施設の集積・再配置、これを支える道路、駐車場等の基

 盤施設の計画的な整備を推進する。

  この際、関係省庁の緊密な連携を図るとともに、地域の実状に応じて

 行う計画的まちづくりを積極的に支援する。

 

 F民間都市開発推進機構の積極的活用

 

   土地の高度利用・市街地の活性化等を積極的に進めるため、民間都市

  開発推進機構を積極的に活用するものとする。

 

 イ) 財政投融資を適切に活用し、融通業務(民間都市開発事業者に対

   する日本開発銀行等を通じた長期低利資金の貸付け)を積極的に活

   用するため、土地の高度利用に資するー定の場合につき面積要件の

   大幅な緩和を図る。

 口) 土地取得・譲渡業務で取得した土地を含め、民間都市開発推進機

   構自らが民間都市開発事業・市街地再開発事業等に積極的に参加し

   て事業の推進を図る。

 ハ) 土地取得・譲渡業務については、当面、現在の政府保証枠(残額

   約7,500億円)を活用して、引き続き積極的に取得を進めるととも

   に、取得した土地の事業化を推進する方策の充実を検討する.なお、

   取得期限(平成10年度末)後のあり方について保証枠の規模を含

   め十分な検討を行う。

 ニ) 取得した土地を証券化等(法制化が予定されているSPC(特別

   目的会社)の活用や土地信託の受益権の小口化等)によって市場流

   通させる方策を検討する。

 

 G都市の再構築を推進するための日本開発銀行等融資の拡充と住宅・都市

  整備公団の活用

 

  現在逼迫している都市開発等のための長期・低利の金融市場を補完し、

 都心居住、工場跡地の利用転換等、都市のリノベーシヨン(再構築)を

 推進するため、臨時的措置として、財政投融資を適切に活用し、日本開

 発銀行等の融資を拡充する。また、事業の円滑な推進を図るため、住宅

 ・都市整備公団の活用を図る。

 

 H公有地の先行取得の推進

 

  将来の公共用地の需要に備えて、公有地拡大法等による公有地の先行取

 得を適切に進める。

 

 I担保不動産の積極的活用

 

  国民生活に密着した公共的な用地需要に応えるべく、住宅金融債権管理

 機構等の保有する担保土地の国・地方における積極的活用を促す。

 

 J低・未利用地の有効利用に向けた計画策定の支援等ソフト面での対策の

  充実

 

  低・未利用地の有効利用の促進を図るため、市町村における土地利用

 の転換を進めるための計画策定に対する支援を積極的に推進するととも

 に、地域住民の土地の有効利用への主体的な取組みを促進するため、ま

 ちづくりに関する専門家の活用など住民によるまちづくり協議会の活動

 等に対する支援を充実する。

 

 K市街地再開発事業等における、民間のノウハウの活用

 

  市街地再開発事業等において、民間のノウハウを活用する観点から、業

 務代行方式の積極的な活用の推進を図る。

 

 L良好なまちづくりをサポートする人材の育成

 

  土地区画整理士、再開発プランナー等の資格制度を積極的に活用すると

 ともに、他の資格制度との連携を進める。

 

 2)土地の有効利用に向けた規制緩和の推進

 

  低・未利用地等の有効利用を促進するためには、民間事業者に対して、

 有効利用を図る事業に積極的に取り組めるよう、インセンティブを与え

 る必要があるため、一層の規制緩和を推進する必要がある。

 

 @都心商業地域の更新

  都市構造の再編、防災等の観点から、都心商業地域の更新については、

 地区の望ましい更新の姿を示した構想を地方公共団体が中心となって作成

 し、これに基づいて、特例制度の活用による容積率、斜線制限の緩和など、

 地方公共団体の機動的な取組みを促進する。             

  この際、高度利用地区について、空地確保を必須の要件としない容積率

 割増基準を新たに設定(割増上限300%)することにより、都心商業地域

 の円滑な更新を図る。

 

 A容積率特例制度の定着と積極的活用

 

  高層住宅誘導地区、マンション等に係る容積率の緩和等、先般講じら

 れた容積率規制緩和措置の定着・積極的活用と、都市基盤施設整備と連

 動した容積率アップを促進する。

 

 B線引きの機動的見直し

 

  線引きについて、5年ごとの国勢調査等を踏まえた見直しに加え、そ

 の間において、必要に応じ、随時の見直しを機動的に推進するとともに、

 市街化調整区域における開発許可の弾力的運用を図る。

 

 C農地転用の円滑化

 

  農業振興地域等で、原則転用不許可となっている農地であっても、集落

 に接続するなどの要件を備えるもののほか、農村活性化土地利用構想等を

 活用する場合には、転用を許可する。

  農地転用したい者が円滑に転用できるよう、農地転用及び農用地区域の

 除外について、透明化・簡素化・迅速化の措置を講ずるとともに、これを

 マニュアル化し、円滑な農地転用を図る。

  農地転用の許可権限については、4ha以下のものは都道府県知事へ早

 急に移管する。また、市街化区域内にある農地の転用届出について、添付

 資料の簡素化等を進め、円滑な運用に努める。

 

 D国土利用計画法に基づく届出勧告制の改善

 

  土地取引の円滑化に資する観点から、国土利用計画法の届出勧告制につ

 いては、原則として、事後届出に移行するなど制度の改善を行うこととし、

 所要の法律案を次期通常国会に提出する。事後届出とした場合、利用目的

 に関する極めて不適切な土地取引に対しては適切な対応を行うことができ

 ることとするが、個々の取引価格については勧告等の措置は行わないこと

 とする。また、地価水準の上昇の状況に応じ、機動的に事前届出とするこ

 とができることとする。

  また、制度の改善を行うまでの間、引き続き、9月から実施された価格

 審査の運用のー層の緩和、審査期間の短縮等の緩和措置の指導徹底を行う

 とともに、更なる運用の改善に努める。

 

  E工業(場)等制限法の工場跡地に関する制限の緩和等の前倒し実施等

 

  工場跡地等の有効利用を促進するため、工場跡地に関する制限の緩和、

 除外業種の拡大等について、実施時期を平成10年1月中に前倒しして

 措置する。

 

(4)良質な住宅・宅地の整備の促進

  土地の有効利用に向け、良質な住宅・宅地に対する実需を喚起すると

 ともに、住宅・宅地を整備・購入しようとする者それぞれのニーズにき

 め細かく対応するため、規制緩和、負担の軽減、インセンティブの付与

 等の措置を行う必要がある。

 

 @定期借家権の導入

 

  良質の賃貸住宅の供給を促進する観点から、定期借家権の導入を促進す

 る。

 

 A定期借地権の活用の促進

 

  定期借地権制度の活用を促進するため、地方公共団体への情報の提供等

 による制度の一層の普及・啓発を図るとともに、制度活用上の環境整備の

 推進を図る。

 

 B宅地開発等指導要綱の行き過ぎ是正等

 

  良質かつ低廉な住宅・宅地の円滑な供給を促進するため、開発許可をは

 じめとする各種手続の迅速化を図るとともに、宅地開発等指導要綱の実態

 について速やかに調査を行い、その結果に基づき、地方公共団体に対する

 指導を徹底する。

 

 C住宅宅地関連公共施設等の整備に関する事業の推進

 

  住宅建設・宅地開発事業に関連して必要となる道路等の公共施設整備を

 推進する。

 

 D郊外型住宅等の建設促進

 

  自然環境への配慮を行うとともに、計画的な土地利用を担保しつつ、

 郊外型住宅等の建設を促進する。

  特に、市街化調整区域において、市町村が地区計画を作成した場合に

 は、この計画に沿った開発行為を許可する都市計画法上の特例制度の創

 設、集落地域整備法の積極的活用等により、郊外型住宅用の宅地造成・

 住宅建設を推進する.

  また、国有林野内の適地については、要望のある民間事業者、地方公

 共団体等に提供することにより、週末居住用住宅、福利厚生施設等の建

 設を促進する。

  さらに、週末居住用郊外型住宅、退職後の本格居住のために先行的に

 確保する住宅等の多様な住宅ニーズに対応し投資を促進するため、臨時

 的措置として、現在居住している住宅のほかに取得する住宅に対する住

 宅金融公庫の拡充を図る。

 

 E借上げ方式等による公営住宅等の供給促進

 

  公営住宅等の供給に当たり、民間住宅の借上げ(転貸)方式による供給

 や借地による住宅の供給を推進する。

 

(5)土地情報の整備・提供等

 

  国民が的確な土地情報により、適正な土地取引を行える環境を整備し、

 土地取引の活性化を図るため、土地情報の整備・提供を行う必要がある。

 また、土地の有効利用を図る土地政策を着実に実施するため、国民に対

 する各種普及・啓発活動を推進する必要がある。

 

 @土地取引の活性化に向けた土地に関する種々の情報の整備・提供の推進

 

  国土利用計画法に基づく届出情報の利活用の推進、不動産鑑定評価手法

 の開発整備等による地価公示等の精度の一層の向上、地価公示価格等のイ

 ンターネツトを通じた提供など、土地に関する種々の情報の整備・提供を

 進める。

 

 A不艮債権担保土地等のデータ・ベース化の推進

 

  不良債権担保土地等のデータ・ベース化を着実に推進するとともに、融

 資や証券化に役立つ民間による不動産情報のデータ・ベース化及び検索シ

 ステムのあり方について検討を開始する。

 

 H土地の適切な利用に関する知識等の普及・啓発の推進

 

  土地についての基本理念、土地の有効利用の考え方等について国民の十

 分な理解が得られるよう、「土地月間」 の内容を充実・強化するなど、そ

 の普及・啓発活動を一層積極的に行う。

 

3.今後検討すべき課題

 

(1)優良な都市再開発の推進

 

 @土地利用規制とー体となった再開発手法の枠組みの検討

 

  既成市街地の再構築を推進するため、ダイナミックな土地利用規制と連

 動した再開発手法の枠組みを検討する。

 

 A総合的なまちづくりの事業システムの検討

  事前準備から面的な整備事業の実施、建築物の整備、街区の管理等を行

 うまちづくりの総合的一体的な事業システムを検討する。

 

 B都市内の基盤施設を伴うプロジェクトを推進する主体の検討

 

  総合的な都市整備を積極的に推進するため、都市整備を中心として実施

 する新法人の設立に向け住宅・都市整備公団の改革の検討を行う.

 

 C不動産の証券化等の都市開発への活用方策の検討

 

  不動産の証券化等多様な資金調達手法を活用した優良な都市開発の推進

 方策を検討する。

 

(2)土地利用計画の整備・充実

 

 @土地利用計画の再編の検討

 

  計画なければ開発なしの原則の下、現行土地利用計画制度の検討を行い、

 地方分権の推進、既成市街地の再構築の必要性などの社会経済情勢の変化

 に即応した、簡素で実効性の高い制度の構築を目指し、土地利用計画制度

 の再編・整備・充実を検討する。

 

 A街区単位の規制の枠組みの検討

 

  詳細な土地利用計画等に基づき、容積率の設定・配分等について、敷地

 単位ではなく、街区単位でー体的に規制する枠組みを検討する。

 

 H地区計画等の土地利用計画の実現手法の充実の検討

 

  土地利用計画の実効性の向上のー環として、計画に沿った土地の有効利

 用を行う地権者等に対する権利の移転を促進するための措置を検討する。

 

(3)土地情報の整備・提供

 

  国民が常に土地の動向について正確に把握できるよう、地価動向、取引

 動向、土地の有効利用の状況等最新の各種土地関連データを公的機関にお

 いて蓄積し、国民に提供できるシステムを検討する。