(発注者ニーズを踏まえた新たなサービスの提供)

 我が国の建設工事発注においては、建設業者、特に総合建設業者に対して、価格、品質、工期等のリスクを含めて一括して発注する方式が一般的であるが、最近、コスト意識の増大、情報ネットワークの普及による業者選択機会の増大、外資参入を契機とした透明性確保ニーズの増大等により、発注者のニーズも多様化している。
 例えば、実際の発注を行うに当たって、英米等で普及しているCM(Construction Management)サービス(発注者の代理人あるいは補助者として、発注者の利益を確保する立場から、工程管理、品質管理、費用管理等を行うもの。)を活用することにより、建設工事をより直接的に把握しようとする動きが出始めている。また、PFI(「第2 国土建設施策の動向」の「XIII PFIの推進」参照)のように、単なる工事の施工だけでなく、資金調達や運営まで含めたサービスに対するニーズも生じている。
 一方、建設業界においても、CMやPFI等の担当組織を設けたり、専門工事業者同士の連携や、他産業との連携等の動きも出始めている。今後とも、発注者の多様なニーズに対応した様々なサービスを提供していくことが一層重要になるものと考えられる。

〈A社のCM発注の事例〉
 A社はオフィスビルを発注するに当たり、従来のような一括発注の形態を取らず、CM会社(本件事例ではCM部門を有する総合建設業者)に全体の品質管理、工程管理、コスト管理等及び調達業務をフィー・ベースで発注し、専門工事業者はA社立ち会いの入札で選定された。