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下水道

現行下水道法制定以降

 

1.現行下水道法の制定

昭和33年の下水道法改正では、旧下水道法の抜本的改正が行われた。この改正によって、「都市環境の改善を図り、もって都市の健全な発達と公衆衛生の向上に寄与する」ことを目的として合流式下水道を前提とした都市内の浸水防除、都市内環境整備に重点が置かれることとなったが、この時点ではまだ公共用水域の水質保全の項は設けられなかった。

昭和30年代に始まる河川の汚濁は、全国主要都市内の河川から都市近郊の河川にまで予想以上に速く広がり、政府としてその対策が急がれた。このような背景から、昭和45年の下水道法の改正に際し、「公共用水域の水質の保全に資する」という一項がその目的に加えられ、ほぼ今日の下水道法の体系ができ上がった。

汚染された河川
汚染された河川

昭和33年から45年までは、都市環境の改善に向けての下水道の整備拡充体制を整えるとともに、新たに水質保全の使命に応える体制を作った時代であり、昭和45年以降は水質保全の位置づけが高まり、流域下水道事業の創設など法体系や事業制度が整い、事業が急速に進展した。その後も、下水道を取り巻く状況の変化に対応すべく、下水道法の改正が行われている。

○平成8年6月

高度情報化社会に対応して、下水道管内部に光ファイバー等を敷設させることを可能にするとともに発生汚泥等について脱水、焼却、再生利用等による減量化努力を下水道管理者に義務づけ。

○平成11年7月

地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律の成立に伴い、公共下水道に係る事業計画の認可の一部等を建設大臣から都道府県知事に委譲。

○平成15年9月

施設の構造基準の明確化、合流式下水道の改善、計画放流水質等について規定。

○平成17年6月

高度処理による閉鎖性水域の水質の改善、広域的な雨水排除による推進対策の推進、下水道への有害物質又は油の流入事故対策の推進(事故時の措置の義務づけ)。

また、都市における浸水被害の頻発を受け、河川管理者、下水道管理者および地方公共団体が一体となった浸水被害対策を講ずるため、平成15年6月に特定都市河川浸水被害対策法が制定された。

2.水質汚濁防止行政の動き

昭和33年には公共用水域の水質の保全に関する法律(水質保全法)と工場排水等の規制に関する法律(工場排水法)の2法が制定されたが、排水基準の設定、違反者に対する措置などの規定は不充分であった。しかしながら、水質保全法において、工場排水と家庭下水の両方により汚濁している河川を対象として都市河川汚濁防止計画を定め、所定期日までに下水道処理場を建設し良好な処理水を放流することを求める規定が置かれたことは下水道にとって画期的なことであった。すなわち、都市環境の整備のみならず、河川の水質保全にも対応することが求められることとなった。

昭和42年には公害対策基本法が制定され、環境基準が定められるようになった。そして昭和45年の公害国会において水質汚濁防止法が成立し、水質汚濁に関する排水基準の設定や下水道が特定事業場として取扱われることになったこと等により、下水道の水質保全に果たす役割が拡大し、かつ責任が増大した。さらに昭和53年に、総量規制制度が導入されるなど、下水道が水質保全に果たすべき役割はいよいよ重要となってきた。また、昭和59年に、湖沼水質保全特別措置法が制定され、下水道が重要な施策として位置付けされている。平成5年11月には公害対策基本法に代わり、環境基本法が制定された。また、よりおいしい水・安全な水の確保が求められる中、平成6年3月には水道水源の観点に絞った水質保全を目的とする「水道原水水質保全事業の実施の促進に関する法律」と「特定水道利水障害の防止のための水道水源水域の水質の保全に関する特別措置法」が制定され、下水道事業の推進が生活排水対策の中心として位置付けられている。

下水道の役割の変遷
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