2.公的観光レクリエーション施設等の整備
(1)オートキャンプ場と旅行村等の整備
1 オートキャンプ場
 近年、観光・余暇活動として、オートキャンプの人気が高まってきている。オートキャンプは、キャンプ本来の自然とのふれあいを、自動車を利用することにより、より手軽に味わえるものであり、急速に普及してきている。
 これに対し、オートキャンプ場の整備が鋭意進められており、国の様々な支援の下、公的資金や公共用地を活用し施設の整った快適なキャンプ場の整備が活発に行われている。

  ア.自動車旅行拠点(家族キャンプ村)
 国の補助事業として地方公共団体が主体となって整備するものであり、豊かな自然の中でオートキャンプ施設を中核とし、周辺の観光レクリエーション施設や観光資源、自然・文化資源と有機的に連携し、自然環境保全に十分配慮しつつ整備を推進するものである。
 12年度で整備済又は整備中のものは16か所となっている(図4-4-1)。

図4-4-1 自動車旅行拠点全国配置図

  イ.自然体験滞在拠点
 国立・国定公園の優れた自然の中において、家族連れ等が自然体験等を通じて自然とふれあい、自然から学ぶ機会が得られるような場を創出し、あわせて自然保護に対する理解・認識を深めていくため、ふれあい自然塾の整備を行った。

  ウ.都市公園におけるオートキャンプ場
 21世紀の初頭までに地方生活圏ごとに1か所以上の質の高いオートキャンプ場を整備することを目標とし、都市公園の体系的整備をいかしてネットワーク化を図るもので、各地方ブロックごとに策定するオートキャンプ場ネットワーク計画に基づいてその整備を推進している。

  エ.北海道オートリゾートネットワーク構想関連施設
 北海道の雄大な自然を生かし、本格的なオートキャンプ場を核とする複合的なレクリエーション施設を北海道内に配置することにより、車社会に対応した新しいリゾートづくりを目指す「オートリゾートネットワーク構想」の推進を図った。
 なお、11年度は約29万人が利用している。

2 旅行村と保養地
  ア.家族旅行村
 主として家族が恵まれた自然の中で手軽に利用できる観光レクリエーションの場を確保するとともに、併せて地域の振興に資することを目的に、国の補助事業として、地方公共団体が主体となって、キャンプ場等の中枢的レクリエーション施設を中心に宿泊・休養施設、運動施設等の関連施設を整備したものであり、利用状況は表4-4-1のとおりである。

朝日山麓家族旅行村(山形県)

表4-4-1 家族旅行村利用者数の推移

  イ.青少年旅行村
 青少年の健全な旅行の促進を図るため、国の補助事業として地方公共団体が主体となって自然に恵まれた地域にキャンプ場等の野外レクリエーション活動のための施設を整備したものであり、11年度は約117万人が利用している。

  ウ.国民休暇村
 国立・国定公園の自然環境の優れた休養適地に低廉で健全な宿泊施設を始め、自然に親しむための各種の施設を総合的に整備するものであり、11年度は428万人が利用している。

  エ.大規模年金保養基地
 大規模年金保養基地は、厚生年金保険等年金受給権者が心豊かな老後生活を送るための場を提供するとともに、年金加入者等にとっても健全で有効な余暇利用を図るため、宿泊施設、教養文化施設、保養施設を組み込んだ総合施設として整備され、全国に11基地13か所が設置され、平成12年5月末現在12か所が運営されている(図4-4-2)。

図4-4-2 大規模年金保養基地全国配置図(平成13年3月現在)

 なお、11年度では202万人が利用している。

  オ.国民保養温泉地
 温泉利用の効果が十分期待され、健全な保養地として大いに活用される場を「温泉法」に基づいて環境大臣が指定した温泉地である。12年12月末現在、88か所、1万5,458.95ha(関係市町村96)を指定し、11年度における年間延宿泊利用者は1,310万人を数えている。

2)農山漁村地域におけるレクリエーション地区等の整備
1都市と農山漁村との交流
  ア.過疎地域滞在施設整備モデル事業実施地区
 国の補助事業として、地方公共団体が主体となって、過疎地域の有する優れた自然環境や景観等の地域資源を有効に活用し、手軽に利用できる宿泊施設やスポーツ・レクリエーション施設等の滞在利用型施設整備をするものである。
 12年度は、新たに福岡県星野村等6地域で整備を進めた。

  イ.自然休養村等
 国の補助事業として地方公共団体等が主体となって、都市生活者等が農山漁村の豊かな自然と農林漁業に親しみつつ休養する場として体験農園、交流拠点施設等を、12年度は25地区で整備した。

  ウ.森林とのふれあいの場
 森林とのふれあい体験を通じて都市と山村との交流を推進するため、基本構想策定、様々な体験の機会を提供するプログラムの作成や指導者の養成、ホームページによる情報提供等を支援する事業を実施した。

  エ.都市山村交流促進対策実施地域
 自然とのふれあいの場として森林を活用し、都市と山村の交流の場の整備等を図るため、森林内に体験・学習の場、交流拠点等の整備を行う「都市山村交流促進対策」を実施した。

  オ.ホーストレッキング用馬の道
 乗馬の人気が高まる中でホーストレッキングが注目されていることから、容易にホーストレッキングのできる馬の道の確保が必要となる。
 12年度は、北海道の上川地方や網走、釧路地方などで馬の道整備と農業関連施設の活用に関する諸課題について調査を実施した。

2 グリーン・ツーリズム
 農山漁村地域において、その自然、文化、人々との交流を楽しむ滞在型の余暇活動であるグリーン・ツーリズムの推進を図るため、都市農村交流対策事業を創設し、全国段階における推進体制の整備やグリーン・ツーリズムの実践に対する支援を実施した。
 「農山漁村滞在型余暇活動のための基盤整備の促進に関する法律」に基づく農林漁業体験民宿の登録軒数は、12年12月現在724軒となっている。

3子ども長期自然体験村
 農家やユースホステル等において、子どもたちが夏休みに2週間程度の長期間宿泊して、自然体験、農作業等の勤労体験、環境学習、地域の伝統行事への参加、レクリエーション等を体験する機会を提供する「子ども長期自然体験村」事業を全国70か所で実施した。

3)森林・公園等を活用したレクリエーション施設等の整備
1森林
  ア.森林の総合利用の推進
(ア) 森林の新たな利用の推進
 平成14年度からの完全学校週5日制に向けて、子どもたちが森林と出会い、地域の文化を学び、森林に興味を持ちながら様々な体験活動を行う機会を広く提供する「森の子くらぶ活動推進プロジェクト」を実施した。
 また、森林とのふれあい体験を通じた森林環境教育に関するプログラムの作成と普及、全国シンポジウムの開催、森林・林業関連ホームページによる情報の受発信を実施した。
 さらに、高齢化が進む中で、森林浴等健康づくりの場としての森林の利用を推進する観点から、年齢や障害の有無にかかわらず、利用者の体力等に応じた形で森林とのふれあいを体験できるような森林・施設設計の考え方としてユニバーサルデザイン手法の普及を図った。

(イ) 里山林等の保全・整備・利用
 身近な里山林や都市近郊林は、生活環境を保全し地域独自の景観を形成するとともに、二次的な自然に適応した生物の生育・生息環境の場、森林環境教育の場、地域住民の参加による多様な活動の場などの役割を発揮していくことが期待されているため、市町村、地域住民、森林所有者等の連携・協力による住民参加型の森林整備や体験型の利用活動を支援する事業を実施するとともに、里山林等の機能強化を図るための森林整備を実施した。

(ウ) 森林空間の整備
 新たな森林利用に向けた森林の整備を推進するため、森林環境教育、健康づくり等の促進の観点から、教育関連施設・健康増進施設等と連携を図った森林整備を推進する森林空間総合整備事業を実施し、12年度は、群馬県太田市等26地域の整備を継続するとともに、新たに石川県白峰村等34地域の整備に着手した。
 また、都市等における居住地周辺の森林又は沖縄県内の荒廃した森林等が所在する地域において防災、景観、森林とのふれあい等に配慮して森林の整備等を行う居住地森林環境整備事業を実施し、12年度は、石川県金沢市等8地域の整備を継続するとともに、静岡県富士市等25地域の整備に着手した。

  イ.保健保安林等
 都市近郊等にあって特に風景等が優れ、自然探勝、ハイキング、キャンプ等の森林レクリエーション利用に供することなどを目的とする森林については保健保安林として、名勝、旧跡の風致の保存を目的とする森林については風致保安林として、12年3月末現在併せて約66万haを指定している。
 また、保健保安林等の機能向上を図るため、12年度においては、森林の造成、改良等の整備を行う環境保全保安林整備事業を221地区実施するとともに、指導標、説明板、自然観察歩道、給排水施設等の整備を行う保安林整備事業を24か所実施した。

  ウ.レクリエーションの森等
(ア) レクリエーションの森
 国有林野においては、自然休養林、野外スポーツ地域、自然観察教育林等をレクリエーションの森として、1、267か所約41万haを選定し、スキー場、野営場、園地等の整備を行った。

(イ) ヒューマン・グリーン・プラン
 国有林野内の自然景観が優れ、野外スポーツ等に適した森林空間について、民間能力を活用しつつ、休養施設、スポーツ又はレクリエーション施設、教養文化施設等を総合的に整備し、人と森林とのふれあいの場を創造するヒューマン・グリーン・プラン(森林空間総合利用整備事業)を推進しており、12年度末現在の指定箇所は29地域である。

(ウ) ふれあいの森
 国民が中心となった森林の整備等の活動の場として「ふれあいの森」の設定を推進した。

2 公園
  ア.自然公園におけるレクリエーション地区等
(ア) 自然公園核心地域総合整備
 国立・国定公園の核心地域において、我が国を代表する優れた自然の保全や復元のための整備を一層強化するとともに、より快適な利用を確保するため自然環境保全修復事業、利用拠点整備事業等を行うものである。
 12年度においては、中部山岳国立公園上高地地域等8地域の整備を引き続き行った。

(イ) 自然学習歩道
 自然豊かな国立・国定公園内の自然学習に適した地区等をフィールドとし、効果的に学習できる施設を有した「自然学習歩道」を整備し、自然史を軸とする自然学習を推進する。平成12年度は、阿蘇くじゅう国立公園南阿蘇地区など5か所の整備に着手した。

(ウ) ふれあい自然塾
 国立・国定公園内において、大自然の中における自然を生かして遊びや冒険、学習やゆとりのある滞在生活等を通じて、誰もが親しみやすい形で自然に学ぶことができる場を提供するための中核的拠点として、ふれあい自然塾の整備を推進した。

(エ) ふるさと自然公園国民休養地
 都道府県立自然公園内で、都市近郊の住民が積極的に自然に働きかける活動を通じてより深く自然とふれあい、自然と人間との調和の在り方を身につけることに重点を置き整備する地域であり、都道府県が環境省の承認を受けて博物展示施設(ふるさと自然公園センター)、園地、野営場、歩道等必要な施設の整備を行うものである。12年度は、3地区において整備を進めた。

(オ) エコ・ミュージアム
 国立・国定公園の主要利用拠点において、子供達を始めとする公園利用者が、生き物や自然の植生などとふれあい自然を学ぶことのできる中核施設としてエコ・ミュージアムセンター、駐車場、歩道、自然観察施設等を整備するものである。
 12年度においては、阿寒国立公園阿寒湖畔地区など3か所の整備を進めた。

  イ.都市公園等
(ア) 都市公園
  1. 概説
     都市公園は、良好な都市環境を形成し、都市公害を緩和し、災害時には避難地又は避難路として機能するとともに、スポーツ、文化活動、レクリエーションの場を提供するなど多様な機能を果たすオープンスペースである。また、都市公園は、人工的な都市景観に潤いを与え、樹林の保護や遺跡、文化財等の歴史的遺産の保存、都市における観光レクリエーション等に寄与する貴重な資源となっている。
     都市公園は、都市における基幹的公共施設として、「都市公園法」に基づき国又は地方公共団体が設置するもので、住区基幹公園、都市基幹公園、大規模公園、緩衝緑地、都市緑地、緑道、国営公園に分けられ、都市構造、誘致圏等を考慮し、計画的に配置、整備が行われている。
     都市公園等の整備については、その緊急かつ計画的な実施のため、「都市公園等整備緊急措置法」に基づき、都市公園等整備五箇年計画を策定し推進してきたところであるが、その整備水準は欧米諸国に比較して極めて低く、今後とも計画的な整備を推進していく必要がある。
     12年度は、第6次都市公園等整備七箇年計画の5年度として都市環境の保全・改善や自然環境との共生、広域レクリエーション活動や個性と活力ある都市、農村づくり等への対応を図るため、各種事業の推進を図った。
     また、2002年に開催されるワールドカップサッカー大会のスタジアムのうち8か所が都市公園施設であることから、大会に関連する公園整備を積極的に推進した。

  2. 国営公園
     国営公園は、一つの都府県の区域を越えるような広域的な利用に供すること並びに国家的な記念事業として、又は我が国固有の優れた文化的資産の保存及び活用を図ることを目的とし、高度なレクリエーション需要に対応した大規模で質の高い都市公園として、国が設置するものである。12年度は全国16か所を整備し、そのうち13か所で全園ないし一部開園している(図4-4-3)。

    滝野すずらん丘陵公園(北海道)

    図4-4-3 国営公園位置図

  3. 大規模公園
     大規模公園は、地方公共団体が設置する広域の利用に供することを目的とした都市公園であり、広域公園とレクリエーション都市とがある。
     広域公園は、地方生活圏等一つの市町村を越える区域を対象とするものであり、その規模は約50ha以上で、選択性・多様性に富んだ屋外レクリエーション拠点として整備するものである。また、レクリエーション都市においては、その核として大規模な都市公園の整備を進めている。
     12年度は123か所の公園において、用地の買収及び施設の整備を行った。

  4. その他の都市公園
     都市基幹公園は、地方公共団体が設置するもので、都市住民の休息、鑑賞、散歩、遊戯、運動等総合的な利用に供することを目的とする総合公園と、主として運動の用に供することを目的とする運動公園があり、用地の買収及び施設の整備を実施した。
     特殊公園には、風致公園、動植物公園、歴史公園等があり、施設の整備を実施した。
     その他、都市の自然的環境の保全及び都市景観の向上を図るため、都市緑地の整備を、また、都市の安全性の確保及び快適性を確保するため、緑道の整備を実施した。
     なお、各種施策に対応した特色ある都市公園等として、地域レベルでの市民の環境活動の拠点となる公園(環境ふれあい公園)、各年齢層が手軽に各種の運動が行える公園及び誰もが身近に健康運動を楽しめる施設を有する公園の整備(健康・運動施設整備事業)、公園施設のバリアフリー化や、福祉施設と一体的に整備する公園(いきいきふれあい公園)の整備を実施した。

  5. レクリエーション都市
     国の補助事業として地方公共団体が主体となり、官民協力方式による第3セクター方式により、レクリエーション施設をはじめとする各種公園施設を配置する都市計画公園を中核として、その利用に伴う宿泊・休養施設や、道路等の基盤施設を合わせて一体的に整備するものである。12年度は、引き続き奥只見及び熊野灘の全国2レクリエーション都市において整備を進めた。

(イ) 国民公園
 旧皇室苑地の皇居外苑、新宿御苑及び京都御苑については、国民公園として快適な利用に資するため、園内の清掃、芝生・樹木の手入れ等の諸措置を講じた。

(ウ) こどもの国
 児童の健全な育成を図るための総合的な施設であり、牧場、遊戯広場等の整備を行う。

4)自然体験施設の整備
1自然歩道
  ア.長距離自然歩道
 長距離自然歩道は、国民が自らの足で自然や史跡などを訪ねることにより健全な心身を育成し自然保護に対する理解を深めることを目的とするもので、自然公園や文化財などを有機的に結ぶ長距離にわたる自然歩道として、昭和45年度から整備を進めている。四季を通じて利用できるよう、また、安全で快適に利用できるよう配慮しつつ、整備を行っており、総延長は約2万1,000kmに及んでいる。
 12年度は、引き続き中部北陸自然歩道及び近畿自然歩道の整備を行った。また、老朽化した東海、九州、中国、四国及び首都圏の各自然歩道の施設について再整備を行った。なお、11年の利用者数は、4,090万人である。

  イ.ウォーキング・トレイル
 歩行者専用道路や幅の広い歩道等を整備する「ウォーキング・トレイル事業」を全国45か所で推進した。

2 大規模自転車道
 交通の安全を確保し、併せて心身の健全な発達に資する大規模自転車道の整備を推進した。

3 ふるさと自然ネットワーク
 自然と向き合いながら充実した時間を過ごしたいとの国民のニーズにこたえるため、トンボやホタルなどの小動物が生息する身近な自然環境を保全活用し、生き物とふれあい、自然の中で憩うことのできる場づくりを推進している。具体的には、多様なメニューの中から地域の実情に合った事業(1ふるさといきものふれあいの里、2ふるさと自然のみち、3ふるさとふれあい水辺、4ふるさと自然塾、5ふれあい・やすらぎ温泉地)を選定し、国民が自然との共生を実感できる「ふるさと自然ネットワーク」を整備するものである。

5)親水レクリエーション施設の整備
1河川周辺レクリエーション施設

  ア.河川周辺レクリエーション施設
 河川の源流から河口までの一貫した清流とのふれあいを取り戻すとともに、河川を野外学習や野外レクリエーションなどの場として整備し、さらに、河川を舞台とした清流ふれあい交流活動を推進した。
 また、河川の高水敷等を公園、緑地、運動場等に利用するための諸施設の整備を、河川環境整備事業(河道整備)により国の直轄事業として86河川、都道府県への補助事業として48河川で行った。
 さらに、河川利用の推進を図るため、河川環境整備事業(河川利用推進)を国の直轄事業として5河川で実施した。

  イ.山地渓流レクリエーション施設
 自然環境との調和を図りながら緑と水辺の空間を確保し、生活環境の整備を行うため、渓流において高水敷の整備、緑化等に加え、市町村が実施する野外活動拠点整備と一体となった渓流整備を実施した。また、良好な渓流を再生することを目的とした渓流再生事業を実施した。このほか、土砂災害の防止を図りつつ渓流の自然環境を保全する砂防事業を推進するため、「渓流環境整備計画」の策定を進めた。

  ウ.ダム周辺レクリエーション施設
 ダム貯水池周辺の環境を整備し、ダム貯水池の持つレクリエーション機能を発揮するため、江の川・土師ダム等継続事業17ダムについてダム湖活用環境整備事業を実施した。
 また、貯水池内の上流側に堆砂及び水質改善を目的とする貯砂ダムを設置することにより、常時一定水位で利用可能な湖面を創出するレクリエーション湖面整備ダム事業を浄土寺川・浄土寺川ダムにおいて実施するとともに、地方公共団体等が事業主体となるレストラン、キャンプ場等、ダム堤体や貯水池を利用したレクリエーション事業と一体となったレクリエーション多目的ダム事業を新湊川・石井ダム等4ダムにおいて実施した。
 さらに、地域の創意工夫を生かし、ダム湖を中心とした魅力的な余暇活動の場を整備することにより地域活性化を支援する「地域に開かれたダム」事業を実施した。

ダム周辺レクリエーション施設

  エ.遊漁等施設
 内水面漁業の振興と地域の活性化を図るため、水産資源の培養、生産基盤の整備等を計画的に推進する内水面環境活用総合対策事業の一環として遊漁等施設の整備事業を島根県頓原町等7地域で実施した。

2 海洋性レクリエーション施設
  ア.海洋性レクリエーション
 ゆとりある社会の形成に向けて、国民の健全な余暇需要に十分こたえていくため海洋性レクリエーションの振興に関して諸施策の充実を図ってきたが、特に1碧(あお)い潤い豊かな海洋環境の保全と創造、2身近で、楽しい場の充実、3「自ら守る安全の確保」の奨励、4地域性、多様性の推進、の四つの視点に重点を置いて施策を推進した。
 この方針によりプレジャーボート保管機能の充実、ウォーターフロント空間の魅力の増進、安全性の確保、情報提供体制の強化、クルーズ需要への対応等の施策を実施している。
 また、近年の水上オートバイ等海洋性レクリエーションのニーズに対応するため、新たに航行水域を陸岸から1マイルに限定した五級小型船舶操縦士資格を創設し、平成11年度から運用を開始した(図4-4-4)。

図4-4-4 小型船舶操縦士免許受有者数の推移

  イ.マリーナ等
 ヨット、モーターボート等による海洋性レクリエーション活動の基地となるマリーナの整備に対する要請は、近年非常に強くなってきている。
 全国のプレジャーボート隻数は、21世紀初頭には50万隻に達するとの予測もあり、マリーナ等の整備を推進している。
 なお、最近は特に利用者層の拡大・多様化を反映して、乗用車と同程度の価格の低廉なボート等に人気が集まっている(図4-4-5)。

図4-4-5 プレジャーボート保有隻数の推移

(ア) 公共マリーナ
 プレジャーボート需要の増大や国体等の海洋スポーツに対応するため公共マリーナの整備を行っている。現在供用中の公共マリーナ等は、61か所であり、12年度は宮崎港等12港において整備を行った。

境港・公共マリーナ

(イ) ボートパーク等
 運河や水路等の水域において、簡易な係留施設等の整備を推進しており、12年度は和歌山下津港等13港で整備を行った。

(ウ) 埠頭整備資金貸付事業
 港湾管理者以外の者の行うマリーナの整備に対する支援として、重要港湾において、港湾管理者が行う無利子貸付に対し、国は埠頭整備資金を活用して無利子の貸付を行っている。

(エ) 「総合保養地域整備法」に基づく民間マリーナの整備
 特定民間施設である民間マリーナの整備に対する金融上の助成措置・税制上の特例措置等の支援措置が講じられている。

  ウ.旅客船ターミナル
 近年の国際クルーズ船利用者数の増加や、レストラン船等の新たな国内クルーズ船の出現等を背景として、旅客船用の埠頭及び周辺環境の整備の必要性が高まっている。このため、12年度には、横浜港等において大型旅客船埠頭を緑地と一体的に整備するとともに、横須賀港等において、質の高いサービスを提供する旅客船ターミナル施設の整備を民間能力を活用して実施した。

  エ 親水性に富む港湾施設等
 レクリエーション活動や憩いの場を創り、港湾空間を豊かな生活空間として利用しようとする要請に対応して、親水護岸、海浜やイベント広場等親水性に富む緑地等の港湾施設の整備を、12年度には長崎港等137港で行った。

3 漁港レクリエーション施設
  ア.フィッシャリーナ等
 海洋性レクリエーション需要の増大に対応し、秩序ある漁港利用を図るため、新たに静穏水域を確保して漁船とプレジャーボート等の利用調整を行うフィッシャリーナの整備を推進している。現在供用中の利用調整事業によるフィッシャリーナは、17漁港であり、12年度は13か所で整備を行った。
 また、既存静穏水域を活用し、利用調整を行うことを目的として漁港漁村活性化対策事業を12年度は7か所で整備を行った。

  イ.漁港環境
 快適で潤いのある漁港環境を形成するため、漁港内に植栽、親水施設等の整備を行う漁港環境整備事業を実施した。また、12年度には都市住民との交流の円滑化等を図るため、広場、親水護岸等の施設の整備を行う漁港交流広場整備事業を57地区で実施した。

4 海岸レクリエーション施設
  ア.海岸環境整備事業
 砂浜の保全・復元等により、景観上も優れた人と海の自然のふれあいの場を整備した。
 12年度は、相川、香住漁港、広島港、高田等296か所において整備を実施した。

  イ.ビーチ利用促進モデル事業
 マリーナ等の整備と連携しつつ、大規模なビーチ、遊歩道等の整備を重点的に促進する「ビーチ利用促進モデル事業」として12年度までに11か所を選定している。

  ウ.コースタル・コミュニティ・ゾーン
 海岸の整備と併せ、背後地における公園、道路等の整備を計画的、一体的に行うことにより、地域住民が海と親しみ、集い、憩える場としてコースタル・コミュニティ・ゾーンの整備を推進した。

  エ.海と緑の健康地域づくり
 健康増進のために利用しやすい海岸の形成を図るため、健康海岸として12年度までに17か所を指定した。

  オ.いきいき・海の子・浜づくり
 教育関係者、海岸管理者等の連携により、世代間の交流の場、自然・体験活動の場、マリンスポーツの場として青少年等が利用しやすい海岸づくりを図るため、「いきいき・海の子・浜づくり」の実施地域として12年度までに28か所を選定した。

  カ.日本の水浴場55選とふるさとふれあい水辺整備事業
 「日本の水浴場55選」(平成10年3月選定)については、ポスター・パンフレットの配布等による「日本の水浴場55選」の普及・啓発に努めた。
 「ふるさとふれあい水辺整備事業」については、平成12年度に新潟市において海浜緑地の整備等を行った。

  キ.自然豊かな海と森の整備対策事業
 海水浴と森林浴を同時に楽しめるなど潤いのある生活環境の整備として、「白砂青松」で代表される自然豊かな海と森の整備対策事業の実施地区として12年度に23か所を選定した。

  ク.岬のオアシス構想
 近年、地元自治体において岬の灯台を地域のシンボルとして位置付ける地域振興策が企画されており、灯台においては、地元自治体が実施する公園化事業と連携する「岬のオアシス構想」を推進している。