関西文化学術研究都市の建設に関する基本方針

第2章 都市建設における学術、産業及び行政の各分野の協力の方針

学術、産業及び行政の各分野の協力を基調とし、民間活力を最大限に活用して都市の建設を進める。また、産・学・官の連携を強化するとともに、特にそれを支える企画調整機能を充実し、一般市民の参加を含む文化・学術・研究における国際的、学際的、業際的な交流を推進する。

このような基本的な視点に立ち、各分野の役割分担等は次のとおりとする。

(1)学術の分野

大学・研究所等の教育研究機能、職業能力養成機能及び社会サービス機能を重視し、これらの有する優秀かつ多様な人材及び研究体制により、本都市における創造的な文化・学術・研究活動を先導するとともに、創造的な研究開発を支える人材を育成する役割を担う。このため、大学・研究所等の立地及び整備を進めるとともに、社会の要請にこたえる水準の高い研究・教育及び機動的な学術研究体制の整備を推進する。また、文化・学術・研究の拠点として他の学術・研究拠点又は産業の集積する都市、地域とのネットワーク化を進めることによって、国内及び海外との文化・研究交流、学際的な研究交流、産業界との交流等様々な形態の交流を推進し、文化・学術・研究及び産業の振興を図る。

(2)産業界

本都市における研究開発活動、文化活動等を通じて、社会ニーズに対応した産業を振興し、経済社会の発展に寄与することが求められる。このため、おう盛な研究開発意欲及び高い研究開発能力の集積を活用して研究開発を行う各種の民間研究施設の立地を図る。さらに、大学や国公立の試験研究機関との連携、異業種の交流等を進めることにより、新産業の創出、育成に努めるとともに、幅広く、文化、学術等における活動に参画し、又はこれらを支援する。

(3)国及び地方公共団体

都市建設の進ちょくに応じ、良好な生活及び研究活動の基盤となる公共・公益的施設の計画的、段階的な整備に努めるとともに、文化学術研究施設等の整備、誘導を推進する。また、各分野における文化・学術・研究活動に対し、必要な支援及び指導に努める。さらに、本都市の都市計画や都市建設を総合的に推進するために、関係する地方公共団体の連携を図る。

(4)都市基盤整備公団及びその他の開発事業者

都市建設に係る豊富な経験をいかし、土地区画整理事業等により基盤整備を進めるとともに、各分野の快適な都市活動を確保するための施設の整備等により、都市運営に積極的に参加する。特に、都市基盤整備公団等都市整備、都市開発に携わる公的事業者は、地方公共団体等との連携のもとに主導的に本都市建設に係る事業を推進する。

(5)企画調整機能を担う主体

1 財団法人関西文化学術研究都市推進機構は、長期にわたる本都市の建設がこれら各分野の協力及び他の地域とのつながりのもと一体的に推進されるよう、文化・学術・研究の拠点にふさわしい都市の建設の企画・推進及び本都市に関する情報の発信を行うとともに、これら各分野の関係者間の合意形成等を促進する。

2 法第二条第五項第二号に基づき指定された株式会社けいはんなは、文化・学術・研究に関し、本都市内のみならず、幅広く国内外を視野に入れた交流・連携等を推進するために必要な事業を行う。

(6)その他各分野の協力等に関する事項

1 (1)〜(5)に掲げるもののほか、各分野は、適切な役割分担のもとに協力し、住宅その他居住環境、都市機能の整備を図るとともに、各種のイベント等を活用した街づくりを進め、自律的都市形成に努める。併せて、国際化、高度情報化、高齢化への対応、環境の保全、良好なコミュニティの形成等パイロット・モデル都市としての街づくりに努める。

2 都市建設、都市活動をより一層促進するため、文化学術研究活動、街づくり、コミュニティ活動等の様々な活動において、産・学・官の枠組みにとらわれず住民、研究者等の参加する多様な組織形態を取り入れること等により取り組みの多様化、重層化を図る。