(15)住宅建設コスト低減による良質で低価格な住宅供給の推進

イ 住宅建設コスト低減の取組み
 住宅建設コストの低減を図るため、平成6年3月に「住宅建設コスト低減に関するアクション・プログラム」を策定し、さらに平成7年12月に閣議決定された「構造改革のための経済社会計画」において、平成12年度までに、標準的な住宅の建設コストをこれまでの水準の3分の2程度に低減することを目指す等の目標が行動計画として策定された。また、平成8年度に重点的に取り組むべき事項を中心に「住宅建設コスト低減のための緊急重点計画」を、平成8年3月建設省をはじめ関係4省において策定した。
1) リーディングプロジェクトの推進
 アクションプログラムのリーディングプロジェクトとして、“プラス・YOU”住宅の提案募集、都市基盤整備公団による低コストモデル住宅の建設等を実施している。
2) 消費者への情報提供の推進
 地方公共団体等が実施する、輸入住宅や産直住宅等の低コストなモデル住宅の建設や団地整備、住宅フェア等による消費者への情報提供等に対し助成を行った。
3) 輸入住宅、海外資材・部品の導入の円滑化
 輸入住宅、海外資材・部品の供給者の国内市場への参入円滑化を図るための相談窓口を設置するとともに、建築基準法に基づく性能試験等に関する外国検査データの受入れ対象となる海外試験機関の拡大等を行った。
4) 住宅産業の構造改善、生産・流通の合理化
 健全に発展しつつ、良質で低価格な住宅を安定的に供給できるような住宅関連産業の構築に向けた検討を開始するとともに、木造住宅総合対策事業による高性能な住宅工法の開発・普及、経営基盤確立等の地域工務店に対する支援、新世代木造住宅供給システム認定事業等による木造住宅の生産性の向上等を図った。
5) 規制の合理化
 建築確認等手続の一層の迅速化、建築基準法等に係る解釈運用の明確化、木造建築物の延べ面積制限の合理化等を進めたほか、水道・電気等の設備規制について関係省庁に改善を要請した。
ロ 住宅建設コスト低減のための緊急重点計画
 計画のうち、建設省が実施する施策の概要は次のとおりである。
1) 建築規制体系の抜本的見直し
イ)建築確認・検査の民間開放
ロ)建築基準の性能規定化
2) 輸入住宅、海外資材・部品の導入の円滑化
イ)建築資材等の相互認証について海外関係機関との協議の推進等(2ヶ国、26機関について認定済み)
ロ)海外の工法を用いた住宅の導入の円滑化に向けた建築基準法第38条認定に係る審査基準の整備等
ハ)輸入住宅及び海外資材・部品導入に当たっての問題点等の的確な把握等のための「輸入住宅情報ダイアル」の設置(インターネット上のホームページの開設)
ニ)「海外建設資材・設備フェア」の実施
3) 住宅建設コスト低減を図るリーディング・プロジェクトの推進
イ)海外資材・部品を率先して導入したモデルプロジェクトの実施
ロ)“プラス・YOU”住宅、輸入住宅等による低コストモデル団地の整備(全都道府県で着手済み)
4) 消費者に対する的確な支援体制等の整備
イ)消費者の相談等に的確に対応できる「すまい・アップセンター」の整備(全都道府県に整備済)
ロ)住宅の性能表示に関する統一的な枠組みの構築
ハ)住宅性能保証制度について、対象を賃貸住宅・中古住宅に拡大
ニ)リフォーム事業者等に関する情報提供体制の整備
5) 住宅生産の合理化等の推進
 中小住宅生産者等の生産性及び品質管理の向上、経営基盤の強化等を積極的に支援するとともに、住宅部材等の流通の合理化を推進する。
 このほかに、水道に係る規制の抜本的見直し(厚生省)、ガス配管に係る工場内プレ配管制度の実施等(通産省)、輸入住宅の建設に従事する外国人技能者の入国手続の迅速化(法務省)が、関係省庁により推進された。