横浜地方裁判所は、大正12年(1923年)の関東大震災で既存庁舎が倒壊焼失しましたが、復興事業の一環として昭和5年(1930年)に再建されました。
戦前に施行された陪審制度、BC級戦犯裁判を始めとした裁判の歴史を伝える唯一の裁判所となっていましたが,裁判所業務の増加に伴い狭隘化が進んだため、横浜簡易裁判所との集約化による国有地の有効利用を図る整備を行い、横浜地方・簡易裁判所として平成13年(2001年)に竣工しました。
裁判所の機能上、大空間が必要とされ、構造的にそのままの状態で保存・活用することが困難だったため、建物すべてを解体しました。整備にあたっては、周囲の歴史的景観に配慮するため、日本大通り(※)に面する部分を創建当時に近い状態に復元するとともに、装飾や工作物、石材など再利用できる部材を可能な限り保存・活用しています。
平成10年度には、横浜市認定歴史的建造物に認定されました。
※日本大通りは、慶応2年(1865年)の大火災を契機に、日本人街と外国人居留地を区分する防火帯を兼ねた街路として計画し、整備された全長約430mの道路です。 沿道には神奈川県庁本庁舎や横浜情報文化センター(旧横浜商工奨励館)などの歴史的建造物が集積しており、開港以来の歴史をしのばせる街路景観を形成しています。(横浜市H.P「日本大通りの沿革」より引用)
創建当時の名称 : 横浜地方裁判所
所 在 地 : 神奈川県横浜市中区
構 造 ・ 規 模 : 鉄筋コンクリート造 地上3階(一部4階)
原 設 計 者 : 大蔵省営繕管財局(小野 武雄、保岡 豊)
竣 工 年 : 昭和5年(1930年)
保 存 方 法 : 外観を復原・保存
そ の 他 : 改築後 鉄骨造 一部鉄筋コンクリート造 地上13階、地下2階
横浜市認定歴史的建造物(平成10年度)