関西文化学術研究都市の今後の整備方策について
(関西文化学術研究都市セカンドステージプラン推進委員会答申)
1 諮問の経緯
昭和53年に「関西学術研究都市調査懇談会(奥田懇談会)」において学術研究都市の建設が提案されて以来18年、
昭和62年に「関西文化学術研究都市建設促進法」が制定されてから10年近くを経た現在、中核的な施設であるけいはんなプラザ、
国際高等研究所及び奈良先端科学技術大学院大学が完成するとともに、平成6年9月には都市びらきが行われ、
都市の骨格が形成されつつある等、本都市の建設は新しい段階(セカンドステージ)を迎えている。
一方、経済社会状況は大きく変化し、文化学術研究の拠点としての本都市の役割がますます高まっているが、
居住者や研究者などから交通基盤の整備など様々な課題が指摘されている。
既に立地している施設等における文化学術研究活動を活性化しつつ、新しい段階に向けた都市建設を進め、
本都市のポテンシャルをさらに高めていくためには、本都市に求められる社会的要請や本都市が抱える課題を適切に踏まえた上で、
これまで以上に関係者の一丸となった取り組みが必要である。
このような観点から、本都市の現状を正確に把握し、本都市を取り巻く諸情勢の将来動向等を見通した上で、
関係者の共通認識となり得る長期的な都市づくりの目標を掲げ、新たな段階に向けた推進方策を確立していくことを趣旨として、
平成6年10月11日、国土庁大都市圏整備局長より、関西文化学術研究都市セカンドステージプラン推進委員会
(岡本道雄委員長。以下、「推進委員会」という。)に対して、「関西文化学術研究都市の、今後の整備推進方策は如何にあるべきか。」
について諮問し、平成8年4月25日に答申がなされた。
2 答申とりまとめの基本的視点
関西文化学術研究都市における21世紀初頭の概成期に向けての取り組み方向、
今後概ね10年間程度を視野においた優先的取り組み及びその推進方策について、
関係者の共通認識形成に資するものとなるよう、答申がとりまとめられた。
答申のとりまとめに当たっては、これまでの都市整備や施設立地等の状況を踏まえた上で、
本都市の理念の実現に向けた文化、学術・研究の中枢機能の一層の強化、文化、学術・研究等の諸活動の活性化、
居住者や研究者等が住み良い、文化の薫るまちづくりに関する方向付けがなされた。
3 答申のポイント
(1)関西文化学術研究都市の理念 〜21世紀の文明・文化を創造する新文化首都〜
- 文化の創造と交流(文化創造の中枢の形成、文化の交流による国際貢献)
- 新しい学術研究の推進(人類的課題の解決、科学技術の振興、人類の繁栄への寄与)
- 21世紀のパイロット・モデル都市の建設
(2)セカンドステージに向けての取り組みの方向
- 文化学術研究の中枢としての機能充実
- 新しい芸術文化創造、文化遺産の保存・活用の中枢の形成
- 国立国会図書館関西館等における機能の高度化
- 人類的課題の解決を目指す学術研究、新産業創出を支える連携の中枢の形成
- 先導的大学機能の実現に向けた取り組み
- 世界に開かれた文化学術研究交流の推進
- 文化面、新産業創出面での交流、連携及び研究交流システムの強化
- パイロット・モデル都市としての取り組み成果の発信
- 文化の薫る、住みよいまちづくりの推進
- 生活者、研究者の視点に立ったまちづくり
- 安全、快適で便利なまちと良質な住宅の供給と健全なコミュニティの形成
- 都市センターの形成、各地域の個性を活かした一体的なまちづくり
- 都市基盤及び情報・通信基盤の整備
- 公共交通ネットワークの形成(バス路線網、鉄道の利便性向上)
- 道路ネットワークの形成(広域幹線道路、クラスター間、鉄道駅とクラスター間等)
- 情報通信ネットワークの形成
- パイロット・モデル都市としての取り組み
- 生きがいを感じるまちづくり
- 環境と共生、調和するまちづくり
- 文化創造の中枢にふさわしい環境の整備
- 高度情報化を先導するまちづくり
- 国際交流モデル都市
- 生活者、研究者の視点に立ったまちづくり
(3)まちづくりに取り組む体制と方策
- 推進体制の強化
- 本都市の住民及び研究者の参画を得つつ、今後とも産・学・官の各セクターの協調体のもとに推進
- 3府県、5市3町の広域的連携の一層強化が必要
- 段階的な都市建設の推進
- 既存の施設、組織の活用を優先し、必要が生じた時点で新たな施設整備に着手することが現実的な方向
- 都市の諸活動を支える基礎的な条件については、都市建設の各段階で確保されることが必要
4 キャッチフレーズについて
推進委員会において、答申のとりまとめと併せて本都市の将来像を表すキャッチフレーズを、以下の通り決めた。
「 未来をひらく 新文化首都 けいはんな 」
Challenging the Future... the New Cultural Capital, Keihanna