3.国際旅客輸送の状況
(1)航空輸送と海上輸送の状況
 我が国と諸外国との間の国際旅客輸送は、ほとんどが航空輸送により行われている。12年の日本人海外旅行者の出国状況及び入国外国人の入国状況を見ると、総数2,309万人のうち2,269万人、全体の98.3%が航空機を利用している。
 海上輸送は、韓国、中国等近隣諸国との間の定期旅客航路及び外航クルーズ船等により行われており、12年は、40万人、全体の1.7%が、船舶を利用している(表1-3-11)。

表1-3-11 出国日本人及び入国外国人における航空輸送及び海上輸送の利用状況

2)国際航空旅客の空港利用状況
 航空機を利用した日本人海外旅行者の出国状況及び入国外国人の入国状況を空港別に見ると、12年は、成田空港及び関西国際空港の利用者が1,766万人であり、航空機利用者全体の約76.5%を占めている。名古屋空港、福岡空港及びその他の地方空港の利用者は543万人、約23.5%となっている。地方空港の国際化により、近年、地方空港における出入国者数は増加しているが、シェアで見ると、成田及び関西国際空港の2大空港に集中している状況は継続している。

3)最近の旅行業と航空企業の動向
1旅行業
 旅行商品の価格競争が一層進展する中で、国内旅行市場は依然として低迷状況が続いており、また、海外旅行市場は旅行者数が回復傾向を示しているものの、海外旅行取扱額は減少しており、多くの旅行業者は減益の傾向にある。
 このような経営情勢に対応するため、新聞広告販売、コンビニエンスストアでの旅行商品の販売の強化等に努めている。また、10年4月からインターネットによる旅行商品取引が導入されており、旅行業界においても、インターネットの利用が浸透してきている。
 また、個人旅行、小グループ旅行に的を絞ったテーマ性のある旅行商品を地方公共団体、観光関連産業等との連携により企画、提供し、顧客の掘り起こしによる収益の確保に努力している。

2航空企業
 航空分野においては、国内航空における路線参入規制の緩和、国際航空における本邦企業の参入及びコードシェアを始めとする国境を越えた航空企業間の提携の動きの活発化、運賃・料金の多様化・低廉化等の結果、全体としては、航空需要は拡大傾向にある。
 なお、平成12年12月には、国内航空分野における需給調整規制の廃止、運賃・料金の事前届出・変更命令制への移行等を柱とした改正航空法が施行されたが、これに伴い、利用者のニーズに対応した様々な運賃・サービスが出現してきている。