(2)建設投資の動向

 平成11年度の建設投資の状況をみると、名目で前年度比1.3%減の70兆8,600億円、実質(平成2年価格)で同0.7%減の67兆1,400億円程度となり、名目、実質とも3年連続の減少となった(平成11年度の建設投資額は「見込み」)。
 建設投資を建築・土木別にみると、建築については、民間住宅建築は新設住宅着工戸数が3年振りに増加に転じたことなどから増加し、民間非住宅建築は後半やや持ち直したものの、民間設備投資の低迷を受けて減少となった。これらから建築全体では、名目で前年比1.8%減少した。一方、土木については、政府は増加したものの民間は減少し、名目では同0.8%減少した。
 建設投資を政府・民間別にみると、政府は名目で前年度比0.1%増、民間は名目で同2.7%減となっており、平成11年度の政府と民間の割合はそれぞれ49.4%、50.6%程度となっている。
 国内総生産に占める建設投資の割合は昭和60年度に15.4%と底を打って以来上昇傾向となっていたが、平成2年度の18.6%をピークとして減少傾向となり、平成11年度は14.3%と2年連続で15%を下回った。
 以下、建設活動を政府建設投資、住宅投資、民間非住宅投資に分けてそれぞれの動向についてみていくことにする。
イ 政府建設投資の動向
 公共事業については、平成10年度第3次補正予算を含めた15ヶ月予算の効果などから、前年を大幅に上回る水準で推移したが、年度後半は前年を下回った。
 このため、平成11年度の公共工事着工総工事費評価額は前年度比7.4%減となった。これを工事種類別にみると、災害復旧が同18.4%増加、鉄道・軌道が同7.1%増加など5工事種類で増加したものの、教育・病院が同15.6%減少、治山・治水が同13.6%減少など12工事種類で減少となった。また、これを発注者別にみると国の機関が同4.0%減少し、地方の機関は同8.9%減少した(図3-I-3)。
ロ 住宅投資の動向
 平成11年度の新設住宅着工戸数は、貸家住宅や給与住宅は減少したものの、住宅金融公庫融資の制度拡充、住宅ローン控除制度の創設などの政策効果等から持家住宅や分譲住宅が増加し、総計では約123万戸と前年度比4.0%増と3年ぶりに増加した。居住専用建築物の床面積でみると、前年度比7.5%増の11,838万uとなり、工事費予定額では、同6.1%増の195,531億円となった。また、平成11年度の住宅投資は、21兆6,500億円程度で前年度比3.1%の増加となった。
 新設住宅着工戸数を利用関係別にみると、持家は住宅金融公庫融資利用による着工が大幅に増加したことから475,632戸で前年度比8.6%増と3年ぶりの増加となった。
 貸家は、426,020戸で同4.0%減と3年連続の減少となった。
 分譲住宅については、住宅ローン控除制度の効果等からマンションを中心に増加し、312,110戸で10.7%増と3年ぶりの増加となった。
 給与住宅は12,445戸で、同20.5%減と3年連続の減少となった(図3-I-4、図3-I-5)。
ハ 民間非住宅建設投資の動向
 民間非住宅建設投資を民間非住宅建築と民間土木に分けて、各々の動向をみてみる。
1) 民間非住宅建築
 平成11年度の民間非住宅建築の動向を民間非居住建築物着工床面積でみると、年度全体では、前年度比4.8%減と3年連続の減少となった。これを前後半に分けてみると、年度前半は民間設備投資の低迷を受けて大幅に減少したのに対し、年度後半は前年同月を上回る水準で推移し、回復の動きもみられた。
 工事費予定額では平成11年度全体で8兆1,439億円、前年度比6.1%減となった。
 着工床面積を用途別にみると、鉱工業用、商業用、サービス業用はそれぞれ同9.9%減、8.5%増、11.5%減となった。また、使途別には、事務所、店舗、工場、倉庫はそれぞれ同5.2%増、同9.8%増、同8.7%減、同19.1%減となった。
 次に、工事費予定額を用途別にみると、鉱工業用、商業用、サービス業用はそれぞれ同14.2%減、16.2%増、19.5%減となった。また、使途別にみても、事務所、店舗、工場、倉庫は同18.7%増、6.8%増、15.4%減、20.0%減となった(図3-I-6)。
2) 民間土木
 平成11年度の民間土木工事着工統計の動向を発注者別にみると、農林漁業・同組合が前年度比9.6%増と1業種で増加し、電気・ガス業が同27.2%減、不動産業が同12.6%減と7業種で減少し、全体では同13.8%減と7年連続で減少した(図3-I-7)。

C3102201.gif

C3102202.gif

C3102203.gif

C3102204.gif

C3102205.gif