第1節 国・地方公共団体等の連携施策の展開

第1節のポイント
 国内の観光の再生に向けた取組みとして、国・地方公共団体等の連携により、「広域連携観光振興会議(WAC21)」、「旅の総合見本市(旅フェア2000)」を開催するとともに、地域伝統芸能等の活用等を通じた地域観光の活性化に努めている。

  1. 広域連携観光振興会議(WAC21)の開催
     21世紀に向けた観光の新しい課題に対応していくため、「広域連携型」、「地方主体型」及び「イベント連携・実体験重視型」の方式による地方ブロック単位の会議を開催し、広域での観光振興を図っている。13年2月には、前年の北陸ブロックに引き続き、第3回目の広域連携観光振興会議が南九州ブロック(熊本、宮崎及び鹿児島の3県)において開催され、「南九州三県広域観光共同宣言」がなされた(図4-1-1)。 南九州WAC21

    図4-1-1 広域連携観光振興会議(WAC21)開催状況

  2. 地域伝統芸能等を活用した観光の振興
     地域伝統芸能等(地域の伝統的な芸能及び風俗慣習)は、地域固有の歴史、文化等を色濃く反映したものであり、これを活用することは地域の特色を生かした観光の振興を図るために極めて効果的である。そのため、「地域伝統芸能等を活用した行事の実施による観光及び特定地域商工業の振興に関する法律」に基づき、都道府県が策定する基本計画(13年3月現在、21府県が策定済)に沿って実施される地域伝統芸能等を活用したイベントに対して支援が行われている。
     また、「第8回地域伝統芸能全国フェスティバル」が12年8月北海道旭川市で開催されたほか、地域伝統芸能等を海外においても披露し、観光客の誘致に努めている(表4-1-1)。
    第8回 地域伝統芸能全国フェスティバル(北海道旭川市)

    表4-1-1 地域伝統芸能全国フェスティバル開催状況

  3. 広域観光テーマルートの整備
     点在する観光資源について、共通のテーマのもとに連携を図り、広域化・ルート化した魅力ある観光ネットワークを創出し、もって交流人口を増加させ地域の振興を目的とした「広域観光テーマルート」事業を行い、全国1か所で整備が行われている。

  4. 旅の総合見本市(旅フェア2000)の開催
     国内旅行の促進と旅行を通じた交流人口の増大による地域の活性化を図るため、送客側と受入側の地方公共団体と観光産業とが協力し、首都圏の消費者をターゲットに新しい国内旅行の提案、旅についての総合的な情報の発信と交流、旅の魅力をアピールする展示と実演等を行う旅のイベントとして「旅フェア2000」が平成12年4月19日から5日間にわたり幕張メッセにおいて開催され、約26万人の入場者があった。 旅フェア2000(千葉県千葉市)

  5. 北海道の観光振興策の推進
    (1)北海道の観光の現状

     北海道は、豊かな自然、新鮮な味覚など多彩な観光資源を有し、また、各種の体験型観光、アウトドア活動に係る施設の充実、イベントの開催などにより、観光地として国民にくつろぎの場を提供している。
     平成12年の来道者数は、前年比で52万人減の1,297万人(前年比3.9%減、北海道観光連盟調べ)と、3月の有珠山噴火の影響等により減少した。
     また、海外からの来道観光客については、北海道への関心が高まっている韓国、台湾などの東アジアを中心に増加傾向にある。

    2)北海道における観光振興策の展開
     10年4月に閣議決定された第6期北海道総合開発計画においても、観光関連産業は地域経済を支える重要な産業として位置づけられており、政府の観光振興策としては、観光基盤の整備、観光資源情報ネットワークの充実、アウトドア活動に資する施設整備や農山村における自然体験型活動等の積極的支援により、北海道の特色を生かした観光振興の支援を行っている。
     また、北海道観光プロモーション協議会による観光宣伝誘致等の事業展開や、12年3月に発生した有珠山噴火に伴う観光産業への影響を解消するため、「ガンバル フンバル 北海道」キャンペーンの実施等の被災観光地の復興への取組みが行われているほか、11年11月に設立された「北海道の観光を考える百人委員会」においても観光振興のための取組みが行われている。

  6. 沖縄の観光振興策の推進
    1)沖縄の観光の現状
     沖縄県は、我が国唯一の亜熱帯・海洋性気候風土のもと、恵まれた自然景観と独特の伝統文化や歴史など魅力的な観光・リゾート資源を有していることから、観光客数は高水準で推移している。
     平成12年度には、沖縄振興の観点から、11年7月より本土・沖縄路線に係る航空機燃料税の特例措置の拡充(税率を本則3/5から1/2に軽減)が行われており、同路線の航空運賃の引き下げが実施されたこと、地元観光関連業界と行政が一体となった積極的な誘客プロモーション等のプラス面があったものの、九州・沖縄サミット開催時に沖縄本島内の移動の制限等を見込んだ需要減少にあわせた航空各社の減便、台風等の影響による天候不順による航空機等の本土―沖縄本島間の運休が例年以上に多かったこと等のマイナス面の影響が大きく、前年比で約4万人減の約452万人(前年比0.8%減、沖縄県調べ)と微減となったが、2年続けて450万人以上を記録している。
    万国津梁館(沖縄県)

    2)沖縄の観光振興策の展開
     観光産業は、沖縄県の基幹産業の一つであり、今後の一層の成長とともに、雇用面での効果も期待されている。
     そのためには、観光関連施設の充実を図るための設備投資を積極的に支援し、沖縄観光の魅力を増すことが必要であることから、平成10年3月に沖縄振興開発特別措置法等を改正し、
     1  スポーツ・レクリエーション施設やショッピングモール等について、税制上の特例措置を講ずる観光振興地域制度
     2  観光客が出域する際に関税相当額を差し引いた価格で輸入品を購入できる沖縄型特定免税店制度
    を創設した。
     観光振興地域については、平成11年12月に8地域、平成12年8月に1地域の計9地域が指定された。
     沖縄型特定免税店制度については、平成11年10月に那覇空港国内線旅客ターミナル内の2ケ所が指定され、同年12月、特定免税店が営業を開始した。
     また、沖縄の観光振興に資するため、国営沖縄記念公園などの観光拠点の整備を進めるとともに、観光地間のネットワークを形成する道路整備など関連のインフラ整備を引き続き着実に推進している。