第2章 創造的で活力ある21世紀の国土をつくるために  昨年の建設白書において分析したように、我が国の戦後の経済成長は労働力となる人口の急増をうまく活用した形で達成され、大量生産型の工業社会の中で我が国経済は着実に成長を続けてきた。このような労働人口も経済も右肩上がりの社会においては、道路等の社会資本は不十分であったこともあり、その整備による社会経済に対する影響は大きく、産業の活性化や生活の利便性の向上に寄与するという、ストック効果を十分に発揮してきた。つまり、社会資本整備を全国的に推進することが我が国の活力を創出することに直結していた。  しかし、この構造を変容させる圧力が内的にも外的にも確実に高まってきている。ヒトもモノもカネも国境を自由に行き来する国際的な競争時代の到来の中で、今後少子高齢化と全国的な人口減少が急速に進行し労働力の増加による活力の創出が期待できない我が国が活力を維持・向上させるためにはどうすればよいのだろうか。また、社会資本はどのように貢献できるのだろうか。  この章では、このような観点から、21世紀の国土づくりの方向について一つの考察を示すとともに、その主体である建設産業のあり方について提言する。