1.背景
合流式下水道の整備区域では、雨天時に雨水と汚水が混合した下水の一部が未処理で河川等に放流されることになる。昨年9月には、東京都お台場海浜公園において合流式下水道から白色固形物が漂着して水環境の悪化が顕在化したところである。
こうした排水に含まれる有機物、窒素及び燐等の汚濁負荷による公共用水域への影響が懸念されるとともに、水道水源の水質悪化や海水浴場等のレジャー環境の悪化を招くおそれがある。
このような状況を踏まえ、海上保安庁としても地方公共団体に改善の指導を行っているところであるが、今後は、合流式下水道改善対策を一層進めるために国土交通省下水道部、海上保安庁等関係機関が一体となって有効な対策を講じる必要がある。
(注)合流式下水道 汚水と雨水を同一の管きょで排除する下水道。1本の管きょ敷設により、生活環境の改善、浸水防除といった効果がある反面、雨天時放流水による環境悪化というデメリットがある。古くから下水道の普及に取り組んできた大都市等においては採用されている例が多い。
2.緊急実態調査の実施
雨天時における合流式下水道からの放流水による河川や海域における汚染状況について把握するため、国土交通省下水道部、海上保安庁、全国13地方公共団体と共同で合流式下水道の雨天時放流水や、それによる放流先水質への影響調査について緊急に実施する。
■調査期間及び調査頻度
- 梅雨時6月下旬から7月中旬にかけて調査を実施。
- 雨天時において合流式下水道から排出される未処理排水及び排水の影響が予想される放流先の環境調査を実施。晴天時においても環境調査を実施。
- 放流先が海域やその近傍である地方公共団体については、国土交通省下水道部、地方公共団体、海上保安庁が合同で調査を実施。
■調査箇所
- 東京湾流域:東京都(隅田川地先)、千葉市(葭川地先)、川崎市(湾岸部)、横浜市(入江川派川)
- 伊勢湾流域:名古屋市(堀川)
- 大阪湾流域:京都市(準・堀川)、大阪市(湾岸部)、神戸市(湾岸部)
- その他水域:札幌市(月寒川)、仙台市(梅田川)、広島市(広島湾)、 北九州市(洞海湾)、福岡市(御笠川)
その他、約200の地方公共団体における合流式下水道の施設の状況についても全国調査を実施することとする。
3.合流式下水道改善対策検討委員会
合流式下水道の改善を緊急的・総合的に進めるため、学識経験者、関係省庁、地方公共団体が参画する合流式下水道改善対策検討委員会を設置し、平成13年6月18日(月)に第1回検討委員会を開催する。本検討委員会の審議等を踏まえ、年内を目途に合流式下水道の改善対策の在り方について検討する。
■検討委員会検討事項
- 合流式下水道の実態(施設の状況、雨天時放流の状況、放流先の水質等への影響)
- 合流式下水道改善対策の手法と効果
- 合流式下水道の改善目標(緊急改善対策目標と長期的目標)
- 合流式下水道の改善対策の在り方(施設改善の対策、ソフト面の対策、連携手法)
■検討委員会開催日程
日 時:平成13年6月18日(月)17:40〜19:30(カメラ撮りは冒頭のみ可能)
場 所:霞山会館9F「まつ」の間
■委員名簿
座 長 松尾 友矩(東洋大学教授)
委 員 石川 公敏(産業技術総合研究所環境管理研究部門域間環境評価研究グループ)
金子 光美(摂南大学教授)
中西 弘(山口大学名誉教授)
中村 栄一(国土交通省国土技術政策総合研究所下水道研究部長)
大矢 爽治(東京都下水道局施設管理部長)
曾根 庸夫(川崎市建設局下水道建設部長)
山西 徹(大津市河川下水道部次長)
特別委員 野中 治彦(海上保安庁警備救難部環境防災課長)
仁井 正夫(環境省水環境部水環境管理課長)
長谷川 猛(東京都環境局環境改善部長)
事務局 国土交通省都市・地域整備局下水道部
(財)下水道新技術推進機構
4.合流式下水道改善対策の推進
合流式下水道改善対策検討委員会の審議を踏まえ、合流式下水道改善計画の早急な策定を促進し、放流先の水域の水利用状況に応じた施設整備や発生源対策等の総合的で計画的な合流式改善対策を推進する。特に対策の緊急性の高い箇所については、緊急改善対策を推進する。
|