第4回懇談会の概要 |
日時、場所等
出席者(順不同)
資料 資料4−1 「遊休地実態調査」の調査結果の概要(速報) 事務局からの資料説明に引き続き、資料4−3を中心にフリーディスカッションが行われました。その概要は次の通りです。(文責は事務局) ● 作業グループで、本音の議論として集中的に議論された点を紹介したい。 ● 都市政策の基本的方向について「個別的に柔軟に対応」とあるが、そのイメージについて2つの考え方がある。一つは、大都市の現在の構造を所与とする考え方であり、もう一つは、低未利用地の発生により大都市の構造自体が変わっていく、つまり、臨海副都心は典型的であるが、現在の都心、副都心という構造自体が変わり行くという考え方がある。そのどちらをイメージしているかはっきりしないが、後者だとすると、都市政策の枠に収まらず、調整あるいは大きな意味での計画まで議論を広げる話につながるのではないか。 ● 社会構造の変化を議論するとき、大きく見れば、一つは経済、もう一つは文化の問題に関わってくる。これからの都市のあり方を議論するとき、都市の文化論がないと市民の合意が得られないのではないか。日本には文化省がないが、建設省が都市に関わるとき、文化論を持っていないといけない。データ分析をされているが、本当に中長期にどうなるかということを判断することは難しい。都市をどうするかを考えるときに、建設省はもう少し主体的に文化的なところの予測、先導が必要ではないか。フランスならば、文化省、建設省、自治体があって、その下で公社が知恵を出しながら、パブリックと調整しながら都市づくりをやっている。この懇談会の始めに歴史的転換点という話があったが、そこには経済だけでなく文化の要素がある。そうでないと構造転換と言っても説得性が薄い。 ● 資料は問題が絞り込まれ、議論がはっきりしてきた。産業構造と都市政策は関わりを持たざるをえない。産業政策と都市政策は、それぞれがそれぞれにというわけにはいかないので、どう言うふうに融合して行くか。都市政策から見たときに、これまで製造業はうっちゃってこられ、嫌悪施設的なイメージになっているという気がしているが、東京という限定をして考えると、とてもそれでは立ち行かない。製造業と居住とが共に栄えるということが必要。 ● 皆さんが指摘した都市計画の問題で、それが典型的に出ている問題に座間市でS社が作ろうとしている発電所の問題がある。現地は工業地域であるが、既に周囲には住宅が建っていて摩擦を起こしている。従来発電所は臨海部しか想定できなかったが、規制緩和で内陸部にできている。このように今後工場を用途転換をしようとしても、既に住宅が張り付いて既得権を主張される場面も出てくる。 ● 都市政策のあり方を考える時期が今のような不景気の中で、土地余りで需要が少ない、公共施設を整備しようにもお金がないという時期に、どうするか方向性がなかなか見えない、材料が少ない状況にある。あえて考えると、先ほど指摘があった、なおかつ需要のある住宅、第3次産業が増えて行く中での職住近接であろう。もう一つ需要を喚起する産業は観光であろう。今議論が出来るのは、住宅、観光くらいしかなく、あとは暫定利用、極端に言えば放っておくしかない。商売になるところがあれば早速に紹介していただきたい(笑)。その場合は規制緩和などのツールがあるが、言い尽くされているのであえて申し上げない。 ● 「産業構造の転換に対応した都市政策」という言葉に縛られているせいか、文化ということはあまりピンと来ないが、30数年前に作られた産業が転換して行く中で、新産業を生み出すための新たな枠組みを作れないか。土地は安いし、エンゼルなど資金も出すという状況があるので、地域指定の中で「新産業誘導地域」というものを位置付け、ベンチャーなどを集めて新産業の核となる枠組みを行政の側で作って、提示していかないと元気がでないのではないか。例えば、シンガポールではサイエンスパークというものをつくり、国家の威信をかけて新産業を誘致している。日本でも産業転換と言う中で、新しい産業を生み出して行くことが必要ではないか。 ● 皆さんの議論を経済学に引き寄せて考えると、第1のキーワードは、「供給と需要」ということであろう。これを整理すると、まず供給のほうは、土地の供給は出ることが前提となっていてそれは良いと思うが、今日の資料では、大きさや用途、利用可能性の点で色々なものが出るということがわかる。したがって単に供給があるというだけでない議論が必要となる。また、製造業は大変なのだから、もっと土地を出させるべきだという議論もある。 ● 先ほど出た話についての質問だが、観光と遊休地の利用とのつながりがよくわからない。具体的にはどのようなイメージか。 ● 観光というのは包括的な意味で使っており、例えば、都市を元気にするには、ファッション、オペラ、劇場も必要。観光と言う言葉は品のない言葉であるが、人が来てもらわないことには街は成り立たない。世界都市博はやめてしまったが、青島知事はむしろ観光を誘致するキャラバンを組むべきではなかったか。 ● 例えばベルリンで1958年に世界の建築家を集めて高層建築のモデル団地を作った。また、85年にも、再開発についてIBA(国際建築展)を開いた。これは観光資源としても使えた。住宅について需要があるとすれば、例えば、そういうものを使うということもイメージにはあるのか。 ● ベルリンでは「壁」の下にあった幽霊駅の地図を作るというようなこともやっているが、都市のインフラ、既存の都市的なストックを使っていかに世界を観光客を呼ぶかが重要。今でも連邦議会議事堂についてあれだけ報道されており、蓑原委員のいう事例は良い例。 ただ、ベルリンも東京も首都であり、それ以外をどうするかは別途議論がいると思う。需給を考えると、経済は一升鱒で、どこかが栄えるとどこかが下がる。そういう議論も必要。 ● もう一つ別の質問だが、これまでは開発主義で官主導で官が需要を作り出してきたが、成熟経済化して、企業活動を頼りにやっていこうという時代の中で、公共の関与がとても難しい時代となってきている。住宅は都市基盤整備公団による供給が可能であるが、工場跡地の利用に関して官が何かをするということについて、現時点でコンセンサスはとれるものか。 ● 一般論で答えることは難しいが、(工場跡地の利用について)何かやるとすれば民間であるが、官が関わってゆく部分はあるだろう。少なくとも、コーディネーションというか、全体の方向を示し、必要があれば規制や誘導をすることは考えられる。 ● 地方自治体との関係であるが、今は地方分権ということでそちらに風が向いているが、地方自治体に決定権が行くと産業活動に支障が出る可能性が出てきてしまうのではないか。また、地方自治体が対処しきれないものが出てきてしまう。その一番大きなものは大店法。こういう問題についての国家政策というものを、都市の視点からきちんと議論していくことが必要ではないかという意見が、かなりの方から出たということをテイクノートした方が良い。地方都市の活性化に関しても、フランスでは、法制化に当たり日本で言う全国総合開発計画からベースを引き出してきている。今度は建設省が全総を作る立場になり、国土利用計画法、都市計画法などは広域計画との関わりを非常に強める。その中で産業政策、文化政策との関わりは欠かせない要素になっていくのではないか。 ● 都市政策課では、国がどのような形で都市政策について関与するかということを既に出していて、今日のような深入りした話ではないが、国としての方針を出すべきという話になっている(注:都市計画中央審議会報告「都市再構築のシナリオ」)。 ● 地方自治体の話に関してだが、通産省が大店法を見直したときは商業政策の大きな転換点だったとはいえ、地域で騒音とかゴミとか問題が起こっていたのは確かで、その議論を吸い上げて判断できるの地方自治体である。ところが問題なのは、確かに社会的悪を生み出すことも事実であるが、一方で見えない部分で社会に貢献しているということもあり、規制すると消費者に高いものを買わせることになりかねない。結局、規制的部分と競争的部分があって、どのようにバランスを取って行くかについて国がある種のマニュアルを作るのか、それともインフォメーションを示すのか色々な議論がある。 ● この懇談会の趣旨とは違う議論なので、この場で議論することは適切とは思わないが、地方都市の中心市街地の活性化対策に関して、確かに競争政策の面から見れば中心市街地が機能していないことは明白である。ただ、問題は都市ストックとして、5年10年やっていなくなってしまうような今の郊外店舗の焼畑農業的なやり方を認めて良いかということがある。そこを抜きにして、安易に経済政策に乗るわけにはいかない。しかし現在の都市政策の中ではポリシーが確立しているとは言えない。従って、特別用途地区でなんとかしろと言われても、地方自治体はどうにもならないという状況にある。私はそこで国が方向を都市政策として出すべきだと考える。もちろん郊外店舗を否定するのではなく、やるなら都市ストックとして残るようなものでやるべきだと言うべきではないか。 ● 今の話に関連して言うと、現状は上下一体型の議論になっている。本当は、土地・建物という下の部分と、その上での活動という上の部分と上下分離型である必要がある。もし店がつぶれたとしても、本当に店が必要なら、下は公共団体か、デベロッパーかは別として、上はできるところが代わりに出ていけばいい。工業の問題はもっと複雑かもしれないが、そういう上下分離型ができないのが問題。そういうことをしやすくする都市があってもいいと思う。したがって、企業の倫理観に頼るとか、頼れないから規制するというところよりもっと先に進んで、こうした使い替えの仕組みで対応したい。本来商業と言うものは10年位で変わり行くもので、10数年前にコンビニはなかった。都市はそんなに速く変われないので、両方がうまく調和できる仕組みが必要ではないか。 ● 今の議論に関して言うと、「だんご3兄弟」は今年の1月にテレビに登場し、3月に大ヒットし、今は誰も話題にしないというように、商品、サービスの足が非常に速い。需要が細分化されているのが難しい。 ●(事務局) 次回は11月頃を目途に、今日いただいた意見をまとめるとともに、工場跡地等を抱える地方公共団体の話も聞き、また、実際の土地を想定しながら少し場合分けをして議論をしたい。なお、本日欠席の委員の方にも、資料、議事録をお送りして別途ご意見を伺うこととしたい。
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