関西文化学術研究都市の建設に関する基本方針

第8章 公共施設、公益的施設、住宅施設
その他の施設の整備に関する基本的事項

防災性の向上、住民や研究者の利便性の向上、環境への負荷の低減及び自然との共生並びにパイロット・モデル都市の形成等に配慮しつつ、次の施設の整備を推進する。

1 公共施設及び公益的施設の整備

(1)交通施設

[1] 広域交通施設

関西国際空港、国土幹線軸、近畿圏の主要都市及び研究開発拠点等との連絡の強化を図るため、次のとおり所要の施設整備を推進する。

ア 道路

第二京阪道路、京奈和自動車道、一般国道163号等の整備を進めるとともに、隣接地域において近畿自動車道名古屋神戸線(第二名神高速道路)等の整備を推進する。また、学研都市連絡道路(仮称)、宇治木津線(仮称)の計画の具体化を図る。

さらに、安全、快適な道路利用を促進するため、VICS(道路交通情報通信システム)等の整備を図る。

イ 鉄道

京都、大阪及び奈良の各都心との連絡性の強化を図るため、近畿日本鉄道東大阪線生駒駅から近畿日本鉄道京都線高の原駅方面に向かう京阪奈新線について、輸送需要の動向等を踏まえた段階的整備を図るとともに、西日本旅客鉄道の片町線(学研都市線)と奈良線等既存路線の輸送力の増強を推進する。また、将来の輸送需要の動向等を勘案しつつ、片奈連絡線の整備について検討を進めるとともに、京阪奈新線の祝園付近への分岐線、木津方面への整備の必要性について検討を進める。

ウ 飛行場

航空需要の動向等を勘案しつつ、航空ネットワークの形成について検討を進める。

[2] 地域交通施設等

文化学術研究地区相互の連携、周辺地区の調和ある発展、及び都市と広域交通施設との接続を図るため、幹線道路、補助幹線道路の整備を推進するとともに、駅前広場の整備等鉄道駅を中心とする交通結節機能を強化する。

また、輸送需要に対応してバス輸送網等の整備を推進するとともに、地域特性に応じた新交通システムの導入等について、検討を進める。

さらに、道路の整備とあわせて電気、ガス、水道等の共同収容空間となる共同溝や、電線共同溝等の整備を推進するとともに、都市内の安全、円滑な道路交通を確保するため、交通安全施設等の整備を推進する。

(2)水資源開発施設

都市建設に伴う水需要の増大に対処し、水資源の確保を図るため、ダム等の整備を推進する。

(3)水道及び下水道

ア 水道

都市建設に伴う人口の増加及び文化学術研究施設等の立地による水需要に対処するため、水源の確保及び水道施設の整備を推進する。

イ 下水道

都市建設に伴う人口の増加に対処するとともに、公共用水域の水質保全、浸水の防除等を図るため、木津川上流流域下水道等の流域下水道、公共下水道及び都市下水路等の整備を推進する。

(4)国土保全施設

都市建設に伴う河川の流量増に対処するため、保水・遊水機能の維持増進等と併せて、周辺の自然環境や景観との調和に配慮しつつ、関連河川の河道改修等治水施設の整備を推進する。また、土砂災害を防止するための対策を講じる。

(5)公園、緑地等

自然環境に配慮した総合公園の整備を推進するとともに、歴史的、文化的遺産や良好な自然環境を結ぶ緑のネットワークが形成されるよう、公園、緑地等の整備を推進する。また、文化学術研究地区の特性に応じ、本都市にふさわしい広場、沿道整備を推進する。

(6)廃棄物処理施設

ごみ減量や資源リサイクルを進めるためのリサイクル関連施設や、ごみ処理施設、粗大ごみ処理施設等の整備を図る。

(7)教育施設、厚生施設及び行政サービス施設

都市内の人口定着に対応して、学校等の教育施設、保育所、病院等の厚生施設及び警察施設、消防防災施設等の行政サービス施設の整備を推進する。

(8)文化施設及び商業施設

文化学術研究地区に、その特性に応じセンター地区を整備し、文化施設、高次の商業施設の積極的な導入を図る。

(9)スポーツ・レクリエーション施設

都市住民が健康で充実した生活を送れるよう、スポーツ・レクリエーション施設の整備を推進する。

(10)情報・通信基盤施設

高度な文化・学術・研究等の活動、産・学・官等の交流活動を支援するとともに、高水準の都市生活を確保するため、本都市内及び本都市と他の地域を結ぶ情報・通信基盤施設の整備を推進し、高度な情報・通信体系を形成する。

(11)都市エネルギー供給施設

文化・学術・研究等の活動、住民生活その他の都市活動に必要なエネルギー需要に対応するため、電気、ガス等の供給施設の整備を推進する。

2 住宅施設その他の施設の整備

(1)住宅施設の整備

文化学術研究地区内においては、文化・学術・研究等の活動を行う施設の整備とともに、良好な環境を有する住宅・宅地の整備を推進する。

住宅・宅地は職住近接に配慮しながら、周辺の既存集落・市街地等と相互に補完しつつ、多様なライフスタイルを持つ人々による健全なコミュニティが形成されるよう配置する。また、国際化、高度情報化、高齢化の進展に対応した街づくりに配慮する。

(2)その他の施設の整備

文化学術研究地区内においては、文化・学術・研究等の活動を行う施設の整備とともに、当該地区の特性に応じて文化・学術・研究の成果をいかす産業施設、文化・学術・研究活動を支援する産業施設の集積を図る。さらに、今後の都市活動の重層化、多様化に対応する新しい都市型産業施設の整備を図る。

また、これらの施設の多様な立地意向に対応可能な導入形態を十分考慮する。