都市開発資金の貸付けに関する法律等の一部を改正する法律案要綱

第一 都市開発資金の貸付けに関する法律の一部改正


一 都市開発資金貸付制度の拡充

1 国は、市街地再開発事業による土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新に資するた
 め、地方公共団体が次に掲げる貸付けを行う場合において、当該地方公共団体に対し、当該貸付
 けに必要な資金を貸し付けることができるものとすること。
イ 市街地再開発事業を施行する個人施行者又は市街地再開発組合に対する当該市街地再開発事業
 に要する費用の一部に充てるための無利子の資金の貸付け
ロ 市街地再開発事業の施行者が、施設建築物又は施設建築敷地に関する一定の権利の全部又は一
 部を、施行者又は施行者である市街地再開発組合の組合員が出資している法人に取得させるとき
 の当該取得に必要な費用の一部に充てるための無利子の資金の貸付け  (第一条第三項関係)
2 国は、土地区画整理事業の施行者が保留地の全部又は一部を施行者又は施行者である土地区画
 整理組合の組合員が出資している一定の法人に取得させるときの当該取得に必要な費用の一部に
 充てるための無利子の資金の貸付けを地方公共団体が行う場合において、当該地方公共団体に対
 し、当該貸付けに必要な資金を貸し付けることができるものとすること。
                               (第一条第四項第三号関係)
3 国は、住宅・都市整備公団に対し、市街地開発事業、賃貸住宅の建設等に係る業務に要する資
 金の一部を貸し付けることができるものとすること。  (第一条第五項関係)
4 国は、地域振興整備公団に対し、市街地開発事業等に係る業務に要する資金の一部を貸し付け
 ることができるものとすること。                  (第一条第六項関係)


二 償還期間等
1 一の1のイ及びロに掲げる国又は地方公共団体の貸付金の償還期間、据置期間及び償還方法を
 定めること。                           (第二条第四項関係)
2 土地区画整理組合等に関する国又は地方公共団体の貸付金の償還期間及び据置期間並びに償還
 期限を延長するとともに、一の2の貸付金の償還期間、据置期間及び償還方法を定めること。
                                  (第二条第五項関係)
3 一の3及び4による貸付金の償還期間、据置期間及び償還方法を定めること。
                                  (第二条第八項関係)
4 国は、民間都市開発推進機構(以下「民間都市機構」という。)に対する貸付金で参加業務に
 要する資金に係るものについて民間都市機構が当該貸付金を充てて負担した費用の償還方法を勘
 案し特に必要があると認めるときは、その償還を、一括償還の方法によるものとすることができ
 るものとし、この場合における償還期間を定めること。        (第二条第九項関係)
5 その他所要の規定を設けること。
                (第二条第六項及び第七項並びに附則第五項及び第六項関係)


三 平成十一年度における無利子貸付制度の特例

 平成十二年三月三十一日までの間における市街地再開発事業又は土地区画整理事業の施行者であ
る個人施行者若しくは組合又は一の1のロ若しくは一の2の法人に対する無利子貸付制度について
、国は、地方公共団体がその貸付けに必要な資金の全額を貸し付けることができるものとすること。
(附則第九項関係)


第二 民間都市開発の推進に関する特別措置法の一部改正


一 事業用地適正化計画の認定制度の創設


1 民間都市開発事業を施行しようとする者は、従前から所有権又は借地権を有する土地にこれに
 隣接する土地を合わせて適正な形状、面積等を備えた一団の土地とし、当該一団の土地を民間都
 市開発事業の用に供しようとするときは、隣接する土地の所有権の取得又は借地権の取得若しく
 は設定(以下「所有権の取得等」という。)をし、民間都市開発事業の用に供する一団の土地と
 してその形状、面積等を適正化する計画(以下「事業用地適正化計画」という。)を作成し、建
 設大臣の認定を申請することができるものとすること。    (第十四条の二第一項関係)
2 建築物の敷地を整備し、当該敷地を民間都市開発事業を施行しようとする者に譲渡し、又は賃
 貸する事業を施行しようとする者は、従前から所有権又は借地権を有する土地にこれに隣接する
 土地を合わせて適切な形状、面積等を備えた一団の土地とし、当該一団の土地を建築物の敷地と
 して整備し民間都市開発事業の用に供させようとするときは、当該民間都市開発事業を施行しよ
 うとする者と共同して、事業用地適正化計画を作成し、建設大臣の認定を申請することができる
 ものとすること。                      (第十四条の二第二項関係)
3 計画の認定を申請しようとする者は、事業用地適正化計画について、事業用地について所有権
 若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利を有する者又は事業用地の区域内の建築物につ
 いて権利を有する者の同意を得なければならないものとすること。ただし、その権利をもって計
 画の認定を申請しようとする者に対抗することができない者については、この限りでないものと
 すること。                         (第十四条の二第三項関係)
4 3の場合において、事業用地について所有権若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利
 を有する者又は事業用地の区域内の建築物について権利を有する者のうち、事業用地について所
 有権又は借地権を有する者及び権原に基づいて存する建築物について所有権又は借家権を有する
 者以外の者を確知することができないときは、確知することができない理由を記載した書面を添
 えて、計画の認定を申請することができるものとすること。   (第十四条の二第四項関係)
5 事業用地適正化計画に必要な記載事項を定めること。     (第十四条の二第五項関係)
6 2の事業用地適正化計画には、5に掲げるもののほか、建築物の敷地を整備し、当該敷地の譲
 渡又は賃貸をする事業を施行する者及び民間都市開発事業を施行する者の氏名又は名称を記載し
 なければならないものとすること。              (第十四条の二第六項関係)
7 建設大臣が計画の認定をする場合における認定基準を定めること。 (第十四条の三関係)
8 建設大臣は、計画の認定をしたときは、速やかに、その旨を民間都市機構に通知しなければな
 らないものとすること。 (第十四条の四関係) 9 認定事業者は、認定計画の変更をしようとするときは、建設大臣の認定を受けなければならな
 いものとすること。                        (第十四条の五関係)
10 建設大臣は、認定計画に係る隣接土地の所有権の取得等を促進するため必要があると認める
 ときは、民間都市機構に対して、認定事業者又は隣接土地の所有権若しくは借地権を有する者に
 対し必要な資金のあっせんを行うべきことを指示することができるものとすること。
                              (第十四条の八第一項関係)
11 国は、租税特別措置法で定めるところにより、認定計画に係る隣接土地の所有権の取得等を
 促進するために必要な措置を講ずるものとすること。        (第十四条の九関係)
12 事業用地適正化計画に係る事業の実施を担保するため、及び認定計画に係る隣接土地の所有
 権の取得等を促進するため、報告の徴収、地位の承継、改善命令、認定の取消し及び勧告につい
 て、所要の規定を設けるものとすること。
    (第十四条の五から第十四条の七まで及び第十四条の十から第十四条の十二まで関係)


二 民間都市機構の業務の特例の延長


 民間都市機構が行う土地取得譲渡業務のうち事業見込地の取得を行うことができる期限を平成十
四年三月三十一日まで延長するとともに、その整備が隣接する事業見込地における民間都市開発事
業の促進に資する一定の道路となるべき区域内の土地の取得等を行う業務を追加するものとするこ
と。                             (附則第十四条第二項関係)


三 道路整備特別会計からの無利子貸付制度の追加


 政府は、民間都市機構に対し、二に掲げる業務に要する資金のうち、一定の道路の整備に関する
費用に充てるべきものの一部を無利子で貸し付けることができるものとし、この場合における貸付
金の償還期間及び据置期間を定めること。      (附則第十五条第二項及び第三項関係)


四 事業用地適正化計画に係る民間都市機構の支援措置の特例


1 建設大臣は、必要があると認めるときは、民間都市機構に対して、認定事業者又は隣接土地の
 所有権若しくは借地権を有する者に対し必要な土地のあっせん又は民間都市開発事業の調整を行
 うべきことを指示することができるものとすること。
2 民間都市機構は、必要があると認めるときは、認定事業者の申出に応じて、取得した事業見込
 地における民間都市開発事業の施行に支障のない範囲内で、当該事業見込地の一部を当該認定事
 業者又は認定計画に係る隣接土地の所有権又は借地権を有する者に譲渡することができるものと
 すること。                            (附則第十七条関係)


第三 土地区画整理法の一部改正


一 土地区画整理組合の設立の早期化等


1 組合を設立しようとする者は、事業計画の決定に先立って組合を設立する必要があると認める
 場合には、七人以上共同して定款及び事業基本方針を定め、その組合の設立について都道府県知
 事の認可を受けることができるものとすること。この規定により設立された組合は、都道府県知
 事の認可を受けて事業計画を定めるものとすること。           (第十四条関係)
2 1の事業基本方針においては、施行地区及び土地区画整理事業の施行の方針を定め、施行地区
 は施行区域の内外にわたらないように定めなければならないものとすること。また、1の事業計
 画は、事業基本方針に即したものでなければならないものとすること。  (第十六条関係)
3 事業計画の決定を総会の議決事項に追加すること。           (第三十一条関係)
4 組合は、1の事業基本方針を変更しようとするときは、都道府県知事の認可を受けなければな
 らないものとすること。その他変更に関し、所要の改正を行うものとすること。
                                    (第三十九条関係)
5 事業計画を決定している組合は、事業計画を決定していない組合と合併することができないも
 のとすること。                             (第五十条関係) 6 その他所要の規定を設けること。     
 (第十七条、第十八条、第二十条、第二十一条、第三十二条、第三十四条、第三十九条、第百二
  十五条、第百二十七条及び第百二十八条関係)

二 市街地再開発事業との一体的施行制度の創設


1 市街地再開発事業について都市計画に定められた施行区域をその施行地区に含む土地区画整理
 事業の事業計画においては、当該施行区域内の全部又は一部について、土地区画整理事業と市街
 地再開発事業を一体的に施行すべき土地の区域(以下「市街地再開発事業区」という。)を定め
 ることができるものとすること。                     (第六条関係)
2 事業計画において市街地再開発事業区が定められたときは、施行地区内の宅地について所有権
 又は借地権を有する者は、施行者に対し、換地計画において当該宅地についての換地を市街地再
 開発事業区内に定めるべき旨の申出をすることができるものとすること。
                         (第八十五条の三第一項及び第二項関係)
3 2の申出は、個人施行者による施行の認可等の公告があった日から起算して六十日以内に行わ
 なければならないものとし、施行者は、2の申出があった場合において、当該期間の経過後遅滞
 なく当該申出に係る宅地についての換地を市街地再開発事業区内に定められるべき宅地として指
 定し、又は当該申出に応じない旨を決定しなければならないものとすること。
                         (第八十五条の三第三項及び第四項関係) 4 都道府県知事は、換地計画に係る区域に市街地再開発事業の施行地区が含まれている場合にお
 いては、当該市街地再開発事業の施行に支障を及ぼさないと認めるときでなければ、換地計画の
 決定の認可をしてはならないものとすること。              (第八十六条関係)
5 施行者は、必要があると認める場合においては、清算金に関する事項以外の事項を定める換地
 計画を定めることができるものとし、施行者は、当該換地計画を定めた場合には、換地処分を行
 うまでに当該換地計画を変更し、当該換地計画に清算金に関する事項を定めなければならないも
 のとすること。                            (第八十七条関係)
6 3により指定された宅地については、換地計画において換地を市街地再開発事業区内に定めな
 ければならないものとすること。                  (第八十九条の三関係)
7 その他所要の改正を行うこと。    (第八十五条、第八十五条の二及び第九十七条関係)


三 指定検定機関制度の創設


1 建設大臣は、仮換地の指定及び換地処分の適正な実施その他土地区画整理事業の円滑な施行が
 進められるよう、広く当該事業に関する専門的知識の維持向上に努めるものとする。建設大臣は
 、換地計画に関する専門的技術を有する者の養成確保を図るため必要な技術検定を行うことがで
 きるものとすること。                       (第百十七条の三関係)
2 建設大臣は、その申請により、一を限り、指定検定機関を指定し、これに技術検定の実施に関
 する事務を行わせることができるものとすること。この場合において、建設大臣は、当該検定事
 務を行わないものとすること。                   (第百十七条の四関係)
3 建設大臣による指定基準を定めるものとすること。        (第百十七条の五関係)
4 指定検定機関による適正な技術検定事務の実施を担保するため、監督命令、指定の取消し、罰
 則等に関し所要の規定を設けるものとすること。
                     (第百十七条の六から第百十七条の十九まで関係)


第四 都市再開発法の一部改正


一 市街地再開発組合の設立の早期化等


1 第一種市街地再開発事業の施行区域内の宅地について所有権又は借地権を有する者は、事業計
 画の決定に先立って組合を設立する必要がある場合においては、五人以上共同して、定款及び事
 業基本方針を定め、都道府県知事の認可を受けて組合を設立することができるものとすること。
 この規定により設立された組合は、都道府県知事の認可を受けて事業計画を定めるものとするこ
 と。                                 (第十一条関係)
2 1の事業基本方針においては、施行地区及び市街地再開発事業の施行の方針を定めなければな
 らないものとすること。また、1の事業計画は、事業基本方針に即したものでなければならない
 ものとすること。                            (第十二条関係)
3 事業計画の認可申請に係る縦覧手続に際し、都道府県知事が事業計画の修正命令により修正を
 加えた場合、その修正に係る部分について再度縦覧の手続を行うべきものとすること。
                                 (第十六条第五項関係) 4 組合設立等認可の基準に事業基本方針の決定手続、内容が法令に違反していないこと等を加え
 るとともに、認可基準に適合する場合には都道府県知事は、その認可をしなければならないもの
 とすること。                           (第十七条第一項関係) 5 事業計画の決定、組合の解散等を総会の決議事項に追加するとともに、市街地再開発組合の解
 散を総会の特別議決事項とすること。            (第三十条及び第三十三条関係)


6 市街地再開発組合は、権利変換期日前に限り、総会の議決により解散することができるものと
 すること。                              (第四十五条関係)
7 組合は、1の事業基本方針を変更しようとするときは、都道府県知事の認可を受けなければな
 らないものとすること。その他変更に関し、所要の改正を行うものとすること。
                                   (第三十八条関係)
8 その他所要の規定を設けること。       (第十三条、第十四条、第十八条、第十九条、第百二十五条及び第百二十七条関係)


 二 転出者に対する補償金等に係る利息相当額の算出方法の見直し


1 第一種市街地再開発事業の施行者は、施行地区内に権利を有する者で、権利変換期日において
 当該権利を失い、かつ、当該権利に対応して、施設建築敷地若しくはその共有持分、施設建築物
 の一部等又は施設建築物の一部についての借家権を与えられないものに対し、その補償として、
 権利変換期日までに、相当の価額に三十日の期間を経過した日から権利変換計画の認可の公告の
 日までの物価の変動に応ずる修正率を乗じて得た額に、当該公告の日から補償金を支払う日まで
 の期間につき年六パーセントの割合により算定した利息相当額を付してこれを支払わなければな
 らないものとすること。                        (第九十一条関係)


2 第二種市街地再開発事業において従前の権利の対償に代えて建築施設の部分を譲り受けること
 を希望した者が譲受け希望の申出を撤回した場合において、その者の宅地、借地権又は建築物が
 、契約に基づき、又は収用により、施行者に取得され、又は消滅しているときは、施行者は、そ
 の宅地、借地権又は建築物の対償に当該取得又は消滅のときから当該譲受け希望の申出を撤回し
 た日までの物価の変動に応ずる修正率を乗じて得た額に、当該譲受け希望の申出を撤回した日か
 ら当該対償に修正率を乗じて得た額を支払うときまでの期間につき年六パーセントの割合により
 算出した利息に相当する金額を付けてこれを支払わなければならないものとすること。                                    (第百十八条の十五関係)


三 特定建築者制度の拡充
1 施行者は、従前の権利者がすべてを取得するもの以外の施設建築物の建築を他の者(以下「特
 定建築者」という。)に行わせることができるものとし、当該特定建築者に、施行者が取得する
 施設建築物の全部又は一部を取得させることができるものとすること。
                     (第九十九条の二及び第百十八条の二十八関係)
2 特定建築者が建築した施設建築物の整備に要した費用について特定建築者と施行者との清算に
 関する規定を設けること。            (第百四条及び第百十八条の二十四関係)
3 その他所要の規定を設けること。
(第九十九条の三、第九十九条の六、第九十九条の七、第百十条、第百十一条及び第百十八条の二
 十五の二関係)


四 土地区画整理事業との一体的施行制度の創設
1 土地区画整理法の規定により換地計画に基づき仮換地として指定された土地(以下「特定仮換
 地」という。)を含む土地の区域においては、当該特定仮換地に対応する従前の宅地に関する権
 利を施行地区又は施行地区となるべき区域内の土地に関する権利とみなし、これを当該特定仮換
 地に係る土地に関する権利に代えて市街地再開発事業を施行するものとすること。この場合にお
 いて、特定仮換地に対応する従前の宅地に関する権利の価額等を定めるときは、当該権利が当該
 特定仮換地に存するものとみなすものとすること。        (第百十八条の三十関係)
2 1により市街地再開発事業が施行される場合においては、権利変換計画において、一個の施設
 建築物に係る特定仮換地以外の施設建築敷地及び施設建築敷地となるべき特定仮換地に対応する
 従前の宅地に関する所有権及び地上権の共有持分の割合が、当該宅地ごとにそれぞれ等しくなる
 よう定めなければならないものとすること。この場合における登記関係の規定を設けること。
                               (第百十 八条の三十一関係)

第五 施行期日その他


一 この法律は、平成十一年四月一日から施行するものとすること。ただし、第四の二及び三につ
 いては、公布の日から起算して三月を超えない範囲において政令で定める日から、第三の二及び
 三並びに第四の四については、公布の日から起算して六月を超えない範囲において政令で定める
 日から施行するものとすること。                  (附則第一条関係)

二 所要の経過措置を定めるものとすること。               (附則第二条関係)

三 租税特別措置法、道路整備特別会計法、都市開発資金融通特別会計法、大都市地域における住
 宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法、農住組合法、住宅・都市整備公団法、大都市地
 域における宅地開発及び鉄道整備の一体的推進に関する特別措置法、地方拠点都市地域の整備及
 び産業業務施設の再配置の促進に関する法律、被災市街地復興特別措置法及び密集市街地におけ
 る防災街区の整備の促進に関する法律について所要の改正を行うものとすること。
                           (附則第三条から第十二条まで関係)