(政策評価)  今後の政策展開に当たっては、前述のコミュニケーション型行政の一層の推進やアカウンタビリティの一層の向上により、行政サービスの顧客である国民の満足度を高める必要がある。そのために、公共事業の進め方だけでなく広範な行政活動において国民の視点に立った成果重視の行政運営に努めることにしており、その一つの手段として政策評価を本格的に導入する予定である。  政策評価は効率的・効果的な行政運営を目指して欧米で先進的に行われてきており、我が国においても多くの地方公共団体で様々な形で導入されつつある。  中央政府においても「行政改革会議最終報告」で政策評価が提言されて以来、各省庁で検討が進んでおり、平成13年1月以降、再編後の全府省において本格的な政策評価を開始することとなっている。建設省においても統合後の国土交通省において政策評価システムを導入すべく、北海道開発庁、国土庁、運輸省と共同で政策評価実施要領等の策定を進めている。  国土交通省においては、その政策が経済社会、国民生活に広範かつ直接的な影響を与えるものであり、政策評価の位置付けは特に重要である。このため、国土交通省に係る政策評価については、真に国民の立場に立ったものとする必要がある。  また、国土交通省における政策展開は、国民の視点に立ち、国民の満足度を向上させる上で効果的かつ効率的になされる必要がある。現在、検討を進めている国土交通行政の総合的かつ基本的な方針に基づき、顧客重視かつ成果重視の総合的・戦略的な施策展開を行うことが求められており、政策評価はそのための重要なツールとして活用することが必要である。  さらに政策評価については、それ自体を単独で考えるべきではなく、政策の企画立案機能と連携しながら実施される必要がある。また、予算、広報広聴、職員の意識改革等、行政運営に係る各般の機能と連携・調整を行うことで、真にその結果が活かされることになる。「政策の企画立案→施策、事業実施→業績測定・分析→政策の見直し・重点化」というPlan-Do-Seeの政策のマネジメント・サイクルを、政策評価を軸にした形で確立することが重要である(図表1-4-20)。  政策評価の方式等については、様々な考え方が提案されているところであるが、国土交通省における来年度からの導入については、以上のような観点を踏まえつつ試行錯誤を重ね、機動性・柔軟性を確保しながら改良に努めていくことが必要であろう。