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下水道経営
下水道財政・経営の現状(起債残高等の状況)

平成15年度末現在における下水道事業債の借入残高は33兆円である。これは、公営企業債の借入残高全体の約5割にあたる(図:地方公共団体の借入金残高の推移)。

また、雨水分と汚水分を合わせた下水道管理費のうち、起債元利償還費が約7割を占めている(図:下水道管理費に占める起債元利償還費の割合の推移)。

地方公共団体の借入金残高の推移
※「公営企業において償還する企業債のうち普通会計がその償還を負担するもの」とは、公営企業債の元利償還費(全部又は一部)について普通会計から公営企業に繰出すべきものということであり、図においては公営企業債の一部と重複している。
(例えば、平成15年度では、普通会計借入金199兆円に公営企業債61兆円を加え、これから29兆円を差し引いた231兆円が地方公共団体の借入金純残高となる。)
※「平成16年度版地方財政白書」及び「地方公営企業決算の概況」をもとに国土交通省作成。
下水道管理費に占める起債元利償還費の割合の推移
『平成15年度版下水道統計要覧』(社団法人日本下水道協会)をもとに国土交通省作成。 公共下水道、流域下水道の合計である。 雨水分と汚水分の合計である。
維持管理費の内訳

平成15年度の下水道施設に係る維持管理費は、全施設で8,660億円となっており、維持管理費の内訳は下図のとおりである。

維持管理費の内訳
※維持管理費は、下水道管理費(3兆4,663億円)から起債元利償還費(2兆6,003億円)を除いたものである。
下水道管理費と下水道使用料

平成15年度における下水道管理費と下水道使用料との関係は、下図のとおりであり、汚水分の下水道管理費(維持管理費+起債元利償還費)のうち、下水道使用料で賄われているのは約6割である。これは、汚水分の維持管理費全部と汚水資本費の約4割に相当する。

下水道管理費と下水道使用料
下水道経営の実態

中小市町村においては供用開始後間もない団体も多く、経営的に安定していない面(普及率や接続率)も考慮に入れる必要があるが、人口規模が小さくなるにつれて、相対的に支出(汚水処理原価)が大きくなる傾向にある一方、収入(下水道使用料単価)は相対的に小さくなる傾向にある。

汚水処理原価と下水道使用料単価
接続の徹底
(1)下水道への接続状況

下水道処理区域内における水洗化率は、全国平均で9割を超えているが、人口規模が小さくなるとともに、その割合も下がる傾向にある。

下水道処理区域内の水洗化率
(2)接続の効果

下水道使用者を増やすことにより、下水道使用料収入や下水道への流入水量が増え、規模の経済が働くことで汚水処理原価が逓減する。また、単独浄化槽及びくみ取り便所の建築物に排水設備を設置し、公共下水道へ接続することにより、環境への負荷を大きく削減することが可能となる。

接続の不徹底は、下水道施設の遊休化や公共用水域の水質への悪影響、下水道経営上の問題、接続済の者と未接続者との間の負担の公平など、無視し得ない多くの問題を惹起するので、早急に改善しなければならない。

地方公営企業法の適用

地方公営企業法適用事業の割合は5.7%と極めて小さく、官庁会計方式による経理を行っている団体が圧倒的に多い。

今後は、企業会計方式を導入し、経費負担の原則が明確に示すとともに、収入、コスト、資金の調達状況等が適切に区分して表示されている財務諸表等の作成を通して、下水道事業の経営状況を理解し易くすることが必要不可欠である。

  10年度 11年度 12年度 13年度 14年度 15年度
全事業 2,569 2,614 2,670 2,715 2,743 2,751
 うち公共下水道 1,497 1,519 1,536 1,553 1,566 1,554
 うち特定環境保全公共下水道 1,004 1,027 1,066 1,093 1,109 1,130
法適用事業 110 116 121 135 147 156
 うち公共下水道 78 80 83 90 96 102
 うち特定環境保全公共下水道 27 31 33 40 46 49
法適用事業の割合 4.3% 4.4% 4.5% 5.0% 5.4% 5.7%
 うち公共下水道 5.2% 5.3% 5.4% 5.8% 6.1% 6.6%
 うち特定環境保全公共下水道 2.7% 3.0% 3.1% 3.7% 4.1% 4.3%

資料:平成15年度地方公営企業決算の概況(総務省自治財政局)をもとに国土交通省作成。
包括的民間委託の推進

下水道の維持管理コストの主要部分を占める下水処理場の維持管理は、件数で約9割以上が民間事業者に委託されているが、あらかじめ定められた仕様に基づき委託がなされているため、業務の効率化・コスト縮減が図りにくい状況にある。

こうした状況を改善することが喫緊の課題とされており、その一方策として、性能発注を基本とした包括的民間委託方式の導入による維持管理業務の効率化・コスト縮減が期待されている。

包括的民間委託に関しては、国土交通省では平成13年4月に「性能発注の考え方に基づく民間委託のためのガイドライン」を公表している。

また、平成15年3月28日には、「規制改革推進3か年計画(再改定)」において、これを推進する旨の閣議決定がなされている。

これらを踏まえ、国土交通省では、平成16年3月30日付けで「下水処理場等の維持管理における包括的民間委託の推進について」(国都下管第10号、下水道管理指導室長通知)を通知し、包括的民間委託の実施上の留意点等を周知するとともに、包括的民間委託の積極的な推進を要請している。

性能発注レベルと性能発注の導入によるコスト縮減のイメージ
指定管理者制度の活用

従来、公の施設の管理については、第3セクターなどの公共的団体に委託先が限定されていたが、平成15年6月13日に公布された「地方自治法の一部を改正する法律」において、これを民間事業者一般に容認し、公の施設の管理に民間の能力を活用しつつ、住民サービスの向上を図るとともに、経費の節減等を図ることを目的とした指定管理者制度が創設され、同年9月2日に施行されている。

これを踏まえ、国土交通省では、平成16年3月30日付けで「指定管理者制度による下水道の管理について」(国都下企第71号、下水道企画課長通知)を通知し、下水道においては、排水区域内の下水道の利用義務付け、悪質下水の排除規制等の下水道管理者が行うべき公権力の行使に係る事務等については、指定管理者制度は適用できないが、下水処理場等の運転、保守点検等の事実行為については、指定管理者制度を活用することなく業務委託を行うことが従前どおり可能であるほか、委託する管理の内容に応じ指定管理者制度によることも可能であることを周知している。

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