(5)不動産管理の高度化・不動産業の人材の育成
イ マンション管理業者の指導育成等
マンション管理業の健全な発展を図る観点から、中高層分譲共同住宅管理業者登録規程の適切な運用を行っており、登録業者は平成12年3月末現在で535社に達している(表3-III-6)。今後とも、管理業務を委託しようとする管理組合等への便宜を図るとともに、併せて、優良な管理業者の指導育成を図っていくこととしている。
また、我が国におけるマンションストックの増大等に伴い、マンションの適正な管理の確立は緊急の課題となってきており、管理業者の役割は非常に重要である。建設省においては、登録管理業者の情報開示を進めてきたところであり、平成12年度では、管理業者に関する実態調査を行い、管理業の適切な運営を確保するための方策及び居住者保護のための方策等制度的な検討を行うこととしている。
ロ 各種講習制度
宅地建物取引主任者証の交付に際して実施される「法定講習」は、宅地建物取引主任者の適正な業務遂行を確保するとともに、多様化する不動産取引に関して必須の知識を習得し、併せて宅地建物取引主任者として資質の維持・向上を図るため、その内容も具体の実例を取り入れ、実践形式のものとして実施しているところであるが、さらに講習効果の向上、充実を図ることとする。
また、登録の要件である実務経験(2年)に代わる「実務講習」、宅地建物取引業に従事するために実用的な知識等の修得を目的とした「指定講習」、初任従業者を対象とした「初任従業者研修」についても、講習効果の充実を検討するとともに、引き続き適正な業務を確保し、取引の安全性の確保と消費者利益の保護の一層の徹底を図っていくこととしている。
ハ ビル経営管理士資格制度、不動産コンサルティング技能の審査・証明事業認定制度
ビルの所有と経営の分離の進展等を背景として、ビルの経営、管理を担う人材に対するニーズが高まっている。このようなニーズに対応し、専門的な技術及び幅広い知識を有する専門家の育成を図るため、(財)日本ビルヂング経営センターによるビル経営管理士資格制度が平成3年4月に認定され、平成12年3月末現在で2,029名が登録されている。
また、近年、土地の有効利用に対するニーズの高度化等に対応し、宅地建物取引業に従事する者の中で、不動産コンサルティング(宅地建物の処分、取得等に関する企画及びこれに附帯する業務)を的確に行い得る人材を育成することが重要になっている。このような状況に対応し、平成4年10月、(財)不動産流通近代化センターによる不動産コンサルティング技能の審査・証明事業を認定した。平成12年3月末現在で22,111名が登録されている。さらに、最近の経済情勢等を踏まえ不動産コンサルティング業務の一層の発展を図るため、学識経験者、業界団体等よりなる検討委員会において、平成11年9月、制度の今後のあり方に関する報告書が取りまとめられた。