(下水処理水を流すことによるうるおいのある景観の形成)

 下水道整備の進展に伴い、下水処理水の水量は生活用水の4分の3に相当しており、都市内における貴重な水資源となっている。都市内の水や水辺のもつ多面的機能に着目した都市の再生が求められていることから、下水道としては、処理水、雨水及び開水路等の施設を活用し、身近なまちなかに残る貴重な水辺を保全し、また、都市化の進展に伴い失われた水辺を復活するなど、水と人のふれあいを確保するとともに、身近なまちなかにやすらぎやゆとりを感じられる水と緑のオープンスペースを創出してきている。福岡県粕屋町のように、下水処理水を環境用水などに活用している例は、平成9年現在で全国61の処理場であり、年間計約6,123万m3の水が用いられている。
〈福岡県粕屋町に水がもどる〉
 福岡県粕屋町は福岡市の東部に隣接している町であり、大小の溜池が散在し、田園を主とした豊かな自然環境に恵まれた地域である。この町では、都市化の進展に伴い、町内を流れる水路の流量が減少し、周辺の水辺が失われると同時に、水質汚濁も著しくなった。そこで、うるおいのある親水空間の創造と昔日の生物相豊かな水環境の回復のため下水処理水をせせらぎ水路において活用した。この水路は、新たな町のシンボルとして市民から親しまれる水辺空間を創出している。

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