第3節 日本のPR活動・国際交流事業の積極的展開

  1. 国際観光振興会による広報・宣伝活動
     外国人旅行者の訪日を促進し、我が国の実情について理解を深めてもらうとともに、国民レベルの国際交流を盛んにすることが、国際相互理解と国際親善を深めていく上で重要であるため、国際観光振興会を通じて海外広報・宣伝活動を実施している。
     国際観光振興会は、世界の主要都市に配置された海外観光宣伝事務所(表3-3-1)も活用しながら、在外関係機関、地方公共団体、関係業界はもとより、隣国政府観光機関等と協力しながら、積極的に以下の観光プロモーション活動を行っている。

    表3-3-1 国際観光振興会海外観光宣伝事務所(14カ所)の配置状況

    (1)一般旅行者に対する宣伝活動
    1観光促進展等の開催
     海外観光宣伝事務所は各種行催事に合わせ、一般旅行者に対する独自の宣伝活動を行っている。ニューヨーク・ブルックリンの「さくら祭り」及び英国サセックスの「ジャパン・デー」における旅行デスクの設置、また、カナダにおける日本を取材した著名なジャーナリストによる講演会の実施により日本の魅力を紹介した。

    2 海外における観光展等への参加・協力
     日本の観光宣伝を効果的に行うため、韓国国際観光展(KOTFA)、香港国際旅行博(ITE)、米国旅行業協会(ASTA)世界大会トレードショー、中国国際旅遊交易会(CITM)、台北国際旅行博(ITF)、ワールドトラベルマーケット(WTM)、ベルリン国際旅行見本市(ITBベルリン)、シンガポール国際旅行見本市(NATAS TRAVEL)など海外の有力な国際旅行見本市への出展等を通じて日本の観光魅力の紹介を行った。

    中国国際旅遊交易会(CITM) 

    ベルリン国際旅行見本市(ITBベルリン) シンガポール国際旅行見本市(NATAS TRAVEL)

    3各国の有力紙、テレビ等を通じた広報活動
     各国の有力紙、テレビ等を通じた広報活動を行い、効果的な外客誘致を促進するため、日本の地方の観光魅力の紹介、日本人及び日本文化とのふれあいなどの紹介、低廉旅行の紹介を行っている。
     また、韓国、中国、香港、北米及び英国市場を対象にマスコミを利用したキャンペーンを行った。 

    2)旅行業者・報道関係者等に対する宣伝活動
    1外国の旅行業者に対する広報活動
     国際観光振興会は、外国人旅行者が利用する自国の旅行業者、航空会社等に対して積極的に我が国に関する情報を提供し、日本への旅行商品の開発を促進している。
     また、世界の主要都市において、旅行業者又は一般を対象に、ビデオ・スライド等を活用して日本の観光魅力と最新の旅行情報等を紹介するトラベル・セミナーを開催している。12年度においては、各海外観光宣伝事務所主催のセミナーを多数開催するとともに、米州、欧州、豪州では近隣アジア諸国との共同セミナーを行った。また、地方公共団体及び旅行関連業界との共催により、現地の有力旅行業者を対象とした「訪日旅行促進セミナー」も開催している。
     さらに、地方公共団体等との連携の上、海外の有力旅行業者の商品企画担当者を招請し、訪日旅行の商品化を促進する「訪日ツアー開発事業」を実施した。

    2外国報道関係者の招請、取材協力
     外国報道関係者等を我が国へ招請し、その取材協力を行うことは、各国に対し日本の観光魅力の紹介、対日理解の増進を図る上で極めて効果的である。このような観点から12年度も、外国報道関係者等を多数我が国へ招請し、その結果、諸外国の新聞、雑誌、テレビ、ラジオ等を通じて日本紹介の報道が行われた(表3-3-2)。

    表3-3-2 国際観光振興会の招請及び取材協力による日本紹介報道の一例

    3国際観光テーマ地区の重点的海外宣伝の実施
     国際観光振興会は、「新ウェルカムプラン21」及び「外客誘致法」に基づいて指定された国際観光テーマ地区への訪日旅行の促進を図るため、急増しているアジア地域を重点的に観光プロモーション活動を実施している。
     12年度においては、国際観光テーマ地区地方推進協議会メンバーと共同して次の事業を実施した。7月及び13年2月に台湾報道関係者を南東北国際観光テーマ地区へ招請し、9月には韓国から旅行業者および報道関係者を北東北国際観光テーマ地区へ招請した。また、11月に北海道観光促進ミッションを韓国に派遣しセミナー・商談会を実施した。

    韓国アウトバウンドセミナー

    3)多様な媒体による宣伝活動
    1宣伝印刷物の作成、配布
     宣伝印刷物としては、一般的な日本案内、地域別案内、宿泊施設案内等の各種パンフレット、地図等を作成し、各海外観光宣伝事務所を通じて、広く配布している。

    2観光宣伝ビデオの作成と上映
     観光宣伝ビデオは、海外各地で開催されるイベント、セミナー、博覧会など各種の行事で上映するほか、CD-ROM版を作成し、航空会社、旅行業者、学校、一般団体への貸出、テレビ放映等に幅広く利用されている。12年度においては、欧米向け及びアジア向けの新作ビデオを作成した。訪米向けには個人旅行者を対象に日本の伝統的な側面を重視し、アジア向けには若者が楽しめる躍動的な側面を強調したものを作成した。

    3インターネットによる海外への情報提供
     マルチメディア時代に対応し、外国人旅行者向けに最新の日本旅行情報を発信するため、インターネットを活用した英文による観光情報の提供を引き続き実施した(名称「JAPANTRAVELUPDATES」、アドレスhttp://www.jnto.go.jp/)。
     なお、「JAPANTRAVELUPDATES」は12年3月より次世代観光情報基盤整備事業として全面再構築した。さらに13年3月からは英語に加えて韓国語、中国語(簡体字・繁体字)による情報提供を行っている。

  2. 在外公館等による日本の紹介活動
    (1)在外公館

     世界にある203(13年1月現在)の在外公館(大使館、総領事館、代表部)は、それぞれ正しい対日理解の増進のため様々な努力を行っており、特に表3-3-3に記載した地域に「広報文化センター」(30か所)を設置し、我が国の政策、一般事情及び文化の紹介活動を活発に行っている。在外公館による日本の紹介活動は外国人の訪日促進にも貢献するものであり、また、外国人の訪日促進は当該国における正しい対日理解の増進にも貢献するものである。在外公館では政府各機関及び関連団体等とも連携しつつ、訪日促進の重要性をも念頭に我が国の紹介活動を行っている。その概要は、次のとおりである。

    表3-3-3 広報文化センターの配置状況

    1紹介
     在外公館長(大使、総領事等)や館員が、テレビ・ラジオ出演、講演、新聞・雑誌への寄稿等を通じて日本社会の実情や政策について説明している。
     また、公演、展示等の様々な日本文化紹介事業を開催し、こうした機会に我が国の伝統及び現代文化等が総合的に紹介されるよう努めている。

    2広報資料
     印刷物資料としては、各種一般広報資料(我が国の政治・経済・社会・文化等様々な分野を紹介したもの)、政策広報資料(外交政策等に関し、我が国の立場を明らかにするもの)等を配布している。
     視聴覚関係資料としては、12年度末現在、広報映画・ビデオの各国語版や現代日本の素顔を紹介する「ジャパン・ビデオ・トピックス」(毎月)等を利用し、日本紹介に役立てている。
     在外公館では、これらの資料を活用しつつ、テレビ放映、各種イベントの場、あるいは教育の現場において、様々な日本紹介活動を行っている。

    3人物交流
     人物交流として、対日理解の増進を図るため、海外のオピニオン、TVチーム、報道関係者等、また、国際交流基金の事業として学者、文化人等を日本に招待して、我が国の実情を紹介するとともに各地の視察等に便宜を図り正確な対日認識の向上に努めている。
     また、日本の有識者を外国に派遣して、各種講演会やセミナー・シンポジウムの開催を実施・支援している。

    4ホームページ
     13年1月現在90の在外公館が、日本政府の施策に関する情報をはじめ、二国間関連情報、日本の文化、公館案内等の様々な情報を現地の言葉で紹介する独自のホームページを開設している。これら在外公館ホームページでは、外務省ホームページ
    (http://www.mofa.go.jp/)や日本の一般事情を海外向けに紹介する「ジャパン・インフォメーション・ネットワーク」(http://jin.jcic.or.jp/)等の既存のホームページとも連携しつつ、対日理解の増進に努めている。

    2)国際交流基金
     国際交流基金では、我が国に対する諸外国の理解を深め、国際相互理解、国際友好親善を促進するため、人物交流、海外における日本研究・日本語教育の支援、芸術交流、出版交流、映像交流など様々な分野にわたる事業を展開している。
     12年度には、九州・沖縄サミットの記念事業の一環として沖縄芸能団をサミット参加国に派遣したほか、宮内庁雅楽部の欧州・エジプト巡回公演実施、日蘭交流400周年を迎えたオランダにおける「日本とオランダの出会い展」、シドニーオリンピック芸術祭の一環としての日本のアニメーション上映会「JAPANIME」やパリにおける「萩焼400年展」の開催等、様々な日本紹介事業などを展開した。
     また、13年に実施される「横浜トリエンナーレ2001」の公式ホームページ、日韓の文化交流事業に関するホームページ「日韓交流通信」(日本語・韓国語)を開設する等、インターネットを通じた情報発信の拡充にも努めている。

    3)国際博覧会
    ハノーバー国際博覧会
     ハノーバー国際博覧会は、平成12年6月1日から10月31日までの153日間、ドイツ連邦共和国ニーダーザクセン州ハノーバー市において、「人―自然―技術(Humankind-Nature-Technology)」をテーマに、旧博覧会条約に基づく一般博覧会として開催した。
     この博覧会は、平成4年の国連環境開発会議(リオ地球サミット)での宣言「持続可能な開発(Sustainabledevelopment)」のコンセプトを基本とし、地球的規模の諸課題に取り組む問題解決型の博覧会として企画された。日本政府は、その趣旨に賛同し、平成9年2月の閣議了解により公式参加を決定した。
     我が国は、博覧会史上初めてパビリオンを「再生紙」で建築した。それは、世界最大の「紙の構造物」であるとともに、博覧会の終了後は大半の構造材を再利用できるなど、リサイクルへの積極的な取組みをアピールするパビリオンであった。

    ハノーバー国際博覧会(日本館)

    4)国際放送等
    1国際放送
     我が国の国際放送には、日本放送協会(NHK)が「ラジオ日本」の名称で行っている短波国際放送と、NHKが世界のほぼ全域において1日24時間実施する映像国際放送(NHKワールドTV)がある。
     これら国際放送は我が国の文化、産業その他の事情を紹介して我が国に対する正しい認識を培い、国際親善の増進、経済交流の発展等に資するとともに、在外邦人に対して適切な情報を提供することを目的としている。
     また、特にアジア太平洋地域及び北米地域における対日理解の促進のため、放送衛星を用いた政府広報番組の映像国際放送を行っている。

    2放送番組交流促進事業
     日本の放送番組を開発途上国向けに翻訳する事業を(財)放送番組国際交流センターを通じ支援している。同センターでは、テレビ番組の吹替えや国際番組ライブラリーの構築・運用等により、放送番組に係る国際交流を促進し、もって我が国と諸外国との相互理解の増進及び開発途上国を始め世界の放送の発展に寄与している。

  3. 青少年交流事業
     次代を担う青少年の交流は、相手国との相互理解、友好親善に役立つことから、各国との青少年交流事業が実施されている。

    (1)修学旅行
     近年、海外への修学旅行を実施する学校は増加傾向にあり、12年度においては、韓国、中国、米国等へ延べ1,141校18万7千人が実施しており、前年度に比べ、校数で7%、人数で10%の増加となった((財)日本修学旅行協会調べ)。

    (2)ワーキング・ホリデー
     我が国は現在、オーストラリア(1980年〜)、ニュー・ジーランド(1985年〜)、カナダ(1986年〜)、韓国(1999年4月〜)、フランス(1999年12月〜)、そしてドイツ(2000年12月〜)との間でワーキング・ホリデー制度を実施している。
     ワーキング・ホリデー制度とは、二国間の取決めに基づき、相手国の18歳から25歳(国により30歳まで認められる。)までの青少年を対象として、相互の文化及び生活様式を理解するための広範な機会を提供するため、最長1年間の休暇を主たる目的とした滞在と、その間の滞在費を補うための就労を認める制度である。
     なお、本制度の利用を希望する者は、希望渡航先国の大使館又は領事館からワーキング・ホリデー査証の発給を受ける必要がある。近年ワーキング・ホリデー査証の発給実績は表3-3-4のとおりである。

    表3-3-4 ワーキング・ホリデー査証発給実績