第3章 国内観光振興のための幅広い施策の展開をめざして
―地域との触れ合いを求めて―

第1節 国・地方公共団体等の連携施策の展開

  1. 地方公共団体の観光施策への支援・協力
     地方公共団体は、個性的で魅力あるふるさとづくり、まちづくりの一環として総合的な観光の振興を進めており、道路、駐車場等の観光基盤施設、国民宿舎等の宿泊休養施設、オートキャンプ場、スキー場等の観光レクリエーション施設等の整備に加え、文化財や自然公園等の観光資源の保全、観光振興のための各種キャンペーン活動等具体的施策を積極的に展開している。これらの観光関係施策を地方公共団体が円滑に推進できるよう、国は、観光資源の保全・保護、公的観光レクリエーション地区・施設の整備、観光関連施設の整備、観光基盤施設の整備等を行う地方公共団体に対して支援・協力し、地域における観光の振興を引き続き推進するとともに、観光まちづくりアドバイザーを地域に派遣し、観光まちづくりの推進体制や人材育成等に関しての提言を行うことにより、観光による地域の振興、雇用の創出を図ることとする。
     また、観光を通じ地域の国際化に意欲を持つ地方公共団体が増えていることから、地域との連携強化を図り、外国人旅行者の誘致、受入体制の整備等について支援措置を講ずる。

  2. 長期滞在型観光の開発・普及
     改正祝日法の施行等を踏まえ、祝日三連休の倍増や長期休暇取得のための環境整備を図るとともに、国内観光機運の醸成等の旅行需要喚起等のための施策を推進し、長期滞在型観光を振興する。

  3. 地域伝統芸能等を活用した観光の振興
     地域伝統芸能等(地域の伝統 的な芸能及び風俗慣習)を活用し、地域の特色を生かした観光の振興を図るため、「地域伝統芸能等を活用した行事の実施による観光及び特定地域商工業の振興に関する法律」に基づく活用行事として、平成13年10月12日から14日にかけて「第9回地域伝統芸能全国フェスティバル」を静岡市において開催する。

  4. 特定博覧会の開催
     活力に富んだ個性豊かな地域経済社会を実現するため、「ジャパンエキスポ」制度を引き統き推進する。13年度に開催される福島県の「うつくしま未来博」、山口県の「21世紀未来博覧会」及び北九州市の「北九州博覧祭2001」の開催に対する支援を行っていくこととしている。

  5. 旅フェア2001の開催
     国内旅行の促進と旅行を通じた交流人口の増大による地域の活性化を図るため、都道府県等の地域側と旅行関連産業が連携し、旅に関する総合的な情報の提供等を行う旅の総合見本市「旅フェア2001」平成13年の4月20日から3日間にわたり東京ビッグサイト(江東区)にて開催する。

  6. リアル・ジャパン・キャンペーンの実施
     13年3月から13年度、14年度の二年間に渡り実施されることとなった「リアル・ジャパン・キャンペーン」について、消費者に対する全国規模のPR運動、観光関係者による国内観光のレベルアップ運動等の活動を支援していくこととしている。

  7. 広域観光テーマルート・バリアフリー観光空間の整備
     点在する観光資源について、共通のテーマのもとに連携を図り、広域化・ルート化した魅力ある観光ネットワークを創出し、もって交流人口を増加させ地域の振興を目的とした「広域観光テーマルート」事業及び高齢者・障害者等も含めた誰もが充実した余暇を過ごす機会を提供し、生き甲斐ある社会を形成するとともに、高齢者等の観光の促進による国内消費の拡大、地域の活性化に資することを目的とした「バリアフリー観光空間整備事業」を行う。

  8. 広域交流を活かした地域振興事業
     地域住民と観光客の双方の生活の質の向上に繋がる地域づくりを進めるため、地域づくりと一体となった広域交流を活かした新しい観光施策を展開する。具体的には、モデル地域で、住民との徹底した議論を通じた実践とフォローアップを継続して行いながら、広域交流を活かした地域づくりに必要な施策のとりまとめを行う。
     特に、2002年に開催されるW杯サッカー大会開催地においては、大会開催を契機として地域づくりと一体となった観光振興を図るため、必要となるハード・ソフト両面での施策について検討を進める。

  9. 北海道の観光振興策の推進
     北海道では、平成11年11月に発足した「北海道の観光を考える百人委員会」が来道観光客数1,000万人構想を提唱するなど、北海道の観光産業の飛躍的発展のための様々な取組みが活発化しており、国においても関係機関と連携を深めそれらを支援していく必要があることから、道路整備、空港・港湾整備、都市環境整備、河川・海岸の整備や観光情報システムの充実等の観光基盤の整備を図るため、各種の措置を講じる。
     平成13年度においては、「北海道の観光を考える百人委員会」における50ルート程度の北海道観光モデルルート設定を図るための支援を行うほか、当該モデルルートの具体化を図るための施策の検討を行う。
     なお、航空では、航空会社において、バーゲン型割引運賃等個人用割引運賃の拡充が行われているほか、北海道路線について、13年度より、道東路線等の特定便割引の割引率の拡充、団体旅行用割引運賃の下限額の引下げが行われる。

  10. 沖縄の観光振興策の推進
     国内観光市場をはじめ海外観光・リゾート地との競争の中で、沖縄の基幹産業ともいえる観光の振興を図るために、引き続き関連施設の整備促進を行うこととしている。
     平成11年度及び平成12年度に観光振興地域として指定された地域を有する9市町村においては、魅力ある観光拠点の形成に積極的に取り組んでいくこととしている。
     また、平成10年に導入した沖縄型特定免税店制度については、同制度をより実効あるものとするため、今国会において沖縄振興開発特別措置法等を改正し、平成13年度から関税の払戻し制度を関税の免税制度へ変更するとともに、従来対象となっていなかった革製ハンドバッグなども含めすべての物品を対象とすることとしたところであり、引き続き関係省庁と連携をとりつつ、同制度の効果的な運用に努めていくこととしている。
     今後、沖縄観光のより一層の振興が図られるよう、両制度を国、沖縄県、関係市町村が協力して活用していくこととしている。
     なお、平成9年及び平成11年に講じられた着陸料及び航空機燃料税の特例措置の実施に伴い、沖縄路線の航空運賃が平成9年及び平成11年に引き下げられており、平成13年度においても当該特例措置が継続される。さらに、航空会社において、バーゲン型割引運賃等個人用割引運賃の拡充が行われる。