第4節 住宅・社会資本整備の検証と今後のあり方
我が国は、戦後の高度経済成長以来、住宅・社会資本整備は「欧米水準」や「国土の均衡ある発展」を目標に進み、目覚ましい勢いで築き上げられた住宅・社会資本は、世界第2位のGDPを誇る我が国の基礎体力の強化に貢献してきた。しかし、前節において検討したように、「欧米水準に追いつき追い越す」という目標は、国民の価値観の多様化や、真の国民生活の豊かさ、ゆとり、うるおいを求める今日的なニーズに応えるためには指標としては不十分であり、また「国土の均衡ある発展」という目標は、必ずしも地域の個性を求める声に応え得るとは限らないとの指摘もある。
国民の社会資本整備に対するニーズを的確に把握し、「カスタマー(顧客)」としての国民に最良の行政サービスを提供するための社会資本整備を行うことは、いかなる時代においても行政に課せられた重要な課題である。
右肩上がりの経済成長期には、人口増加に裏付けされた絶えざる需要の拡大に対し、社会資本の「量」を提供することにより応えることが国民に対する一つの解であった。しかし、人口減少社会を迎え、また循環型社会への移行が喫緊の課題となる中で、良いものに手入れ(維持・修繕・改修)を加えながら、長く大切に使っていくという、ストック重視の住宅・社会資本整備を目指すことにより、生活の「質」の向上を目指すということの意義を再確認することが必要である。
このような中で、本節においては、我が国の住宅・社会資本整備の今後の姿について検討する。