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日本人初のWEF McKee賞受賞
−土木研究所の田中宏明水質研究室長ら下水処理水の安全性評価論文で−

「表彰会場での記念撮影。右から2人目が田中室長」

 建設省土木研究所下水道部水質研究室の田中宏明室長が、 米国カリフォルニア大学デイビス校のTakashi Asano, Edward E. Schroeder, George Tchobanoglusの3人の教授とともに、 10月9日〜13日に米国ルイジアナ州ニューオーリンズ市で開催された 米国水環境連盟(Water Environment Federation、WEF)の第72回年次総会WEFTEC’99で、 Jack Edward McKeeメダルを受賞しました。

 McKee賞は、WEFが優秀な科学技術論文に対して出す4つの賞の一つとして、地下水の保全と復元、 持続的利用に貢献した公的機関あるいは出版された研究に対して毎年授与されるものであり、 WEF会長であったJack Edward McKee博士の名にちなんだものです。
 なお、McKee賞を日本人が受賞するのは初めてのことであり、 論文賞全体としても現在豊橋技術大学教授の笠倉忠男教授に続く2人目の栄誉です。

 4人の受賞は、WEFが出版しているWater Environment Researchの1・2月号に掲載された論文 「腸管系ウイルスのモニタリングデータを用いた下水処理水の安全性の評価」 (英文名“Estimating the safety of wastewater reclamation and reuse using enteric virus monitoring data”)に対するものです。
 論文は、カリフォルニア州など米国で行われ始めている下水処理水を用いた様々な再利用用途、 具体的にはゴルフコース散水、農作物灌漑、レクリエーション利用、地下水涵養において、 その際最も人の健康障害の脅威となると考えられる病原性微生物による感染リスクを定量的に評価する手法を開発したものであり、 さらにその手法によって、安全性確保に必要な再利用処理レベルの決定方法に重要な考え方を与えたものです。
 この結果、様々な下水処理水再利用が与える地下水への影響を定量的に評価する重要な第1段階の論文として、 地下水の保全、復元、持続的利用に大きく貢献したことが評価されました。

 WEFのQuincalee Brown専務理事は、「地球の水環境を保全し、改善するために、 数多くの方法で世界中のWEF会員が共同で活動しており、 この賞は、このような新しい方法を取ることで この4人の専門家がいかに素晴らしい成果を成し遂げたのかを認識するのに役立つであろう」 と記者発表で述べています。
 4人の表彰式は、WEFTEC’99の開催地ニューオーリンズ市のErnest N. Morial Convention Centerで 現地時間の10月12日午後5:30から行われました。

 なお、WEFは、1928年に米国で創立された、世界の水環境を保全し、 改善することを目的とした下水道、水環境に関する非営利団体であり、 現在会員数は米国の他、世界各国の水質の専門家4万人以上の会員を持っています。
 WEF会員は、エンジニア、科学者、公務員、公社、工場排水の管理者や運転者、大学関係者、 教育機関関係者と学生、水処理施設などの生産者と販売者、 さらに環境問題の専門家など下水道と水環境に関わる広範囲な分野の人々からなり、 我が国においては日本下水道協会がWEF窓口となっています。
 その年次総会WEFTEC’99は、1万6千人以上の世界をリードする水質の専門家と 800以上の企業が集まると見込まれている北米最大の水質に関する会議であります。



参考
(田中宏明氏略歴)
昭和53年 京都大学工学部衛生工学科卒業
昭和55年 京都大学工学研究科衛生工学専攻修士課程修了
昭和55年 建設省都市局下水道部公共下水道課
昭和57年 奈良県土木部奈良県浄化センター
昭和59年 建設省都市局下水道部流域下水道課係長
昭和61年 建設省土木研究所下水道部水質研究室研究員
昭和62年 同上主任研究員
平成2〜4年 米国カリフォルニア大学デービス校留学
平成5年 建設省土木研究所下水道部水質研究室長
(受賞歴)
科学技術庁注目発明賞、日本下水道協会論文奨励賞、日本水環境学会技術賞
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