資料4


都市再生推進懇談会(東京圏)委員の御意見の概要




1.東京圏の都市再生についての基本的認識、視点など

・世界との交流を担い、地域文化を育み、新しい価値を創造して世界に発信する街として、東京圏を再構築するビジョンを待つべきである。(石原委員、田中委員)

・世界経済のボーダレス化が進展する現在、東京圏がビジネスや文化の中心都市として世界から選ばれなければ、日本の衰退につながる。東京圏は日本経済新生のためには極めて重要な地域である。 (伊藤元委員、田中委員、鶴田委員)

・東京圏は、今後とも、個人、企業等による経済、社会、文化活動等の自由な展開の場を提供することにより、我が国の経済活力を創出する上での中枢的役割を担っていく必要がある。(沼田委員)

・東京圏は、生活環境、都市景観等の点で先進諸国の主要都市のみならずアジアの一部都市と比しても貧弱である。国際的都市間競争に劣後しないよう、快適で美しい都市づくりを推進し、都市の魅力を高めることが重要である。(坂本委員、田中委員、月尾委員、フクシマ委員、古川委員)

・高度成長期、人口と産業の都市への集積圧力を、都市を郊外へ拡大することで吸収してきた結果、東京は世界でも稀有の平面的過密、立体的過疎の都市を形成している。少子・高齢化、女性の社会進出など社会経済情勢の変化を踏まえ、職、住をはじめ多様な機能が複合的に整備された都市空間を創出する必要がある。(翁委員、森委員) 

・東京中心部への一極依存構造を是正し、分散型ネットワーク構造を形成するとともに、東京圏の都市機能の広域的な再編整備を進める必要がある。(江口委員、岡崎委員、土屋委員、沼田委員、松井委員、高橋委員、高秀委員) 

・産業構造の転換を踏まえ、工場跡地等の円滑な土地利用転換を図るとともに、産業の再生を支援する観点からの都市政策が必要である。(岡崎委員、翁委員、沼田委員、高橋委員、高秀委員)

・IT産業、知識集約型産業等の都市型産業や、循環型都市形成に向けたリサイクル産業など、新産業の創出を支援する都市政策が必要である。(石原委員、伊藤滋委員、伊藤元委員、岡崎委員、 田中委員、沼田委員、古川委員、森委員、高秀委員) 

・震災が巨大都市に与える影響は甚大であり、都市の安全性の確保に官民の投資を集中すべきである。(江口委員、岡崎委員、尾島 委員、田中委員、鶴田委員、中村委員、古川委員、高秀委員) 

・エネルギー使用や環境負荷の観点から都市構造のあり方を考えるとともに、良好な都市環境の保全・創出に意を用いるべきである。 (石原委員、伊藤滋委員、月尾委員、土屋委員、鶴田委員、高橋 委員、高秀委員) 

・文化が経済を牽引する時代であり、世界に明確な都市イメージを発信しうるよう、文化の蓄積を図るべきである。(月尾委員、坂本委員) 

・IT革命が進展する中で、高度情報化が都市や都市生活に与える影響を見極め、これを踏まえた都市政策が展開されるべきである。 (出井委員、鶴田委員、フクシマ委員) 

・現在実施中の事業、実施しようとする事業の迅速化に努め、確実な成果を得る必要がある。(伊藤滋委員、高橋委員) 

・公共の福祉の優先など、都市づくりの理念について共通認識の醸成を図るべきである。(石原委員、江口委員、坂本委員、鶴田委員、古川委員) 

・地域の主体性が確保された自立的な都市づくりを推進するため、 都市づくりへの住民参加、国と地方公共団体の新たな役割分担のあり方等を考えていくべきである。(石原委員、伊藤滋委員、土屋委員、高橋委員、高秀委員)

2.東京圏の再生のための具体的方策など

都市づくり、都市計画のあり方

○都心において住み働ける職住複合都市実現のため、複合用途地区の創出など都心の複合利用を可能にする都市計画を樹立すべきである。(江口委員、田中委員、月尾委員、森委員)

○超高層都市を見据えた容積率の緩和など都心の高度利用を可能にするための都市計画制度を実現するべきである。(田中委員、月尾委員、鶴田委員、森委員)

○都心におけるオープンスペース確保のため、敷地規模に対応した上限容積率の変化や、敷地統合を促進する軽減税制を創設すべきである。(田中委員)

○都市づくりの理念や方針、数値目標の設定、土地利用基準や環境基準を明示したモデル計画案等から構成されるマスタープランを策定するべきである。(森委員

○都市づくりのマスタープランを踏まえ、具体の地区を対象に再開発基本計画を策定するとともに、5年スパン程度のアクションプランを作成し、都市づくりの実現予定を明示することが必要である。また、事業期間を短縮すべきである。(森委員)

○小さな単位の地区ごとに地域特性を踏まえたきめ細かな都市づくりができるよう、地区計画制度についてより柔軟で多様な計画メニューを定めることが出来るようにすべきである。(田中委員、古川委員)

○工場跡地等における用途制限の緩和・撤廃、臨港地区の規制の見直しを行うとともに、新たにエンタープライズゾーン(用途規制等の緩和、減税措置等を時限措置としてセットで実施)を設定すべきである。(高橋委員)

○臨海部における土地の暫定利用を進めるため、仮設建設物の期間延長、償却期間に係る税制上の措置などを講じるべきである。(坂本委員、高橋委員)

○道路、鉄道路線の上下などの空間を道路、鉄道、ビル等の用途に 活用することを検討すべきである。(江口委員)

○都市縁辺の開発から都市中心の再生に方向転換し、エネルギー基準、環境基準という観点から都市構造を構築し直すことが必要である。(月尾委員)○文化が経済を牽引する時代を迎え、経済活動中心から文化中心へと都市づくりの視点をシフトさせることが必要である。(月尾委員)

○都市景観や水と緑の空間など都市の「魅力」という価値基準、視点を都市計画制度に導入することが必要である。(月尾委員)

○PFI手法の活用などにより、大深度地下を利用した非常時、常時インフラとしてのライフライン幹線を整備すべきである。(尾島委員)

○工場等制限法から大学の立地を除外し、学術機関を誘致できるよ うにすべきである。(高橋委員) 

既成市街地の再構築

○都心居住を推進するプロジェクトの実施や、ビルの高層化・建替え等により、都心部に快適な住居を供給し、職住融合型の快適な都市空間の形成を実現すべきである。(石原委員、出井委員、田中委員、鶴田委員、森委員)

○大手町・丸の内・有楽町地区、日本橋・八重洲地区等をビジネス・商業・文化など多様な機能を備えた潤いと風格のある都市拠点として再生すべきである。(石原委員)

○土地区画整理事業などの面的整備事業、都市基盤施設整備の促進等によって、木造密集市街地を職住近接の街に再構築すべきである。(石原委員、鶴田委員、古川委員)

○現行耐震基準を満たさない昭和56年建築基準法改正以前の建築 物の点検、建替え促進等の措置を講じ、安全な市街地の形成に努めるべきである。(江口委員、田中委員)

○共同住宅の建替えについては、権利調整の困難さ、資金不足等の課題があり、権利変換手法の活用や既存容積に係る特例措置、建設資金に対する支援の拡充などの措置を講じるべきである。(田中委員)

○ウォーターフロントの土地利用の方向を定めるため、この地域の太宗を占める空港、港湾等の「国家的インフラ施設」のあり方を早急に検討することが必要である。(石原委員、田中委員)

○ウォーターフロントにおいては、世界に対して東京の象徴となる 国家的文化施設を建造するとともに、ビジネス、住宅、エンター テインメント機能などが複合する近代的なミックスドユースの都市空間を整備する。(石原委員、田中委員)

○既存貨物線の貨客併用化や東京湾岸部の幹線道路など臨海部の交通インフラの整備を進め、臨海部の再編整備、臨海部の都市づくり、活性化を実現すべきである。(石原委員、岡崎委員、尾島委員、田中委員、松井委員、高橋委員、高秀委員)

交通体系の整備

○連続立体交差事業などにより、踏切の廃止、鉄道の高架化・地下化を推進し、都心部における渋滞の緩和、交通の円滑化を図るべきである。(石原委員、伊藤滋委員、江口委員、土屋委員)

○都市計画道路の整備を促進すべきである。 (石原委員、伊藤滋委員)

○都市基盤施設の整備を進め、容積率の活用を促すことにより市街地の利用可能性をできる限り引き出すことが必要である。(鶴田委員)

○ロードプライシングなど交通需要マネジメント施策を推進し、都市内交通の円滑化により経済効率を向上させるとともに、環境負荷の軽減を図ることが急務である。(石原委員)

○鉄道を活用した効率的な物流プロジェクトを推進し、都市内流入交通量の削減、国際競争力の強化、臨海部の活性化などの効果を発現させるべきである。(古川委員)

○都市高速鉄道など公共交通を整備するための財源確保を図るべきである。(石原委員、土屋委員、高橋委員)

都市機能の広域展開

○東京圏整備のための1都3県を対象とする新たな計画制度を創設することが必要である。(石原委員)

○国際空港機能の充実を図るとともに、都心と空港の円滑なアクセスを実現すべきである。(石原委員、江口委員、田中委員、フクシマ委員)

○3環状道路など広域的な道路ネットワークの整備の促進、速やかな完成を目指すべきである。(石原委員、岡崎委員、土屋委員、沼田委員、鶴田委員、古川委員、森委員、高秀委員、松井委員)

○高速道路のサービスエリア、バス停留所等と他の交通との乗り継ぎ、利便の向上のための事業などにより多様な交通手段の選択肢を確保することが必要である。(沼田委員)

○企業業務の都市適性を見直し、地方分散適性を有する業務については地方への移転を促進すべきである。(出井委員)

○我が国全体の利益に関わるプロジェクトの推進などに際し、国の調整のもと東京圏全体の観点から合議するため、国及び7都県市で構成する常設の協議機関を設置すべきである。(石原委員)

少子・高齢化への対応

○働く女性が増加する環境の中で、ターミナル駅及びその周辺への保育・福祉施設の立地の促進等、福祉を都市政策の中に位置付けた施策を進めるべきである。(翁委員、鶴田委員)

○鉄道駅空間を高齢者等にとって使いやすいものとするとともに、公共機関窓口など多面的機能を立地させるべきである。(鶴田委員)

○バリアフリー、標識整備など高齢者を意識したまちづくりをすすめるべきである。(江口委員)

情報化、IT革命への対応

○国際競争に耐えうる情報都市として不可欠なオープン・インテリ ジェント・ネットワークを実現するため、光ファイバー網の整備 を進めるなどオープン・ネットワークの構築に向けたインフラの 整備を行うべきである。(出井委員、田中委員、鶴田委員)

○東京を情報中核都市として位置付けるため、ネットワーク課税についてフリーゾーン化を図るべきである。(出井委員)

○外国人IT知的労働者の就労条件の緩和(ビザ要件の緩和、出入国手続の緩和等)を検討すべきである。(出井委員)

○ITS(高度道路交通情報システム)を整備し、交通渋滞の緩和に努めるべきである。(出井委員)

都市の魅力の創出

○パリやロンドンの街並み、NYのマンハッタンのように、東京の都市イメージを明確にするべきである。(坂本委員)

○良好な都市景観の整備のため、補助制度等の拡充や景観に関する啓発等に対する助成制度の創設が必要である。(土屋委員)

○美しい街並み景観のため、電線類の地中化を促進すべきである。 (石原委員、伊藤滋委員、江口委員、田中委員)

○日本橋周辺の首都高速について、その更新に併せて地中化し、水辺空間を再生させて潤いのある都市空間を創出すべきである。(石原委員)

○東京を訪れる観光客に対して親切で分かりやすい施設の整備や、道路名称の表示等、都市コミュニケーションの充実を図るべきである。(坂本委員)

○学校、医療など東京で暮らす外国人のコミュニティーに向けた基盤の整備が不足している。(フクシマ委員)

環境調和型の都市づくり

○循環型都市形成に向け、廃棄物リサイクルなど新資源産業のネットワークを構築するプロジェクトをPFIの活用等により推進し、持続可能な発展の実現に寄与すべきである。(古川委員)

○新車の排ガス規制の強化・前倒し、軽油優遇税制の見直し、DPF(ディーゼル微粒子除去フィルター)の技術開発及び供給・装着促進の助成制度の創設など、総合的なディーゼル車対策を推進し、都市環境の改善に努めるべきである。 (石原委員、土屋委員)

○緑地保全地区に係る税制上の措置を講じるなど、都市近郊に残された緑地の保全を図るべきである。(高橋委員、高秀委員、鶴田委員)

○ウォータフロントの魅力を生かし、豊かな水と緑の創り出す美しい都市空間を形成する必要がある。また、運河部を中心に水質を浄化し、親水性の高い空間を創出すべきである。(石原委員,田中委員)

都市づくりのための意識改革

○公共の福祉優先の考え方や、優れた都市景観形成についての共通認識など、都市づくりについてのパブリックマインドを啓蒙し、都市住民の意識改革を図るべきである。(石原委員、江口委員、坂本委員、月尾委員、他)

○ITの活用により住民、企業、NPOなどのネットワーク化を図る新しい都市づくりシステムを考えるなど、地域主体の都市づくりへの意識改革のため住民参加を推進すべきである。(坂本委員、鶴田委員)

都市に対する投資のあり方

○ガット・ウルグアイラウンドの際の対応に準じ、10年間で12兆円を東京・大阪のビッグプロジェクトに投入するなど、国が都市再生に責任を持つという姿勢を見せることが必要である。(伊藤滋委員、土屋委員)

○都市整備を進めるにあたっては、税財源の地方への移譲、統合補助金の拡充等によって、地域の主体性を確保するとともに、国からの支援を強化し、東京圏への集中投資が行われるべきである。 (石原委員、土屋委員、沼田委員、高秀委員)

○日本中のすべての地域が必ずしも採算性が高い訳ではなく、国の支援をどう重点化していくかが課題である。(牧野委員)

○都市開発における民間資金の活用を図るため、不動産証券化手法の充実、PFI手法の活用等を図るべきである。また、高齢者の生活の安定だけでなく、老朽化した住宅や都市の更新等に資する、高齢者の資産を有効に活用した定期金給付制度などの融資システムの導入を図るべきである。(伊藤元委員、翁委員、坂本委員、鶴田委員、土屋委員、古川委員、牧野委員)

都市整備の手法

○土地収用制度を見直して手続の迅速化、簡素化等を図り、都市整備の成果が短期のうちに上がるようにすべきである。(石原委員、伊藤滋委員、坂本委員、月尾委員、古川委員)

○今後、都市再生を適正・円滑に推進する上で、多くの効用を発揮する地籍調査を緊急かつ計画的に実施することが必要である。(中村委員)

○市街地整備に優れた能力を持つ都市基盤整備公団を活用し、国、地方公共団体、民間事業者等の適切な役割分担のもとに面的整備事業や都市基盤施設の整備を推進すべきである。(石原委員、古川委員、松井委員) 

 


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